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未来の Web と印刷の制作はどうな るか

読書環境

現代人が書類を読むときの媒体は大よそ次の 4 つである 注 1)。ほ んの 30 年ほど前は紙のみであったことを考えると様変わりであ る。特にだんだんと文字を読む媒体が多様化している。

• 紙

• PC の Window 画面

• タブレット型電子デバイス

• スマートフォン

現在はまだ紙が優勢である。印刷技術は文字や図版を非常に詳細 に表現できるし、大量生産する場合には印刷コストは非常に小さい。

ディスプレーの解像度が高まったとは言ってもドット密度は印刷に は及ばず、文字を表示する精密さでは印刷にははるかに及ばない。

しかし、電子媒体とデジタル表現には検索性、迅速性、流通コス トや複製のコストがゼロというような紙では到底実現できない利便 性がある。こうした利便性を考えると、将来は、紙が減ってタブレ ット型デバイスやスマートフォンで書類を読むことになるのだ ろう。

このとき、デジタル文書を読む画面の大きさには依然として様々 なタイプが残ると思われる。そうするとデータ形式としてはダイナ ミックレイアウト型が主流になるだろうと予想する。

特に、Web のようなダイナミックレイアウト型情報が始まったの は 15 年程度である。電子書籍、特に EPUB はいまから始まろうと いう段階である。

図表 7-1 データ種類別流通量

1995 2000 2005 2010

PDF/紙の模倣 HTML/リフロー

電子書籍/リフロー 形式化された情報の流通量

つまり、現在は紙および紙を模倣したぺージ型デジタル文書から ダイナミックレイアウト型文書へと切り替わる過渡期であるとい える。

出版物の制作

過渡期においてはこの 4 つにすべてを低コストでかつ容易に作成 できる書類作成の方法が必要である。

書類の作成方法という観点でみるならば、1980 年代からこれま で主流であった DTP は書類を紙に印刷することを前提とした制作 方法であった。

しかし、DTP は紙に印刷することを前提として画面の上に紙に出 力することを想定してレイアウトするための方式である。

このため DTP で作成したデジタルデータから直ちダイナミック 26

レイアウト型形式である EPUB を制作するのは難しい。このため 現在の EPUB の制作はいったん DTP から HTML 形式でエクスポー トしたデータから手作業で形を整えているのが実情である。

図表 7-2 DTP のデータから EPUB を作るフロー

InDesign

Dreamweaver

Sigil

Export for Dreamweaver

HTMLをコピー&ペースト

EPUB

InDesign

Dreamweaver

Sigil

Export for Dreamweaver

HTMLをコピー&ペースト

EPUB

「電子書籍の作り方」

(境 祐司著、技術評論社、2011年1月10日発行)(pp.98 – 99)

そこで PDF と EPUB の両方を同時に制作できるハイブリッドな 制作システムが重要となる。デジタル文書による情報の流通が始ま ってからは 20 年程度である。

情報の制作においては Web と印刷は現在のところ水と油の状態 である。Web コンテンツと紙の制作の完全な統合はまだ実現され ていない。Web コンテンツ、EPUB、紙の制作を完全に統合するシ ステムが待たれている。

ワンソース・マルチ出力の制作サービス CAS-UB

アンテナハウスがサービスを予定している CAS-UB http://

www.cas-ub/は、ワンソースから PDF、EPUB、Web ページを制 作することができる出版物制作ツールとして今後の展開に大きな期

第 7 章 未来の Web と印刷の制作はどうなるか

待が持てる。

28

注釈一覧

第 3 章 ダイナミックレイアウトのデジタル文書が急増

1) A4 縦 297mm、上下余白 30mm、1ページ 39 行、行送り 7 ポ、1文字 10 ポとすると、1080*234/297÷39 行*10/17=12

(p. 10)

第 5 章 電子書籍

1) EPU3 の仕様は、2011 年 5 月に Proposed Recommendation になった。2011 年 8 月に勧告にするべく IDPF の会員投票が行 われる(p. 20)

第 7 章 未来の Web と印刷の制作はどうなるか

1) メール、Twitter や facebook などのソーシャルメディアを除く

(p. 25)

図表一覧

第 2 章 PDF を初めとするデジタルな紙の普及 図表 2-1 アンテナハウス「瞬簡 PDF 4」(p. 6)

図表 2-2 アンテナハウス「アウトライナー2速ワザ」(p. 7)

第 3 章 ダイナミックレイアウトのデジタル文書が急増 図表 3-1 ディスプレーの解像度(p. 9)

第 4 章 タブレットとスマートフォンの勃興 図表 4-1 Android の EPUB リーダ(p. 14)

図表 4-2 最近の Android タブレット・画面サイズ(表)(p. 16)

図表 4-3 最近の Android タブレット・画面サイズ(p. 17)

第 7 章 未来の Web と印刷の制作はどうなるか 図表 7-1 データ種類別流通量(p. 26)

図表 7-2 DTP のデータから EPUB を作るフロー(p. 27)

索 引

アルファベット

Android 13 Google Docs 2 iPad 15 Kindle 14 OpenOffice.org 2 SVG 13 TIFF 1

自炊 1

スマートフォン 13

ダイナミックレイアウト型情報 25

デジタル機器 9

透明テキスト付き PDF 1

ぺージ型デジタル文書 26

林 進(ハヤシ ススム)

10 年前に出版社を飛び出し、フリーライターに転向。科学雑誌、科学技術 に関する書籍の執筆で糊口をしのぐ。最近は電子書籍に夢中。

デジタル文書はダイナミックレイアウトの時代へ向かう

2011 年 7 月 7 日 0.1 版 暫定版 著   者 林 進

発 行 者 小林 徳滋

発 行 所 アンテナハウス株式会社

住   所 東京都中央区東日本橋 2 丁目 1 番 6 号 電話番号 03-5829-9021

Copyright 2011 SUSUMU Hayashi 著作者の許可無く複製を禁止します。

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