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(略)

刑法第 36 条(正当防衛)

侵害の「急迫性」とは、法益の侵害が現に存在しているか、又は間近に迫っている状 況をいう。 相手が撃たないと武器の使用ができないわけではない。

危害許容要件

国連PKOにおける武器使用の基本的な考え方

○武器の使用に関して、一定の施設・物品や人といった防護対象の特定や、拘束されている者の逃亡の阻止、行動の 自由阻害・阻害意図の排除のためといった状況を設定するなど、武器を使用できる場合を個別に規定。

②防護対象等の記載(ポジリスト方式)

○国連PKOのROEのマスターリスト(※)において、「必要最小限 の実力の行使の原則(

the principle of minimum necessary 

force

)」が常に順守されなければならない旨が規定されており、

また、個別の国連PKOミッションのROEにおいて、いかなる実力 の行使も目的の達成に必要な範囲に限定されることや実力の行 使のレベルと対象となる脅威のレベルは均衡しなければならな いこと等が規定されている。

○自衛及び任務防衛以外の実力不行使が原則であり、実力の行使は、他の説得の方法が尽くされた際の最後の解決 手段。

○具体的な武器使用権限については個別の国連PKOミッションのROE(

Rules Of Engagement

)によって定められてい るところ、概ね以下の特徴を有する。

①比例原則(我が国のいわゆる「警察比例の原則」と類似)

②防護対象や武器使用可能な状況が、いわゆるポジリスト方式により個別に記載

③致死的射撃と非致死的射撃を区別

○致死的射撃まで許容される場合(

up to, and including deadly force

)と、許容されない場合(

excluding  deadly force

、 例:警告射撃等)が区別されている。

(例:マスターリスト(※)では、人の防護については、全ての防護対象・状況に関して危害射撃まで認められているが、施設・物品の防護については、例 えば重要な(key)施設・物品の防護であっても、致死的射撃まで認められる場合とが認められない場合とが区別されている。)

③致死的射撃と非致死的射撃の区別

(※)国連はROEのマスターリストを公表していないため、一般書籍(Trevor Findlay, ‘The Use of Force in UN Peace Operations’(SIPRI 2002)) に基づく。

<参考>警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)

(武器の使用)

第7条 警察官は、犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しく は他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のた め必要であると認める相当な理由のある場合においては、そ の事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器 を使用することができる。但し、刑法 (明治40年法律第45号)

第36条 (正当防衛)若しくは同法第37条 (緊急避難)に該当 する場合又は左の各号の一に該当する場合を除いては、人に 危害を与えてはならない。

一・二 (略)

①比例原則

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国連 PKO法

防護対象

自己 ○ ○

国連要員

自国 ○ △自己と共に現

場に所在

他国 ○ △

自己の管理下に 入った者

国際機関の職員等 ○

民間人 ○

国連の施設、地域、物品 ○ ×

その他の施設、地域、

物品

自国 ○ △自衛隊法第95 条の武器等防護

他国 ○ ×

拘束されている者の逃亡を阻止するための武器使用 ○ × 行動の自由阻害・阻害意図の排除のための武器使用 ○ ×

・ 国連

ROE

は各ミッションにより異なり一様ではない。また、国連は

ROE

のマスターリストを公表していないため、一般書 籍

(Trevor Findlay, ‘The Use of Force in UN Peace Operations’(SIPRI 2002))

に基づく。

・ あくまでもイメージ図であり、精緻を期したものではない。

国連PKOにおける武器使用権限の例との比較イメージ

諸外国の国際平和と安定のための活動の概要

(主たる任務・業務の例)

○停戦合意の履行確保活動

・紛争停止の遵守状況の監視

・緩衡地域帯における駐留・巡回

○人道・復興支援活動

・国のインフラの復旧、地雷除去

・難民支援

DDR (武装解除、動員解除、社会復帰)

・治安部門改革(SSR:軍・警察の育成)

・国の機関に対する助言、指導

・法の支配、人権擁護

○後方支援活動

・PKO要員等のための輸送、整備、建設

・PKO要員等の食料、燃料等の補給

・PKO要員等への医療の提供、捜索救助

○警護活動

・ミッションの要員、施設、物品の保護

・復興支援活動等を行うNGO等の保護

○安全確保活動(治安維持)

・駐留、巡回、検問、拘束

・襲撃された市民の救助

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自衛隊による在外邦人等の輸送

外国における災害、騒乱 その他の緊急事態

自衛隊の部隊 行動命令

準備行為としての国外への移動・

待機、又は輸送の実施に際し必要に 応じ、閣議決定を行う。

予想される危険及びこれを避けるた めの方策について協議し、輸送を安 全に実施することができると認める ときは、輸送を行うことができる。

輸送の実施について回答 輸送の安全について協議

自衛隊法84条の3第1項

防衛大臣

生命等の保護を要する 邦人の輸送を依頼 法的枠組

外務大臣

生命又は身体の保護を 要する邦人

◆自衛隊による在外邦人等の輸送に関する方針を明示

(H25改正時、旧決定を廃止し新たに制定)

閣議決定

◆武器使用権限(H11改正時追加、H25改正時一部修正)

○自己又は輸送対象者等の生命等の防護のための武器使用

(隊法94条の5)

○自衛隊の武器等の防護のための武器使用(隊法95条)

自衛隊法94条の5及び95条

◆使用する自衛隊のアセット

○国賓等の輸送に供する航空機 【政府専用機】

○輸送の用に主として供するための航空機

【C-1,C-130,KC-767,U-4,YS-11,CH-47J/JA】

○輸送に適する船舶(H11改正時追加)

【護衛艦,輸送艦,補給艦】

○船舶に搭載された回転翼航空機(H11改正時追加)

【SH-60J/K】

○輸送に適する車両(H25改正時追加)

【高機動車,軽装甲機動車 等】

自衛隊法84条の3第2項及び第3項

自衛隊による在外邦人等の輸送(法的枠組)

① 平時における準備

③ 邦人の緊急退避が必要となる場合

(右のうち、最も迅速かつ安全な手段を選択)

② 邦人の退避が必要となるおそれ

- 空・海の商用便(臨時便を含む)の利用を促す - 政府チャーター機・船舶の活用

- 政府専用機等の自衛隊機・船舶・車両の活用 - 友好国から邦人退避活動のための協力を確保 外務省渡航情報の積極的発出、

邦人の渡航の抑制、

現地大使館における自主的な退避の勧奨、

商用定期便による早期退避 情報収集活動の強化、

邦人への情報提供・連絡体制の確保

<参考>緊急時における在外邦人の保護の流れ

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緊急事態

空港

港湾

集合場所

(在外公館、日本人学校等)

本邦又は 近隣の安全地域

・スクリーニング

・セキュリティーチェック

・出国手続(在外公館等)

自衛隊が保護対象者等を輸送 在外公館職員から自衛隊員へ の在外邦人等の引き継ぎ

集合場所から出国までの 基本的な流れ

沖合

法改正により追加

自衛隊による在外邦人等輸送のイメージ

第84条の3 (在外邦人等の輸送)

防衛大臣は、外務大臣から外国における災害、騒乱その他の緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する邦人の輸送の依頼があつた場合 において、当該輸送において予想される危険及びこれを避けるための方策について外務大臣と協議し、当該輸送を安全に実施することができ ると認めるときは、当該邦人の輸送を行うことができる。この場合において、防衛大臣は、外務大臣から当該緊急事態に際して生命若しくは 身体の保護を要する外国人として同乗させることを依頼された者、当該外国との連絡調整その他の当該輸送の実施に伴い必要となる措置をと らせるため当該輸送の職務に従事する自衛官に同行させる必要があると認められる者又は当該邦人若しくは当該外国人の家族その他の関係者 で当該邦人若しくは当該外国人に早期に面会させ、若しくは同行させることが適当であると認められる者を同乗させることができる。

2 前項の輸送は、第100条の5第2項(注)の規定により保有する航空機により行うものとする。ただし、当該輸送に際して使用する空 港施設の状況、当該輸送の対象となる邦人の数その他の事情によりこれによることが困難であると認められるときは、次に掲げる航空機又 は船舶により行うことができる。

一 輸送の用に主として供するための航空機(第100条の5第2項の規定により保有するものを除く。)

二 前項の輸送に適する船舶

三 前号に掲げる船舶に搭載された回転翼航空機で第1号に掲げる航空機以外のもの(当該船舶と陸地との間の輸送に用いる場合における ものに限る。)

3 第1項の輸送は、前項に規定する航空機又は船舶のほか、特に必要があると認められるときは、当該輸送に適する車両(当該輸送のため に借り受けて使用するものを含む。第94条の5において同じ。)により行うことができる。

(注)第100条の5(国賓等の輸送)

防衛大臣は、国の機関から依頼があつた場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、

航空機による国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者(次項において「国賓等」という。)の輸送を行うことができる。

自衛隊は、国賓等の輸送の用に主として供するための航空機を保有することができる。

第94条の5 (在外邦人等の輸送の際の権限)

第84条の3第1項の規定により外国の領域において同項の輸送の職務に従事する自衛官は、

- 当該輸送に用いる航空機、船舶若しくは車両の所在する場所、輸送対象者(当該自衛官の管理の下に入つた当該輸送の対象である邦 人又は同項後段の規定により同乗させる者をいう。以下この条において同じ。)を当該航空機、船舶若しくは車両まで誘導する経路、

輸送対象者が当該航空機、船舶若しくは車両に乗り込むために待機している場所又は輸送経路の状況の確認その他の当該車両の所在す る場所を離れて行う当該車両による輸送の実施に必要な業務が行われる場所においてその職務を行うに際し、

- 自己若しくは自己と共に当該輸送の職務に従事する隊員又は輸送対象者その他その職務を行うに伴い自己の管理の下に入つた者の生 命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度 で武器を使用することができる。ただし、刑法第36条又は第37条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。

第95条(武器等の防護のための武器の使用)

自衛官は、自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備又は液体燃料を職務上警護するに当たり、人又 は武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備若しくは液体燃料を防護するため必要であると認める相当の理由が ある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第36条又は第37条に該当す る場合のほか、人に危害を与えてはならない。

在外邦人等輸送関係条文

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