乙 藤 岳 志・伊 藤 則 之
2.4. 検討の方法,および結果
ノートPCについては過去の蓄積もあるので,タブレットを中心に以下の観点から評価を 行った。
1. 授業,特に必修科目の履修にあたり,目的を達成できるか
2. 3, 4年次の「コンピュータ科学」を中心とする,ヘビーな利用が可能か
3. 特にキーボードを必要とするか
評価は,すべての学科教員に6週間程度利用してもらい,レポートを提出してもらった。
提出されたレポートの意見をまとめると以下のようになる。
• 1, 2年次の必修科目の履修では,処理速度は遅いが利用できないことはない
• 選択科目,あるいは3, 4年次の利用でメモリを要求する場合には利用の困難が生じる
• (教員の考え方が古いのかもしれないが)キーボードの利用は準必須
今までは4年間,フルに利用することを想定していたために,一つの機種で結果的に高額な ものとなってしまったが,3, 4年次にライトな利用しかしない学生も存在していることを考 えると,
• CPUの速度はあまり必要としない
• メモリはある程度必要
であることが条件として挙げられた。
3. 新しいPCの形態
検討の結果,入学時に廉価なノートPCの導入を行うことが選択肢として明確になってき た。いいかえれば,条件を満足したBYOD型のPCでも学科共通の教育目標は達成できるこ とが明らかとなった。入学時の購入を廉価とすることで,コンピュータ,ネットワークに特 化したゼミ,卒研では目的にあったPCを3, 4年次に新たに購入することも可能となる。
また,必要条件ではないが次の付帯条件を満足することが望ましいことも明らかになって きた。
1. BYOD型で行うにしても,授業に合わせた,環境設定,ソフトのインストールが必要
である
2. できればカスタマイズされた環境であることが望ましい 3. 授業の進度を同一にするには同一機種の方が望ましい
ここまでの検討をもとに,外付けUSBのHDD,SSDから起動するWindows to Goの利用が 浮上してきた。
3.1. Windows to Goの検討
Windows to Goとは,外付けHDD,あるいは外付けSSDから起動するWindows環境である。
特徴を列挙すると
1. 起動するコンピュータとは独立なOSとして機能する。
2. 起動するコンピュータ上のファイルは見えないので,起動コンピュータがウィルス感 染していても,起動されたWindows to Goは安全である。
3. 起動するコンピュータとは独立なOSであるので,OSイメージ,および共通に利用
するソフト,ハード環境のカスタマイズが可能である。
4. 起動するコンピュータの種類ごとに,ドライバをインストールし,カスタマイズする 必要がある。
5. 起動するコンピュータの種類が異なっている場合,ネット接続環境下で,ドライバの インストールが半自動的に行われる。
6. サポートされている環境がWindows 10のエディションEnterprise,Educationに限ら れる。
言い換えれば,起動するコンピュータと外付けSSD(HDD)の二つのOSを用意すること と同じこととなる。
上記4の特徴は初期利用時には,時間をかけて設定する必要がある。しかし,性能が高い コンピュータで起動し,ドライバの問題が解消されれば,外付けSSDから起動した性能が 高いコンピュータ環境を手にいれたこととなる。3, 4年次で用いるゼミでのデスクトップコ ンピュータの利用においても都合がよい。
3.2. Windows to Go作成の実際
起動するコンピュータの種類が増えれば,カスタマイズする時間も増えてしまう。今回は 初めての経験でもあるので,同一機種のコンピュータ(指定PC型)を購入してもらい,そ れに合わせてカスタマイズした外付けSSDを作成することとした。
使用できるWindowsのエディションがEnterprise,Educationと市販のものではない。学 科で購入しているMS Imagineで利用できるライセンスを用いることとした。またMicrosoft 社に対しても,利用の意向を伝えるとともに,利用上問題がないことを確認した。
実現における大きな問題は,カスタマイズしたOSイメージを学生数分準備することであ る。WindowsだけではなくLinuxを用いたイメージの作成環境を使うことで,1台あたり 150秒で作成できることがわかり, 現実的な値となった。
作成したOSイメージの特徴をあげると以下のようになる • Windows 10,1703 Educationをもととした
• 授業に不必要と思われる,株価などのアプリを削除した • 不必要と考えられる無駄なサービスを停止した
• IPv4環境しか利用しないので,IPv6環境,MSネットワーク環境などを削除した
• 学科で共通のプリンタの設定,ネットワークの切り替えツールなどを予め準備した