第 3 章 結果及び考察 24
3.1.2 気泡の上昇
重力場で上昇する単位付き法に対する磁化力の影響を考える.初期状態が球形の気泡があり,その 直径を代表長さに取る.水が充填された正方形断面角柱容器の高さと一辺は気泡直径のそれぞれ8倍 と2倍で,容器高さ4の位置に半径2の一巻き円形コイルに電流を流すことで軸対象な非一様磁場 を発生させる.コイル付近を通過する時,気泡そのものは常磁性体であるため磁場の強い方向に引き 付けられるが,一方で気泡周りの水は反磁性であるため磁場から反発し,その相乗効果として気泡は コイル付近で大きく減速されることが予想される.計算モデルをFig. 3.2[24] に,計算パラメータを Table 3.2に示す.
Fig. 3.2: Schematic of computational conditions for a rising bubble
Table 3.2:Dimensionless computational conditions for a rising bubble
Parameter Symbol Value(Dimensionless) Number of grids Xn,Yn, Zn 64, 64, 256 Number of grids per characteristic length (None) 32
Computation time τMAX 2.0×10−1
Time step ∆τ 1.0×10−5
Density ratio ρ¯ 100
Viscosity ratio µ¯ 55.6
magnetic susceptibility ratio χ¯ -0.03 Galilei number Ga 2.0×106
Laplace number Γ 1.0×104
Dimensionless number about magnetic force M 7.5×106
また,先行研究の計算結果[24]をFig. 3.3に,本計算での計算結果をFig. 3.4に示す.Fig. 3.4で は,青色の球体が気泡でVOF関数C =0.5で可視化してある.また,ベクトルは磁束密度ベクトル の分布を表す.なお,本研究の可視化結果の出力時間刻みは先行研究の1/5である.
先行研究と同様に,本研究の可視化結果でもコイル付近で気泡の上昇が大きく減速された.また,
気泡が磁場の強い方向に引き付けられ,進路が曲げられた.しかし,気泡の上昇速度や形状の変化に 違いが見られた.原因として考えられるのは,先行研究は二次元軸対称モデルなのに対し,本モデル は三次元モデルであることが考えられる.更に,先行研究では格子数が代表長さあたり128に対し て,本研究は計算時間の関係上,代表長さあたり16しか確保できず,CSFモデルによる界面の精度 が荒いことや,先行研究の移流スキームがカラー関数法なのに対し,本研究ではCLSVOF法を採用 していることで界面の移流速度が異なることが影響して,これらの差異が生まれたと考えられる.
Fig. 3.3:Computational result of the previous study
Fig. 3.4:Computational results of a rising bubble
磁化力のみに注目して二相流制御を行った研究は未だ先行例がまれであり,適切な比較例が発見で きないため,妥当性の議論を深めるためには実験を行うことが今後必要である.本研究においては先 行研究と同様,「気泡が磁場に引き付けられ,コイル付近で気泡の上昇が大きく減速される」という 物理的考察に反しない結果が得られたため,実装が完了したとみなした.