第3章 実験結果及び考察
3.1 パラメータ最適化結果
3.1.4 放電室形状依存性
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図3.7 アンテナ形状依存性
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図3.8 内径21 mmの放電室の写真
図3.9 放電室内径依存性
3.2 100 時間耐久試験結果
電子電流引き出し実験によって最適化した中和器体系で実験を行った。具体的には、
オリフィスは厚めの内径5 mm、アンテナは縦14 mm 横4 mm のL字アンテナ、放電
室は内径18 mmのものを使用した。しかし、磁場においてはリング磁石が最も性能が
21 mm
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良かったが、特注したリング磁石が割れてしまったため、時間の都合上磁石15個を代 わりに用いた。またアンテナとバックヨークの間にアンテナを絶縁させるためのセラ ミックスを挿入した。図3.10 に示す通り、加速試験として、コレクタに+50V を印加 した。中和器部品の材料にはそれぞれ閾値エネルギーというものが存在し、これを超 えるとスパッタされやすくなる。もともとの放電室の材料であったMo の閾値エネル
ギーは46.83 eVに対して銅は26.60 eVと低い。したがって放電室壁にはスパッタされ
やすい銅を使用した。それぞれのスパッタの挙動を調べるために、ヨークにはFeやオ リフィスにはAlやアンテナにはMo用いた。
電子電流は100時間を通した変化は微量ではあるが下がっている。これに伴い、マ イクロ波の反射も大きくなっていることから、中和器内で起こったスパッタリングに よって、マイクロ波とプラズマのカップリングの低下が電子電流値の低下につながっ ていることが分かった。また、図3.11 は各日の最後にIV 特性を測定したもので、12 月16日~12月26日にかけて若干の性能低下が見られる。電子電流値が急に上昇して いるのは35 V付近で、およそ25 mAから120 mAに遷移したことが分かった。性能が 極端に高い12月24日は図3.12高い電子電流値を示している5000分あたりに相当す る。このことからIV特性は電子電流の推移と関係する挙動を見せたことが分かった。
そこで 100 時間運転の前後で、電子てんびんを使って質量を測定した。誤差は±0.2 mg である。全体として質量が増えている部分はバックヨーク、フロントヨーク、オ リフィスで、減っている部分は放電室、アンテナ、絶縁体だった。質量差と100時間 前後での中和器の各部品の様子をそれぞれ図3.12図3.13に示す。特に変化が顕著だっ たのは、バックヨークで金属光沢のある堆積物が確認でき、質量的にも最も増えてい た。アンテナは損耗がみられ、質量も減少しているのが分かった。また放電室はアン テナの先が向いている部分にうっすら堆積物が付着していたが、質量は減っておりよ くスパッタしていることから、加速試験としての役目を果たせたと言える。アンテナ とバックヨークの間の絶縁体はアンテナ側が焦げていて、特にアンテナのL字が向い ている方は焦げている範囲が広かったので、アンテナの影響を受けたと考えられる。
以下に、元素分析の結果から数値解析と比較した考察を述べる。
数値解析の結果と実験結果を比較したグラフを図3.14に示す。質量変化を1時間当 たりに増減した質量 (mg) で表している。またXe中の2価のXeの存在率を2%とし、
中和器の内部電位28 eVとして計算している。その他の体系は本実験の体系と同じで ある。数値解析ではアンテナのMo がほとんど変化していないのに対して、先述のと おり実験ではアンテナの損耗が目立った。2章で述べたように、中和器の性能低下は、
アンテナを絶縁している絶縁体に 2 価の Xe によるスパッタによって、ヨークから飛 び出したFe原子が付着することで、マイクロ波効率が悪くなることが原因であると考
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えられていたが 1)、100 時間運転後の絶縁体を元素分析した結果 (図 3.15)見ると、Al と Si が大部分を占めているが、これは絶縁体の母材のセラマタイト (Al2O3-SiO2) に 多く存在するので、それを除いて考えると Cu、Mo、K の順に多く付着していること が分かる。これは Cu のスパッタされる閾値が低いことやアンテナ (Mo) が絶縁体と 近いことが原因と考えられる。このことから、マイクロ波効率が低下する原因は Fe だけでなく、アンテナが損耗することによる影響も考慮する必要があることが分かっ た。数値解析の結果より実験値の方が堆積していたバックヨークも、絶縁体と同様に 元素分析した結果 (図 3.16 を見ると、Cu と Alの割合が多かった。Cu が多く堆積し ている理由は絶縁体の場合と同じだが、バックヨークから最も遠い位置にあるオリフ ィスの Al もスパッタされて飛び出しているので、Al はバックヨークに限らず放電室 やアンテナにも付着している可能性が考えられるので、オリフィスでスパッタされた Alがヨークに対する影響もさらに考慮する必要があると考えられる。
図3.10 電子電流, マイクロ波反射電力の推移
39 図3.11 IV特性
種類 材質 重さ(前)g 重さ(後)g 差(g) オリフィス アルミ 51.0751 51.0808 0.0057 バックヨーク 軟鉄(S45C) 28.5077 28.5206 0.0129 フロントヨーク 軟鉄(S45C) 15.9682 15.9708 0.0026
放電室 銅 25.0356 25.0168 -0.0188
アンテナ モリブデン 0.1673 0.166 -0.0013 絶縁体 セラマタイト 0.0617 0.0616 0.0001
total 120.8156 120.8166 0.001
図3.12 中和器の各部品の100時間前後での質量変化
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前 後
オリフィス アルミ
バックヨーク 軟鉄(S45C)
フロントヨーク 軟鉄(S45C)
放電室 銅
アンテナ モリブデン
絶縁体 セラマタイト
図3.13 中和器の各部品の100時間前後での写真
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図3.14 実験値と計算値との比較
図3.15 絶縁体の元素分析結果
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図3.16 バックヨークの元素分析結果