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8.1

避難指示の対象とする津波災害

津波は 20cmから 30cm程度の高さであっても、急で強い流れが生じるため、これに巻き込まれ て流されれば、命を脅かされる可能性があることから、大津波警報・津波警報・津波注意報のいず れが発表された場合であっても、危険な地域からの一刻も早い避難行動をとる必要がある。

また、震源が沿岸に近い場合は地震発生から津波来襲までの時間が短いことから、少しでも早 く避難する必要があり、津波災害警戒区域等に居るときに強い揺れ(震度4程度以上)又は長時 間ゆっくりとした揺れを感じた者は、気象庁の津波警報等の発表や市町村からの避難指示の発令 を待たずに、各自が自発的かつ速やかに避難行動をとることが必要である。

8.1.1 避難指示の発令対象地域

津波警報等で発表される津波高に応じて、市町村毎に発令対象範囲をあらかじめ定めておく必 要がある。そのため、市町村は、都道府県水防部局等が算定した区分毎の津波高により浸水が想 定される区域を、あらかじめ把握しておくことが望ましい。ただし、津波は局所的に高くなる場 合もあること、津波の浸水想定はあくまでも想定に過ぎず、想定を超える範囲で浸水が拡大する 可能性があることを周知する必要がある。

図8 津波災害時における避難指示の発令対象地域

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8.2

避難指示を判断する情報

地震の発生から、3分程度を目処に津波警報等が発表される。

津波の高さは5つに区分され、各区分の高い方の数値が発表される。

なお、マグニチュード8を超えるような巨大地震の場合、正確な地震の規模をすぐには把握で きないため、その海域における最大級の津波を想定して、大津波警報や津波警報が発表されるが、

このとき予想される津波の高さは「巨大」、「高い」という定性的な表現で発表される。その後、

正確な地震の規模が確定した段階で予想される津波の高さが数値で示される。

発表される津波の高さについては、5区分であり、各区分の高い方の数値が発表される。

表 2 大津波警報・津波警報・津波注意報と津波の高さの区分

予想される津波の高さの区分 発表される津波の高さ 数値 定性的表現

大津波警報

10m 10m

5m10m 10m 巨大

3m5m 5m

津波警報 1m3m 3m 高い 津波注意報 20cm1m 1m (表記しない)

8.3

判断基準設定の考え方

・ どのような津波であれ、危険な地域からの一刻も早い避難が必要であることから、「避 難準備情報」「避難勧告」は発令せず、基本的には「避難指示」のみを発令する。

・ 大津波警報、津波警報、津波注意報により、避難の対象とする地域が異なる。

基本的な区分は以下のとおりである。

① 大津波警報 :最大クラスの津波により浸水が想定される地域を対象とする

② 津波警報 :海岸堤防等が無い又は海岸堤防等が低いため、高さ3mの津波によ って浸水が想定される地域を対象とする

③ 津波注意報 :漁業従事者、沿岸の港湾施設等で仕事に従事する者、海水浴客等を 念頭に、海岸堤防等より海側の地域を対象とする

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【避難指示の判断基準の設定例】

1~2のいずれかに該当する場合に、避難指示を発令する。なお、2つの設定例 を全て判断基準とすることが必須ではなく、各市町村の実情等に応じて取捨選択す る必要がある。

1:大津波警報、津波警報、津波注意報の発表 (ただし、避難指示の対象区域が異なる)

2:停電、通信途絶等により、津波警報等を適時に受けることができない状況におい て、強い揺れを感じた場合、あるいは、揺れは弱くとも1分程度以上の長い揺れ を感じた場合

【遠地地震の場合の避難勧告等】

我が国から遠く離れた場所で発生した地震に伴う津波のように到達までに相当の 時間があるものについては、気象庁が、津波警報等が発表される前から津波の到達予 想時刻等の情報を「遠地地震に関する情報」の中で発表する場合がある。市町村は、

この「遠地地震に関する情報」の後に津波警報等が発表される可能性があることを認 識し、避難準備情報、避難勧告の発令を検討するものとする。

・ 避難指示の解除については、当該地域が避難指示発令の基準としている大津波警報、

津波警報、津波注意報が解除された段階を基本として、解除するものとする。

・ 浸水被害が発生した場合の解除については、当該地域が避難指示発令の基準として いる津波警報等が解除され、かつ住宅地等での浸水が解消した段階を基本として、

解除するものとする。

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