第 5 章 評価実験 31
5.3 算出精度とデータサイズとのトレードオフ
旅行時間の算出精度とデータサイズとのトレードオフを評価する.さらに,この結果を元 に最適なCDF 率を考察する.
第5章 評価実験
5.1:入力経路に対する旅行時間およびその誤差 入力経路NETSIM提案手法既存手法 ノー経路長上の実測値CDF率=1.0CDF率=0.7CDF率=0.4CDF率=0.2(CDF率=0) ド数[m]時間[s]時間[s]誤差[%]時間[s]誤差[%]時間[s]誤差[%]時間[s]誤差[%]時間[s]誤差[%] 825234144022.904013.144013.143993.6235215.0 928614984833.014813.414784.024764.4240618.5 1028605094962.554913.544884.134835.1145710.2 1026675455582.395592.575663.855694.4070829.9 934615866124.446124.446134.616165.1273525.4 1130176316523.336553.806563.966574.1274317.8 1445207657432.887363.797314.447284.8468710.2 1242427817632.307632.307602.697582.9466914.3 1453749679422.599412.699363.219333.5284312.8 187149112010793.6610734.2010684.6410684.6497313.1 207262126212332.3012302.5412272.7712262.85111012.0 218034152714892.4914882.5514872.6214852.75133112.8 259149162915753.3115733.4415643.9915653.93140913.5 3412512203319563.7919514.0319514.0319434.43168817.0 3813073231622144.4022124.4922084.6622074.71180921.9 誤差平均値3.093.403.784.0916.3
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表 5.2: CDF 率 に対するデータサイズと旅行時間の誤差 CDF 率 データサイズ 誤差[%]
0 483 16.3
0.1 557 5.82
0.2 626 4.09
0.3 704 3.86
0.4 771 3.78
0.5 852 3.65
0.6 927 3.53
0.7 996 3.40
0.8 1070 3.28
0.9 1144 3.18
1.0 1217 3.09
5.3.1 評価方法
前の項目の評価時に作成した全11種類のデータベースでそれぞれ算出した旅行時間の精度 と,各データベースのデータサイズを元に評価する.評価指標として,提案手法と既存手法 の,「誤差の比」と「データサイズの比」との積であるP ED(Product of Error and Datasize)」
を定義する.CDF 率=xの時のデータサイズをSIZE(x),誤差をERR(x)とし,既存手法 のデータサイズをSIZEtrad(= SIZE(0)),誤差をERRtrad(=ERR(0))とすると,P ED(x) は,
P ED(x) = ERRtrad ERR(x) ·
µSIZEtrad SIZE(x)
¶p
(5.1)
で算出する.pはデータサイズの比にかけられる重みで,トレードオフを評価する際にデー タサイズと計算精度をどちらを重要視するかを表すものである.p= 1の時のP EDは単純 にデータサイズと誤差[%]との積の比となるが,pが大きくなるほどデータサイズが重視さ れ,小さくなるほど計算精度が重視されたP EDとして算出される.
このP EDが1より大きい場合に,算出精度とデータサイズとのトレードオフを考慮した 時の性能が既存手法と比較して優れると判断する.さらに,P ED(x)が最も高い時のxが,
第5章 評価実験
最適なCDF 率と判断できる.
5.3.2 シミュレーション結果
図5.2は,表5.2を元に算出したP EDとの関係である.式(5.1)のpの値は,1.0,0.5,1.5,
2.0の4種類とした.
図5.2より,p = 2.0かつCDF 率 ≥ 0.9の時を例外として,それ以外では全てP ED>1 となり,概ねトレードオフに対する評価でも既存手法に対する優位性を示せた.さらに,p が小さいほど,すなわち算出精度を重要視して評価した場合優位性がより大きくなる結果と なった.これらは,提案手法の特徴としてデータサイズを犠牲にして計算精度の向上を目指 していることが原因として挙げられる.
次に,全てのpにおいてP EDはCDF 率=0.2周辺で最も高くなる結果が得られた.この 結果から,今回検証した交通流モデルでは進路方向を全く考慮しない場合に比べて,2割程 度の要所となるノードで進路方向を考慮することで,データサイズを考慮した時の算出精度 の最適なトレードオフが得られると言える.このようにCDF 率 とP EDとの関係を見るこ とで,システム提供者は最適なCDF 率を決定することができる.
さらに,この事実から以下のような考察ができる.
• 実際の交通流では,進路方向によって混雑度の差が大きく生じる交差点は,全交差点 数に対して2割程度とごく一部に限られており,これらの交差点が旅行時間の算出精 度の低下の原因となっていた.
• 従って,その2割程度の交差点を対象として進路方向ごとにリンク旅行時間を作成す ることで,データサイズの増加は比較的小さいにも関わらず,旅行時間の算出精度を 大幅に向上させることができた.
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0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2
p = 1.0 p = 0.5 p = 1.5
CDF率
PED
p = 2.0
図 5.2: CDF 率 とP EDの関係
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