66.7治験薬A→治験薬B
2) 文献報告による記載
−
川上理子:「痛くない治療の試み」日小皮会誌,2000年6)摘除にはトラコーマ摂子を用いるが、その際に痛みを軽減する目的で、多発例においては処 置の1~2時間前に皮疹部にリドカインテープを貼っておく。
−
南光弘子:「小児の「みずいぼ」の治療(伝染性軟属腫)」アレルギーの臨床,2006年7) 摘出には痛みを伴うため、予め局所麻酔薬のテープ剤であるリドカインテープ(ペンレス®)1~2枚を小さく切って(1枚につき10片程度)水いぼに密着貼付し、30分~1時間待ってから摘
出している。(中略)通常1回2枚以下の使用としている。−
日野治子:「伝染性軟属腫(みずいぼ)の治療」日本医事新報,2002年8)リドカインテープ剤(ペンレス®)で密封療法後に摘除しているが、ほとんど疼痛なく摘除で きる。1枚のテープ剤をおおむね10片に小さく切り分け、1回に1~2枚分ほどを乳幼児の軟属腫 に密着するように貼って、約1時間後にテープを剥がして鑷子で摘み取り、出血を抑え、抗生物 質軟膏を貼付しておく。
−
本田光芳ら:「みずいぼの治療―アンケートを集計して―」日小皮会誌,2000年9)日本小児皮膚科学会の名簿から、小児科医、皮膚科医各50名を無作為に選択して実施した「み ずいぼ治療に関する」アンケート(回答数59名:小児科医34名、皮膚科医25名)であり、当該 調査の内容は次のとおりである。
本アンケートでは、鑷子を使用して軟属腫の内容を圧出する方法が、小児科医22人(70%)、
ペンレス®テープ18mg
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添付文書(案)page 8
皮膚科医19人(60%)で、治療の主流を占めている。ペンレス®の使用は、小児科医22人のうち、
4人、皮膚科医19人のうち、 7人であった。両科を
合計すると、おおよそ4人に1人がペンレス®を使用することになる。この比率を普遍的に適応 すれば、ペンレス®は一般外来で極めて日常的に使用されていることになる。−
川名誠司:「伝染性軟属腫」小児科,199910)あらかじめ家族にリドカインテープを渡し、来院する1時間前に皮疹部に貼付してもらうと圧 出の痛みはかなり軽減する。ただし、リドカインテープは伝染性軟属腫に保険適応外である。
−
大橋映介:「伝染性軟属腫の摘除と尋常性疣贅の冷凍手術」小児外科,200311)和紙絆創膏でtagをつけたペンレスを患部に貼り、30分以上待つ。その後ペンレスを剥がしな がら、消毒をして鑷子で一個ずつ摘除していく。(中略)全身散布例はペンレスの使用量の限界 や吸収のスピードについて、はっきりとしたデータが入手できないので、筆者は1回につき1/2 枚くらい留め、分割して摘除している。
−
日野治子. 伝染性軟属腫(みずいぼ)の治療について. 日小皮会誌. 2000; 19(2): 151-152.12)実際には、1枚のテープ剤を概ね10個に小さく切り分け、1回に1~2枚分程を乳幼児の軟属腫 に密着するように貼る。
約1時間後テープをはがし、摂子で摘み取り、出血を抑え、抗生物質軟膏を貼布しておく。
−
川島 眞:「伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和措置に関する実態調査」臨床医薬,2011年13) 全国の皮膚科医(回答数506名)を対象として、2011年4月~5月に行われた伝染性軟属腫摘除
時の疼痛緩和に関する実態調査であり、当該調査の内容は次のとおりである。95.8%の医師が伝染性軟属腫の治療として摘除を行っており、そのうちの62.3%が摘除時に疼
痛緩和措置を施していた。疼痛緩和措置のうち、85.4%がリドカインテープを使用(本剤はそ の92.6%)している実態があった。使用の対象となる患児は0歳以上と回答した医師が20.5%、1歳以上が
19.4%、2歳以上が19.4%、3歳以上が19.8%で合計すると3歳以上を対象とする医師が
79.1%に上った。
リドカインテープを使用する医師の、90.3%が分割して使用(12分割まで)していた。1回の 摘除術あたり、多くの例で2枚まで使用(85.7%)されていた。また、施術前の1時間~2時間未 満(42.2%)貼付されていた。
98.0%の医師が「効果あり」と回答し、 93.8%の医師が安全性に問題なしとの回答結果を得た。
本邦で使用されている用法・用量は、リドカインの安全性情報を考慮の上、医師の経験が加味 されて確立されたものであると推定し、多くの医師が安全性に問題なしと回答していたことか ら、汎用されている用法・用量は妥当であると考えた。
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添付文書(案)page 9
なお、本開発に先立ち実施した皮膚科医への意見聴取(2008年 マルホ(株)社内資料(伝 染性軟属腫の治療に関する調査)(資料5.3.5.4-2)、以下伝染性軟属腫アンケート)では、本剤 は伝染性軟属腫摘除にあたり、1回に2枚までが分割して使用されることが多く、分割する際に は8分割されることが多いとの結果を得ており、上記の使用実態を裏付ける情報であった。
以上の成書及び文献等の情報より、本剤は、医療現場において伝染性軟属腫の摘除時の疼痛 緩和方法として広く使用されており、おおよそ以下の用法・用量にて使用されていると考えら れた。
・本剤は伝染性軟属腫摘除術1回あたり、1~2枚が使用されている。
・本剤は分割して用いられている。
・本剤は伝染性軟属腫摘除術前の1~2時間貼付されている。
そこで、本開発では上記の使用実態を踏まえ、小児臨床薬理試験(M519101-11、以下M11試 験)及びM12試験を実施することとし、上記の使用実態から想定される用法・用量の範囲で本 剤の有効性及び安全性を確認することで、医療上の実態に沿った用法・用量を設定することと した。
なお、本剤は医療現場で分割して使用されている実態があるが、この方法は個々の軟属腫の 病態に対応することが可能であり、また、投与量を必要最小限に抑えられることから合理的な 面もあることを踏まえ、用法に含めることが適切だと考え開発計画に盛り込むこととした。
(2) 小児臨床薬理試験(M11試験)による安全性評価並びに本剤分割時の影響
小児伝染性軟属腫患者を対象に、医療現場での使用実態を反映した用法・用量での血清中リ ドカイン濃度が全身性の副作用を及ぼさない程度であることの確認、及び本剤の分割による吸 収への影響の確認を目的として実施した。
6歳以上の小児伝染性軟属腫患者18例を対象に、非分割群(2枚)及び分割群(8分割した2枚、
16小片)として体幹及び四肢の軟属腫に各々120分間貼付し、貼付後1時間後、 2時間後(治験薬
剥離直後)、4時間後の3ポイントの血清中リドカイン濃度で、分割の影響を評価するとともに、
最高血清中リドカイン濃度から安全性を確認した。
なお、血清中薬物濃度の評価ポイントは3ポイントであるが、対象患者が小児であることから、
採血の負担を軽減するために被験者を3群に分け、各被験者あたり2回の採血とし、貼付開始後1 及び2時間、あるいは貼付開始後2及び4時間として、試験全体として3ポイントでの評価ができ るようにした(表 1.8-2 )。
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表 1.8-2 群構成の内訳貼付群 用法・用量 症例数 採血ポイント
1hr 2hr 4hr
非分割群
2枚・120分 6例
- ● ●6例
● ● -分割群
2枚(16小片)・120分 6例
- ● ●M11試験の結果を表 1.8-3
に示す。非分割群の血清中リドカイン濃度は1.86±3.62 ng/mL(1時間値)、
30.15±56.74 ng/mL
(2時間値)及び13.85±9.73 ng/mL(4時間値)であった。分割群の濃度は、12.52±7.99 ng/mL(2時間値)、
10.62±4.87 ng/mL(4時間値)であり、分割群が非分割群の濃度を上回ることはなかった。
また、血清中リドカイン濃度の最大値は195.7 ng/mL(非分割群、貼付開始2時間後)であり、
全身性の中毒症状発生濃度1000 ng/mL に比較して低い濃度であった。
表 1.8-3 血清中薬物濃度の推移
非分割群 分割群※
貼付後時間 例数
平均
±標準偏差
(最小値-最大値)
[中央値]
例数
平均
±標準偏差
(最小値-最大値)
[中央値]
1時間 6
1.86 ± 3.62
(0.000 - 9.182)
[0.3580]
- -
2時間
(除去直後)
12
30.15 ± 56.74
(0.000 - 195.7)
[5.075]
6
12.52 ± 7.99
(0.9547 - 23.37)
[13.00]
4時間
(除去後120分)
6
13.85 ± 9.73
(1.457 - 27.31)
[12.98]
6
10.62 ± 4.87
(3.627 - 17.97)
[11.33]
※分割群:8分割した本剤2枚を貼付した群
上記の結果から、本剤を伝染性軟属腫患者の体幹及び四肢に2枚まで貼付した時の血清中リド カイン濃度は、全身性の副作用発現濃度に比較して低い濃度であること、並びに本剤の分割が 薬物動態に影響を及ぼす可能性は低いことが確認された。
安全性としては、本試験において有害事象が発生しなかった。そのため、本剤2枚を120分貼 付することによる安全性には特に問題がないことが確認された。
以上より、本剤を1時間~2時間の範囲で貼付すること、及び患部の大きさに合わせて適宜分 割する用法については、安全性の観点からの問題は認められず、医療現場での使用方法は問題
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ないものと考えられた。(3) 第III相試験(M12試験)による有効性及び安全性評価
本剤の疼痛緩和効果を適切に評価するための同一個体内比較によるプラセボ対照二重盲検試 験である。
計画立案時、伝染性軟属腫は3~15歳の小児に多発する疾患であるとの情報に基づき3)、本治 験では疼痛緩和効果の評価を被験者本人が行うため、痛み評価が可能である年齢を考慮し、下 限を4歳とした(上限は15歳)。
本治験では医療現場での分割使用の実態を反映した条件での有効性を確認するため、治験薬 を8分割し、伝染性軟属腫1個につき1小片を貼付することとした。皮膚科専門医の助言に基づき、
疼痛緩和評価時の伝染性軟属腫摘除個数は3個とし、貼付枚数は、評価部位の小片3枚に貼付時 間中の落剥を考慮した小片1枚を加え、各治験薬の小片を本剤及びプラセボで4枚ずつ(本剤と して1/2枚相当)貼付することとした。
本剤が伝染性軟属腫摘除時に使用される場合、文献報告等からの情報により、用量の上限は2 枚と想定していたため、この用量の範囲内で第III相試験を行うことを検討したが、以下の理由 により、計画に含められなかった。
1)
本剤は局所麻酔剤であり、貼付枚数に関係なく貼付部位ごとに疼痛緩和効果の評価が出 来ると考えた。2)
第III相試験の主たる目的は有効性評価であり、そのため、試験デザインを、同一個体内 比較によるプラセボ対照試験とした。そのため、本剤2枚相当分を貼付する計画とした場 合、本剤及びプラセボ各2枚(合計:32片)を貼付することとなる。この場合、選定基準 を満たす伝染性軟属腫を有する患者の確保が困難と考えられた。3)
貼付する小片数が多く、手技・処理の煩雑さから、治験薬間で貼付時間や評価時間に差 が生じ、また、貼付中に治験薬が落剥する可能性が高まり、暴露量の違い等が生じるこ とで有効性評価への影響が懸念された。貼付時間については、伝染性軟属腫アンケート及び医療現場における使用実態の文献調査
5)-12)
において、
1~2時間との報告が大半を占めていたこと、本剤は伝染性軟属腫摘除の前処置
薬であり、医療現場での利便性を考慮して貼付時間を原則60分とした。M12試験の結果は以下のとおりであった(表 1.8.1参照)。
有効率は83.6%(51/61例)、95%信頼区間は71.9~91.8%であり、95%信頼区間の下限値が55%
を上回っており、本剤の疼痛緩和効果が検証された。
本検定に加え、副次的に優劣比較判定の符号検定を、有意水準を両側5%として行ったところ、
本剤はプラセボに比べて統計学的に有意な差を示した(p<0.0001)。