いわゆる「シバガス」中の N 2 O のサンプリング法及び GC-MS を用いた分析法の検討
3 検量線
サンプリングバッグに捕集したN2O標準ガスをサンプ ルシリンジで0.5-4 µLの範囲で採取し,表1の条件で分析 した結果,良好な検量線(r=0.997)が得られた(図6).
本検量線の最大注入量4 µLを,サンプリングバッグ 中N2O濃度100 %とすると,最小注入量0.5 µL では,サ ンプリングバッグ中N2O濃度は12.5 %となる.また,0.5 µL注入した際のシグナルノイズ比(S/N)=300であっ たことから,N2Oの定量下限値(S/N=10)は,約0.4 % となる.本検量線を用いた定量により,実試料中のN2O 濃度が,「笑気ガス」としての用量(酸素の吸気中濃度 20 %以上を保つ(=N2O濃度80 %以下)[5])である かの判定は可能であると考える.
0 5000000 10000000 15000000 20000000 25000000 30000000 35000000
Intensity
スプリット比
1:50 1:45 1:40 1:35 1:30 1:25 1:20 1:15 1:10 1:5
図5.スプリット比の検討
5.00e+006
2 4
ピーク面積
注入量(µL)
0.5 1 3
4.00e+006 3.00e+006 2.00e+006
1.00e+006
r=0.997
図6.注入量を変えて分析した際のN2Oの検量線 注入量:0.5-4.0 μL
広島県立総合技術研究所保健環境センター研究報告,No. 24(2016)
oxide (N2O) laughing gas by headspace gas chromatography coupled to mass spectrometry
(HS-GC-MS): Forensic application to a lethal intoxication. Journal of Chromatography B. 983-984, 2015, p. 90-93
[5] 第十六改正日本薬局方解説書.廣川書店:群馬 県;2011年.p.C30-35.
ばく露評価小検討会).厚生労働省. http://www.
mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000030yli_1.html(参 照 2016-10-6)
[3]第十七改正日本薬局方.厚生労働省;2016年.
p.357-358.
[4]N Giliani, J Beyer, M Augsburger, V Varlet.
Validation of an analytical method for nitrous
広島県立総合技術研究所保健環境センター研究報告,No. 24,p39−42,2016
2 試薬
( 1 )標準品
フッ化物イオン標準液(フッ化ナトリウム水溶液 1000 µg/mL 関東化学)を用いた.
( 2 )発色試薬
アルフッソン(和光純薬(同仁化学研究所))を用いた.
( 3 )その他試薬
塩化ナトリウム(和光純薬 試薬特級)を用いた.
3 装置
分光光度計は日本分光株式会社製V-530を用いた.イ オンクロマトグラフはメトローム製IC-850を用いた.
( 1 )分光光度計の分析条件
フローセル(セル長10 ㎜)を使用し,波長620 nmに おける吸光度を測定した.
( 2 )イオンクロマトグラフの分析条件 カラム :Metrosep A Supp7-250/4.0
長さ250 mm ,内径4.0 mm,粒子径 5 µm,充填剤 第4級アンモニウム 基を結合したポリビニルアルコール 溶離液 :3.6 mM Na2CO3
溶離液流速 :0.8 mL/min
サプレッサー : MSM(メトロームサプレッサーモ ジュール),MCS(炭酸サプレッサー
諸 言
水質汚濁防止法に係る工場・事業場排水検査におい て,JIS K0102 34.1のランタン−アリザリンコンプレキ ソン吸光光度法(以下、吸光光度法とする)を適用し,
「フッ素及びその化合物」[1,2]の分析を行ったところ,
フッ化物イオン(F-)の回収率が低い検体があった.こ の検体は,水蒸気蒸留時に留出液が酸性になっていた.
また,検体,留出液いずれにも塩化物イオンが多く存在 していた.フッ素化合物分析の前処理操作において,塩 化物イオンによる影響についての報告がある[2~4].
これらのことから,塩化物イオンの存在が,回収率の低 下に関係していると考え,前処理操作及び比色定量操作 における塩化物イオンの影響について検討した.