4-2-1 FDTD法による回折光シミュレーション
光の位相の揺れが記録に及ぼす影響について, 回折効率の計算を行った.回折効率の計算 では,古くよりKogelnikの結合波による厳密解4-10)が用いられてきたが,単純なsine波 形からの回折しか計算できないため,精密な計算を行うようFDTD法を用いたシミュレー
ション4-11)を行った.
FDTD (Finite Difference Time Domain method) 法は, マクスウェルの方程式を差分化 して電磁界を計算する方法である. マクスウェルの方程式は,
=0
∂ +∂
×
∇ t
E B (4-1)
D i
H =
∂
−∂
×
∇ t (4-2)
で表され, 媒質は等方・非分散として, 構成方程式B=
μ
H,D=ε
E,i=σ
Eを代入すると=0
∂ + ∂
×
∇ t
E
μ
H (4-3)E E H
ε
=σ
∂
− ∂
×
∇ t (4-4)
である. これを時間で離散化した式
n n
n
t
E H
H
+=
−− Δ ∇ ×
2
μ
1 2
1
(4-5)
2 1 1
1 2 / 1 2
1 2
−−
∇ ×
+ Δ + Δ + Δ
− Δ
=
n nn
t t t
t
H E
E
ε σ ε ε
σ ε σ
(4-6)
と図4-2のような記録媒体中での空間的な離散化で求めた.この場合の,記録媒体中に作製 される干渉縞の強度(屈折率差)をεの差として定義して計算を行った.
x y
z (i,j,k)
(i+1,j,k) (i,j,k+1)
(i,j+1,k+1)
(i,j+1,k)
(i+1,j+1,k) (i+1,j+1,k+1)
Δx
Δy Δz
Electric field
Magnetic field
図4-2 記録媒体中における電界, 磁界の取り方
4-2-2 FDTD法による位相変動が干渉縞(回折強度)に与える影響の計算
波長532 nmで記録媒体に22.3 °の角度で二つの波(参照光と物体光)が記録媒体に照射さ れ,その合成による干渉縞が図4-3のように擾乱がなく, 安定に記録できた場合(実線)と, 干 渉縞に擾乱が存在し, 不安定になってしまった場合(破線)の2通りの分布を仮定した. 一方 はcos(x)でもう一方は4cos2(x)-1 [-π /2~π /2], -1 (その他の場合)で平均値は同じでありなが ら, 後者はある閾値を設定し, その閾値以上でないと露光しないような条件とし, 二つの分 布を変えた形とした.
この媒体に平面波を照射し, 出射された光より回折効率を計算した結果を図4-4に示す.
図4-3と同様に安定に記録できた干渉縞からの回折を実線で, 擾乱が存在し, 不安定になっ てしまった干渉縞からの回折を破線で示した.
二つの場合とも記録位置である0度で回折効率の最大値を示し, ±0.2 °付近にサイドロー ブを示す通常の回折パターンを示している. 安定した干渉縞では回折効率は約80 %の値を 示している. 一方, 不安定に記録された干渉縞ではその約半分の40 %程度しか示していな い. この結果から, 安定した干渉縞でいかに大きな屈折率分布差を記録できるかが回折効 率の増大,ひいては大容量化に関して重要であることが分かる.
-2 -1 0 1 2 3 4
Δε
r( X 0. 001)
Distance (nm)
cos(x)
4cos
2(x)-1 (-π/2 - +π/2) -1 (other region)
0 350 700
図4-3 記録媒体中に仮定した屈折率分布の違い
図4-4 二つの媒体条件による回折効率の角度依存性
-0.4 0 -0.2 0 0.2 0.4
20 40 60 80
Angle (degree)
D iffr a c ti o n E ffi c ie n c y ( % )
4-2-3 実験方法及び測定結果
記録媒体の多重度を測定する光学系を元に, 図4-5のような記録時の干渉縞を安定に書く ための光学系を考えた4-12).
参照光と物体光が交差し, 記録媒体中で干渉縞を作製する.
光は電磁波の一種であり, z方向へ進む単色の直線偏光の平面波は次のように表される.