の1例
Ⅵ. 教育セミナー
「羊水塞栓症と産科出血」
浜松医科大学産婦人科 金山 尚裕
第405回 神奈川産科婦人科学会 学術講演会
当科における卵管妊娠に対する腹腔鏡下保存手術 の成績
東海大 専門診療学系 産婦人科
楢 山 知 紗 鈴 木 隆 弘 林 優 篠 田 真 理 西 島 義 博 石 本 人 士 和 泉 俊一郎 三 上 幹 男
【目的】・卵管妊娠に対する保存的治療において腹腔鏡下保 存手術が第1選択として確立しているが、問題点としては PEP
(Persistent ectopic pregnancy )及び反復異所性妊娠(EP)である。
当院で施行した卵管妊娠に対する腹腔鏡下保存手術(卵管切開)
PEP症例の予測及び予後、術後の再妊娠成績からとくに反復EP の発生について検討したので報告する。
【方法】当院の卵管妊娠における1992年12月〜2012年9月ま で施行した腹腔鏡下保存手術167例、腹腔鏡下手術成功は136例 開腹以降例は2例 PEP 症例29例を対象とし、血中 hCG 値、超 音波所見、着床部位を比較しPEP 症例の予測及び予後に関連す るかを検討し、また術後の患側卵管疎通性を PEP 例 Control 例に 分け差の有無を検討した。また、腹腔鏡下保存術後の症例でそ の中で未婚者、IVF 導入例は除き、追跡できた134例について、
術後再妊娠、術中所見に着目して、反復 EP の発生につきその側 性を含め検討した。
【成績】PEP 発生率は17.4%。PEP 例であっても卵管が温存で きれば、その予後は変わらないことがわかった。対象症例に関 して術後50%が再妊娠するが、そのうち約30%が反復EPとなっ た。 対側卵管異常所見を有すると再妊娠のうち45%が反復 EP となり、その50%は対側に発生した。対側卵管異常所見がなけ れば、反復 EP 率は有意に低く、対側には発生しなかった。
【結論】卵管妊娠に対する保存手術(卵管切開)における PEP発生は予測できないが、卵管を温存できれば、その予後に関 する不良因子ではない。反復 EP 予測因子は術中所見であり、術 式の選択や術後治療方針の決定に寄与する。
当院における子宮頸癌症例に対する腹腔鏡下手術 の検討
横浜市大 市民総合医療センター 婦人科
吉 田 浩 片 山 佳 代 宮 腰 藍 衣 廣 岡 潤 子 松 崎 結花里 古 野 敦 子 北 川 雅 一 大 島 綾
横浜市民病院 茂 田 博 行
【緒言】子宮頸癌に対する腹腔鏡下手術の導入は欧米諸国で は標準的なものとなっており、本邦でも内視鏡手術ガイドライ
ンでは腹腔鏡下広汎子宮全摘術は従来の広汎子宮全摘術と同様 に標準的な治療となりうるとしている。当院では子宮頸癌の症 例に対し、病期に応じ、全腹腔鏡下子宮全摘(TLH)、全腹腔鏡 下準広汎子宮全摘(TLmRH)、全腹腔鏡下広汎子宮全摘術
(TLRH)を施行することとし、今回はこれら自験例をもとに手 術結果を中心に後方視的に検討した。
【方法】2012.4〜2014.3までのTLH 8例、TLmRH 2例、TLRH 3例を診療録をもとに後方視的に検討した。なお TLRH を導入す るにあたっては院内の倫理委員会にて承認を受け、診療費用は 病院負担として行われた。
【結果】TLH を施行したのはCIS 4例、AIS 3例、IA1 1例であ り、平均手術時間121分、平均出血量53 ml、いずれの症例も術 後3日目に退院可能であった。TLmRH を施行した2例はそれぞ れ IA1、AIS with LEGHであり、平均手術時間124分、平均出血 量 280 ml、いずれも4日目には退院可能となった。2例とも術後 の残尿が見られたが入院中に改善し、合併症は認めていない。
TLRH を施行した3例は IB1 2例と IIA1 1例で、平均年齢50歳、
いずれも術前合併症のない平均 BMI 18.5と痩せた体型の症例を 選択した。平均手術時間279分、平均出血量 120 ml、輸血を要し た症例はなかった。いずれの症例も翌日には離床し、術後3日目 には腹腔内ドレーンを抜去となり、残尿の軽快する5-6日目に退 院可能となった。平均摘出リンパ節は49個であった。1例に軽度 のリンパ浮腫を認めたほか合併症は認めていない。
【結語】子宮頸癌に対する腹腔鏡下手術は低侵襲かつ安全に 導入、施行できる術式である。しかし、保険診療への組み込み にはまだ遠い段階であり、今後、先進医療への取り組みが重要 と考えられた。
子宮体癌における腹腔鏡下根治術症例の検討
横浜市大 市民総合医療センター 婦人科
吉 田 浩 片 山 佳 代 宮 越 藍 衣 廣 岡 潤 子 松 崎 結花里 香 川 愛 子 古 野 敦 子 北 川 雅 一
横浜市立市民病院
下 向 麻 由 永 井 康 一 大 井 由 佳 鈴 木 理 絵 武 居 麻 紀 安 藤 紀 子 茂 田 博 行
本邦では、2014年4月以降、早期子宮体癌に対する腹腔鏡下手 術が保険適応となる予定である。横浜市立大学市民総合医療セ ンター婦人科及び横浜市立市民病院では、現在先進医療として 早期子宮体癌に対する腹腔鏡下根治術を行っており、今回同手 術開始後の内容について検討したので報告する。
対象は2010年4月から2014年2月の期間においていずれかの施 設で腹腔鏡下に子宮体癌根治術を行った31例、術前進行期は子 宮体癌ⅠA期、組織型は類内膜腺癌 G1または G2とした。手術 開始にあたっては倫理委員会の承認が得られている。術式は術
抄録
前 MRI で筋層浸潤がない場合には全腹腔鏡下子宮全摘術、両側 付属器摘出術(TLH+BSO)もしくは全腹腔鏡下準広汎子宮全摘 術(TL m RH)+ BSO を行い、筋層浸潤がある場合には TL m RH+BSO+骨盤リンパ節郭清術(PLA)を行った。
手術件数は TLH+BSO が5件、TLmRH+BSO が16件、TLm RH+BSO+PLA が10件であった。いずれも術中合併症はなく、
開腹手術への移行例はなかった。術者や熟練度が異なるため同 じ条件下に比較できていないが、出血量や術後入院日数は、腹 腔鏡下手術のほうが少なく、術後 CRP 最高値に関しても腹腔鏡 下手術のほうが低い結果であった。摘出リンパ節数では開腹手 術と比べて有意差はなかった。
また本年より、倫理委員会の承認のもと、後腹膜鏡下傍大動 脈リンパ節郭清を開始した。同手術では、開腹に比し大動脈の 背側を含め郭清視野が得ることが容易であり、左腎静脈下まで を十分に郭清することが可能であった。これまで2例を施行し、
摘出した傍大動脈リンパ節数の平均は33個であった。
早期子宮体癌に対する腹腔鏡下手術は、侵襲性が低く、術後 の QOL の向上に寄与することが当院の検討でも確認された。骨 盤リンパ節郭清術や傍大動脈リンパ節郭清術も鏡視下において 開腹手術と遜色なく行うことが可能と考えられる。したがって 今後はより積極的に適応を拡充していきたいと考える。
腟パイプ使用例における腟壁・直腸損傷の1例
横浜市大 市民総合医療センター 婦人科
大 島 綾 宮 腰 藍 衣 廣 岡 潤 子 松 崎 結花里 古 野 敦 子 香 川 愛 子 北 川 雅 一 片 山 佳 代 吉 田 浩
症例は49歳、性交未経験者、更年期症状のため前医を受診し9 cm大の子宮筋腫を指摘された。腹部膨満感あり手術目的に当院 紹介受診した。
骨盤 MRI T 2強調画像で境界明瞭な低信号を示す腫瘤を多数認 め、子宮筋腫の診断となり腹腔鏡下子宮全摘術の方針となった。
腟が狭いため筋腫は細切して経腟的に摘出する予定としていた。
手術は4孔式にて型の如く行い、子宮傍組織を処理した後、直径 3 cmの腟パイプを挿入したところ、先端が腟から直腸に挿入さ れた。腹腔内から観察した視野が通常と異なるため、パイプを 抜去して腟内を確認したところ穿孔している事が判明した。
腟・直腸穿孔は肛門縁より2 cm 部位の直腸に長径3.5 cm のもの を認め、腟側より修復した。
子宮体部、筋腫核は損傷部位への影響を考慮してモルセレー ターにて回収した。
腟狭小例に腟パイプを使用する際には、①使用前に穿孔のリ スクがあることを認識し、その対処法を十分に学習しておく。
②腟パイプの最小サイズを使用することが望ましい。③腟パイ プの挿入方向に注意し、抵抗がある場合は無理に挿入せず、狭 小部位を十分確認する。④症例によっては会陰切開をおく。な どの注意が必要であると思われた。
腹腔鏡下腟式子宮全摘出術後に発症した 5mm の ポートサイトヘルニアの1例
新百合ヶ丘総合病院
永 井 崇 高 橋 寿 子 奥 野 さつき 浅 井 哲 井 浦 文 香 田 島 博 人 浅 田 弘 法
【諸言】婦人科腹腔鏡手術における術後ポートサイトヘルニ アの発症率は0.5%程度と報告されており、その多くは12 mm ポ ートからで5 mm ポートでの発症はまれである。今回我々は、腹 腔鏡下子宮全摘出術後に5 mm ポート孔より発症したポートサイ トヘルニアを経験したので文献的考察も含めて報告する。
【症例】46歳、3経妊3経産。近医にて子宮筋腫を指摘され、
腰痛・月経痛・頻尿症状出現し手術目的に当院紹介。子宮は臍 高に至り、MRI 画像上、前壁体下部の長径13 cm の筋層内筋腫の 診断。2ヵ月間の GnRHa 療法の後、腹腔鏡下子宮全摘出術を施 行。手術時間4時間19分。術後1日目より嘔気嘔吐出現し、2日 目も症状持続したため、腹部単純写真にて鏡面像確認後、胃管 挿入。5日目に胃管を抜去し、6日目より流動食より開始。嘔気 症状の完全な寛解は得られなかったが、食事摂取は可能であっ たので11日目に退院。嘔吐の再燃のため13日目に緊急入院、右 下腹部に腫瘤を触知し同日造影 CT 施行したところ回腸のポート サイトヘルニア陥頓の診断にて緊急手術を行った。ヘルニア門 は1横指で、回腸は浮腫状であったが血流は維持されており、還 納し温存可能であった。5 mm のポートサイトヘルニアに関して、
過去の報告例では、多くが術後1週間以内に小腸閉塞症状を伴っ て発症している。2004年に Tonouchi らは発症様式に応じてearly-onset type、late-onset type、special type の3種類に分類して報告し ている。今回の症例は術中所見と発症経過から early-onset type と 考えられた。
【結語】腹腔鏡手術における早期合併症としてポートサイト ヘルニアを十分念頭におき、適切な対応をすべきと思われた。
また、手術が長時間あるいはポートでの手術操作が大きい場合 には、ポート孔の筋膜閉鎖も考慮すべきと思われた。
子宮壁内膿瘍の1例
横須賀市立うわまち病院
渡 邉 龍太郎 山 本 みのり 伊 藤 雄 二 河 野 明 子 平 林 大 輔 森 崎 篤 小 山 秀 樹
子宮壁内膿瘍のまれな症例を経験したので報告する。
【症例】70歳女性、3経妊3経産、閉経48歳。既往歴として、
高血圧症のほかに歯周病があり、毎月歯科処置を受けている。
今回、10日間改善しない下腹部痛・発熱を主訴に、近医より紹 介受診した。体温38.0℃。腟鏡診では、腟内に膿を認めず、子 宮腔からの流出もなかった。子宮は鵞卵大で可動性良好、圧痛 なし。経腟超音波検査で、子宮に7×4 cm の嚢胞性病変を認め た。CT では、子宮後壁内に液体の貯留を認め、また、そこに接