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正定値 Hermite 行列

ドキュメント内 線 形 代 数 学 (ページ 152-155)

第 9 章 Vector 空間の直和と最小多項式 113

11.6 正定値 Hermite 行列

S の存在の一意性を示す. いま, S も Hermite 変換で T =S2 を満すとせよ. S の異なる固 有値のすべてを µ1,· · ·, µs とし, 各 1≤i≤s について IiWi, S) の恒等変換とすれば, S

S =µ1I1⊕ · · · ⊕µsIs

と spectrum 分解される. このとき, S2 = T であることから s = r で, 番号を付け替へれば

µ12 =λ1,· · ·, µr2 =λr となることがわかる. このことから容易に S =S がわかる. (十分性)これは明らかである.

11.6.6 (11.6.5)を証明せよ.

11.6.4 を行列の言葉で述べておく.

命題11.6.7 正方行列 A が (半)正定値Hermite 行列であるためには,A が Hermite 行列

A=B2 となる (半) 正定値Hermite 行列B が存在することが必要十分である.

定義11.6.8 半正定値 Hermite 変換 T に対して T = S2 となる半正定値 Hermite 変換 S

T で表す. 同様に, 半正定値 Hermite 行列 A に対して A = B2 となる半正定値

Hermite 行列B

A で表す.

補題11.6.9 N, 対角化可能な線形変換 HH の固有値 α に関して次が成り立つ : W(α, H) =W, H).

証明 基を定めておき,H の表現行列をAとすれば正則行列PH の固有値を対角成分に持 つ行列 B が存在して, A =P BP1 と書ける. このとき A2 = (P BP1)(P BP1) = P B2P1 となるから, P の任意の列 vector は A のある固有値 α に関する固有 vector であり, 同時に A2 の固有値 α2 に関する固有 vector でもある. 具体的に書けば次の様になる. A の固有値の すべてを,重複も込めて α1,· · ·, αn と書き,B =

[ α1 . ..

αn ]

とおいて,P = [p1 · · ·, pn] によつて B =P1AP となつてゐるものとする. このとき A2 の固有値の全体は, 重複も込め て α12, · · ·, αn2 であり, P1A2P =B2 となつてゐる. つまり Api = αipi, A2pi = αi2pi で ある. それゆゑ Wi, A)⊂Wi2, A2) であるが, 6.7.8 と合はせると

n=

r i=1

dimCWi, A)≤

r i=1

dimCWi2

, A2) =n.

よつて Wi, A) =Wi2, A2). ℓ >2 の場合も同様に示される.

定理11.6.10 (1) Hermite 空間の任意の同型変換 T は, ある正定値 Hermite 変換 H とあ

る unitary 変換 U の積としてT =HU の形に一意的に書かれる. このとき HU =U H

あるためにはT が正規変換であることが必要十分である.

(2) 任意の正則行列 A は, ある正定値 Hermite 行列 B とある unitary 行列C の積として A =BC の形に一意的に書かれる. このとき BC =CB であるためには A が正規行列で あることが必要十分である.

証明 (1) 仮定より 0 は T の固有値ではない. また T も正則である. 線形変換 T T

Hermite 変換なので 11.4.6 により, T T の全ての固有値は実数である. ゆゑに

(T T(u),u)

= (T(u), T(u))>0

である. つまり T T は正定値 Hermite 変換である. 11.6.4 により

T T が存在するから, そ れをH とおく. H は正則変換である. さらに U =H1T とおくと

U U = (H1T)(H1T) =H1T TH1 =H1H2H1 =I

であり, U が Unitary 変換であることがわかつた. これで, 所望の表示 T = HU が得られた.

次に, この形の表示の一意性を示さう. いま 2 通りに T = H1U1 = H2U2 と表されたとせよ. このとき

H2 =H1U1U21, H2 =H2 = (U21)U1U1 =U2U11H1 であるから

H22 = (H1U1U2−1)(U2U1−1H1) = H12

となる. H1H2 も正定値Hermite 変換なので H1 =H2. これより U1 =U2 が従ふ.

次に T を正規変換とする. TT = T T から (HU)HU = HU(HU) であるが, これは H2U =U H2 を意味する. しかるに, 11.6.9 と 9.3.3 により, これはHU =U H と同値である.

逆に,HU =U H ならば T が正規変換になることは, この議論を逆に辿ればよい.

(2) 同型変換の表現行列は正則行列, Hermite 変換の表現行列は Hermite行列, unitary変換の 表現行列は unitary行列であつて, 変換の合成の表現行列は表現行列の積であるから, (1) より (2) が従ふ.

注意11.6.11 1次元空間の場合, H は正の実数倍であり,それは複素数平面の原点を中心にし

た拡大写像であり, U は絶対値 1 の複素数を掛けること, つまり原点中心の回転を表す. 任意 の正則変換はこれらの合成であるから, 11.6.10 は, この事実の一般化である. 行列の言葉で言 へば,任意の複素数 zz =re と表示されることの類似である.

11.6.12 11.6.10の主張の T =HUT =U H に変へた場合に, 主張は成立するか.

( Hint : 11.4.5, 11.4.13,およびt(HU) =tUtH. )

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