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河川域の状況

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第3章  モデル地域における現地調査

3.3  河川域の状況

現地調査に先立ち、宮古湾に注ぐ二級河川(閉伊川、津軽石川)と大槌湾に注ぐ二級河川(大 槌川、小鎚川、鵜住居川)とその流域を対象に、流量、水質、周辺域に生息する生物等とそれらに 影響を及ぼす地形、地質、土地利用、取排水、気象の基礎情報について既往資料をもとに整理し た。

1) 対象河川の概要

岩手県の宮古湾に注ぐ二級河川(閉伊川、津軽石川)と大槌湾に注ぐ二級河川(大槌川、小 鎚川、鵜住居川)を対象河川とした。

対象河川の概要について表 3.3‑1に、対象河川の位置を図 3.3−3に示す。

表 3.3-1  対象河川の概要 湾

河川名 (二級河川)

本川流路 延長(km)

流域面積 (km2)

流域人口

(人) 概況(河川工作物等)

閉伊川 91(76) 972 45,000 川井村・新里村を経て宮古市で宮古湾に注ぐ。

支川の大沢川には大沢ダムがある。

宮 古 湾

津軽石川 13(13) 153 8,300 山田町を経て宮古市で宮古湾に注ぐ。

河口には津波対策のため水門を工事中。(平成 17 年完成予定)

大槌川 28(13) 120 4,700 大槌町に位置し大槌湾に注ぐ。

小鎚川 26(12) 63 8,400 大槌町に位置し、大槌湾の大槌川近傍に注ぐ。

河口では津波対策のため水門を工事中。(平成 16 年完成予定)

大 槌 湾

鵜住居川 23(23) 155 5,300 釜石市に位置し、大槌湾の釜石市側に注ぐ。

注)※表中の数字は二級河川と準用河川を含む流路延長、括弧内の数字は二級河川のみの流路延長

図 3.3−1  対象河川の位置図

出典:「岩手県河川図、平成153月、岩手県」より作成

閉伊川

津軽石川

大槌川 小鎚川 鵜住居川

大 槌 湾 津軽石川水門

小鎚川水門

①防潮水門

1000m 0 1 2    3km

稲荷橋

繁橋 大川

小川

豊間根

五堂城森

②水門

③床固工

④床固工

⑫床固工

⑤河制工

⑥河制工

⑦河制工

⑧河制工

⑨河制工

⑩河制工

⑬河制工

⑭河制工

⑪分流堰

⑮頭首工

凡例

:水門、堰、頭首工

:河制工

:床固工

◎:調査地点

河川構造物の諸元

番号 種類 位置 構造

① 防潮水門 河口より上流350m 工事中

② 水門 駒形橋より下流370m(左岸) 鋼製スルーゲート 有効巾:4.1m 有効高:2.7m

③ 床固工 繋橋より下流1325m コンクリート帯工 L=72.4m

異形ブロック帯工W=6.5m

④ 床固工 繋橋より下流810m コンクリート帯工 L=255.0m

異形ブロック帯工W=7.0〜10.0m

⑤ 河制工 新田橋より下流10m コンクリート帯工 L=105.8m

床固(異形ブロック)帯工W:17.6m 水道幅:21.0m、天端高:1.2m、H:1.5m

⑥ 河制工 中村橋より下流570m L=88.8m

床固工(異形ブロック帯工)W:11.0m

⑦ 河制工 中村橋より下流340m L=92.4m 水路幅:30m 天端高:1.6m H:0.3m

⑧ 河制工 中村橋より下流15m L=96m 水路幅:13m 天端高:1.6m H:0.4m

⑨ 河制工 日当橋より上流3〜194m 蛇籠×5箇所 L=15m W=2m Y=5m

⑩ 河制工 日当橋より上流590m L=92.4m

床固工(異形ブロック帯工)6.6m×52.0m 水路幅:49.0m

天端高:1.9m H:3.45m

⑪ 分流堰

⑫ 床固工 豊間根橋より下流100m 異形ブロック帯工W=10.0m L:24.0m

⑬ 河制工 豊間根橋より上流60〜

110m

落差工 L=50.0m 異形ブロック帯工

⑭ 河制工 白山橋より下流20m 落差工 L=68.8m 異形ブロック帯工

⑮ 頭首工 船石橋より上流75m

-※「−」は情報なし

後述の現地調査で縦断方向の水質調査を行う津軽石川における河川構造物の詳細な情報を、

図 3.3−2に示す。河口に、津波の被害を防ぐための水門が、中流には床固工がそれぞれ数 カ所ある。このうち繋橋下流の床固工は縦断延長が 255m と最も大きい。また上流部には河 制工があり、高さが 3.45m あるものも設置されており、溶存酸素の供給が行われる一方で、

物質の貯留や生息域の分断が生じている。また大川と小川との合流地点には頭首工が、本川 上流部には分流堰が設置されており、取水が行われている。

図 3.3−2  津軽石川の河川構造物の位置

出典:「平成14 年度二級河川津軽石川津軽石川河川整備計画策定業務参考資料、平成 15 3月」に、現地踏 査で得られた情報を加筆し作成

2) 地形(標高、河床勾配)

対象河川流域の地形を図 3.3−3に示す。

閉伊川はその源流を川井村の標高 1000m を超える山々に発し、多くの支川を合わせて新里 村を流れ、宮古市街地の平野部を通って宮古湾に注ぐ河川である。閉伊川流域は他の対象河 川の流域に比べ西部に広い山地が広がることから、流域面積に占める山地の割合が大きい。

津軽石川は源流を山田町西部の標高 600m 前後の山々に発し、同じく宮古市から宮古湾に 注ぐ河川である。津軽石川流域は中流部にも平野が開けていることから、他の対象河川の流 域に比べ流域面積に占める平野部の割合が大きい。

大槌川、小鎚川は源流を大槌町西部の標高 1000m 前後の山々に発し大槌湾に注ぐ河川であ る。鵜住居川は源流を釜石市北西部の標高 900m 前後の山々に発し、同じく大槌湾に注ぐ河 川である。

図 3.3−3  対象河川流域の地形図

出典:「数値地図50mメッシュ標高、平成97月、国土地理院」より作成 閉伊川

津軽石川

大槌川

小鎚川

鵜住居川

また、対象河川の河床勾配(河口からの距離と標高の関係)を図 3.3−4に示す。

津軽石川が最も勾配が緩く、小鎚川および鵜住居川の勾配が急であった。

図 3.3−4  対象河川の河床勾配

注)河床勾配は二級河川と準用河川を対象に「数値地図 50m メッシュ標高、平成 9 年 7 月、国土地理院」

より求めた

※津軽石川下流部(河口〜河口より6.8km地点まで)について、河川縦断図より求めた河床勾配は1/281。

出典:「津軽石川河川整備計画策定(その2)業務報告書、平成153月」

※小鎚川下流部(河口〜河口より11.5km地点まで)について、河川縦断図より求めた河床勾配は1/115。

出典:「平成13年度 二級河川小鎚川水系河川整備基本方針・整備計画策定業務委託報告書、

平成143月」

0 200 400 600 800

0 10 20 30 40 50 60 70 80 河口からの距離(km)

標高(m)

閉伊川 津軽石川 大槌川 小鎚川 鵜住居川 門馬

川井 千徳 茂市

3) 地質(表層地質、土壌分類)

対象河川流域の表層地質と土壌分類について整理した。

(1) 表層地質

対象河川流域の表層地質を図 3.3−5に示す。

閉伊川流域の表層地質は上・中流域が泥岩、互層(凝灰岩・凝灰角礫岩・シルト岩・泥岩・

礫岩)、下流域が花崗岩質岩石によりおおよそ構成されている。

津軽石川流域の表層地質は上流域が互層(凝灰岩・凝灰角礫岩・シルト岩・泥岩・礫岩)、

下流域が花崗岩質岩石、玲岩等によりおおよそ構成されている。

大槌川・小鎚川流域の表層地質は上流域が泥岩、下流域が互層(凝灰岩・凝灰角礫岩・シ ルト岩・泥岩・礫岩)によりおおよそ構成されている。鵜住居川流域の表層地質は上流域が花 崗岩質岩石、中流部が泥岩と互層(石灰岩・粘板岩)、下流域が互層(凝灰岩・凝灰角礫岩・シ ルト岩・泥岩・礫岩)によりおおよそ構成されている。

図 3.3−5  対象河川流域の表層地質図

出典:国土交通省 国土数値情報ダウンロードサービスの土地分類メッシュデータ(1kmメッシュ)を元に作成 岩手県 昭和 54 年 土地分類メッシュデータ G05‑54M

閉伊川

津軽石川

大槌川

小鎚川

鵜住居川 大 槌 湾

(2) 土壌分類

対象河川流域の土壌分類を図 3.3−6に示す。

閉伊川流域の土壌は森林土壌、黒ボク土、低地土壌におおよそ分類される。

津軽石川流域の土壌は上流域が森林土壌、下流域が黒ボク土におおよそ分類される。

大槌川・小鎚川・鵜住居川流域の土壌はほとんどが黒ボク土となっているが、大槌川の上 流域、鵜住居川の下流域は森林土壌となっている。

図 3.3−6  対象河川流域の土壌分類図

出典:国土交通省 国土数値情報ダウンロードサービスの土地分類メッシュデータ(1kmメッシュ)を元に作成 岩手県 昭和 54 年 土地分類メッシュデータ G05-54M

閉伊川

津軽石川

大槌川

小鎚川

鵜住居川 大 槌 湾

4) 土地利用

対象河川流域の土地利用を図 3.3−7に示す。

また、各流域の土地利用の内訳を表 3.3‑2に示す。

閉伊川の流域のほとんどが森林となっており、宮古市の平野部では田およびその他の農用 地と市街地が広がる。

津軽石川の流域の大部分は森林であるが、河川に沿って田およびその他の農用地、下流部 には市街地がみられる。

大槌川、小鎚川、鵜住居川の流域はほとんどが森林となっており、河川に沿って田および その他の農用地、下流部には市街地がみられる。

図 3.3−7  対象河川流域の土地利用図

出典:国土交通省 国土数値情報ダウンロードサービスの土地利用メッシュデータ(100mメッシュ)を元に作成 岩手県 平成9年 土地利用メッシュデータ L03-09M

閉伊川

津軽石川

大槌川

小鎚川

鵜住居川 大 槌 湾

表 3.3-2  各流域の土地利用の内訳

土地利用面積の割合(%) 流域名 流域面積

(km2) その他の 農用地

森林 荒地 建設用

幹線交 通用地

その他 の用地

河川及 び湖沼 閉伊川流域 972 0.83 2.50 90.28 3.79 0.88 0.11 0.50 1.07 津軽石川流域 153 2.91 2.82 87.89 2.94 1.49 0.14 0.49 1.27 大槌川流域 120 1.27 2.11 94.28 0.30 0.78 0.00 0.38 0.84 小鎚川流域 63 1.49 1.20 91.33 0.52 1.65 0.07 2.66 1.03 鵜住居川流域 155 1.35 1.45 89.64 2.42 0.94 0.11 3.03 1.03

注)流域面積は表 3.3‑1の流域面積を用いた。

  土地利用面積の内訳は岩手県 平成 9 年 土地利用メッシュデータ L03‑09M より求めた。

  土地利用面積の割合は小数第 3 位を四捨五入しているため、必ずしも合計値が 100(%)とはならない。

5) 取排水状況

閉伊川、津軽石川、小鎚川の利水状況と利水施設の位置図を図 3.3−8に示す。

閉伊川では、農業用水、工業用水、水道用水、発電用水として約 30(m3/s)取水されてい る。水利権の件数では農業用水が多く、取水量では発電用水からの取水が約 28(m3/s)と多 かった。

津軽石川では農業用水、水道用水として約 0.3(m3/s)取水されている。

小鎚川では農業用水として 0.2(m3/s)取水されている。

図 3.3−8  利水施設の位置図(閉伊川・津軽石川・小鎚川)

注) 総取水量は河川毎に水利権量を合計した数値

小鎚川の農業用水の総取水量は普通期の数値で代掻期は 0.261(m3/s) 出典:「河川整備基本方針参考資料(治水計画)、平成 15 年 10 月、岩手県」

「平成 15 年度第 1 回「いわての川づくりプラン」懇談会資料津軽石川編、平成 15 年 9 月、岩手県」

「平成 13 年度二級河川小鎚川水系河川整備基本方針・整備計画策定業務委託報告書、

平成 14 年 3 月」

◎ 閉伊川

津軽石川 大槌川

小槌川

鵜住居川

小山田橋

稲荷橋

大川 繁橋

豊間根

五堂城森

凡例

◎:調査地点

●:農業用水

●:工業用水

●:水道用水

●:発電用水

:流域界

:市町村界

●●

● ◎

※閉伊川の農業用水は193 箇 所 あ る た め 取 水 位 置 に

●を記載していない

大浜渡橋◎

●●小川

◎◎

●●

●●●●●● 大石橋 古廟橋◎◎

対象河川流域を含む市町村の水道普及状況を表 3.3‑3に示す。

閉伊川上流域を占める川井村の水道普及率は 67.0%となっており、他の流域を含む市町村 では 87〜99%である。

また、対象河川流域を含む市町村の下水道整備状況を表 3.3‑4に、下水処理場の位置を図 3.3−9に示す。

津軽石川流域の多くを占める山田町の下水道整備率は 6.5%となっており、他の流域を含 む市町村では 35〜44%である。

閉伊川流域内には宮古浄化センター、小鎚川流域内には大槌浄化センターがあり、宮古浄 化センターは小山田橋の上流に、大槌浄化センターは古廟橋の上流に位置している。

表 3.3-3  対象河川流域を含む市町村の水道普及状況(2001 年度) 市町村名 行 政 区 域 人 口

(人)

給水人口 (人)

水 道 普 及 率 (%)

含まれる流域

宮古市 54,756 54,425 99.4 閉伊川、津軽石川

新里村 3,745 3,274 87.4 閉伊川

川井村 3,626 2,430 67.0 閉伊川

山田町 20,849 19,843 95.2 津軽石川

大槌町 17,905 15,897 88.8 大槌川、小鎚川

釜石市 17,905 15,897 88.8 鵜住居川

注)※水道普及率=(給水人口/行政区域人口)×100

  下水道整備状況は市町村単位の集計のため、行政区域人口は流域人口と一致しない。

  行政区域と流域との関係は図 3.3−3を参照とする。

出典:「いわての水道 HP」よりダウンロードした平成 13 年度の水道普及状況

表 3.3-4  対象河川流域を含む市町村の下水道整備状況(2000 年度) 市町村名 行 政 区 域 人 口

(人)

処理区域人口 (人)

下水道整備率 (%)

含まれる流域 宮古市 54,923 22,267 40.5 閉伊川、津軽石川

新里村 3,745 0 0 閉伊川

川井村 3,626 0 0 閉伊川

山田町 21,730 1,418 6.5 津軽石川 大槌町 18,106 6,205 34.5 大槌川、小鎚川 釜石市 46,733 20,478 43.8 鵜住居川 注)※下水道整備率=(処理区域人口/行政区域人口)×100

  下水道整備状況は市町村単位の集計のため、行政区域人口は流域人口と一致しない。

  行政区域と流域との関係は図 3.3−3を参照とする。

出典:「平成 12 年度版 下水道統計 行政編、平成 14 年 3 月、(社)日本下水道 協会」

     ただし、新里村および川井村の行政区域人口は、出典資料に記載がなかったため、「いわての 水道 HP」よりダウンロードした平成 13 年度の水道普及状況に記載の平成 13 年度の行政区域 人口を用いた。

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