第4章 職員人事異動
28. 最先端金属積層造形技術(JAMPT)共同研究部門
部門担当教授
千葉 晶彦
(2018.10 ~)【構成員】
教授:千葉 晶彦/准教授:山中 謙太/助教:青柳 健大/学術研究員:佐々木 信之
【研究目標】
積層造形技術と積層造形に適した粉末の研究・開発に同時に取り組むことにより、造形品の最適化 について研究する。レーザー及び電子ビームを用いた積層造形における造形条件の最適化に資する基 礎学理を探求し、プロセス分析と最適レシピの開発に取り組む。また、プラズマ回転電極法による金 属粉末の特性を学理解析し、積層造形に向けた最適化を研究する。大学の装置を利用し、千葉研究室 の材料研究ノウハウの提供と協力により、解析・評価、及び積層造形に関するシミュレーション技術 を開発すると共に、材料の解析・評価を行う。粉末開発・製造、最適な金属組織の探索・評価、更に は最適な金属加工やトポロジー最適化を含む積層造形品の金属組織を考慮した設計の検討を行う。
【本年度の主要成果】
一般的に積層造形材には、未溶融欠陥やキーホール型欠陥などの種々の造形欠陥や、原料粉末内部にト ラップされたAr などの不活性ガスに起因したガスポアが含まれることが多く、機械特性、特に疲労特性の低下 に繋がる。プラズマ回転電極法(PREP)で製造したガスポアをほとんど含まない粉末を用いてTi-6Al-4V(Ti64) 合金をEBM で造形し、その疲労特性を調査した。
PREP 粉末を原料としてEBM で造形した合金の疲労特性を調査した結果、造形まま材において、プラズマア
トマイズ粉で造形された造形まま材よりも優れた疲労特性を示し、HIP 処理されたプラズマアトマイズ粉造形材 に匹敵する疲労特性が得られた(Ref1)。
参考文献
1 ) 青柳 健大他、 ” 電子ビーム積層造形された Ti-6Al-4V 合金の疲労特性に及ぼす PREP 原料粉末の
効果“,日本金属学会春期講演大会(2019).
【今後の研究計画】
1.PREP粉の特性検証
PREP 粉は、①粉体形状は真球に極めて近い②サテライトがない③粒度分布が従来品(ガスアトマイズ製法)
に比べてシャープなど優れた特性を有し積層造形に適した粉末と思われるので以下を検証する。(1)ガスアトマ イズ粉 / PREP粉における粉体特性評価 (2)ガスアトマイズ粉 / PREP粉 機械特性評価 (3)多種成分金属 粉の開発
2.積層造形シミュレーション
金属積層造形シミュレーションを行い、造形条件と造形品の応力状態の相関を検討する。また、局所的な応 力状態を解析し積層条件で結晶方位等を考慮した積層造形条件の最適化を目指す。
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. 学際・国際的高度人材育成ライフイノベーションマテリアル創製共同研究プロジェクト
プロジェクトリーダー・教授(兼)
加藤 秀実
【構成員】
プロジェクトリーダー・教授(兼):加藤 秀実/千葉 晶彦/准教授(兼)梅津 理恵、千星 聡、和田 武、山中 謙太/
客員教授:新家 光雄/特任助教:魏 代修、目代 貴之/事務補佐員[1名]/
【研究・事業目標】
学際・国際的高度人材育成ライフイノベーションマテリアル創製共同研究プロジェクトは、「環境保 全・持続可能材料」、「生体・医療福祉材料」およびそれらの要素材料・技術開発を通して、新しい社会 基盤材料の提案と実用化を図ると共に、研究を通した国際交流・産学連携・高度人材育成を推進するこ とを目的としている。前身の 3 大学研究所連携「金属ガラス・無機材料接合開発共同研究プロジェク ト」、6 大学研究所連携「特異構造金属・無機融合高機能材料開発共同研究プロジェクト」(平成 22~
27年度)において、東北大学金属材料研究所、名古屋大学未来材料・システム研究所、大阪大学接合 科学研究所、東京工業大学フロンティア材料研究所、東京医科歯科大学生体材料工学研究所、早稲田大 学ナノ・ライフ創新研究機構の 6 大学研究所連携体制を構築しており、本事業ではこれを基盤とし、
さらに学内連携や産学連携へと展開することで人類の生活を支える生活革新材料を創製し、異分野横 断的新学術分野を構築する。
【本年度の主要成果】
事 業 面 に お い て は 、 人 材 育 成 お よ び 国 際 交 流 と し て 生 体 材 料 に 関 す る 国 際 ワ ー ク シ ョ ッ プ
「International Workshop on Biomaterials in Interface Science」(ICC-IMRの協力)を開催し、材 料系の研究者と歯学・医学系研究者との分野横断的な連携を図った。また、産学連携強化として産業展
「TECHBiz」へ出展し技術交流を図り研究シーズの発信を行った。
研究面においては、環境保全・持続可能材料分野、要素材料・技術開発分野、生体・医療福祉材料分野 として3分野で学内連携として研究を進めている。
生体・医療福祉材料分野としては、人工股関節等に数多く使用されているコバルト合金の開発及び特 性の向上を中心に成果を挙げている。具体的には、電子ビーム積層造形(EBM)による造形された生体
用Co-Cr-Mo合金の積層高さによる組織特性が及ぼす耐食性と力学特性の影響を明らかにした(Ref.1)。
積層高さによって組織と硬さが異なることは見出されているが、腐食特性が異なることは見出されて いない。また、Ti 表面への可視光応答型光触媒活性酸化チタン(TiO2)膜の創製研究において、TiO2の 可視光応答化に有効とされるAu添加に着目し、Ti-Au合金の熱酸化によるAu添加TiO2膜の直接形成 を試み抗菌性を評価した。Ti-Au合金の熱酸化により作製したAu添加TiO2膜は、金属Auナノ粒子の 存在やAu3+の固溶により可視光触媒活性が向上し、抗菌能が得られた(Ref.2)。
要素材料・技術開発分野においては、最高クラスの強度-導電性バランスをもつ銅合金線材の開発を 行った。本線材は、従来の Cu-Ti合金と同成分組成であるが、新規の熱加工プロセスにより強度およ び導電性を大幅に改善することに成功した(Ref.3)。今後、希少性や有害性の点で懸念のあるCu-Be合 金線材の代替として主に電子機器用の通電材料として用途展開が期待される。
参考文献
1 )
Daixiu Wei, Yuichiro Koizumi, Akihiko Chiba, Kosuke Ueki, Kyosuke Ueda, Takayuki Narushima, Yusuke Tsutsumi, Takao Hanawa, Heterogeneous microstructures and corrosion resistance of biomedical Co-Cr-Mo alloy fabricated by electron beam melting (EBM), Additive Manufacturing 24,103-114 (2018).2 )
Takatoshi Ueda, Kyosuke Ueda, Koyu Ito, Kouetsu Ogasawara, Hiroyasu Kanetaka, Takayuki Mokudai, Yoshimi Niwano, Takayuki Narushima,
Journal of Biomedical Materials Research Part A 107(5):991-1000 (2019)3 )
Semboshi, Satoshi; Kaneno, Yasuyuki; Takasugi, Takayuki; Masahashi, NaoyaHigh strength and high electrical conductivity Cu-Ti alloy wires fabricated by aging and subsequent severe drawing, Metallurgical and Materials Transactions A, 49 A4956-4965 (2018)
【今後の研究・事業計画】
事業4年目となる令和元年度は、6大学研究所連携事業の一環として国際会議(iLIM-4、10月)お よび公開討論会(令和2 年3月)が計画され、現在進行中の共同研究課題の具体的な研究成果発信に 努めるとともに、新しい課題を立ち上げて一層の連携強化に取り組んでいく。金研が主体的に行う活 動としては、産業展の出展や焼結技術に関する研究会の開催を通して環境保全・持続可能材料の連携 強化と産学連携を図る一方、学内の歯学研究科、工学研究科、医工学研究科および 6 研究所の生体・
医療福祉材料系の研究者と連携し、生体材料の国際ワークショップの開催(10月)、細胞・動物実験講 習会(8月)を開催することで、連携研究の推進と人材育成に努める。環境保全・持続可能材料分野で は、化学気相析出技術による触媒材料開発において名大との研究所間連携に企業を加えた連携体制を 形成しており、実用化に向けた研究開発が期待できる。生体・医療福祉材料分野では、Ti-Al合金の組 織・構造制御に加えて、電子ビーム積層造形による人工股関節用Co-Cr-Mo合金の開発やPEEK樹脂 への新しい HA コーティング法の開発を東京医科歯科大や名大との連携により進め、生体適合材料の 高性能化に引き続き取り組む予定である。