第 3 章 外部環境の変化と動向
3) IFC のアプローチ
3.6 日本の条約批准状況
環境社会配慮に関連した我が国が批准している、または未批准である主要な国際条約を整 理した。我が国が批准している条約について相手国等が未批准である場合、及び我が国が 未批准である条約については、対応に留意が必要である。
表 3-23 環境社会配慮に関連した国際条約の批准状況 NO. 正式名称/
略称または通称 概要
I. 批准している条約 環境
1 生物の多様性に関する条約
発効年:1993年 批准年:1993年
締約国数:194ヵ国、EU及びパレスチナ(2018年12月現在) 本条約は、
(1)生物多様性の保全
(2)生物多様性の構成要素の持続可能な利用
(3)遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分 を目的とする(第1条参照)。
2
生物の多様性に関する条約のバイ オセーフティに関するカルタヘナ 議定書(カルタヘナ議定書)
発効年:2003年 批准年:2004年
この議定書は、特に国境を越える移動に焦点を合わせて、生物の 多様性の保全及び持続可能な利用に悪影響を及ぼす可能性のある LMOの安全な移送、取扱い及び利用の分野において十分な水準の 保護を確保することを目的とする(第1条)。
3
特に水鳥の生息地として国際的に 重要な湿地に関する条約
(ラムサール条約)
発効年:1975年 批准年:1980年 締約国数:170ヵ国(2018年12月現在)
湿原、沼沢地、干潟等の湿地は、多様な生物を育み、特に水鳥の 生息地として非常に重要である。しかし、湿地は干拓や埋め立て 等の開発の対象になりやすく、その破壊をくい止める必要性が認 識されるようになった。湿地には国境をまたぐものもあり、ま た、水鳥の多くは国境に関係なく渡りをすることから、国際的な 取組が求められる。そこで、特に水鳥の生息地として国際的に重 要な湿地及びそこに生息・生育する動植物の保全を促し、湿地の 適正な利用(Wise Use、一般に「賢明な利用」と呼ばれることも ある)を進めることを目的として、1971年2月2日、イランのラ ムサール(カスピ海沿岸の町)で開催された「湿地及び水鳥の保 全のための国際会議」において、本条約が採択された(1975年12 月21日発効)。
4
絶滅のおそれのある野生動植物の 種の国際取引に関する条約
(ワシントン条約)
発効年:1975年 批准年:1980年
締約国数:182ヵ国、EU(2018年12月現在)
ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の 国際取引に関する条約)は、野生動植物の国際取引の規制を輸出 国と輸入国とが協力して実施することにより、絶滅のおそれのあ る野生動植物の保護をはかることを目的とする。
5
1973年の船舶による汚染の防止の ための国際条約に関する1978年 の議定書によって修正された同条 約を改正する1997年の議定書
(マルポール条約)
発効年:2005年 批准年:2005年 締約国数:30ヵ国(2007年2月現在)
船舶の航行や事故による海洋汚染を防止することを目的として、
規制物質の投棄・排出の禁止、通報義務、その手続き等について 規定するための国際条約とその議定書。
6
有害廃棄物の国境を越える移動及 びその処分の規制に関するバーゼ ル条約
発効年:1992年 批准年:1993年
締約国数:181ヵ国、EU及びパレスチナ(2015年5月現在) 一定の有害廃棄物の国境を越える移動等の規制について国際的な 枠組み及び手続等を規定した「有害廃棄物の国境を越える移動及 びその処分の規制に関するバーゼル条約」が作成
2019年5月10日にスイス・ジュネーブで開かれた有害な廃棄物 の国際的な移動を規制するバーゼル条約の締約国会議で、汚れた プラスチックごみを輸出入の規制対象に加える条約改正案を採択 した。
7
残留性有機汚染物質に関するスト ックホルム条約(ストックホルム 条約)
発効年:2004年 批准年:2004年 締結国数:178ヵ国、EU(2014年9月現在)
残留性有機汚染物質から人の健康と環境を保護することを目的と し、(1)PCB等18物質(附属書A掲載物質)の製造・使用、輸 出入の禁止(2)DDT等2物質(附属書B掲載物質)の製造・使 用・輸出入の制限、(3)非意図的に生成されるダイオキシン等4
NO. 正式名称/
略称または通称 概要
物質(附属書C掲載物質)の削減等による廃棄物等の適正管理を 定めている。
8 オゾン層破壊物質に関するモント リオール議定書
発効年:1989年 批准年:1989年
本議定書において規定する主な規制措置は次のとおりである。
(1)各オゾン層破壊物質(Ozone Depleting Substances: ODS)の全 廃スケジュールの設定(第2条のA~I)
(2)非締約国との貿易の規制(規制物質の輸出入の禁止又は制限 等)(第4条)
(3)最新の科学、環境、技術及び経済に関する情報に基づく規制 措置の評価及び再検討(第6条)
(4)代替フロンとして使用されるハイドロフルオロカーボン
(HFC)の段階的削減スケジュールの設定(第2条のJ)(2016 年の議定書改正で追加)
9
気候変動に関する国際連合枠組条 約
発効年:1994年 批准年:1994年 締約国数:197ヵ国・機関
この条約の究極の目的は、人類の活動によって気候システムに危 険な影響がもたらされない水準で、大気中の温室効果ガス濃度の 安定化を達成することにある。
気候変動に関する国際連合枠組条 約の京都議定書(京都議定書)
発効年:2005年 批准年:2005年 締約国数:192ヵ国・機関
(2020年までの枠組み、2020年以降の枠組みはパリ協定)
枠組条約の附属書I国(先進国)に対して、温室効果ガス排出 を 1990年比で2008年から5年間で一定数値削減することを課して いる(附属書B)。一方で、非附属書I国(途上国)には削減義 務を課していない。
パリ協定
採択年:2015年 批准年:2016年 締約国数:185ヵ国・機関
2020年以降の地球温暖化対策を定めた、気候変動に関する国際的 枠組み。参加国は、削減目標として「各国が決めた貢献」
(Nationally Determined Contribution: NDC)を作成・提出・維持す る義務と、当該削減目標の目的を達成するための国内対策をとる 義務を負う。
文化財
10 世界の文化遺産及び自然遺産の保 護に関する条約(世界遺産条約)
発効年:1975年 批准年:1992年 締結国数:193ヵ国、EU(2018年2月現在)
文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損 傷、破壊等の脅威から保護し、保存するための国際的な協力及び 援助の体制を確立することを目的とする。
労働
11 労働における基本的原則及び権利 に関するILO宣言
グローバル化の挑戦に応えるために、1998年6月18日、ILO総 会で採択。
ILOの「中核的労働基準(CLS)とも呼ばれ、ILO憲章、フィラ デルフィア宣言と並ぶILOの最も重要な基本文書の一つ。
グローバル化は経済成長の一要因であり、経済成長は社会進歩の 前提条件であるものの、それだけでは社会進歩を確保するには不 十分であるのも事実とし、すべての関係者が自ら創出に寄与した 富の公平な分配を要求できるようにするための共通の価値を基盤 とした社会的基本原則を伴う必要があるとした。
12 強制労働に関する条約(第二十九 号)
発効年:1932年 批准年:1932年 批准国数:178ヵ国
すべての強制労働の使用を、できる限り短い期間のうちに廃止す ることを目的とした条約強制労働というのは、処罰の脅威によっ て強制され、また、自らが任意に申し出たものでないすべての労 働のことである。
13 結社の自由及び団結権の保護に関 する条約(第八十七号)
発効年:1948年 批准年:1966年 批准国数:155ヵ国
労働者及び使用者は、事前の許可を受けないで、自ら選択する団 体を設立し、加入することができる。労使団体(連合体も含む)
は、規約を作り、完全な自由のもとにその代表者を選び、管理・
活動を決めることができる。行政機関はこれらの権利を制限した り、その合法的な行使を妨げたり、また、労使団体を解散した り、活動を停止させたりしない。労使団体は以上の権利を行使す るに際してはその国の法律を尊重しなくてはならない。他方、そ
NO. 正式名称/
略称または通称 概要
の国の法律は、この条約に規定する保障を害するようなものであ ってはならない。
14
団結権及び団体交渉権についての 原則の適用に関する条約(第九十 八号)
発効年:1951年 批准年:1953年 批准国数:166ヵ国
労働者は、労働組合に加入しない、または労働組合から脱退する ことを雇用条件としたり、組合員であるという理由や労働時間 外、または使用者の同意を得て労働時間中に、組合活動に参加し たという理由などで解雇されたり、その他の不利益な取り扱いを されたりするような差別待遇から十分な保護を受ける。
15
同⼀価値の労働についての男⼥労 働者に対する同⼀報酬に関する条 約(第百号)
発効年:1953年 批准年:1967年 批准国数:173ヵ国
同一の価値の労働に対しては性別による区別を行うことなく同等 の報酬を与えなければならないと決めたものである。条約は報酬 について定義を下し、金銭であると現物であるとを問わず、直接 または間接に使用者が労働者に対して支払う報酬で労働者の雇用 から生ずるものを含むとする。
16 就業が認められるための最低年齢 に関する条約(第百三十八号)
発効年:1973年 批准年:2000年 批准国数:171ヵ国
過去に採択された同分野における10条約を改正するこの条約は、
児童労働の廃止と若年労働者の労働条件向上を目的に、就業の最 低年齢を義務教育終了年齢と定め、いかなる場合も15歳を下回っ てはならないものとする。
17
職業上の安全及び健康を促進する ための枠組みに関する条約(第百 八十七号)(職業安全衛生枠組条 約)
発効年:2009年 批准年:2007年 批准国数:47ヵ国
職業上の安全と健康に関する国内計画を設けて労働安全衛生を国 の政策課題の上位に位置させることを通じて、予防的安全衛生文 化の育成を促進すると共に、予防的な措置を通じて、より安全 で、より健康な作業環境を推進する条約。
先住民族
18
先住民族の権利に関する国際連合 宣言(国連先住民権利宣言:
UNDRIP)
2007年国連総会で「先住民族の権利に関する宣言(Declaration on the rights of Indigenous Peoples)」が採択された。下記を含む46条 にわたる宣言では、広範囲にわたる先住民族の権利を規定。
•自己決定権(政治的地位を自分たちで決め、経済、社会、文化的 な発展のありかたや方法を自分たちで決めることができる)
•同化を強要されない権利
•土地や資源の返還や賠償などを求める権利
•自治を求める権利
•文化的・宗教的な慣習を実践する権利
•独自の言語で教育を行い、受ける権利
•伝統的につながりを持ってきた土地や資源を利用する権利 人権
19 世界人権宣言
1948年12月10日に第3回国連総会にて採択。人権および自由を 尊重し確保するために、「すべての人民とすべての国とが達成す べき共通の基準」を宣言した。
20 児童の権利に関する条約
発効年:1990年 批准年:1994年 締約国・地域数:196(2016年2月現在)
児童の権利条約は、18歳未満を「児童」と定義し、国際人権規約 において定められている権利を児童について敷衍し、児童の人権 の尊重及び確保の観点から必要となる詳細かつ具体的な事項を規 定したもの。1989年の第44回国連総会において採択され、1990 年に発効。日本は1994年に批准した。
21
⼥⼦に対するあらゆる形態の差別 の撤廃に関する条約
(女子差別撤廃条約)
発効年:1981年 批准年:1985年 締約国数:189ヵ国
この条約の適用上、「女子に対する差別」とは、性に基づく区 別、排除又は制限であつて、政治的、経済的、社会的、文化的、
市民的その他のいかなる分野においても、女子(婚姻をしている かいないかを問わない。)が男女の平等を基礎として人権及び基 本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にす る効果又は目的を有するものをいう。
22
あらゆる形態の人種差別撤廃に関 する国際条約
(人種差別撤廃条約)
発効年:1969年 批准年:1996年 締約国数:179ヵ国
人種差別撤廃条約は、人権及び基本的自由の平等を確保するた め、あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策等を、すべての適当 な方法により遅滞なくとることなどを主な内容とする。1965年の 第20回国連総会において採択され、1969年に発効した。日本は 1995年に加入。