(1) 単回投与毒性試験 9)
乾燥粉末ブデソニド/ホルモテロール配合剤の単回吸入投与毒性試験をラットでは97/3 mg/kg、イヌでは
737/22 μg/kgをそれぞれ技術的に調製可能な最大量として投与し評価した。どちらの種においても死亡
はみられなかった。
ラットでは、投与後一過性の呼吸数増加や自発運動の軽度低下がみられた。また、ブデソニド投与に起 因すると思われる低体重 (投与後7日間) や胸腺、脾臓及び副腎重量の低下が剖検時にみられた。
イヌでは、ブデソニド及びホルモテロール投与に起因する影響がみられた。ホルモテロール投与に起因 する影響としては、粘膜及び皮膚の充血、心拍数の増加及び心室頻脈 (投与72時間後には投与前値ま で回復) であった。投与2日後の検査では、ブデソニド投与に起因する影響、すなわち、白血球数及び好 中球数の中等度増加と、リンパ球数及び好酸球数の中等度低下がみられた。さらに、ブデソニド投与に
起因したALP (アルカリホスファターゼ) 活性値の中等度増加、ホルモテロール投与に起因したカリウム値 の中等度増加並びにカルシウム値の軽度から中等度の減少がみられた。すべての変化は投与14日後に はすべて回復し、剖検所見に異常はみられなかった。
結論として、ブデソニド/ホルモテロール配合剤の高用量における単回投与試験では、各単剤に起因する 影響がみられたのみで、配合による毒性の増強や新たな毒性の発現は認められなかった。
(2) 反復投与毒性試験 10)
1) ブデソニド/ホルモテロール配合剤 (乾燥粉末) のラット3ヵ月間反復吸入投与毒性試験
一群当たり雄雌各10匹からなるWistar系ラットにブデソニド/ホルモテロール配合剤 (乾燥粉末) を2.4/0.14、
11/0.61及び51/2.7 μg/kg/日の用量で3ヵ月間吸入投与した。配合剤投与に起因する影響としては、体重 増加抑制、白血球数、好酸球数及びリンパ球数の減少、赤血球数、ヘモグロビン量、リン酸、及びALP活 性値の増加、胸腺のリンパ球溶解の頻度上昇と同様に脾臓の髄質外造血の頻度低下であった。これら影 響はブデソニド単剤群においても同様に認められ、グルココルチコイド投与に起因した変化として知られ ているものである。ホルモテロール単剤群では体重増加率の上昇がみられたが、心血管系に対する影響 はみられなかった。本試験の無毒性量は低用量の2.4/0.14 μg/kg/日と考えられる。
2) ブデソニド/ホルモテロール配合剤 (乾燥粉末) のイヌ3ヵ月間反復吸入投与毒性試験
一群当たり雄雌各3頭からなるビーグル犬にブデソニド/ホルモテロール配合剤 (乾燥粉末) を2.0/0.11、
9.8/0.51及び50/2.7 μg/kg/日の用量で3ヵ月間吸入投与した。配合剤投与に起因した影響は、ブデソニド あるいはホルモテロールの薬理作用に起因したものであった。ブデソニドに起因した影響は、用量依存的 な体重増加抑制、ACTHを介したコルチゾール濃度の低下、胸腺及び副腎重量の低下並びに胸腺萎縮 及び副腎索状帯の萎縮が認められた。ホルモテロールに起因した影響は軽微から中等度の頻脈が高用 量群でみられた。配合剤投与でみられたグルココルチコイドの影響は、ブデソニド単剤群でも同様にみら れた。心血管系への影響 (心拍数の増加) は、ブデソニド/ホルモテロール配合剤高用量群とホルモテロ ール単剤群でほぼ同様であった。このように、ブデソニドあるいはホルモテロールの各単剤投与群とブデ ソニド/ホルモテロール配合剤の高用量群との間に大きな差は認められなかった。雄イヌにおける無毒性 量は低用量、すなわち 2.0/0.11 g/kg/日であった。雌イヌの無毒性量は、胸腺及び副腎への影響が認め られたため、決定できなかった。
(3) 生殖発生毒性試験11)
乾燥粉末のブデソニド/ホルモテロール配合剤の生殖発生毒性試験は実施していないが、pMDI*のブデ ソニド/ホルモテロール配合薬を用いた胚及び胎児発生に関する試験を実施した。
一群当たり雌24匹からなるSD系妊娠ラットにブデソニド/ホルモテロール配合剤 (pMDI) を妊娠6日から16 日まで2.5/0.14、12/0.66及び80/4.4 μg/kg/日の用量で吸入投与した。主に高用量で母動物に対する影響、
たとえば摂餌量低下及び体重増加抑制、がみられた。高用量群では平均胎児重量の低下がみられた。
中用量及び高用量群で子宮内死亡数 (着床後胚死亡) の増加傾向がみられ、3匹の胎児で外表異常、
臍ヘルニア、無顎症、口蓋裂及び小舌が認められた。主な骨格異常として、高用量で胸骨の融合がみら れ、平均胎児体重が低い同腹児で骨の骨化遅延も頻発した。これら投与に起因する影響はグルココルチ コイドのクラスエフェクトとして知られるものであり、ブデソニド投与に起因するものと考えられた。このように、
ブデソニド/ホルモテロール配合薬投与による予期されない影響は認められなかった。低用量、2.5/0.14 μg/kg/日が無毒性量と考えられた。
(4) その他の特殊毒性
1) 遺伝毒性試験 12)
ブデソニド/ホルモテロール配合剤そのものの遺伝毒性試験は実施していない。しかしながら、ブデソニド 及びホルモテロール各単剤の遺伝毒性試験を実施し、どちらの薬剤も遺伝毒性は認められなかった。し たがって、ブデソニド/ホルモテロール配合薬にも遺伝毒性は認められないと考えられる。
2) がん原性試験 13)
ブデソニド/ホルモテロール配合剤のがん原性試験は実施していない。しかしながら、ブデソニド及びホル モテロール各単剤のがん原性試験を実施している。ブデソニドはラットにおいてグルココルチコイドのクラ スエフェクトとして知られる肝細胞腫瘍が、ホルモテロールではβ2刺激剤のげっ歯類におけるクラスエフェ クトとして知られる子宮平滑筋腫及び卵巣間膜平滑筋腫がみられた。げっ歯類で認められたこれらの影 響は現在までのところ臨床上問題となっていない。このことから、ブデソニド/ホルモテロール配合薬をヒト に投与した際においても、発がんが問題となる可能性は低いと考えられる。
3) 局所刺激性試験 10)
ブデソニド/ホルモテロール配合剤の局所刺激性(気道に対する刺激性)を、ラット及びイヌの3ヵ月間反復 吸入投与毒性試験で評価した。その結果、乾燥粉末ブデソニド/ホルモテロール配合薬において、気道に 対する刺激性変化は認められなかった。また、ブデソニドあるいはホルモテロールの各単剤投与において も、気道に対する刺激性変化は認められなかった。