表
5.29:
上板の初期デプスの平均値についてのt
検定帰無仮説が棄却された日 帰無仮説が採択された日
サンプル個数 平均値 サンプル個数 平均値 t値 検定結果
1503 前場 746 119,844 3503 140,334 3.79 F
後場 447 200,647 3003 152,644 -6.39 T
5405 前場 559 715,331 4239 966,995 5.95 F
後場 694 709,425 3557 1,153,797 10.18 F
5715 前場 919 135,220 3789 185,392 7.54 F
後場 480 12,813 3038 20,249 4.07 F
5721 前場 62 3,690,113 397 3,380,340 -0.92 T
後場 165 313,297 354 567,147 3.52 F
6445 前場 1250 108,278 3512 158,751 10.90 F
後場 551 137,978 3428 160,026 3.07 F
6501 前場 993 59,638 8773 77,989 7.67 F
後場 1106 86,333 6579 96,446 3.24 F
6701 前場 1196 111,443 9204 103,459 -2.53 T
後場 576 88,398 6743 134,078 9.63 F
7003 前場 1345 78,644 4949 99,574 6.23 F
後場 1030 93,675 3723 123,503 6.20 F
7011 前場 1303 203,470 4462 213,591 1.37 F
後場 795 249,284 3921 246,740 -0.25 T
7013 前場 941 201,265 3546 308,376 9.43 F
後場 610 122,098 2822 337,182 16.53 F
7021 前場 2530 57,377 11847 64,535 4.77 F
後場 1480 70,794 9801 73,283 1.45 F
表
5.30:
下板の初期デプスの平均値についてのt
検定帰無仮説が棄却されたデータ 帰無仮説が採択されたデータ
サンプル個数 平均値 サンプル個数 平均値 t値 検定結果
1503 前場 797 152,272 3553 133,178 -4.12 T
後場 510 159,922 2947 156,159 -0.63 T
5405 前場 624 679,732 4066 857,051 5.72 F
後場 572 694,023 3677 1,007,568 8.91 F
5715 前場 688 166,619 4022 178,554 1.72 F
後場 586 111,278 3167 200,291 11.57 F
5721 前場 62 3,411,355 380 3,344,987 -0.26 T
後場 127 2,214,598 397 4,779,416 5.10 F
6445 前場 1300 84,875 3527 159,185 22.55 F
後場 1108 99,675 2931 181,113 18.51 F
6501 前場 1127 54,401 8599 71,992 9.48 F
後場 858 76,437 6787 88,934 4.65 F
6701 前場 1445 99,770 9311 99,721 -0.02 T
後場 963 97,317 6450 136,355 11.87 F
7003 前場 1600 60,804 4609 97,354 13.51 F
後場 976 75,839 3810 107,977 8.77 F
7011 前場 1253 174,954 4569 196,350 3.31 F
後場 827 190,196 3773 224,641 4.07 F
7013 前場 831 205,600 3667 293,626 8.42 F
後場 566 146,640 2843 347,878 17.09 F
7201 前場 2236 47,343 12448 58,685 8.75 F
後場 2141 57,981 9400 77,199 10.96 F
この結果を見ると, 帰無仮説を棄却された銘柄は多数存在する. すなわち, 多数の銘柄 には, 1次のマルコフ性が採択された日の初期デプスの平均値は棄却された日の初期デプ スの平均値より大きい. したがって, 先に死滅した板側に新規板の初期デプスが薄い場合, このような銘柄において
1
次のマルコフ性の帰無仮説が棄却されやすいことが分かった.5.2.2
成行注文の1
件当たりの注文量の平均値のt
検定次に, 成行注文の
1
件当たりの注文量と1
次のマルコフ性の関係を調べる. この検定で は, 1次のマルコフ性の帰無仮説が棄却された日の平均値は採択された日の平均値より大 きいことが対立仮説となる. 成行売り(買い)
注文の1
件当たりの注文量の平均値につい て, 5%有意水準の片側のt
検定を行う.表
5.31:
成行売り注文の1
件当たりの注文量の平均値についてのt
検定帰無仮説が棄却されたデータ 帰無仮説が採択されたデータ
サンプル個数 平均値 サンプル個数 平均値 t値 検定結果
1503 前場 4,406 21,506 21,101 16,511 7.35 F
後場 3,153 23,239 19,259 16,743 7.30 F
5405 前場 8,314 52,658 63,261 62,618 -4.63 T
後場 10,185 49,008 66,734 57,825 -4.56 T
5715 前場 5,614 12,251 25,201 14,210 -3.61 T
後場 1,975 9,155 23,244 12,026 -3.74 T
5721 前場 2,364 97,176 10,725 81,408 2.33 F
後場 3,010 71,060 10,542 95,849 -3.40 T
6445 前場 3,010 71,060 10,542 95,849 -3.40 T
後場 4,182 12,339 23,851 14,115 -3.10 T
6501 前場 5,252 10,421 46,141 11,800 -3.93 T
後場 6,592 11,597 43,218 11,678 -0.24 T
6701 前場 6,781 13,952 60,832 12,902 2.80 F
後場 3,964 10,626 59,209 12,543 -4.04 T
7003 前場 4,900 13,133 21,847 12,338 1.88 F
後場 4,466 11,284 21,422 12,679 -2.82 T
7011 前場 9,287 23,237 36,739 19,052 6.69 F
後場 6,580 23,927 40,447 19,875 5.19 F
7013 前場 9,112 19,222 35,113 21,358 -3.04 T
後場 4,004 13,167 35,809 20,012 -7.17 T
7201 前場 18,162 7,130 96,878 6,869 1.91 F
後場 16,156 6,521 111,484 6,524 -0.02 T
表
5.32:
成行買い注文の1
件当たりの注文数の平均値についてのt
検定帰無仮説が棄却されたデータ 帰無仮説が採択されたデータ
サンプル個数 平均値 サンプル個数 平均値 t値 検定結果
1503 前場 5,195 20,823 20,203 14,149 12.74 F
後場 3,725 18,099 19,480 14,519 5.33 F
5405 前場 7,138 50,597 64,602 47,746 1.82 F
後場 7,682 44,458 67,734 46,378 -1.17 T
5715 前場 3,898 12,556 24,767 12,382 0.35 T
後場 2,766 10,816 22,691 10,659 0.36 T
5721 前場 1,573 117,408 9,680 80,302 4.31 F
後場 2,741 92,273 9,356 73,461 3.59 F
6445 前場 6,297 13,423 24,393 14,303 -2.27 T
後場 5,888 12,674 20,669 13,132 -1.12 T
6501 前場 5,040 9,217 47,488 9,176 0.17 T
後場 4,993 10,505 45,256 9,771 2.51 F
6701 前場 9,478 11,882 59,013 11,281 2.44 F
後場 5,463 12,987 55,716 11,180 5.11 F
7003 前場 5,316 9,556 20,564 10,635 -3.30 T
後場 4,183 10,025 19,779 10,855 -2.15 T
7011 前場 8,661 18,885 35,919 16,300 5.64 F
後場 6,166 20,367 38,427 16,470 6.69 F
7013 前場 7,721 15,028 33,647 18,773 -6.66 T
後場 3,424 12,293 31,756 18,114 -6.98 T
7201 前場 15,769 5,740 93,533 6,139 -3.44 T
後場 15,955 6,998 104,641 5,841 9.23 F
この結果を見ると,帰無仮説が採択された銘柄と棄却された銘柄は両方とも多数存在す る. 成行注文の
1
件当たりの注文量と1
次マルコフ性の関係についての結果が得られな かった. 理論的に, 成行注文の1
件当たりの注文量の大きさは株価変動のマルコフ性に一 定の影響があるはず. ただ,成行注文が価格変動に対して,異なる方式で影響することが できるから,例えば,1件の成行注文量は大きくない場合,ある時間内に,成行注文が高 い頻度で到着すれば,同一方向への連続的な価格変動を起こされる. したがって, 成行注 文が株価変動に影響についての分析は深い課題である.6 結論
本研究は遠藤・左・岸本
[2006]
の提案した二重マルコフ・モデルによる東証個別銘柄の1
次マルコフ性についての実証分析である. このモデルは上下板の反復に出生死滅過程に よって, 株価変動が引き起こされる. 二重マルコフ・モデルでの価格上下移動は1
次のマル コフ過程に従うので, 実際のデータで1
次のマルコフ性を持つことはこのモデル成立の前 提として, 十分検証する必要がある. 本研究で2003
年3
月から2006
年2
月までの3
年間の 流動性の高い個別銘柄を対象として, 日中のティックデータを用いて,実証分析を行った.実証分析では, 流動性の高い個別銘柄を検証対象として, 2003年
3
月〜2004年2
月と2004
年3
月〜2005年2
月での検証は,多くの銘柄が1
次のマルコフ過程に従った. しかし,2005
年3
月〜2006年2
月での検証では, 1次のマルコフ性の帰無仮説が棄却される個別銘 柄が多数存在する. 検証に用いたデータの統計分析を通して, 1次のマルコフ性に従わな い個別銘柄では日中で価格の連続的な上昇か連続的な下降が多発することが分かった. さ らに, 1 次のマルコフ性の帰無仮説が棄却されたデータと採択されたデータを用いて対照 分析を行い, 日中での株価の連続的な上昇, または連続的な下降の現象を引き起こす原因 を調べた. 先に死滅した板側に新規板の初期デプスが薄い場合, このような銘柄において1
次のマルコフ性の帰無仮説が棄却されやすいという結果を得た.したがって,二重マルコフ・モデルを現実へ広範に適用するためには,モデルを改良する 必要がある.以上の結果に基づいて, 精度のよいモデルを作ることを今後の課題としたい.