一1+」5
第3節 正n角形の作図
[1]合同記号
円に内接する正3角形,正4角形,正5角形,正6角形は作図可能で、正7角形は作図 不可能であることがわかった。
それでは、一般にはnがどのような数のとき作図可能となるかを、これから調べていく
ことにする。
まず、今後の証明に必要となってくる合同記号について、次のように定義する。
定義5.1. a−b=・ np(a,b,n,pは整数)
であるとき、すなわちaとbの差がpの倍数のとき a=一=b (modp)
と表し、これをpを法とする合同式といい、記号 ≡ を合同記号という。
合同記号は、同値性の条件を満足する。
(i) aEa (modp)
(ii)a…≡b(modp)ならば、 b…≡a(modp)
(jii)a≡b(modp),b≡c(modp)ならば、 a≡c(modp)
命題5.2. a≡a (modp),b≡b (modp)ならば、
a±b ii a ± b (modp)
abia b (modp) ,
が成り立つ。
[証明]定義5.1より、a =a+mp, b =b+np(m, nは整数)とおくと a ±b =a±b十 (m±n) p
よって、a±b≡a ±b (modp)
a b == (a十mp) (b十np)
一33 一
== ab十anp十bmp十mn p2 =ab十 (an十bm十mnp) p よって、ab≡a b (modp)
命題5.3. pが素数のとき、ab≡0(modp)ならば a≡0(modp)、またはb…手0(modp)である。
証明は簡単なので省略する。
[2]Eisensteinの定理
ある方程式が既約であるかどうかを調べる手段として、Eisensteinの定理が使われる。
ここでは、その証明を考えていくわけだが、その前にまず、次の定理から証明すること
にする。
定理5.4.(Gaussの定理)整係数の多項式
aoXn十alXn−1十a2Xn−2十。・・十an
が有理数体で可約とする。
すなわち、2つの有理係数の多項式の積に分解されるときは、実はそれは、2つの整係 数の多項式の積に分解できる。
[証明コ (i)a。,a、, a,,… , a。の公約数が1以外に存在しないとき 条件より、有理数α。,α、,… ,α,,β。,β、,… ,β、を適当にとると
aoXn十a1Xn−1十a2Xn−2十… 十an
= (or oxS+ aix S−i+ . . . + a ,) (Box t+ Bix i+ . . . + B t)
一一一一一一一一一一一@(5)
と分解される。
右辺の係数の共通分母をとって整理すると
右辺=⊥ (boXs+b、Xs 1千∴・+b、) (C・Xt+CIXt 1+●●●+Ct)
p
(b。,b、,… ,b,, c。, c、,… , c,は整数)と変形できる。
ただし、b。,b、,… ,b、の公約数が1以外に存在せず、c・,c・,… ,Ct −34 一
の公約数も1以外に存在しない。また、p(>0),qも互いに素な整数と定めることが
できる。
ここで、p>1として、 pの素因数の1つをp とすると、 b。, b、,… , b、の公
約数は1以外に存在しないので、p で割り切れないものが1つはあることになる。この 順に見ていって、最初にp で割り切れないものをb。とする。
同様に、C。, C、,… ,C、をこの順で見て、最初にp で割り切れないものをCk とすると
(5)式の右辺におけるxh+kの係数= ⊥{bhck+(bh−lck+1+b,一2ck+2 p
+ . . .) + (b ,.,C k−i+ b h+2C k−2+ . . .) }
となるが、p が{ }内の約数とはならないのは明らかである。また、 p とqは互いに 素であることから、p=1を得る。
(ii)a。, a、, a 2,… ,a。に最大公約数r>1が存在するとき a。=ra。「,a、=ra、 ,… ,a。=ra。 とすると
ao Xn十a1 Xn−1十a2 Xn−2十… 十an
は可約であるので(i)より整係数多項式の積にかける。よって、
aotx 十aitx 一i十a2 x 一2十 . . . 十a.
=q (boxS十bixS−i十...十b,) (coxt十cix +i十...十ct)
であるので、両辺をr倍して
aox 十aix 一i十a2x 一2十 . . .十a.
=r q (boXs十blxs−1十… 十b、) (Coxt十CIXt}1十… 十Ct)
となる。
(i), (ii)よりGaussの定理は証明された。
定理5.5. (Eisensteinの定理)整係数の多項式 f (x) = ao十 aix 十 a2x2十 ...十 a.x
がある素数pに対して
[i]a。はpで割り切れない
[ii]a。, a、,… , a。.1はpで割り切れる [iii]a。はp2で割り切れない
が成立するとき、f(x)は有理数体において既約である。
[証明]f(x)が有理数体において可約であると仮定すれば 一35 一
ao十aix十a2x2十 . . .十a.x
=(bo十b1X十b2×2十… 十b、Xs) (Co十CIX十C2x2十… 十Ctxt)
と変形でき、定理5.4よりb。,bl,b、,… , b、,C。, Cl, C、,… , C、を 整数と定めてもよい。
まず、a。=b。c。で、条件[ii], [iii]より、 b。≡0(modp),c。)Eil(mod p)とすることができる。
j=0,… ,k(<s)のとき、bj≡0(modp)が成立すると仮定すると、」
=k+1のとき
ak+i=boc k+i十bic k十 十bkc i十bk+ico
で、仮定より、bk+、≡0(modp)を得る。
よって、b。≡b、≡… ≡b、≡0(mOdp)となるが、a。=b、Ct≡0(mOd
p)となり条件[i]に矛盾する。ゆえに、f(x)は可約ではありえない。
命題5.6. pが素数であるとき
f (x) =:xP−i十xP 2十...十x十1 はQ上既約である。
一一一一一一一一一一一一一一一@(6)
[証明]f(x)が既約であることと、f(x+1)が既約であることは同値なので
(x 一 1) f (x) == xP一 1
において、xをx+1におきかえると
xf1(x十1)=(x十1)P−1
となる。
よって
f (x+1) = i (,C,x p+ ,C,x p−i+ . . . +,C ,x P−k+ . . . +,C ,.,x,
x
十pCP_1x1十pCp−1)
p−1
==xp一 i十 2 ,Ck−ixP−k十p 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 (7)
k=1
となる。
ところで
p (p−1) … (p−k)
(1$kSp−2)
pCk==
k (k−1) … 2・1
より、。Ckはpの倍数となることは明らかなので、 (7)式に定理5.5を適用すると、
一36 一
f(x)が既約であるという結論を得る。
[皿]Fer〃lat素数
命題5.7. f(x),g(x)は数体Kにおける多項式で、 g(x)はKにおいて既約 であるとする。Cにおける多項式とみると、 f(x),g(x)が公約式(定数以外の共 通因数)をもつならば、f(x)はg(x)で割り切れる。
[証明]f(x)がg(x)で割り切れないと仮定する。この時f(x)とg(x)との
最大公約数r(x)はK上の多項式で、0<degr(x♪<deggでx♪である。
なぜなら、degr(x♪=degg(x♪ならば、g(x)がf(x)の約数となり矛盾 し、また、degr(x♪=0ならば、f(幻とg(x)が公約式をもつことに矛盾する
からである。
一方、r(x)はg(x)の約数であるから、 g(x)・=q(x)r(x) (ただし、
q(x)はK上の多項式)とかけ、g(x)の既約性に矛盾する。
命題5。8. 数体の系列 Ko, Kb K2, , Ki
ただし、βj∈Kj.、,佃了ミKj.、, Kj=Kj.、(JBi・) (j=1,2,… , k)
があって、K。(=・K)において既約なn次多項式g(x)が、 K,において初めて可約に なる(K1, K2,… ,KI.、において既約)とき、 nは偶数で、 g(x)はKlにおけ る2つのn/2次既約多項式の積として表せる。
[証明]g(x)はK,において可約なので、因数分解を可能な限り続けると、Klにおけ る最低次数の因数Φ(x)が存在する。このとき、Φ(x)の係数はK,の元なので
Φ(X)=(yo十ZoV 一7BTII)Xm十(yl十ZIV一βπ)X、m−1十…十(ym十ZmN「β「,)
ただし、y。, Z。, y、, Z、,… , ym, Zm∈Kl.、, y。+Z。4一βk≠0
と表すことができて・最低次数ということから・Φ(x)はKlで既約で 2mSn 一一一一一一一一一一一一一 (8)
となる。
また
Ψ(X)=(yo−Zo≠一β珪)Xm十(yl−ZIVTBTI)Xm−1十…十(ym−Zm、「颪k)
一37 .
もK,における多項式である。
ここで、2つの多項式の積Φ(x)Ψ(x)を計算すると
Φ(X)Ψ(X)=(yoXm十y、Xm−1十… 十ym)2
一βn(ZoXm+Z、Xm−1+… +Zm)2はK,一、における2m次多項式とわかる。
/
これをCにおける多項式とみると、g(x)とΦ(x)Ψ(x)は公約数Φ(x)をも つので、命題5.7において、K=K,.1, f(x)=Φ(x)Ψ(x)とおくと、 2m 次多項式Φ(X)Ψ(X)がg(X)で割り切れる という結論が得られるので
2m)n, 一一一一一一一一一一一 (9)
となる。
したがって、 (8), (9)式より2m=nとなり
¢ (x) W (x) ==hg (x) (hEKi)
と表すことができる。
ゆえに
g (x) =h一 O (x) W (x)
となり、Φ(x)は最低次数であることから、h 1Ψ(x)はK、における既約多項式とな
る。
次に、命題5.7,命題5.8をもとに、いよいよ正n角形の作図を考えていく。
まず、pを素数として、正p角形が作図できたとすると
2z
. . 2z
Z1=COS m十1Sln−
p p
の実部,虚部が作図できる数となる。
z、≠1よりz、は(6)式のf(x)を用いるとp−1次方程式f(x)=0の解であ
る。
また、z、ミQであるので、第1章命題1,7より次のことがいえる。
K・=Qとして、次の性質をもつ数体の系列K・,K・, K・,… , K。が存在する。
K,= K, (・VTB7T) , B,= 一 1
K,== K, (VTBT5) , B,EK,, VMIBTS St1K. K,
Kj=Kj一、(fB:・),βj∈Kj一,,研庵ミK」一、
ziXKn−i, zieKn
すると、f(X)はK。においてX−Z、で割り切れて、商もK。における多項式となる。
すなわち、命題5.6より、f(x)はK。では既約、 K。では可約となるわけである。
そこで、この数体の系列をK。,K、, K、,… の1頂に見ていくと、 f(x)はK。,
一38 一
K、,… ,K。.、では既約、 K。では可約となるような番号g(1≦g≦n)が存在する はずである。
よって、命題5.8より
p−1=2m(mは自然数)
と表せて、f(x)はK。における2つのm次既約多項式の積として、φ、(x)Ψ、(x)
と因数分解される。
m≧2のときは、Φ、(z・)=0、又はΨ・(z、)ニ0なので、前者が成り立つとする と、〈P 1(x)はK。では既約,K。では可約なので、 f(x)の場合と同様の議論より m==2m (m は自然数)
を得る。
以下、m ≧2のときは、同じ論法を続けていけば
P−1=2h(hは自然数)
と表せることがわかる。
また、hが
h=(2k+1)h (k, hは自然数)
のように奇数の素因数をもっていると仮定すると
x2k+i十1= (x十1) (x2k−x2k−1十x2k−2一. . .一x十1)
にx=2h 代 キると
2h十1=(2h 十1)n(nは整i数)
となり、n=1のときはh=h となり、 n≠1のときは2h+1が素数であることに矛盾
する。
ゆえに
h=21(1は負でない整数)
と表せる。したがって、次の結論を得た。
命題5.9. pが素数のとき、正p角形が作図できれば p=2h+1 (h=21,1は負でない整数)
と表すことができる。
素数pがこのような形をしているとき、これをフェルマー素数という。
例えば、玉=0のときp=3,1=1のときp=5,1=2のときp=17,1=3の ときp=257,1=4のときp=65537となり、これらはすべて素数となっている。
しかし、1ニ5のとき 一39 一
p==4294967297=641×6700417
となりフェルマー素数でないことがオイラーによって発見された。
現在、pが4万桁以下では、フェルマー素数は上記の5個しか見つかっていない。
定理5.10. pがフェルマー素数のとき、正p角形が作図できる
このことについては、ガウスによって証明されているが、
尚、くわしい証明については、 『初等幾何学作図問題』、
社を参照していただきたい。
ここでは省略させていただく。
窪田 忠彦著、内田老鶴圃新
[4]円の等分問題の解決
命題5。11. 自然数a,bの最大公約数をdとするとき
xa−yb=d 一一一一一一一一一一一一一一一一一 (10)
となる自然数x,yが存在する。
[証明]a≧bとして、a, bの最大公約数を互除法によって求めると次のようになる。
a=q、b+r、(q、, r、は自然数で、0≦rl<b)
b=q、r、+r2(q2, r2は自然数で、0≦r、<rl)
rr=q・r2+r・(q,, r3は自然数で、0≦r,<r、)
rk−2ニq、r、一、+r、(q、, r、は自然数で、0≦r、≦rk)
rk一、=qk+、rk(qk+、は自然数)
このrkがa, bの最大公約数となるので、d=rkである。このとき
r、=a−q,b=自然数×a一自然数×b
r2== b−q2ri
=b−q,(自然数×a一自然数×b)
=自然数×b一自然数×a r3== r 1−q3r2
=自然数×a一自然数×b−q、(自然数×b一自然数×a)
==自然数×a一自然数×b
−40一
のように続き、kが奇数のときは
d=自然数×a一自然数×b
となり(10)式が導かれる。
まだ、kが偶数のときは
d=自然数×b一自然数×a
となるが、この式の右辺を変形して
d=(bm一自然数)、×a一(am一自然数)×b(mは自然数)
とすると、mを十分大きくとることによって、2つの()の中は正にすることができる ので、やはり(10)式が導かれる。
この命題において、d=1のとき、 a, bは互いに素というわけである。
命題5.12. a,bが互いに素な自然数で、正a角形と正b角形が作図できるとき、正 ab角形も作図できる。
[証明]a,bは互いに素なので、命題5.11より
xa−yb==1 一一一一一一一一一一一一一一一一一 (11)
となる自然数x,yが存在する。
ここで、正a角形が作図できるとき、2π/aの角も作図できることに注目すれば、命
題5.12は、 2π/aの角と2π/bの角が作図できるとき、2π/abの角も作図で
きる といいかえることができる。
(11)式の両辺に2π/abをかけると
2z 2 z 2 z
6一 x−Ty = 一s−rt
となる。
2π/aの角と2π/bの角が作図できるとき、2π/bのx倍の角,2π/aのy倍
の角が作図でき、その差も作図できる。 (ただし、2πを超える角が出てきた場合は、2 π未満の角に直して考える)
ゆえに、命題5.12は証明された。
最後に、次の命題を考えていく。
命題5.13. pが素数のとき、正p2角形は作図できない .41 一