第 3 章 固定翼付きチルト型クワッド ロータの基準モデルロータの基準モデル
3.5 数値シミュレーション
を発生させることができるかどうかを判断する.図3.9の(a)と(d)のように,現 在のチルト角でuxdの方向に推力のx方向の成分を発生させることができるなら,
その時はx方向の制御入力はux =uxdとする.しかし図3.9の(b)と(c)のように,
現在のチルト角でuxdの方向に推力のx方向の成分を発生させることができないと き,x方向の入力uxは0とし,ロータのチルト角を制御するための入力uθiをuxd から与える.これらの変数の関係を,以下のような論理的な切換えルールで示す.
Rule 1 :
Ifuxd >0and θi <0 thenuθi =−uxd, ux =uxd Rule 2 :
Ifuxd <0and θi ≤0 thenuθi =−uxd, ux = 0 Rule 3 :
Ifuxd >0and θi ≥0 thenuθi =−uxd, ux = 0 Rule 4 :
Ifuxd <0and θi >0 thenuθi =−uxd, ux =uxd
ここではロータ2とロータ4のチルト角について考えているのでi = 2,4である.
なお,x方向を制御しているとき,ロータ1とロータ3のチルト角はともにπ/2と する.
Table 3.1: Parameters of the UAV with four tiltable rotors
Parameter Description Value Unit
g Gravitational acceleration 9.80665 m/s
m Mass 0.8 kg
l Distance 0.4 m
Ix Roll inertia 0.3 kg·m2
Iy Pitch inertia 0.2 kg·m2
Iz Yaw inertia 0.4 kg·m2
Jr Rotor inerta 3.4×10−5 kg·m2
b Thrust factor 0.000029
d Drag factor 0.0000011
-2 0 2 4 6 8 10 12
0 30 60 90 120 150
x [m]
y [m]
z [m]
Position [m]
Time t [s]
x y z
Fig. 3.10: Controlled position
結果を図3.10〜3.12に示す.図3.10は位置,図3.11は姿勢,図3.12は2番目と 4番目のチルトロータの角度を示したグラフである.
図3.10より,位置xは初期値から目標値に収束し,その際位置Zが安定してい ることがわかる.その時図3.11より,姿勢φ, θ, ψも安定していることがわかる.
図3.12より,x方向の位置を制御するためにチルト角が変化し,最終的に目標位 置でチルトロータは鉛直上向きになることが確認できた.従来のクワッドロータ でX方向の位置制御を行う際には機体を進行方向へ傾ける必要があった.しかし,
チルトロータを利用することで機体の姿勢を安定させたままX方向の位置制御を 行うことができることを確認した.
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
0 50 100 150
phi [rad]
the [rad]
psi [rad]
Time t [s]
Attitude [rad]
߶ ߠ
߰
Fig. 3.11: Controlled attitude
-0.8 -0.4 0 0.4 0.8
0 50 100 150
the2 [rad]
the4 [rad]
Time t [s]
ߠଶ
ߠସ
Tilt angle [rad]
Fig. 3.12: Controlled tilt angle
-1.2 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2
0 20 40 60 80 100
x [m]
y [m]
z [m]
Position [m]
Time t [s]
x y z
Fig. 3.13: Controlled position
3.5.2 チルトロータによるヨー角の制御
固定翼付きチルト型クワッドロータは4つのロータの回転方向が従来のクワッド ロータとは異なるため従来のヨー角制御の方法が使用できない.そこで,チルト ロータのチルト角と推力を制御することによって機体のヨー角を制御する手法につ いて検証する.機体の初期値はqT0 [x(0)y(0)z(0)φ(0)θ(0)ψ(0)] = [0 0 0 0 0 0]
であり,目標値はqTr [xdydzdφdθdψd] = [0 0 −1 0 0 π/2]である. またフィー ドバックゲインはk1 = 4.0, k2 = 1.0, k3 = 4.0, k4 = 1.0, k5 = 0.5, k6 = 0.9, k7 = 0.04, k8 = 0.15, k9 = 0.6, k10 = 1.0, k11 = 0.05, k12 = 0.5であり,試行錯誤により 求めた.
結果を図3.13〜3.15に示す.図3.13は位置,図3.14は姿勢,図3.15は2番目と 4番目のチルトロータの角度を示したグラフである.
図3.13より,位置x,yは初期状態から移動せず,zは目標状態に収束すること がわかる.その時図3.14より,姿勢φ, θは安定しておりψは目標値に収束するこ とがわかる.また,図3.15より,ψ角を制御するためにチルト角が変化し,最終 的に目標位置でチルトロータは鉛直上向きになり,機体はホバリングすることが わかる.固定翼付きチルト型クワッドロータは4つのロータの回転方向が従来の クワッドロータとは異なるため従来のヨー角制御の方法が使用できない.しかし,
チルトロータを利用することによりヨー角制御を行えることを確認した.
3.6 まとめ
本章では,提案する固定翼付きチルト型クワッドロータの概要について述べ,動 力学モデルを導出した.ただし,垂直離着陸やホバリングを行うホバリングモー
-0.5 0 0.5 1 1.5 2
0 20 40 60 80 100
phi [rad]
the [rad]
psi [rad]
Time t [s]
A tt it ude [ra d]
߶ ߠ߰
Fig. 3.14: Controlled attitude
ドにおいて固定翼に揚力と抗力が発生しないと仮定して動力学モデルを導出した.
また,従来のクワッドロータとは異なる,チルト機構を利用する制御器の設計に ついて述べ,数値シミュレーションによりその有用性を確認した.X軸方向の制 御にチルト機構を利用することで姿勢角の変化が抑制された.また,チルト角を 変化させることによるヨー角の制御の有用性を確認した.
-0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3
0 20 40 60 80 100
the2 [rad]
the4 [rad]
Time t [s]
ߠଶ
ߠସ
Tilt angle [rad]
Fig. 3.15: Controlled tilt angle