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実 況 1 ウメ

(1) 生育状況(園芸試験場)

「紅サシ」の硬核完了期は5月16日であり、平年よ りも6日遅かった。胚固化率は5月23日時点で18.

5%であり、このまま進めば、胚固化完了期は前年より 1日、平年より6日遅い6月6日頃と予想される(表1)。

着果量が多いため、果重は平年、前年よりも小玉傾向 で推移することが予想される(図1)。

気温が平年並に推移した場合、開花盛期からの平均気 温の積算値からの収穫始期の目安(「紅サシ」1,300℃、

「剣先」1,150℃)は「紅サシ」が6月13日、剣先が 6月7日である。

胚固化完了期の果重から完熟落果盛期および落果盛 期の果重が予測できる(平成 18 年度普及に移した技術)。 今後、平年並の気温で推移するとして予測すると、園芸 試験場では、落果盛期が7月5日頃であり、完熟落果平 均果重は32.3gで平年並みと予測される。

本年は着果量が多いものの、生理落果の量は少なく推移している。

ウメシロカイガラムシ第一世代幼虫のふ化始期は、前年より4日遅い5月11日であった。黒星病 の初発は5月18日であり、平年並みであった。

表1.紅サシの年度別発育ステージ

年度 短果枝花芽 完全花率 結実率 開花日数

(個/㎝) (%) (%) 始期 盛期 終期 (日) 始期 完了期 始期 完了期

2004 (H.16) 1.98 59.6 62.6 2/21 3/14 3/22 32 4/24 5/11 5/10 5/28 2005 (H.17) 1.95 75.0 52.2 2/22 3/18 4/1 41 4/30 5/13 5/10 5/30 2006 (H.18) 1.97 78.7 57.8 3/11 3/26 4/4 25 5/8 5/12 5/22 6/12 2007 (H.19) 1.98 80.7 75.7 2/13 2/26 3/7 24 5/1 5/11 5/14 5/31 2008 (H.20) 0.81 70.9 66.8 3/2 3/17 3/26 25 4/30 5/12 5/16 6/2 2009 (H.21) 1.81 82.8 39.3 2/4 2/23 3/11 37 4/28 5/10 5/15 5/29 2010 (H.22) 1.13 79.3 43.8 2/25 3/6 3/19 24 4/30 5/15 5/24 6/5 2011 (H.23) 1.65 85.7 71.1 2/26 3/19 4/1 36 5/6 5/16 5/23

平年値 (H9-H22) 1.67 75.9 58.9 2/19 3/10 3/24 34 4/30 5/10 5/12 5/31

99% 113% 121% 7 9 8 2 6 6 11

146% 108% 162% 1 13 13 12 6 1 ▲1

前年比 平年比

開花期(月/日) 硬核期(月/日) 胚固化期(月/日)

(2) 地域状況

これまでの低温傾向により展葉が遅れていたが、5月に入り天候が回復し、展葉が旺盛になってき ている。着果量が多めであることから、やや小玉で推移しているが、強風や降雹など大きな気象災害 は見られず、生育は全般に順調である。

2 ナシ

0 5 10 15 20 25 30 35 40

4/16 5/1 5/16 5/31 6/15 6/30

果重(

図1 紅サシの年度別果実肥大 平年値

2009年 2010年 2011年

※果重(M)は果実横径(w)の測定値から 計算式{M = π・w3/5.88}を用いて算出した

(1) 生育状況(農業試験場)

4月初めから開花始期までの平均気温(平年比)は、「幸水」で-1.43℃、「豊水」で-1.08 と低温傾 向で、開花期間も「幸水」で-2.13℃、「豊水」で-2.89℃と低く、開花は平年に比べ遅れた。「幸水」

の開花始期は4月22日(前年4月15日)、盛期は4月26日(前年4月22日、平年4月19日)、 終期は5月4日(前年4月25日)。「豊水」の開花始期は4月19日(前年4月13日)、盛期は4 月22日(前年4月19日、平年4月17日)、終期は4月29日(前年4月23日)。

「豊水」の開花直前である4月19日に降雹があり、果実肥大とともに陥没した部分が目立った。

幸水においても被害が見られた。

「幸水」の収穫期(カラーチャート値で 4.0 到達日)は開花日と細胞分裂期(開花後 33 日間)の 平均気温の関係(y=-1.24t+147.2 y:開花期から成熟期までの日数、t:開花後 33 日間の平均 気温)により推定できる。今年の開花期(開花盛期)が平年より7日遅い4月26日であったため、

開花後33日に未達であるが、平均収穫日は8月末と平年よりも9日遅くなる見込みである。

(2) 地域状況

低温の中で生育が進んでいるため、例年になく連休過ぎまで開花が見られ、品種によっては通常と 異なる果形や有てい果が発生している。

3 カキ

(1) 生育状況(農業試験場)

「平核無」の発芽期は4月6日(前年:3月20日)で前年より17日遅く、平年より7日遅かっ た。展葉期は4月20日(前年:4月13日)で前年より7日遅く、平年より8日遅かった。

「刀根早生」の発芽期は4月7日(前年:3月20日)で前年より18日遅く、平年より10日遅 かった。展葉期は4月22日(前年:4月13日)で前年より9日遅く、平年より11日遅かった。

開花は低温等の影響により遅れており、5月23日現在、開花始期には至っていない(前年の開 花始期は、平核無5月28日、刀根早生5月27日)。

(2) 地域状況

生育の遅れから、あわら市では5月中旬までの摘蕾進捗は3割程度で作業も遅くなっている。開花 は6月になってからと見込まれる。

4 イチジク

(1) 生育状況(農業試験場)

3月9日からハウスを締め切り、保温を開始した。5月23日現在の展葉数は5~7枚程度(昨年 同時期10枚程度)。

(2) 地域状況

若狭管内では5月23日現在、展葉7~9枚、花芽着生1~3節で、平年よりやや生育が遅れてい る。

対 策 1 ウメ

(1) 青ウメの適期収穫

青ウメの収穫始期は、開花盛期からの日平均気温積算値で「紅サシ」は 1,300℃である。胚の成熟

を観察している場合は、胚が固まってから 7~10 日後が収穫開始の目安となる。

未熟な果実を収穫すると、出荷後に「陥没果」になる恐れがある。「陥没果」は市場評価を低下させ て、販売を困難にするので適期収穫を心がける。なお、気温が高くて日射が強い日に収穫した果実は、

果実の蒸散が激しく、「陥没果」の発生を助長する。気温が高く日射の強い日の収穫は早朝に行い、早 めに切り上げるようにする。

(2) 加工ウメのネット収穫

収穫用のネット敷設やセイロ、塩など一次加工の準備を遅れないようにする。

落下した果実は長期間放置しておくとケシキスイが食入するので、必ず朝夕2回収穫するようにす る。

(3) 選別・出荷

出荷規格に従って自家選別する。青ウメも一次加工も樹脂障害果が混入しないように選別を徹底し、

品質向上に努める。また、かいよう罹病果や傷果の混入にも十分注意する。

(4) 高品質白干梅加工 ○食品衛生管理の徹底

手洗い、室内清掃、器具洗浄に努める。髪の毛など異物の混入を防ぐため、帽子、マスク等を必 ず着用し、食品衛生管理を徹底する。

○漬込み前の水洗いと漬込み

収穫したウメにはゴミや汚れが付着しているので、必ず洗浄機等で水洗する。また、ケシキスイ の侵入果は必ず取り除く。

塩は生梅重量の 18%を基準とし、ウメと交互に振って、樽の底は少なめに、上に行くほど多めに ふる。重石は、押しぶたが浮き上がらない程度の軽めの方が歩留まりはよくなる。

梅酢が上がって、液面がウメを覆うようになったら、重石を減らす。「紅サシ」は梅酢の上がり が早い品種なのでこまめに観察する。

(5) 礼肥の施用

収穫後の施肥は、果実生産で消耗した樹勢の早期回復と翌年のための貯蔵養分蓄積が目的である。

花芽分化期は8月下旬~9月上旬であり、この頃までに樹勢を回復させ、葉中窒素含量を高めること が次年度の花芽着生を良好にする。

成木の場合には、収穫直後に窒素成分で 10a当たり 12 ㎏施用する。なお、樹勢の回復が遅れると 翌年への影響があるので、特にネット収穫をしている園では遅れないようにする。また、9月には土 づくりとして牛ふん堆肥等を積極的に施用する。

2 ナシ

(1) 仕上げ摘果

仕上げ摘果は6月上旬(満開後 45 日)までに実施する。仕上げ摘果の遅れや着果過多による小玉 化しないようにする。すでに果実形質ははっきりしているので、大きさ、果形、病害虫の被害などに 注意しながら行う。着果数は4果そうに1果(約 15 ㎝間隔)を目安に、成木で 10a 当たり、「幸水」

で 10,000 果、「豊水」で 12,000 果とする。「幸水」は梅雨時期の裂果対策として着果予定量より 10%

程度多く着果させる。

(2) 摘心

「幸水」では満開後 40~50 日後(6月中旬)に側枝先端部の2本程度の新梢を残し、その他の新

梢は基部の果そう葉を残して摘心する。摘心後に再伸長した新 梢も随時摘心する。6月中旬以降に側枝の先端部の新梢が倒伏 した場合は、立ち上げて誘引する。摘心は棚面にある果そう葉 の受光環境を良くして、花芽着生を良好にする効果がある。た だし、側枝数が少ない場合は、過度に摘心すると葉数不足とな り、果実肥大に影響を及ぼすので注意する。

(3) 新梢管理

「幸水」のような長梢のえき花芽を利用する品種は、翌年の側枝の確保のために、新梢の伸びが停 止する前後の6月下旬から7月上旬にかけて骨格枝の側面から発生した長梢を仰角 45°に誘引する。

時期が早すぎると枝の二次伸張を助長するので注意する。なお、主枝、亜主枝の上面からしか新梢の 発生がない場合には、基部をねじるようにしてから誘引すると翌年の側枝としての利用が期待できる。

また、徒長枝が発生しないように主枝、亜主枝の先端は支柱を添えて立てる。なお、再度園地を巡 回して、弓なりに誘引された側枝は誘引し直す。

(4) 「二十世紀」の大袋掛け

小袋掛け後 30 日を目安に大袋掛けを行う。梅雨に入り、黒斑病菌の活動が活発になる時期なので、

袋掛け前に薬剤防除を行う。

(5) 追肥の施用

果実の生長と花芽形成を促すために、樹勢の弱い樹を中心に年間施用量の 10%程度の追肥を施す。

「幸水」、「豊水」は多肥を好む性質があるが、「二十世紀」は黒斑病の発生の助長や糖度の低下の原 因になるので注意する。

(6) 病害虫防除

黒星病および黒斑病の防除を引き続き行う。第二次伝染時期を迎える。梅雨時期で、防除のタイミ ングを逃しがちになるが、雨のやみ間をぬって薬剤散布を行い、まん延を防ぐ。特に黒斑病は徒長枝 や発育枝に病斑が拡大してくるのでていねいに散布する。

また、ハダニは発生初期の防除が決め手になるので、圃場を巡回し、発生状況をよく観察する。草 刈り後ナシ樹に上がってくるので、草刈と同時に防除を行う。

(7) 土壌管理

梅雨時期は湿害を防ぎ、根の活力を維持するために排水溝、明きょなどにより圃場の排水をすみや かに行う。

3 カキ (1) 摘果

有利販売のため、2L級以上の大玉果生産を目指す。園内を再度見回り、摘蕾の見落としがあれば 早急に摘果する。

(2) 新梢管理

主枝、亜主枝のわん曲した部分、大枝のせん定切り口などから発育枝が発生する。骨格枝の真上か ら発生し、樹冠内部を暗くするような新梢は早めに芽かきする。ただし、やりすぎると日焼け等が発 生するので、数回に分けて行い、日焼け防止のために弱い枝は残すようにする。

(3) 樹勢の強い樹における生理落果防止および花芽着生対策

環状剥皮、ノコ目および金具バンド処理などの生理落果防止対策は、樹勢の強い樹のみに実施し、

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