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文   献

ドキュメント内 方   法 (ページ 34-57)

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付記

本論文は,平成21年度筑波大学大学院人間総合科学 研究科に提出した修士論文の一部を再分析したもので す。また,本研究にご協力下さいました幼稚園・保育園 の先生方に心より感謝申し上げます。

Ikeda, Yukiyo (Senzoku Junior College of Childhood Education) & Okawa, Ichiro (University of Tsukuba). The Relation between Day Nursery and Preschool Teachers’ Thoughts about Job Stressors and Their Mental State Regarding Work: Work Duties and Work Environment as Mediating Factors. THEJAPANESE JOURNALOF DEVELOPMENTAL PSYCHOLOGY 2012, Vol.23, No.1, 23−35.

This study investigated the relation between day nursery and preschool teachers’ thoughts about job stressors and their mental condition with regard to work. We asked 119 day nursery teachers and 114 preschool teachers to fill out a questionnaire, and conducted a path analysis on their data. Consistent with our hypothesis, day nursery teachers and preschool teachers’ own thoughts about their work duties were found to mediate their mentality towards work. According to the results, “pride as a professional” and “relationship of trust with children and their guardians” brought about positive effects in terms of teachers’

self-efficacy. “Shared understanding at work” reportedly tended to reduce burnout in day nursery teachers but not among preschool teachers. In addition, although job-related stress was reduced when teachers found work challenging and had a sense of job satisfaction, a collaborative working environment and understanding shared among teachers at work reduced stress in day nursery teachers but not preschool teachers. Our results suggest that stressors and job stress-related factors are occupation-specific, even though both day nursery teachers and preschool teachers are classified generally as childcare workers.

【Key Words】 Childcare worker, Job stress, Cognition of work, Preschool, Day nursery, Mediation effect

2010. 9. 30 受稿,2011. 4. 27 受理

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島 義弘 上嶋 菜摘

(名古屋大学大学院教育発達科学研究科) (名古屋大学大学院教育発達科学研究科1)・日本学術振興会特別研究員)

小林 邦江 小原 倫子

(愛知淑徳大学大学院心理学研究科) (愛知江南短期大学現代幼児学科2)

母親は母子相互作用において,子どもへの関わりを決定する際に多様な情報を使用していることが示 されている。本研究では,母親が使用する情報が母親自身の内的作業モデルによってどのように異なる のかを検討した。第1子が9ヶ月の母親29名を対象として,質問紙調査と自子以外の乳児が映った映像 を刺激として用いた面接調査を実施した。質問紙では, 不安 と 回避 の2次元の内的作業モデルを 測定した。映像刺激は3ヶ月児と9ヶ月児が映った15秒のビデオクリップ各5つであり,これらを視聴 した後に何に着目して子どもへの関わりを決定するのかを尋ねた。母親の回答を「乳児の情動」「乳児の 行動」「母親の主観性」「育児経験」「周囲の環境」の5カテゴリーに分類した上で,内的作業モデル( 不安 と 回避 の2因子)を説明変数とした回帰分析を行ったところ,3ヶ月児のビデオクリップに対しては,不 安 が高いほど,また 回避 が低いほど「乳児の行動」への言及が多かった。一方,9月児のビデオク リップに対しては 不安 が高いほど「乳児の情動」への言及が多く,回避 が高いほど「母親の主観性」

に基づいた言及が多くなる傾向が認められた。以上の結果から,母親自身の内的作業モデルの違いによっ て母親が使用する情報は異なり, 不安 が高いほど乳児に起因した情報を多く使用し, 回避 が高い ほど乳児に起因した情報から注意を背ける傾向があることが示された。

【キー・ワード】 母子相互作用,内的作業モデル,ビデオクリップ,主観性

問題と目的

母子相互作用においては,養育者(以下,母親)が子 どもの内的状態をどのように読み取るかが重要であると されてきた。子どもの内的状態の読み取りに関する母 親側の能力もしくはスキルとして,Maternal Sensitivity

(Ainsworth, Blehar, Waters, & Wall, 1978),Emotional Availability(Emde & Sorce, 1983),Reflective Function

(Fonagy & Target, 1997),Mind-Mindedness(Meins, 1997),Insightfulness(Oppenheim & Koren-Karie, 2002) など,様々な概念が提唱されている。例えば,乳児を

「心」をもった存在であるとみなし,「心」に焦点を当て て子どもと関わろうとする傾向であるMind-Mindedness を用いた縦断研究では,Mind-Mindednessが高いほど生 後6ヶ月,および9ヶ月時点での実際の母子相互作用場 面において乳児の内的状態に対する言及が多く(篠原,

2006,2008),12ヶ月時点での子どものアタッチメント スタイルが安定型になる確率が高く(Meins, Fernyhough, Fradley, & Tuckey, 2001),3 – 4歳時に測定された心の理 論等の認知発達も良好であることが示されている(Meins,

Fernyhough, Wainwright, Das Gupta, Fradley, & Tuckey, 2002)。つまり,母親が「乳児」に焦点化した関わりを することが,子どものより望ましい発達を導くことにな るのである。

しかし,現実の母子相互作用においては,母親は子ど もの内的状態を読み取るばかりではなく,自身の主観性 に基づいた働きかけをしているという報告もある(鯨岡,

1986)。Ueshima & Obara(2008)や上嶋・小原(2010)

は,母親は子どもに対する影響の与え手としてだけでは なく,自らも主体性を持った存在として相互作用を構成 しているという考えのもとに,母親が子どもへの関わり 方を決定する際にどのような情報にアクセスしているの かを調べた。その結果,母親が使用している情報は乳児 の情動や乳児の行動といった乳児に起因するものだけで はなく,親の主観性や育児経験などの母親に起因するも の,周囲の環境などの外部要因の3つに大別されるこ とが示された。このことから,母親は子どもから情報を 読み取るだけではなく,自らの主観も関与させながら母 子相互作用を行っていることが示唆された。ただし,こ れまでの研究は,母子相互作用において母親が使用可能 な情報源が多様であることを示したに過ぎず,そこにど のような個人差が存在しているのかは検討されていな 1)現所属:知多市子育て総合支援センター

2)現所属:岡崎女子短期大学幼児教育学科

い。そこで,本研究では母子相互作用において母親が使 用する情報の個人差を検討する。ここで,母親が使用す る情報に個人差を生じさせる要因の1つがアタッチメン トの内的作業モデルであると考えられる。なぜなら,内 的作業モデルは乳幼児期に繰り返し経験された母子相互 作用が一般化・抽象化されて形成された心的表象であり

(Bowlby, 1973),内的作業モデルを類型化した母親のア

タッチメントスタイルが母子関係の個別性や養育行動を 説明する重要な要因となるのに加えて(Adam, Gunnar,

& Tanaka, 2004),内的作業モデル自体は情報処理を導く 機能を有していると考えられているからである(Bowlby, 1980, Collins, Guichard, Ford, & Feeney, 2004)。

Bowlby(1973)によると,内的作業モデルは「自分

は愛される価値のある存在か」という不安を反映した自 己についてのモデルと「他者は自分を助けてくれるか,

信頼できるか」という他者への接近や依存を反映した他 者についてのモデルの2次元で構成されている。このう ち,自己についてのモデルは関係に対する不安(以下,

不安 )として,他者についてのモデルは関係からの回 避(以下, 回避 )として概念化されている(Brennan, Clark, & Shaver, 1998)。内的作業モデルは外界からの情 報を取り入れ,解釈し,行動に移すといった一連の情 報処理を導く機能を有しているとされている(Bowlby, 1980, Collins et al., 2004)。内的作業モデルの情報処理 機能に関する研究を概観すると, 不安 は内的作業モ デルの過活性化と関連し, 回避 は内的作業モデルの 不活性化と関連することが示されている(Mikulincer &

Shaver, 2007; 島,2007)。例えば,不安 が高いほどニュー トラルな表情からネガティブな情動を読み取る傾向があ り,わずかな手がかりから脅威を読み取ることが示され ている(Fraley, Niedenthal, Marks, Brumbaugh, & Vicary,

2006; 金政,2005)。これらは, 不安 が高いほど外部

に存在する(ネガティブな)情報に敏感で,特にあいま いな,あるいは微弱な他者の情動表出に対して過剰に反 応する傾向があることを示している。一方, 回避 が 高いほど認知的開放性が低く(Mikulincer, 1997),アタッ チメントに関連した情報の探索をしないことや(Rholes, Simpson, Tran, Martin III, & Friedman, 2007),アタッチ メントに関連した情報が記憶や思考から排除され,意 識的なアクセスが困難になる(Fraley, Garner, & Shaver, 2000)など,アタッチメントに関連した情報の処理が抑 制される傾向があることが示されている。

以上のことから,本研究では次の仮説を設定した。ま ず, 不安 の高さが外部情報に対する敏感性と関連す ることから, 不安 が高いほど母子相互作用において 乳児の情動や行動といった乳児に起因する情報がより多 く使用され,逆に親の主観性や育児経験といった母親に 起因する情報は使用されにくくなるだろう。一方, 回

避 の高さは情報処理の抑制と関連することから,回避 が高いほど乳児に起因する情報は使用されにくくなり,

母親に起因する情報がより多く使用されるだろう。最後 に,周囲の環境などの外部要因については本研究では特 定の仮説を設けずに検討することにした。なぜなら,例 えば 不安 が高いほど乳児に目を向けるために周囲の 環境には注意が向けられないとも,情報探索に駆り立て られるために周囲に目を配るようになるとも考えられ,

回避 についても同様に,促進,抑制両方向の予測が 可能であるためである。

なお,乳児の内的状態の読み取りの測定には母親と自 子との相互作用を観察する方法と,写真や映像などの刺 激を呈示して,刺激に対する反応を採取する方法の2つ があるが,本研究では母親の個人差に着目したため,子 どもの側の要因は統制することが望ましいと考え,共通 の映像を刺激として用いることとした。自子ではない乳 児の映像刺激を用いても,母親による子どもの内的状態 の読み取りを測定することが可能であることは,篠原

(2006)などで示されている。

方   法

研究参加者

開業の小児科医院と保健センターにて,第1子が9ヶ 月になる母親に研究の目的,内容について説明し,29 名(平均年齢31.17歳(SD = 4.29))から研究参加への 承諾を得た。このうち,専業主婦は21名,有職者(休 業中)は8名であった。なお,調査は第1子が9ヶ月になっ た日から2週間程度の間に実施された3)

手続き

研究協力への同意を得られた参加者に,調査実施の1 週間前までに質問紙を直接,もしくは郵送にて配布し,

面接調査実施時までに記入するよう依頼した。その後,

研究参加者の自宅もしくは小児科の個室でビデオクリッ プを使用した面接調査を実施した。場所は研究参加者の 希望に従った。

質問紙 アタッチメントの内的作業モデルを測定す るために,Brennan et al.(1998)が作成したECR(the Experiences in Close Relationships)の邦訳版(中尾・加 藤,2004)を使用し,1=全くあてはまらない から 7

=非常にあてはまる までの7件法での評定を求めた。

この尺度は 不安 と 回避 の2次元で構成されてい る。本研究では研究参加者の負担を考慮し,中尾・加藤

(2004)において因子負荷の高かった各因子10項目,計 20項目を使用した4)。各因子10項目の評定値をもとに,

不安 得点(M = 28.24,SD = 11.65;α= .86)と 回避

3)研究参加への依頼から調査の実施までの期間は,1週間から3

月程度であった。

4)金政(2007)で同様の使用法が報告されている。

ドキュメント内 方   法 (ページ 34-57)

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