9.2.1 機材・ソリューションの供給
本プロジェクトの設備のうち、日本企業に優位性があり、日本企業より供給が期待できる ものは次の通りである。
ガスパイプライン(Gas Pipeline)用大口径鋼管
日本企業が製作する鋼材はNational Association of Corrosion Engineers 米国 防蝕技術協会(NACE)基準を満たし、世界基準と比較しても高い品質水準 であり、多くの供給実績を保有している。特にエネルギー用途を中心とした 大径鋼管に関しては、世界各国で油ガス田を中心としたエネルギー輸送に使 われている。また他の特徴として、パイプラインの安全性評価に関わる技術 を有しており、種々のシミュレーションと共に実管での破壊性安全実験も可 能である。
昇圧設備(Compression Station)関連回転機械
イラクからクウェートへのガスの送り出す昇圧設備に使用される高性能の回 転機械類には日本製品に優位性がある。それらの回転機械類とは、(1)往復 動式(レシプロ式)のプロセスコンプレッサー と(2)その駆動機(誘導
モーター) (3)遠心式の輸出用コンプレッサー と(4)その駆動機(ガ スタービン)が相当する。
(1)プロセスコンプレッサー
プロセスコンプレッサーは、油田から昇圧設備に送られたガスをパイ プライン輸送に適する高圧に昇圧するために用いられる。
(2)プロセスコンプレッサー用駆動機
プロセスコンプレッサー用駆動機には、コンプレッサー入り口のガス の圧力と量の変動に応答してコンプレッサーの出力を安定的に保つこ とのできる電動の誘導モータ―が採用される。
(3)輸出用コンプレッサー
輸出用コンプレッサーは、プロセスコンプレッサーで昇圧された高圧 のガスをパイプラインに払い出すために用いられる。
(4)輸出用コンプレッサー用駆動機
輸出用コンプレッサー用駆動機には、高出力大容量のガスタービンが 用いられる。
監視制御システム(SCADA: Supervisory Control And Data Acquisition System)
SCADAシステムは石油・ガスパイプラインを含む種々の産業設備、インフ
ラ施設の遠隔監視制御を行う設備、ソフトウェアの総称であり、 ユーザー インターフェース、監視制御コンピュータシステム、遠方監視制御装置
(RTU: Remote Terminal Unit)、通信基盤によって構成されている。
9.2.2 事業からの収益
本プロジェクトの事業化に当たっては、パイプラインおよび付帯設備の建設および運営 にあたる特別目的会社(SPC)を設立し、ガスの通行料(Toll)収入で、建設・操業コスト を回収し、利益を計上する目論みである。
9.2.3 油田の安定操業
本プロジェクトの実施は、随伴ガスを生産する油田の安定操業にも資するものである。
イラク側への提言・次期フェーズでの検討事項
本調査期間中に開催できなかったイラク側に対する最終報告会(ワークショップ)におい て、本調査結果についての報告を行うと共に、イラク側との意見交換を行い、本プロジェク トを実現するために必要な検討項目及び今後の進め方について、以下の提言を行うことと する。
本Pre-FSの承認
FS実施条件の更新
Feasibility Studyのベースを、イラク側と協議しながら固めていくこととなる。
①技術条件
・対象油田
・輸出可能ガス量
・随伴ガス条件(組成、圧力等)
・パイプラインルート
②商務条件
・資金計画
・労働条件
・原料ガス供給条件
・製品ガス輸出条件
・SPCの設立
③環境社会配慮事項
・現地ルール あるいは 国際ルール
ジョイントワーキンググループの構築
本案件を推進するためには、上記(1)の現地情報更新を始めとして、イラク側と の間で緊密なコミュニケーションをとりながら、進めていく必要がある。そのために は、まず、双方で実行組織を構築する必要があり、以下のようなジョイントワーキン ググループを提案することにしている。
<イラク側>
・プロジェクトマネージャー(Contact Person)
・油田担当者(油田情報提供ならびに協議担当)
・商務担当者
<日本側>
・プロジェクトマネージャー(Contact Person)
・油田担当者(油田情報協議担当)
・商務担当者
本案件の進め方
本案件を前に進めるためには、まず短期的なスケジュール(1年以内の作業項目の 大項目)をその為の原資を含めて合意する必要がある。