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第三 節 職務 行為 基準 説と 過失 一 一般 に指 摘さ れて いる よう に、

︽職 務行 為基 準説

︾を 採っ た場 合、 従来 は﹁ 過失

﹂要 件に おい て扱 われ てき た職 務上 の注 意義 務違 反が

﹁違 法﹂ 要件 にお いて 扱わ れる こと にな るが

、と りわ け本 稿に おけ る以 上の 考察 から 注 目さ れる のは

、﹁ 過失

﹂に おい ては 組織 過失 の問 題と して 論じ られ てき た問 題が

、︽ 職務 行為 基準 説︾ にお いて は、 行政 決定 に至 るま での プロ セス の分 節化 の程 度に よっ ては

、限 りな く個 人過 失を 論じ るの に近 づく こと があ りう る ので はな いか

、と いう 点で

( )

ある

。こ の点 は、 既に 第一 節に おい て取 り上 げた 平成 元年 東京 地判 にお いて 顕著 に見 ら

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れる 点で ある

。も っと もこ の点 は、 仮に

︽結 果違 法︾ の考 え方 をと って

、職 務上 の注 意義 務違 反の 問題 を過 失要 件 にお いて 論じ たと して も、 同じ 問題 は生 じう るで あろ う。 従っ て、

︽職 務行 為基 準説

︾を 採っ たか らと いっ て当 然に

、決 定プ ロセ スの 分節 化が 詳細 にな り、 特定 の公 務員 個人 の注 意義 務違 反︵ 実質 的に は﹁ 過失

﹂と 同じ を︶ 問う 方向 にな ると は限 らな い。 また

、実 際の 判例 をみ ても

、従 来、

︽職 務行 為基 準説

︾を 採る 判例 は、

︽結 果違 法︾ を認 めな がら も、 その プロ セス に関 与す る公 務員 の職 務上 の義 務違 反を 否定 する とい う形 で、 いわ ば﹁ 違法

﹂判 断を 制限 する もの が多 かっ たが

、近 時は

、︽ 結果 違法

︾を 認め た うえ で、 さら に違 法要 件の 中で 公務 員の 職務 上の 注意 義務 違反 も認 め、 国賠 請求 を認 容す る判 例も 出て いる

。前 稿 にお いて も取 り上 げた 最︵ 一小 判︶ 平成 一九 年一 一月 一日 民集 六一 巻八 号二 七三 三頁

︵四

〇二 号通 達事 件上 告審 判 決︶ がそ れで

、同 判決 は、

︽職 務行 為基 準説

︾を とり なが らも

、通 達の 作成

、発 出及 びそ れに 基づ く取 扱い の継 続 につ いて

﹁公 務員 の職 務上 の注 意義 務に 違反 する

﹂も のと して

、こ れを 国家 賠償 法一 条一 項の 適用 上違 法な もの と して いる

。結 論の みを 引用 する と、 次の よう にな って いる

﹁以 上に よれ ば、 四〇 二号 通達 を作 成、 発出 し、 また

、こ れに 従っ た失 権取 扱い を継 続し た上 告人 の担 当者 の行 為は

、公 務員 の職 務上 の注 意義 務に 違反 する もの とし て、 国家 賠償 法一 条一 項の 適用 上違 法な もの であ り、 当該 担当 者に 過失 があ るこ とも 明ら かで あっ て、 上告 人に は、 上記 行為 によ って 原告 らが 被っ た損 害を 賠償 すべ き責 任が ある とい うべ きで あ る。

﹂ ここ

では

、通 達を

﹁作 成、 発出 し、 また

、こ れに 従っ た失 権取 扱い を継 続し た﹂ 国の 担当 者の 行為

、す なわ ち通 達 とい う一 般的 規範 の定 立︵ とそ の後 の取 扱い が︶

、加 害行 為と して 取り 上げ られ

、そ れに つい て﹁ 違法

﹂が 判断 さ れて いる

︵す なわ ち、 個別 の対 応が 問題 とな って いる わけ では ない

︶。 正確 にい うな らば

、通 達そ のも のが 違法 であ る とい う︽ 結果 違法

︾を 前提 とし て、

︽通 達の 発出 に至 るま での 行為

︾に かか わる 公務 員の 職務 上の 義務 違反 と、

︽そ の後 の通 達改 正︵ 改善 の検 討も 含む

︶の 不作 為︾ にか かわ る公 務員 の職 務上 の義 務違 反に 分け られ るこ とに なる と おも わ

( )

れる

。そ して

﹁当 該担 当者 に過 失が ある こと も明 らか であ って

﹂と

﹁過 失﹂ にも 言及 して いる が、

﹁職 務上

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通常 尽く すべ き注 意義 務﹂ のほ かに

﹁過 失﹂ 要件 で別 個論 じる こと があ りう るか は不 明で ある

。こ のよ うな 例は

、 他に もみ られ ると ころ であ るが

、判 決文 にお いて よく みら れる

﹁特 段の 事情 がな い限 り…

…﹂ とい った 留保 と同 様、

﹁職 務上 通常 尽く すべ き注 意義 務﹂ に違 反し

、国 家賠 償法 上違 法で ある こと につ いて 念押 し程 度の 意味 かも し れ

( )

ない

。い ずれ にし ても

、担 当者 が誰 であ った とか

、具 体的 にど のよ うな 関与 をし たか はこ とさ らに 問わ れて はい

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ない 二 。 しか し事 例に よっ ては

、か なり 詳細 なと ころ まで

、担 当公 務員 の特 定が 問題 とな る場 合が ない では ない

。 最近 の判 例を 一つ 挙げ ると

、情 報公 開条 例に 基づ いて

、特 定の 食料 費支 出に 係る 公文 書の 開示 を求 めた とこ ろ、

﹁交 際的 な懇 談﹂ にか かる 食料 費支 出に つい ては

、そ の相 手方 名称 を開 示す るこ とに よっ て、 当該 相手 方と の円 滑

な関 係が 損な われ るお それ があ るか ら条 例の 非開 示理 由︵ 事務 事業 に関 する 情報 で、 開示 する こと によ って

、関 係当 事 者間 の信 頼関 係が 損な われ ると 認め られ るも の又 は県 の行 政の 公正 もし くは 円滑 な運 営に 著し い支 障が 生ず るこ とが 明ら か なも の︶ に該 当す ると の審 査会 答申 を受 けて

、実 施機 関︵ 知事

︶が 一部 非開 示決 定を 行っ たが

、後 に取 消訴 訟に お いて

、同 決定 は違 法で ある とし て取 消さ れた 事案 につ いて

、国 家賠 償請 求訴 訟が 提起 され てい る。 最︵ 一小 判︶ 平 成一 八年 四月 二〇 日裁 判所 時報 一四 一〇 号八 頁の 事案 がこ れで ある が、 同判 決は

、ま ず一 般論 とし て﹁ 条例 に基 づ く公 文書 の非 開示 決定 に取 消し 得べ き瑕 疵が ある とし ても

、そ のこ とか ら直 ちに 国家 賠償 法一 条一 項に いう 違法 が あっ たと の評 価を 受け るも ので はな く、 公務 員が 職務 上通 常尽 くす べき 注意 義務 を尽 くす こと なく 漫然 と上 記決 定 をし たと 認め 得る よう な事 情が ある 場合 に限 り、 上記 評価 を受 ける もの と解 する のが 相当 であ る﹂ とし て︽ 職務 行 為基 準説

︾を 採る

。そ の上 で、

﹁本 件答 申は

、そ の当 時に おい ては 相応 の理 由を 有し てい たも のと いう べき であ る し、 本件 答申 の趣 旨に 沿っ て、 開示 請求 の対 象と なっ た文 書の うち

﹃交 際的 な懇 談﹄ に係 る懇 談の 相手 方に 関す る 情報 を非 開示 とし

、本 件各 文書 につ いて も、 その 記載 内容 から

﹃交 際的 な懇 談﹄ に係 るも ので ある とし た県 財政 課 職員 の判 断も

、必 ずし も不 合理 なも のと はい えな いと いう べき であ って

、本 件各 決定 に係 る判 断に 関与 した 職員 が 職務 上通 常尽 くす べき 注意 義務 を尽 くす こと なく 漫然 と上 記判 断を した と認 め得 るよ うな 事情 があ った とは 認め ら れな い﹂ とし てい る。 ただ 問題 とな った のは

、本 件対 象公 文書 が一 部非 開示 決定 の後 に、 対象 公文 書に 記載 され た相 手方 との 行事 は実 際に は行 われ てお らず

、実 態は

、情 報収 集の ため 県職 員が 国の 幹部 職員 との ゴル フを 伴う 懇談 を実 施す るた めの 費 用捻 出で あっ て、 本件 対象 公文 書自 体が 虚偽 文書 であ った こと が判 明し た点 をど のよ うに 捉え るか とい う点 であ っ た。 実際 に本 件対 象公 文書 が公 開さ れた のは

、虚 偽が 判明 し、 さら にそ の後 に、 一部 非開 示決 定に 対す る取 消判 決 が出 た後 であ るが

、こ の点 につ いて

、法 廷意 見は

、﹁ 一般 的に

、担 当職 員に おい て請 求に 係る 全文 書の 内容 の真 否

の調 査を する こと は義 務付 けら れて おら ず、 文書 の記 載内 容に 基づ いて 迅速 に開 示等 の決 定を 行う こと が予 定さ れ てい るも の﹂ とし

、﹁ 本件 条例 の規 定等 から

、県 財政 課の 職員 が、 請求 に係 る多 数の 文書 の記 載内 容の 真否 の調 査 を行 わず に上 記判 断を した こと が、 職務 上通 常尽 くす べき 注意 義務 を怠 った もの とい うこ とは でき ない

﹂と する

。 この 事案 では

、虚 偽と され た本 件対 象公 文書 は財 政課 の職 員に よっ て作 成さ れた もの であ り、 結果 的に 取消 され た 一部 非開 示決 定の 判断 を実 際に 行っ たの も同 じ財 政課 の職 員で ある が、 文書 作成 時と 非開 示決 定時 とで は職 員の 異 動も あり うる とこ ろで ある

。法 廷意 見は

、そ もそ も職 員に は対 象公 文書 の真 実に 関す る審 査義 務は ない

、と して 違 法性 を否 定し てい るの であ るが

、こ れに つい ては

、泉 徳治 裁判 官反 対意 見が 注目 され る。 泉裁 判官 反対 意見 は、 最

︵一 小︶ 判昭 和五 七年 四月 一日 民集 三六 巻四 号五 一九 頁を 引用 しつ つ、

﹁行 政処 分は

、知 事等 の独 任機 関た る行 政庁 の名 義で 行わ れる 場合 であ って も、 実際 には

、行 政庁 を支 える 行政 組織 体の 組織 的決 定と して 行わ れる もの であ っ て、 国家 賠償 法一 条一 項の

﹃公 務員

﹄の 故意 又は 過失 の存 否も

、行 政組 織体 を構 成す る公 務員 を全 体的 一体 的に と らえ て、 組織 体と して 手落 ち手 抜か りが 存し たか どう かと いう 観点 から 検討 すべ きで ある

。す なわ ち、 当該 行政 処 分を 実際 に担 当し た個 別具 体的 な職 員の 故意 過失 のみ を問 題と する ので はな く、 行政 庁を 支え る行 政組 織体 の構 成 員た る公 務員 を全 体的 一体 的に とら えて 故意 過失 が存 する か否 かを 判断 すべ きで ある

﹂と した 上で

、﹁ 国家 賠償 法 一条 一項 の規 定に 基づ く損 害の 賠償 を請 求す る上 にお いて

、上 記﹃ 公務 員﹄ を具 体的 に特 定す る必 要が ない こと は、 いう まで もな い﹂ とし てい る。 すな わち

、﹁ 公文 書の 管理 から 開示 まで の一 連の 行為 に関 与し た公 務員 を全 体 的一 体的 にと らえ て、 故意 又は 過失 の有 無を 検討 すべ きで ある

﹂と いう わけ であ る。 この 泉裁 判官 反対 意見 には

、 横尾 和子 裁判 官が 同調 して おり

、判 決自 体が 際ど い意 見の 差で 出さ れた こと が窺 える が、 改め て、 組織 的決 定と 職 務行 為基 準説 の適 用と の関 係の 問題 点を 浮き 彫り にす るも ので あろ う。 三 既に 述べ たこ との 繰り 返し にな るが

、﹁ 職務 上の 注意 義務 違反

﹂を 違法 の問 題と して 扱う か、 それ とも 過失

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