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最適条件の検討

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第2章 ドミノ型ラジカル付加-転位反応を利用したインドール合成法の開発

第1節 最適条件の検討

はじめに、トリエチルボランを開始剤とする共役ヒドラゾン12Gへのラジカル付加反応 を検討した。12G は文献 30) の方法を参考に、市販の (2E)-4-oxo-2-butenoic acid ethyl ester

(61a) とフェニルヒドラジン塩酸塩 (84G) をピリジン中で脱水縮合することにより合成し

た (Scheme 38)。次に、ベンゼン中、室温で12Gへのエチルラジカル付加反応を行ったが、

複雑な混合物が生成し、ピロロインドリン4A’aは得られなかった。

Scheme 38. Domino reaction of conjugated hydrazone 12G.

そこで、ベンゼン環のパラ位に置換基を有する共役ヒドラゾンとの反応を検討した。置 換基としては入手容易な p-クロロおよび p-メトキシ基を選択した。すなわち、Scheme 38 と同様の手法を用いて共役ヒドラゾン12I12Aを合成した (Scheme 39)。

Scheme 39. Preparation of conjugated hydrazones 12I and 12A.

まず、共役ヒドラゾン 12I のトリエチルボランによるドミノ型反応をベンゼン中、室温 で検討したが、期待したピロロインドリン14Iaは得られなかった (Table 9、entry 1)。次に、

12Aを同様の条件下で反応させると、ピロロインドリン14Aaは得られなかったものの、エ ステルの位にエチル基をもつインドール酢酸エチル13Aaが16%と低収率ながら得られた (entry 2)。

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Table 9. Domino reaction of conjugated hydrazones 12I and 12A.

次に、ピロロインドリン14Aaの合成を目的として、共役オキシムエーテルとのドミノ型 反応において高い反応性を示したペンタフルオロフェニルエステルへの変換を試みた

(Scheme 40)。すなわち、水酸化リチウムで共役ヒドラゾン12Aのエチルエステル部分の加

水分解を検討した。しかし、カルボン酸86は得られず、ラクタム化の進行した85 31) が生 成したため、ペンタフルオロフェニルエステルへの誘導は断念した。

Scheme 40. Attempted hydrolysis of 12A.

なお、インドール酢酸の位にアルキル基を有する87やAuxinoleなどが植物の分化や成 長に関与するオーキシンの拮抗剤として作用することが見出されており、オーキシンの生 理機能の解明のためのツールとして利用されている (Figure 5)。32) したがって、多様な-アルキルインドール酢酸誘導体を迅速に合成する手法の確立は、植物の生理機能解明のた めに重要である。そこで、Table 9に示すインドール酢酸誘導体13Aaを合成できる本反応 がその簡便な手法となることを期待して、収率の向上を目指すこととした。

Figure 5. Auxin antagonist.

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まず、反応温度を上げて反応を検討したところ、インドール13Aa の収率は 35%に向上 した (Tabe 10、entry 1)。そこで、より高温での反応を検討するため、クロロベンゼンやDMF を溶媒に用いて還流条件で反応を行ったが、収率の向上はみられなかった (entries 2 and 3)。

さらに、アセトニトリル還流条件で反応を検討したところ、インドール13Aa の収率が43%

と若干向上したため、アセトニトリルを最適溶媒とした (entry 4)。

Table 10. Influence of temperature and solvent effect.

次に、さらなる収率の向上を目指して転位反応を促進する目的で、ルイス酸を添加して ドミノ型反応を検討した (Table 11)。まず、三フッ化ホウ素-エーテル錯体や共役オキシム エーテルのドミノ型反応で有効であったトリメチルアルミニウムを用いて反応を行ったが、

インドール13Aaは得られなかった (entries 1 and 2)。33) 次に、塩化亜鉛存在下で反応を行っ たところ、反応完結には10当量のトリエチルボランを要するものの、66%と良好な収率で

13Aaが得られた (entry 3)。34) 次に、2価の亜鉛試薬として臭化亜鉛を用いたところ、反応

時間の延長が必要であったが、収率の向上がみられた (entry 4)。さらに、ヨウ化亜鉛を添 加して反応を行うと、5当量のトリエチルボランでも効率的に反応が進行し、インドール 13Aaが73%の収率で得られた (entry 5)。また、ヨウ化亜鉛の当量数について検討した結果、

ヨウ化亜鉛を0.5当量まで減らしても効率的に反応が進行し、89%と高収率で13Aaを与える ことが明らかとなった (entries 6-8)。

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Table 11. Screening of Lewis acid.

以上のように、ヨウ化亜鉛存在下、アセトニトリル還流条件下で共役ヒドラゾン12Aに トリエチルボランを加えると、エステルの位にエチル基をもつインドール酢酸エチル 13Aaが高収率で得られることが明らかとなった。

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