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第 1 章 序言

1.4. 本論文の構成

本研究では,命令レベルシミュレーションの高速実行に関して,その主要な原理である インタプリタ方式とバイナリ変換方式の両方を研究している.それらの方式の研究にあた り,インタプリタ方式では命令エミュレータを対象としている.また,バイナリ変換方式 では,コンピュータシステムの性能評価向けのシミュレータに搭載する動的バイナリ変換 を対象としている.

それぞれについて図7に示すように,背景と従来の研究,本研究での提案,同提案の評価

の順に述べる.

イ ン タ プ リタ 方式の高速化

バイナリトランスレ ータ方式の高速化

【背景】

【従来の研究】

2章

【提案】

3章

【評価】

4章

【背景】

【従来の研究】

5章

【提案】

6章

【評価】

7章(ユニプロセッサ) 8章(マルチプロセッサ)

【結言】

9章

図7 本論文の構成

第2章から第4章まではインタプリタ方式のシミュレーションの高速化について述べる.

まず第 2 章では本研究の技術面から見た背景,インタプリタ方式の性能上の課題を定性的 に述べ,次に事例研究を用いて実装に伴う性能上の課題を示す.第3章ではC 言語実装に 適したインタプリタの実装方式として”改良function方式”を提案する.第4章では提案

した改良function方式の性能を評価する.

第2章では,2.1で命令エミュレーション技術として,本研究のエミュレーション の扱う範囲,エミュレータの有効な分野,C言語記述による実装の要求,インタプリ タ方式の実装と課題を述べる.そして,本研究の着眼点と新規性についても述べる.

従来研究の事例としてインタプリタ方式の速度性能を分析した文献が見当たらない

ため,2.3でインタプリタの実装事例に基づいて性能解析を行っている.2.4では既存

のインタプリタの記述で使用されているswitch方式の問題点を示す.なお,その評 価に先立ち,2.2で評価方法について述べている.

第3章では,3.1でまず,改良function方式の提案に至った“function方式の原型”

とその改良すべきポイントを述べる.次に3.2で原型の速度性能の解析から得た改良 指針を述べ,3.3で改良function方式の説明との提案を行う.なお,3.2ではfunction 方式の原型の速度性能値については触れずに改良 function 方式と併せて4.1~4.4に まとめて示す.

第4章では提案方式の有効性を示すため,改良function方式の速度性能を評価す る.まず,4.1~4.4では2.3.4~2.3.6と同様の評価を行う.次に,提案した方式によ るエミュレーション性能を様々な観点から論じる.具体的には,4.5ではx86をホス トにしたときの課題を述べる.4.6ではレガシーISAを3種類追加して5種類に増や してその有効性があることを示す.4.7では前節までは影響が小さいとして取り扱わ なかったが一般に性能への影響があると考えられる項目を評価する.4.8で第2章か ら第4章までのまとめを行う.

第5章から第8章まではバイナリ変換方式のシミュレーションの高速化に関して述べる.

まず,第 5 章では性能評価を目的とした代表的なシミュレータと本研究の適用対象とした

ESPRIT/sim についてその特徴を述べる.次に,第 6 章で性能評価シミュレータの高速化

方式の提案を行う.ここでは ESPRIT/sim に搭載するバイナリ変換アクセラレータとして 提案を具現化する.第7章ではユニプロセッサシステムを対象としてSPEC CINT95にて

性能評価を行いその有効性を示す.第 8 章では,同種マルチプロセッサシステムと異種マ ルチプロセッサシステムの速度性能の評価を行い,有効性を示す.

第5章では,まず,従来研究として代表的なシミュレータの特徴を5.1で述べる.

次に,性能評価シミュレータの高速化手段を整理し,方式としてバイナリ変換の有 効性と課題を5.2で示す.5.3では,本研究のベースである性能評価シミュレータ

ESPRIT/simの特徴を述べる.5.4では異種マルチプロセッサ向けのシミュレータの

課題を示して,本研究の目標とする.5.5と5.6では,それらの従来研究と対比する形

でESPRIT/simの位置づけ,性能,有効性と新規性の要素を個別に説明する.

第6章ではまず,6.1で本研究の着眼点を整理して新規性との関係を述べる.次に,

それを踏まえてESPRIT/simの高速化のため実装する動的バイナリトランスレータ の設計方針を6.2で述べる.6.3~6.8ではその方針を具体化した実装方法を提案する.

第7章では,7.1で評価方法を定義し,7.2では検証方法を述べ,7.3でSPEC CINT95

で測定した性能の総合的な評価結果を示す.その後,7.4と7.5では提案方式の各手法 それぞれの部分効果について述べる.また,本研究では簡易実装による高速性能を ねらっているため,その効率について7.6で論じる.提案している動的バイナリ変換 アクセラレータはシミュレータのコアであり,その波及効果について7.7で述べる.

7.8ではユニプロセッサシミュレーションの速度性能についてまとめる.

第 8 章では,マルチプロセッサシミュレーションの速度性能の向上効果を評価す る.8.1では評価方法を述べ,8.2では検証方法を述べる.8.3で同種マルチプロセッ サシステムのシミュレーション速度性能を,8.4では異種マルチプロセッサシステム のシミュレーション速度性能に関して評価する.8.5ではマルチプロセッサシミュ レーションの速度性能についてまとめる.

最後に,第 9 章ではインタプリタとバイナリ変換のそれぞれの研究についてまとめ,今 後の展開について述べる.

第 2 章 C言語実装を用いたインタプリタ方式の命令