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残留農薬リスク評価

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残留農薬は、農薬使用後、食品中、食品上、飼料、土壌、空気、水等に残留する物質を指します。

規制上、これには親物質だけではなく、分解物や転換物、代謝産物や不純物で、毒性学的に重 要であると考えられる、指定された誘導体を含みます。残留農薬がヒトの健康に与える潜在的影響 が懸念されています。残留農薬リスク評価はこのようなリスクの性質や程度を評価し、適切なリスク 管理戦略を特定するための重要な手段です。残留農薬リスク評価の手順を図10に略記します。

図10: 残留農薬リスク評価過程

対象となる残留農薬を特定する。

必要に応じ、対象物質の毒性試験をおこなう。

無毒性量(NOAEL)を決定する。

実験動物の結果を人にあてはめるに際し、また個人差を考慮して、安 全係数、不確実性係数を選択する。

一日摂取許容量(ADI)を定める。

対象農薬への曝露量を計算する(曝露評価)。

曝露量とADIを比較する。曝露量がADIを上回る場合、何らかのリ スク軽減手段が必要となる。

残留農薬摂取量を予想するために、適切な残留レベル指標を特定 する。これは通常最大残留限界(MRL)が用いられる。

残留農薬リスク評価では、基本的な化学的リスク評価モデルの主要手順、つまりハザード関連情報 整理、ハザードによる健康被害の解析、曝露評価、リスク特性解析、という手順に従います。

残留リスク評価の主目的は、消費者の健康を保護し、

国際貿易を円滑にするために、残留農薬摂取量を予 測する指標を開発することです。最大残留レベル

(MRL)は残留農薬摂取を予測する指標として最も一 般的に用いられています。最大残留レベルは、主とし て適正農業規範(GAP)が実践されているか確認する ために用いられています。MRL は食品キログラム当 たりミリグラムで表示され、食料品や飼料中に法的に 許容される最大濃度を示します。MRL は、適正農業 規範に従って用いられた農薬に起因する量を超える ことのないレベルに設定されます。MRLもADIも、恒

久的に不変なものではなく、専門家グループの最善の判断により変更されます。

MRLや、その基礎となるGAPが、公衆衛生の観点から許容できるものであるかどうかを判断する ためには、曝露評価を実施しなければなりません。食事による残留農薬摂取量は、食品中の残留 レベルに食品消費量を掛けて算出します。食事による総摂取量は、算出値を、対象の残留農薬を 含む食品すべてについて合計して算出します。食事による摂取量の推定値は確立されている ADIを下回らなければなりません。

NOAEL は、通常、最も感応度の高い実験動物において、最も毒性学的に感応度の高い変数を

基に決定します。残留農薬摂取の安全係数を決める際には、影響の種類、影響の重篤度や可逆 性、動物種間や同一種内の変動性の問題等を考慮に入れて、ヒトのADIを決定します。1996年、

合同残留農薬専門家会議(コラム 30 参照)は農薬間の相互作用の重大性に関して検討をおこな いました。同会議は、相互作用がおこりうる場合、この相互作用は多数の要因によるため、こうした 要因の帰結は信頼性をもって予測することができない、と結論しました。このような不確実性に鑑み、

同会議はADIを設定する際に用いる安全係数は、潜在的な相乗効果を考慮して、十分な安全域 を見越さなければならない、と結論しました。同会議では、一般に安全係数に 100 を用いていま す。

残留農薬リスク評価中、リスク特性解析手順は、食品添加物安全評価の場合と少し違います。実 際の残留レベルは大半の食品において、MRLを大幅に下回っているため、理論最大一日摂取量

(TMDI)を用いて、長期にわたり摂取しても問題のない残留農薬を、さらに検討する必要のある残 コラム30: 残留農薬に関する国際勧告

合同残留農薬専門家会議(JMPR)は FAOとWHOが合同で運営する専門家 団体で、食品中の残留農薬に関する具 体的勧告を科学的におこなうことを主要 任務としている。具体的には、ADI や ARfD(急性参照量)を確立し、国際食 品規格委員会残留農薬部会にMRLを 勧告することなどである。

留農薬と分別します。TMDI は、実際の残留農薬摂取量を過大に見積もったものです。TMDI を、

ほぼ体重60キログラムのヒトのADIと比較し、値が1未満であるならば、摂取量の多い消費者で さえ、ADIを超えることは極めて考えにくい、ということを意味します。TMDIには、保守的偏りが内 在しているため、TMDIがADIを超えていても、残留農薬のMRLが許容できない、という証明に はなりません。

推定一日摂取量(EDI)は、適切な情報が得られる場合、実際の残留農薬摂取量をより正確に推 定するために用いることができます。リスク管理者用に、国際推定一日摂取量(IEDI)と国内推定 一日摂取量(NEDI)を設定することができます。EDIとADIを比較する作業は、食品添加物安全 評価で実施した比較作業と性格が類似しています。EDIは体重1キログラム、一日、生涯当たりミ リグラム単位で測定されます。

急性参照用量(ARfD)は、急性毒性を有する残留農薬に対する短期曝露に関連する急性ハザー ドを評価するために、ADI を導出する際に用いたものと同一の原理や手法を用いて開発されまし た。急性の影響に対してNOAELが設定され、適切な安全係数が用いられます。急性曝露に関し ては、集団中のサブグループを検討対象とすることがあります。

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