閥EA
第2節 方法
第1項 練習内容の作成について
1.有効なペネトレートプレーを行うためのノーボールマンのムービングについて
前章のゲーム分析の結果をふまえ,ドリブルペネトレートプレーを有効に行うためには,
2つのことが考えられる.1つには,ドリブルペネトレートプレーを行う直前に,45。
ポジションにおいて,ボールマンがlonlを独立して行えるフロアーバランスをつくるこ とである.すなわち,ノーボールマンのディフェンスが容易にカバーディフェンスができ ないように,ボールとリングを結ぶ線(以下,インライン)付近にオフェンスおよびディ フェンスプレーヤーが位置しないクリアーなフロアーバランスをつくることである.2つ には,ドリブルペネトレートプレー中において,ノーボールマンが連続して動く(以下,
ムービング)ことで,常にインライン付近をクリアーな状態を保つことを考慮し,フロア ーバランスに変化を持たせることである.すなわち,ノーボールマンのディフェンスが,
ボールマンに対して,カバーディフェンスを容易させなくすることであり,ドリブルペネ トレートプレーを行う直前とドリブルペネトレートプレー中のフロアーバランスは,ノー ボールマンのスペーシングやノーボールマン同士のスクリーンプレーなどのムービングが 重要となる.
しかし,ディフェンス隊形が崩れていない状態で,スペーシングやノーボールマン同士 のスクリーンプレーを行っても,ディフェンスは,ボールマンのlon1に対して容易にカ バーディフェンスをすることができる.また,ディフェンス隊形を崩し,lonlが独立し て行えるフロアーバランスをつくることができても,そのlonlにおいて,ディフェンス を振り切ることができなければ,得点することは困難となる.そこで,ドリブルペネトレ ートプレー開始時におけるボールマンの有利な状況をつくる必要がある.
ボールマンとマッチアップするディフェンスの相対関係には,その関係が崩れていない 場合,ズレが生じて多少崩れている場合,完全に崩れている場合の3つが考えられる26).
この中で,ドリブルペネトレートプレー開始時におけるボールマンが有利な状況とは,相 対関係が多少崩れているか,完全に崩れている場合となる.
図17は,両者の相対関係が多少崩れ,ズレが生じている場合を示し,オフェンスのブ リーフット(ピボットフットではない足)とゴールを結ぶ線上に,マッチアップしている ディフェンスの足が位置せず,オフェンスのフリーフットの方が,ディフェンスの足より
リングに近い位置にある状態を示している.図18は,相対関係が完全に崩れている場合 を示し,オフェンスのインライン上にディフェンスが重ならず,オフェンスの方が,ディ フェンスよりもリングに近い位置にある状態を示している.
£
図17.相対関係にズレが生じている状況
オフェンス
\1
皇
阜
アィフェンスの
図18.相対関係が崩れている状況
一方,相対関係にあるディフェンスポジションは,ボールの位置,リング,そしてマッ チアップしているオフェンスの位置によって決定する26)ことから,ボールの動きとオフ ェンスのムービングが早ければ早いほど,正確なディフェンス隊形もとりづらく,相対関 係が崩れやすくなり,ドリブルペネトレートプレー開始時におけるボールマンの有利な状 況が生まれやすくなる.
以上のことから,練習プログラム作成にあたって,有効なべネトレートプレーを行うた めのノーボールマンのムービングには,3つのねらいがあると考えた.
(Dディフェンス隊形を崩し,ボールマンとディフェンスの相対関係に,ズレを生じさせ るか,相対関係を崩すためのムービング.
(2)50n5の状態からボールマンのIonlを独立させ,さらにインライン付近がクリアーな 状態を構成することで,ドリブルペネトレートプレーを有効に行う ためのフロァーバ ランスを意識的につくりだすためのムービング.
(3)ボールマンのドリブルペネトレートプレーが起こった際,ノーボールマンのディフェ ンスを引きつけ,ボールマンに対してのカバーディフェンスを容易にさせないための
2.ノーボールマンのムービングの実際について
ノーボールマンの移動方向は,図19に示 すように,ボールマンへの方向(a),リングの へ方向(b),ボールマンから遠ざかる方向(c)
に分類できる11). ボールマンが独立して lon1ができるようにするためには,ノーボー ルマンの移動方向は,リングの方向,ボール マンから遠ざかる方向になると考えられる4).
リングの方向に移動するカッティングプ レー(cutting play)は,リングの方向に移動 した後,連続して,ボールマンが位置しない アウトサイドエリアにムービングすることである.
ノーボールマン
6
④葦塁ヤ
(b)垂 乗 ボールマン
皇
図19.ノーボールマンの移動方向
リングの方向に移動することで,ディ
フェンスは,タイトについてくる.このことで,ボールマンが独立してlon1ができる状 態になる.さらに,ディフェンスを引きつけたまま,アウトサイドエリアにムービングす
ることで,インライン付近をクリアーにすることもできると考えられる.
ボールマンから遠ざかるアウェイプレー(awayplay)は,オフェンスプレーヤーが位置し ないアウトサイドエリアに移動する場合と他のノーボールマンの方向に移動する場合が考 えられる.オフェンスプレーヤーが位置しないアウトサイドエリアに移動する場合は,ス ペーシングを意識した動きで,インライン付近をクリアーにすることができる.他のノー ボールマンの方向への移動は,ノーボールマン同士が,アウトサイドエリアにおいて,ス クリーンプレー(アウェイスクリーンプレー)する動きで,ディフェンスは,スクリーン プレーに対応しなければならず,そのためボールマンが独立して10nlができる20).また,
オフェンスプレーヤーが位置しないアウトサイドエリアへのムービング同様に,インライ ン付近をクリアーにすることもできる.
以上のことから,ノーボールマンがムービングすることで,ドリブルペネトレートプレ ーが起こる直前の状態において,ボールマンが有利な状況となる.また,ドリブルペネト
レートプレーが有効に行うフロアーバランスをとるためのノーボールマンのムービング は,カッティングプレーや,アウェイプレーすることで,ボールマンを中心にワンパスウ
のフロアーバランス25)を,エリアおよびプレーヤーの組み合わせに変化をもたせ,連続 的に構成されるようにムービングすることであると考えた.
さらにボールマンのドリブルペネトレートプレーが起こっている状態において,ノーボ ールマンのムービングは,カッティングプレーを行うとボールマンのドリブルペネトレー
トプレーと重なる場合が考えられるのでカッディングプレーは行わず,アウェイプレーす ることで,フロアーバランスに変化を持たせることであると考えた.
図20は,トライアングルのフロアーバランスの構成例を示したものである.右図に示 すように,トライアングルのフロアーバランスが異なったプレーヤーで同時に2カ所でき
る場合もある.
B N2
N3
N2 N1
N4.
B
N3
N1
B:ボールマン N:ノーボールマン
図20.トライアングルのフロアーバランス
3..プレーセレクションについて
戦術トレーニングの課題の1つに,運動観察能力の養成があり,スポーツ実践において
「どう戦うか」の意志決定は,運動の観察によってのみ決定,修正される13).また,ゲ ームにおける成功は,正確な状況判断から,その状況に適したプレーセレクションができ
るプレーヤーによってもたらされる3).故に,ボールマンは,10nlにおいてディフェン スの状況とフロアーバランスの状況を,ノーボールマンは,ボールマンの状況とフロアー バランスの状況を正確に判断し,有効なプレーを引き出すためのプレーセレクションをす る必要がある.
たとえば,ボールマンのプレーセレクションについてみると,ボールマンにマッチアッ プしているディフェンスの相対関係が崩れていない場合やインライン付近がクリアーな状 態でない場合は,ドリブルペネトレートプレーを行わず,パスを展開することで攻撃隊形 を立て直さなければならないと考えられる.また,ドリブルベネトレイトプレー中におい て,ボールマンに対してカバーディフェンスされる場合も考えられ,カバーディフェンス の状況を正確に判断し,確率の高いショットを選択する必要がある.
このように,プレーセレクションは,状況によって様々な選択肢が考えられ,練習の中 でプレーヤー自身が,「気づく」ように次の方法を取り入れた.
(1)練習中にプレーを止め,「なぜ今のプレーが成功したのか」,または,「成功しなかっ たのか」をプレーヤーに問いかけながらプレーの状況確認をした.
(2)1つのプレーが終了した後,同じチームでプレーしたプレーヤーが集まり,実践した プレーについて分析するためミーティングを行った.
(3)練習状況をビデオ録画し,それを鑑賞することで,自分のプレーを再確認することと,
他のプレーヤーの動きを見て,「なぜ今のプレーが成功したのか」,または,「成功し なかったのか」を全員で状況分析を行った.