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1974年暫定テロ防止法( the Prevention of Terrorism ( Temporary Provisions )

C.    政府案の公表

2007年12月6日に、内務省は――上述した政府に寄せられた意見の概略を示 す文書およびテロ立法独立調査官の文書と同時に――テロ法案に盛り込むべき 方策のうち、とくに留置期間の延長案についての具体的な内容を示す文書を公 表した(14)。以下その内容を概観する。

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(9) Home Office, supra note 8, paras. 14-17.

(10)Lord Carlile of Berriew QC, Report on Proposed Measures for Inclusion in a Counter Terrorism Bill(Dec. 2007), paras. 1-2.

(11)Lord Carlile of Berriew, supra note 10, at 43.

(12)Lord Carlile of Berriew, supra note 10, at 44-46.

(13)Lord Carlile of Berriew, supra note 10, at 47-50.

(14)Home Office, Pre-Charge Detention of Terrorist Suspects (6Dec. 2007).

(1)この文書は、最初に告発前の留置期間の延長が必要な理由を示すが、基本 的には前述した2007年7月の文書に示されたところと変るところはない。すな わち、これまでのところ告発前に28日以上の留置期間を実際に必要とした事件 は生じていないが、現在も進行中のテロの量的拡大・質的変化および事件の複 雑化のために(14A)、将来そのような事件が発生することは十分に予測できる。

国民をテロから守ることは政府の義務であり、このような事件にも公正で均衡 を失しない(

fair and proportionate

)ような法によって対応できるようにしてお く必要がある。このことは警察の高官のみならず、テロ立法独立調査官によっ ても承認されている(15)

(2)意見聴取に対して政府に寄せられた意見の多くは、政府の示す選択肢(

iii

)の 緊急事態法の活用という方式に好意的であったので、この点をも検討するが、

結論として、この選択肢を取ることはできない。なぜなら、①問題となってい るのはテロリストたる被疑者の留置であるから、反テロ立法そのものによって 扱われるのが筋であり、立法者が予定していなかった事態に対応するために緊 急事態法を用いるのは不適切である、②テロリスト被疑者に適用する場合、緊 急事態法では移動制限にくわえて留置が可能なのか等の不明確な部分が存在す る、③テロ計画が崩壊した後に逮捕がなされ、捜査に28日以上の時間が必要と されるような事態には――国の安全や国民の福祉への重大な脅威を前提とする

――緊急事態法では対応し得ない、④警察は、緊急事態のためではなく、事件 の性格から28日以上の留置を必要とする場合がある、⑤緊急事態法は7日以内 の両院での議決を必要とするが、議会における議論は捜査活動が進行中である が故に制限され、差し迫った状況に対応するためには十分でない(16)、さらには、

⑥告発後の尋問を許容することを始めとするその他の考えられる具体的方策も、

告発前留置期間の延長の必要性を軽減するにせよ、決してこれを除去するもの

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(14A)ここでは事件の複雑化の中身として、前記Ⅲ-1A(1)②に示した(a)~(c)にくわえて、

使用言語の多様性をも独立の要因として挙げている。その上で、複雑化の実例として 一つの事件につき押収したパソコン、ディスクやDVDそしてその他の証拠物の数の増 加をあげる(Home office, supra note 14, at 5)。

(15)Home office, supra note 14, at 4-7.

(16)Home office, supra note 14, at 7-8.

ではない、からである(17)

(3)前述したように、近い将来にテロ関連事件において告発の準備のための時 間がないためにテロリストを釈放せざるを得ないといった危険に対応する必要 がある。しかし、他方では人身の自由に関する事柄であり、政府に寄せられた 多くの意見にも配慮してコンセンサスを得るという観点からも慎重な検討が必 要である。結論として、政府は、厳格に制限された期間内において特定の捜査 活動に必要な場合にのみ42日間までの告発前留置を認めるよう提案する。その 具体的内容は以下の通りである(18)

i )42日という上限を認める規定を発効させるという判断は、関連証拠の収

集・保全・検討のために28日以上が必要と信じる合理的な理由を示しかつ捜査 が真摯・迅速になされていることを示す検察長官(

DPP

)および警察の共同報告 書に基づき、内務大臣によってなされる。

ii

)内務大臣が諸事情を考慮して命令に署名した時点で留置期間を42日とす る規定は発効する。この判断は司法審査の対象となり得る(18A)

iii

)発効後2日以内に、内務大臣は議会に対し、①例外的な捜査活動の必要性 を生じさせたテロリストに対する捜査が進行中であり、②当該捜査がテロの結 果として生じる重大な被害の脅威に関するものであり、③テロを防止・抑止・

緩和するために上限(42日)までの留置期間が緊急に必要であり、④この上限が 欧州人権条約に適合していること、⑤内務大臣が検察長官および警察から報告 書を受け取っていること、等を含む報告書を提出する。

i v

)両院は発効後30日以内に承認の決議をすることを求められ、この承認が 得られなければ発効後30日を経過した時点で42日という上限は失効し、承認が 得られた場合にはさらに30日間有効であるが、発効後60日を経過した時点で自

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(17)Home office, supra note 14, at 8-10.

(18)Home office, supra note 14, at 11-13.

(18A)司法審査の対象となり得ないわけではないが(後述V-1A(7), V-1D(C)(5))、詰めておか なければならない問題点は多い(House of Lords: House of Commons: Joint Committee,

Thirtieth Report of Session 2007-08: Counter Terrorism Policy and Human Rights:

Counter Terrorism Bill(8Oct 2008), paras.63-79)。このためもあって後述するLiberty 等による司法による監視の欠如という批判を導くことになる(後述-D(1)参照)。

動的に失効する。

v )28日を超える個々の被疑者の留置は――その前の留置と同様に――裁判官

による判断事項とされる。またその請求は検察長官の同意を必要とする。

(vi)28日を超える留置の申請が裁判所によって許容される都度、議会はその報 告を受ける。

(vii)テロ立法独立審査官は、個々の事件における28日を超える留置の活用状 況および内務大臣の上限延長規定発効の判断について議会に報告し、議会はそ の報告にも基づいて審議する。

(4)政府の提案するところに拠れば、告発前の留置の上限はあくまで14日が基 準であり、28日の上限は毎年議会の同意を得る必要があり、42日の上限は例外 的な捜査活動の必要性のある場合にのみ限定的に許される。そして、この42日 という上限は、①検察長官と警察の報告書、②内務大臣の同意、③一連の議会 と裁判所による安全装置によって三重の鍵がかけられている(under a triple

lock

)。このような安全装置を伴う42日の上限は、警察の捜査のための必要性 と過剰な拘禁に対する懸念との適切なバランスである、とされる(19)

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