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基礎共通科目の概要

 私たちが生きる現代社会においては、つねに唯一の正しい答えがあるとは限らない。複数の答えが ある場合や、そもそも答えのない場合さえある。こうした社会を生きる上で、正しいと思われる判断 を行うには、正確な情報に基づき、論理的に思考し、結論を導くことが何より重要であるが、そのた めには専門的・体系的な専門知識に加えて、幅広い教養が必要なことはいうまでもない。基礎共通科 目は、そうした広範な教養を身につけることを主たる目的としたものである。

 基礎共通科目においては、科学系統群により幅広く基礎教養を学ぶことができるよう、授業科目を 人文科学系、社会科学系、自然科学系の 3 系統と、学際融合系をあわせた 4 つの系統に分け、各科学 系の授業科目の中からそれぞれ 4 単位以上、また学際融合系科目の中から 2 単位以上を修得するよう 定めている。

 人文科学系、社会科学系、自然科学系の 3 系統については、科目の内容に応じてさらに 4 つの「群」

に分けており、様々な知識をバランス良く身につけるためには、各「群」から各 1 科目 2 単位以上を 修得することが望まれる。

 学部で履修する専門科目以外に、こうした基礎共通科目の履修を通して、社会で生きていくうえで の広範な教養や知識を身につけることができる環境は整っている。したがって、卒業必要単位の確保 に止まるのではなく、各自の専門分野との関連から、あるいはより広い学びへの知的好奇心から、基 礎共通科目を積極的に履修してほしい。

Ⅰ . 人文科学系

 本領域は、人間の精神や文化を主な研究対象とする人文科学に属する科目を、A群:リベラルアー ツ、B群:人間を学ぶ、C群:文化を学ぶ、D群:歴史を学ぶ の 4 つの群に分けて配置している。

 A群:リベラルアーツ

 「哲学」、「倫理学」、「心理学」、「歴史学」、「文学」、「哲学プラクティス」、「女性学」、「現代の 芸術」及び「宗教学」の 9 科目で構成され、おもな内容は以下のとおりである。

◦宗教や科学、人間の存在そのものを問う哲学、および人間の精神活動の拠り所となっている 道徳や価値基準などに目を向ける。

◦自己と他者の「心」の理解や、現代日本社会の出発点となった近代日本社会の成り立ち、文 字や言葉あるいは記号を介しての人間の意識や感情の表現、モラルや論理の組み立て方など を学ぶ。

◦ジェンダーの視点から、社会システムばかりでなく日常生活にも内在する問題を考察し、現 代芸術の観点から行為と被行為の関係性を学ぶ。

◦現代芸術の観点から、主として写真を題材に行為と被行為の関係性等について学ぶ。

 B群:人間を学ぶ

 「生態人類学」、「環境と文学」、「芸術と社会」、「生命と倫理」、「人権(同和)の問題」および

「感情、人格心理学」の 6 科目で構成され、おもな内容は以下のとおりである。

◦人類学・生存戦略・自然の認識・牧畜民をキーワードとして人類の様々な活動に焦点を当て ながら人間の生態について学ぶとともに、わが国のコメ文化をテーマにしながら、定着農 業・コメの農耕儀礼・年中行事・神話伝承について学ぶ。

◦わが国に根強く残る部落差別や在日外国人差別の歴史と現状を考察し、人権の意識と感覚の 涵養をめざす。

 C群:文化を学ぶ

 「言葉と社会」、「コミュニケーション論」、「イメージと文化」、「日本語の諸相」、「比較文化」、

「芸術基礎論」、「現代思想」、「近現代の文学」、「日本研究」、「越境する文化と文学」の 10 科目で 構成され、おもな内容は以下のとおりである。

◦現代社会における社会的コミュニケーションについて学ぶとともに、言葉とイメージの関わ り、文化のなかにおけるイメージのあり方や意味について学ぶ。

◦日本語をさまざまな視点から見直し、言葉の持つ性質や機能について学ぶ。

◦言語を社会的な約束事と捉え、日本語と英語を比較しながらその約束事を形式・音声・意味 および用法などについて学ぶ。

◦中国・韓国・西洋などの異文化との比較を通して日本文化の特質について学ぶ。

◦哲学の立場から、現代思想の多様な思考についてそこに共通する志向を見出す。

◦文学の立場から、フィクションと自己とのコンタクト・ゾーン等について学ぶ。

 D群:歴史を学ぶ

 「社会思想史」、「歴史と文化」、「文学と歴史」、「地域と文化」、「芸術史」、「歴史とメディア」、「国 際化の歴史」、「生活の歴史」の 8 科目で構成され、おもな内容は以下のとおりである。

◦仏教文学や万葉集の神話や歌謡を材料として歴史と文学の問題を学ぶ。

◦行事や観光、郷土教育を軸につながっていく地域文化のゆくえを学ぶ。

◦美術館の成立史からその意味等を学ぶ。

◦メディアが歴史において果たしてきた役割等について学ぶ。

 A群:リベラルアーツ

 「社会学」、「法学」、「経済学」、「経営学」、「政治学」、「地理学」および「国際関係論」の 7 科 目で構成され、おもな内容は以下のとおりである。

◦家族から国際社会に至る多種多様な人間集団が示す社会現象とコミュニケーションの形態、

人間集団に秩序を保たせる法律や政治およびその制度などを学ぶ。

◦日常的な経済現象や企業の経営活動と制度などを学ぶことによって、人間の集団活動が形成 する社会の仕組みの理解を深める。

◦グローバル化し、複雑化する社会の中で国際関係をいかに構築していくのかといった問題等 について学ぶ。

 B群:経済を学ぶ

 「産業と経済」、「企業と情報」、「歴史と経済」、「現代社会と企業」、「世界と経済」、「暮らしと 経済」、「福祉と経済」および「社会とファイナンス」の 8 科目で構成され、おもな内容は以下の とおりである。

◦企業情報の意義、作成・伝達・分析方法、経営情報システムについて学ぶ。

◦多様な地域や時代の経済事象の因果関係を、政治外交、思想、慣習など経済外の知見も取り 入れながら、客観的かつ理論的に学ぶ。

◦経営学の立場から、企業情報のモニタリング・システム、リスク・マネジメント、金融機関、

株式会社の現代的意義、現代証券市場、産業・企業のダイナミズム等について学ぶ。

 C群:社会を学ぶ

 「現代社会論」、「現代都市論」、「公共哲学」、「環境人間学」、「社会福祉論」、「家族関係論」、「歴 史と社会」、「ボランティア論」、「グローバリゼーションと文化」、「地域連携入門」および「地域 とメディア」の 11 科目で構成され、おもな内容は以下のとおりである。

◦ダイナミックに変動する現代社会の全体像を把握するために、社会学の立場から、消費とメ ディアの側面を中心に現代社会の諸相を学ぶ。

◦現代都市を舞台に視覚の問題と見知らぬ者同士の相互作用について学ぶ。

◦自然環境・社会環境・精神環境思想史および持続可能性といったキーワードに焦点を当てな がら、 環境と人間との間の問題について学ぶ。

◦ボランティアの社会的意義やその具体的諸相、 地域社会におけるメディアの役割等について 学ぶ。

 D群:法を学ぶ

 「日本国憲法」、「社会生活と法」、「現代政治論」、「法と情報」および「環境法学」の 5 科目で

構成され、おもな内容は以下のとおりである。

◦情報通信ネットワークにかかる法律問題とその解決のための方法・手段を学ぶ。

◦環境法の生成・環境基本法・環境法体系・環境権および環境訴訟法といったキーワードに焦 点を当てながら、 環境と法との関わりやその現代的意義等について学ぶ。

Ⅲ . 自然科学系

 本領域は、自然界の様々な現象を研究対象とする自然科学に属する科目を、A群:リベラルアーツ、

B群:自然の歴史を学ぶ、C群:現代科学を学ぶ、D群:情報を学ぶ の4つの群に分けて配置して いる。

 A群:リベラルアーツ

 「数学」、「物理学」、「化学」、「生物学」、「地学」および「生命化学」の6科目で構成され、お もな内容は以下のとおりである。

◦ツールとしての数学ではなく、「文化としての数学」が日常生活に偏在している様子につい て学ぶ。

◦自然現象を支配する基本法則、物質や生物の存在状態、およびそれらの性質と変化などの理 解を通して、自然界に生きる人間としての自然観や倫理観を涵養する。これらの主題の歴史 的な発展を概観する中で、現代の科学と技術の最先端の知識等について学ぶ。

 B群:自然の歴史を学ぶ

 「地球の歴史」、「生物の歴史」、「自然と人間」、「自然科学史」、「技術の歴史」および「環境と 地理」の 6 科目で構成され、おもな内容は以下のとおりである。

◦最新の自然科学的成果を紹介しながら、46 億年の地球の歴史を自然科学の目で見直すとと もに、生物の進化と系統について学ぶ。

◦ 500 万年にわたる自然と人間との相互関係を自然科学と社会科学の両面から考えるとともに、

近代の自然科学の歩みを俯瞰しながら、人類の生活に大きな影響を与えた技術の歩み等につ いて学ぶ。

 

 C群:現代科学を学ぶ

 「現代生活と物理学」、「現代生活と生物学」、「現代生活と数理科学」、「現代生活と最先端科学」、「核 と環境」、「環境の化学」、「大気と海洋」、「国際化と情報ネットワーク」、「国際社会における最先端科学」