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18.1 基本原則及び主要目的

ドーピングのないスポーツのための情報及び教育プログラムに関する基本原則は、

本規程の序論に記載されているとおり、スポーツの精神がドーピングによって損 なわれることから守ることである。当該プログラムの主要目的は、予防である。

その目標は、競技者による禁止物質又は禁止方法の意図的な、又は、意図によら ない使用を予防することである。

情報プログラムは、第18.2項に定めるとおり競技者に基本的な情報を提供する ことに重点が置かれるべきである。教育プログラムは、予防に重点が置かれるべ きである。予防プログラムは、価値に基づき、学校のカリキュラムでの実施を通 して特に若い世代を念頭に置き、競技者及びサポートスタッフに対して実施され るべきである。

すべての署名当事者は、自らが有する手段と責任の範囲内で、また、相互に協力 して、ドーピングのないスポーツのための情報、教育及び予防プログラムを計画 し、実施し、評価し、監督する。

18.2 プログラム及び活動内容

これらのプログラムは、競技者及びその他の人に対し、少なくとも次の各点を含 む最新かつ正確な情報を提供する。

・ 禁止表に記載された物質及び方法

・ アンチ・ドーピング規則違反

・ 措置、健康被害及び社会的な結果を含むドーピングの結果

・ ドーピング・コントロール手続

・ 競技者又はサポートスタッフの権利及び責任

TUE

・ 栄養補助食品のリスク管理

・ スポーツの精神に対するドーピングの害悪

・ 居場所情報関連義務

当該プログラムは、ドーピングのないスポーツに大きく寄与し、かつ、競技者及

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びその他の人による意思決定に対して、積極的かつ長期的な影響を及ぼす環境を 確立するため、スポーツの精神を推進するものとする。

予防プログラムは、しかるべき成長段階に見合い、学校及びスポーツクラブにお ける若い世代、保護者、成人の競技者、スポーツ関係者、コーチ、医療従事者並 びにメディアを主に対象とすべきものである。

サポートスタッフは、本規程に従って採択されたアンチ・ドーピング規範や規則 に関し、競技者を教育し、また、競技者に助言するものとする。

すべての署名当事者は、競技者及びサポートスタッフによるドーピングのないス ポーツのための教育プログラムへの積極的な参加を推進し、サポートするものと する。

[第18.2項の解説:アンチ・ドーピングに関する情報及び教育プログラムの対象は、国 内レベル又は国際レベルの競技者に限定されず、署名当事者、政府又はその他の本規程を 受諾したスポーツ機関の傘下でスポーツに参加する若い世代を含む、すべての人を含むべ きである(競技者の定義を参照すること)。これらのプログラムの対象には、サポートス タッフも含むべきである。これらの原則は、教育と研修に関するユネスコ国際規約と整合 する。]

18.3 職務上の行動規範

全署名当事者は、相互に、または、各国政府と協力して、世界規程に適合する、

適切な行動規範、アンチ・ドーピングに関わるスポーツ慣行に関するグッドプラ クティス 及び倫理、並びに制裁を策定し、実施するよう、関連する所轄職務団体・

機関に働きかけるものとする。

18.4 調整及び協力

WADAは、情報資源や教育資源及び/又はWADA若しくはアンチ・ドーピング 機関が策定したプログラムのクリアリングハウスの中枢としての機能を果たすも のとする。

全署名当事者、競技者及びその他の人は、スポーツにおけるドーピングを予防す

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るにあたって、経験を共有し、これらのプログラムの有効性を確実なものにする ために、アンチ・ドーピングに関する情報及び教育における取り組みを調整する べく、相互にまた各国政府との間において協力しなければならない。

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19 条:研究活動

19.1 アンチ・ドーピング研究活動の目的

アンチ・ドーピング研究活動は、ドーピング・コントロールに関する効率的なプ ログラムの策定、実施に資するとともに、ドーピングのないスポーツに関する情 報及び教育プログラムにも寄与する。

すべての署名当事者は、相互に、また、各国政府と協力して、当該研究活動を奨 励及び推進し、また、合理的なあらゆる手段を講じて、当該研究活動の成果が本 規程の原則に適合した目的の推進のために用いられるようにする。

19.2 研究活動の類型

関係するアンチ・ドーピング研究活動には、例えば、医学研究、分析学的研究及 び生理学的研究に加えて、社会学的研究、行動様式研究、法的研究及び倫理的研 究などが含まれる。本規程の原則に適合し、かつ、被験者の尊厳を尊重した科学 的根拠のある生理学的・心理学的トレーニングプログラムの立案及びその効率性 の評価についての研究のほか、科学の発展の結果生じた新たな物質又は方法の使 用についての研究も実施されるべきである。

19.3 研究活動の調整及び成果の共有

WADAを通じたアンチ・ドーピング研究活動の調整は不可欠である。知的所有権 の制限の範囲内で、アンチ・ドーピング研究成果の写しは、WADAに対して提供 され、また、必要に応じて関係する署名当事者、競技者並びにその他関係者との 間でも共有されるものとする。

19.4 研究の実施方法

アンチ・ドーピングのための研究活動は、国際的に認められた倫理的な慣行に従っ てなされるものとする。

19.5 禁止物質及び禁止方法を用いる研究活動

研究活動においては、競技者に対する禁止物質及び禁止方法の投与を回避すべき である。

19.6 成果の悪用

アンチ・ドーピング研究活動の成果がドーピング目的に悪用されないよう十分に 注意が払われるべきである。

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