1826 人 21818人
全グループ間で 90 日死亡率に有意なし
Secondary outcomes
ショック離脱までが3 vs. 4 日(p<0.001)、 ICU退室までが10 vs. 12 日(p<0.001)、
人工呼吸器離脱までが6 vs. 7 日(p<0.001) とハイドロコルチゾン群で短縮。
輸血した割合は37.0% vs. 41.7%(p=0.004) とハイドロコルチゾン群で少なかった。
ICU生存退室率に有意差なし
ショック離脱まで
有害事象
イベントは合計
28
人・33
件出現。発生率は、ハイドロコルチゾン 群で有意に多かった。
(
1.1% vs 0.3%
、P = 0.009
) 重篤なイベント(出血
, myopathy,
腸管虚血,
創部離開,
循環ショック)は ハイドロコルチゾン群で4
人、プラセボ群で
2
人であった。discussion
• 重症敗血症へのステロイド使用は、プラセボと比 較して 90 日死亡率を下げなかった。
• ショック離脱を早め、輸血を受ける者を減らした。
• ICU 退室を早め、初回の人工呼吸器使用期間を 短縮した。
• 28 日死亡率、ショック再発率、 ICU 退室後生存日 数、退院後生存日数、人工呼吸器の再装着、腎 代替療法率、菌血症・真菌血症の新規発生率は、
両群間に有意差はなかった。
• バイアスを減らすため盲検化を行った。盲検前 に統計分析のプランを公開している。
• Primary outcome として 90 日死亡率をあげ、対象 を、重要臓器のサポートが必要な死亡リスクの 高い患者に限定した。実際に抽出できた。
• ほとんどの患者がフォローアップされている。
• 対象となった患者のうち、実際に割付に至った 患者の割合は 0.69 であり他の大規模試験に近 い。
• 5 カ国 69 施設を含んでおり、整合性が高い。
strength
• 炎症を軽減しショックを離脱することが示されているた め、ハイドロコルチゾンを持続投与している。敗血症 ショックのガイドラインには、 infusion がグルココルチコ イドの有害な反応を最小限に抑えることが示されてい る。 I
ntensive Care Med 2017;43:304-77.• 最近の研究ではグルココルチコイド漸減の有益性は 示されていないため漸減していない。
JAMA2002;288:862-71.
• コルチコトロピン =ACTH 負荷試験は重症患者において 有効性が示されていないため施行していない。
Intensive Care Med 2017;43:304-77.
• Etomidate 使用患者を除外している。
• 有効性が示されていないため、フルドロコルチゾンは 投与していない。
JAMA 2010; 303:341-8.今までの試験との違い
limitation
• イベント発生の判断は各担当医に一任されて おり、その判断の整合性については評価してい ない。
• 菌血症・真菌血症のみを記録している。二次感 染についてはデータを収集していない。
• 抗生剤の妥当性は評価していない。
• Myopathy は各担当医が CK 上昇や人工呼吸器 再装着などの臨床所見で総合的に評価したが、
長期的な筋衰弱の評価はしていない。
まとめ
• ハイドロコルチゾン投与は 90 日死亡率を減少させ なかった。
• いくつかの secondary outcome を改善させている。
• ハイドロコルチゾンの血行力学的効果はこれまで の研究と同様。
• 費用対効果は検証していないが、今後考えるべ
き項目である。
今月の NEJM にて …
APROCCHSS trial
多施設共同二重盲検RCT
敗血症性ショック患者 N=1241
(SOFA>3の臓器不全を2つ以上・SBP≧90mmHg or MBP≧65mmHgを保つのにカ テコラミン>0.25γ or >1mg/hrが必要)
重症度:SAPSⅡ56・SOFA 12
ステロイド群:ハイドロコルチゾン:50mg 6st/日+フルドロコルチゾン経口50μg/日
(7日間) vs プラセボ群
(当初は活性化プロテインCも組み合わせた2×2比較であったが、製造が中止となりステロイドvsプラセ ボとなった)
90日死亡率を比較。
D. Annane NEJM 2018 Mar 1;378(9):809-818
90日死亡率
ステロイド群 43.0% vs プラセボ群49.1%
(P=0.03、RR 0.88 95%CI; 0.78-0.99)
また、ステロイド群では ・ICU退室時の死亡率 ・退院時死亡率
・180日死亡率 が有意に低かった。
昇圧薬free days・臓器不全free daysはステロイド 群のほうが有意に多かった。
また、昇圧薬離脱までの期間・人工呼吸器離脱 までの期間・SOFA<6になるまでの期間はステロ イド群で有意に短かった。
有害事象としては、
高血糖(≧150mg/dl)は89.1% vs. 83.1%(p=0.002) とステロイド群で増加した。
P<0.001
P<0.001 P=0.006
重症敗血症患者において,ハイドロコルチゾン+フルドロコルチゾンを投与した群で は90日死亡率が改善した。
ステロイドは心血管機能を増強させる。これは必要な昇圧薬が減ったこととも一致。
(鉱質ステロイドによる循環血漿量増加・糖質ステロイドの血管内皮受容体に関連し た末梢血管抵抗増加)
French・APROCCHSSと、死亡率を改善させなかったCORTICUS・HYPRESSの違いとして
①フルドロコルチゾンを追加 ⇨鉱質コルチコイド作用が加わっている。
敗血症はNF-κBに関連し鉱質コルチコイド受容体がダウンレギュレーション。Crit Care
Med 2017;45(9):e954-e962.
鉱質コルチコイド作動薬は、α1受容体を表出させphenylephrineの反応性をあげ、ま たendotoxic shockのマウスの死亡率を改善。Neuroimmunomodulation 2005; 12:321-38.
②対象の重症度が高い。
初期蘇生で改善せず昇圧薬を高容量で必要としている重症敗血症ショック患者=死 亡率が高いLancet 2005;365:63-78.
(APRROCCHSSをCORTICUSと比較すると、SOFA+1.5points、SAPSⅡ+7points) そして、French・APPOCCHSSでは死亡率を改善させている。
ADRENAL ・ APROCCHSS に対して
•
コルチコステロイドは炎症を抑え感染に対する耐性を下げる が、44%
もの死亡率を改善させなかった。JAMA 1963;183: 462-5.高容量のレジメンは結果が悪く用いられなくなったClin Microbiol Infect 2009;15: 308-18.
•
死亡率やショック離脱を改善させるとするシステマティックレ ビュー がある一方、反する結論に至ったレビューもあり、大 規模なRCT
が望まれていた。Cochrane Database Syst Rev 2015;12、Intensive Care Med 2015;41:1220-34• ADRENAL
・APROCCHSS
、両試験とも大規模。•
死亡率に大きなばらつきがあるADRENAL trial27.9% vs 28.8% [P=0.50] APROCCHSS trial, 43.0%
vs. 49.1% [P=0.03]
APATCHE
と、SOFA
・SAPS
Ⅱで評価されているため単純比較はで きないが、APPOCCHSS
の方が重症そう。APPOCCHSS
ではフルドロコルチゾンを使用。今まで、ハイドロコルチゾ ン単独と併用との有効性の差は示されていなかった。 JAMA2010;303:341-8.ADRENAL
の方が外科手術が多い
(31.5% vs. 18.3%) RRT
施行率が低い(12.7% vs 27.6%)
血液感染が低い(17.3% vs. 36.6%)
呼吸器感染が低い(35.2% vs. 59.4%)
尿路感染が低い(7.5% vs. 17.7%)
腹部感染が多い(25.5% vs. 11.5%).
両試験とも、ステロイド投与でショック・人工呼吸器離脱は早かった。
ステロイドボーラス投与による高血糖を除き、有害事象の割合は低 かった。
ステロイドの有効性は重症度に依存するClin Microbiol Infect 2009;15: 308-18.
という考えの妥当性を示唆した結果となった。
治療抵抗性の重症敗血症ショックの患者に対して、低容量ハイドロコ ルチゾンをリスクを吟味し使用してみてもいいかもしれない。
私見
• ADRENAL trial
について、明確な課題設定・デザイン、十分なサンプルサイズを設定した大規模試験である。
•
外部者による割付、二重盲検化されており整合性は高い。•
介入以外の治療については各担当医に一任されている。•
今回は死亡率に有意差はでなかったが、より重症度の高い 対象者で行われたら差が出た可能性があると考える。•
ショック離脱を早めるのは間違いなさそう。•
有害事象としての高血糖については持続投与にするメリット があるかもしれない。• APROCCHSS
ではステロイド群が死亡率を改善させた要因として、患者群の違いの他にフルドロコルチゾンが有効である可 能性もあり、さらなる研究が望まれる。