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旅行者クチコミの分析による満足と不満ポイントの導出

ドキュメント内 平成○○年度研究実施報告書 (ページ 66-69)

3. 研究開発実施の具体的内容

3.3. 研究開発結果・成果

3.3.6. 旅行者クチコミの分析による満足と不満ポイントの導出

(1)平成23年度の研究内容の概要

多様な旅行ニーズを持った訪日外国人に対しきめ細やかな旅行サービスの提供を実 現していくためには,現状において訪日外国人が何に満足し,何に不満を抱いている か知ることが肝要である.既に観光庁では訪日外国人に対し旅行中に行った活動とそ の満足度とについて調査している[26]が,予め用意された項目に対する3段階評価なの で,具体的な問題点や改善への指針が見出しにくい.そこで,旅行情報サイト

TripAdvisor(http://www. tripadvisor.com)上の利用者クチコミ評価を利用し,訪日 外国人観光客がどのような点から日本の観光資源を評価しているのかについて分析し た.まず,TripAdvisorに登録されている東京23区内の観光資源(宿泊・飲食施設を除 く)に対するクチコミ5,478件(2011年6月7日現在)から英語のクチコミ379件を抽出 した.各クチコミは文章と5段階評点からなる.なお評点は肯定側に大きく偏っていた

(図3-3-6-1).評点4-5のもの(301件)を肯定的クチコミ,評点1-3のもの(78件)

を否定的クチコミとし,文章内容の定性的な分析を行った.また,テキスト分析ソフ トを用いてクチコミ文章群からキーワードを抽出し,評点との関係について分析した.

(2)肯定的クチコミの内容分析

文章中で肯定評価されている事項を整理・分類したところ,21項目が抽出された(表

3-3-6-1a).最頻出項目は「体験性」である.築地市場や大江戸温泉をはじめ様々な観

光資源において日本文化の体験が肯定的に評価されていた.続く2位・3位は「食事」

「買物・土産」であった.これらは訪日観光客にとって主要な旅行目的であり[26],実 際に経験後も肯定的に評価されていた.4位は「眺望」であった.東京タワー,都庁,

図3-3-6-1 TripAdvisor上の英語クチコミ投稿者による東京23区内の観光資源の評点分布

社会技術研究開発 研究開発プログラム「問題解決型サービス科学研究開発プログラム」

平成23年度 「顧客経験と設計生産活動の解明による顧客参加型のサービス構成支援法

~観光サービスにおけるツアー設計プロセスの高度化を例として~」

研究開発プロジェクト年次報告書

という項目が注目される.この評価項目は代々木公園,上野公園,渋谷,原宿,新宿 等に対し使われており,日本人の日常生活自体が観光資源として眺められていること がわかった

(3)否定的クチコミの内容分析

同様に文章中で否定評価されている事項を整理した(表3-3-6-1b).再頻出項目は「割 高感」であり,特に築地,銀座,東京タワーに対し指摘されていた.続いて「見劣り」

の問題が東京タワーや皇居東御苑などについて指摘されていた.「撮影禁止」や「入 れ墨禁止」への不満は築地市場や大江戸温泉物語で見られた.これらは外国人に人気 の施設だが,ローカルルールを理解しようとしない観光客にとっては不満をもたらす ようであり,対応の難しさが感じられた.

(5)クチコミを構成するキーワードの抽出と分析

SPSS Text Analytics for Surveysを用いてクチコミ文章中に使われた語句(固有名

詞以外)を抽出し,整理・統合して得られた語句カテゴリを表3-3-6-2に示す.この表 は,外国人が東京観光を語る上でのキーワード集とも言える.これらは概ね,観光資

表3-3-6-1 TripAdvisor上の東京の観光資源への英語クチコミにおける評価項目 (a)肯定的評価 (b)否定的評価

てはTokyo, Japan, Japanese, temple/shrine, fishが抽出された.

次に,各クチコミの評点を被説明変数,文章中で使用された語句カテゴリを説明変 数(0-1データ)とし,数量化Ⅲ類により分析した.この結果,肯定的評価に結びつく 語句カテゴリとしてgood, like, world, shopping, building, nightが,否定的評価に結び つく語句カテゴリとしてdisappointing, bad, expensive, hotel, problem, Japanが抽出 された.評点が肯定側に偏っているためか,抽出された語句は少なく,斬新な発見に は至らなかった.

(4)考察および課題

以上述べてきたように,クチコミに表れた訪日外国人たちの生の声を分析した.こ れにより,「旅行中どのような活動を行い,それは満足だったか否か」という単純な 活動ベースの評価だけでなく,リラックス感や利便性,にぎわい,割高感といった情 緒的で多様な評価項目が用いられていることを確認できた.もちろん,今回の対象と

表3-3-6-2 TripAdvisorの東京の観光資源への英語クチコミ379件から抽出された 使用語句カテゴリ

社会技術研究開発 研究開発プログラム「問題解決型サービス科学研究開発プログラム」

平成23年度 「顧客経験と設計生産活動の解明による顧客参加型のサービス構成支援法

~観光サービスにおけるツアー設計プロセスの高度化を例として~」

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