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大学におい ての教授法の研究は,徐々に進めら れて きてい るが,経済学や 経営学,商 学の分野では 未だその入口ですら定かでない状態 であ る。 もっと も,企業等の 実社 会では,実用的な経営教育・訓練の実施 は,つ とに行われ ており, また各種 学校での技能教育 も盛んである。しかし ,大学 はこれら に 対して, より高 度な研究を 背景とする教育であるが故 にか,その教育 の内 容 や効果は,いろい ろの疑問点や矛盾点を孕 んでい る。た とえ ば,教育の材料 が古い,特定の学説に偏 り過 ぎている, メニューを所定 の時 間で消化し てい ない,講義 も,知 識の伝達 と授業時間の関係が十 分でな く科学的 に設 定さ れ ていない…… 等 々のこ とがある。

そこで,では どのような展開を 考えるか とい うこ とになる。筆者 は,つ ぎ の ような方式 化 乱 教授 法の支援 ツールとして有力なもの と考える。

1) 研究スケジュール化と教育計画

研究成果を 教育に反 映し , また教育の経験を 研究 に生かす ことを 計画化す

ることを考え る。 さらに, 研究を 担当科 目に関して一般 性のあ るものと,関

係上は特定化され る もの,あ るい は特に関連性のない もの とに 分け,研究 ス

ケジュール化を 計る。研究は プ1== ・ジ ェクト管理方式 で管理され,教育計画 と

相互の関連を 高める。教育 メニュー上では,1/4 ほどの部分が その関連性あ

る部分として考え られる。経験上の考えであ る。

2) 知識化と教育コミュニケーション

理論 ・技術 は知識化されるが,知識化の形や内 容が,学習者の能力に適合 した ものでなければならない。し た がって伝 達知 識は, 相手のレ ベル,条件 に よって融通 性のあ る,かつ適合力のあ るもの として知識化される必要かお る。多 種の媒体の組み合せと バッ クアップ とな る資料が用意されるべきであ ろ う。そしてこれに応じて,教育 のための コミュニケーション手段が設定さ れ るべきであ る。OA ・AV 教室等は,その一例である。

3) 実験室とデータベース

実験室の必要な専攻は自然科学系 とい う固 定観念があ るが,心理学のよう に実験室を 必要とする ところ もあ り, 実践学 とし ての経営学教育分野でも実 験 室を 必要とす るようになってい る。 この時 の実験室は, コンピ ュータの支 援 によるモデ ル研究,データ処理,情 報操 作に よる経営効果 研究,戦略 ゲー ム等 の出来る ところ であ り,時には店舗設計,工場 のレ イア ウト,輸送シス テ ム等 の実験室も考えられる。 これに,デ ータベ ースのシ ステ ムが付加され てい ると,教育の情報化が期待される。

4) 理念の明確化と手段の開発

教育には理念がなければならない。し かし 広く高い理念が,具体的な教育 のそれぞれについて どの ように反映 され表されてい るかも重要である。この 理 念化を 明確に詳細設計す ること と同時に,教育過程,つ まりここでは,知 識伝達 の中に これを組み込む ことが必要であ る。そのためには,理念化と知 識化 か一 体となって コミュニケートされる必要があ り,教育上 の手段開発が 行 われなけ ればならない。 ガイドブ ック,テキストに加えて,画像による教

材の開発,教材のVTR 化,PC‑VAN の利用等 があげ られる。

さて,本稿では,履 修指導の/, ニ ューを一つ の材料としながら,経営学 教 育におけ る教授法のタニュー的側面を 考えて みた。そして教授法の確立への 一つ の糸 口を 見出そ うとし た。また,そ の推進 の手段 として,情報的アプロ ーチに よる,つ まり,知識情報化 ,知識情報通信 とい った新しい 考え方が,

可 能ではない かとい う立場で,教授 法を 検討し てみた。使用し た材料が,き

わめて限られてお り,学習実験は, 日常 の教場 での教育デ ータに頼ってい る

経営学教育での大学教授法序説1Ill 点 て ,範 囲 の狭い 研 究結果 とな っ てい る 。 今後 , 組 織 的 , シ ステ ムな 検討 に

よ り基 礎 を 整 え て ,研 究 を 深 めた い 。

1) これらの点に関して,中央大学の金子 教授は,つぎのような報告をしている。

「大学人からみれば,大学とは学問研究の場であ り,単なる教育機関ではない。

大学 の教員はまず研究者であ り,したがって研究に基づく教育が大前提となる。

モこから,教員は講義を初め学生に対する教育 におい ても研究の延長線上で対応 しているのである。そこで学生は,V ベルはともあれ,学問を志向するものとし て扱われているのであり,1 人前の人格者であ るから,自主的に学習す べきであ り,自分で能力は開発すべきである。われわれの世代は皆そ うして育ってきたの だし,1 人 前の自覚者に何か世話をやきすぎるのではない かと,かえって戸惑い を覚えるのである。そこで心ならずも放置することとなる。そ のことが学問的な 態度だと一般的には思われているのであ る。特にこの傾向は文科系に強い。しか し,後述するように日本の新制大学はこのような大学理念を生かすよりなシステ ムにはなっていないのである。」 金子貞吉稿 「大学教育とゼミナール」(会報)

大学基準協会,第58号,昭.61.12 月,p.532

) 心理学系 の研究では,このような スタイルの考え方がしばしば使われている。

たとえば,つぎの文献もその一つであり,関係のところを一つあげてみよう。東・

・大山共著「学習と思考」(11版)大日本図書刊,昭.55,p.1643

) た とえば,つぎのような報告もそ の一つであ る。金子貞 吉稿「同上書Jp.52

「第2 に文章の抽象から,具体的な ものへのイメージ形成 ができない。逆は可能 であるのだが,思 うに,帰納的理解は よくできるが,演輝的思考は苦手 のようで ある。小 さい ときからテレビなど映像にならされた世代の特徴で,文字から映像 を組み立てるとい う,抽象から具象を構成することができないようである。した がって,学生達に理解させるにぱ たとえば といりょ うに例示的説明をするこ とが常に必 要となっている。」4

)VTR やPC 通信に併用して,画像的テキストとして,下記0 文献も参考とな

る。つ まり,専門知識が,図解 されてい るめであ る。jEdwardDeBono's,AtlasofManagementThinking,TempleSmith,1981j5

) たとえば,下記の文献 もよく使われた。 ‥ 丿H.R.Light,TheNatureofManagement,Pitman,1958.6

) 参 考として,村本芳郎著「ケース'・メツ ッド経営教育論」文真堂,昭.57, の 文献をあげることができる。

また,テキストとしてlit,坂井正広編著「人間・組織・管理」文具堂,昭.59.7

) 例として,つぎめ二冊がある。小川教授は一般的概説書で,人見教授の著書は

工 学 思 考 で あ る 。 小 川 ・ 岩 田 共 著 「 生 産 管 理 入 門 」 同 文 館 , 昭 。57, 人 見 勝 人 著

「 生 産 シ ステ ム工 学 」( 増 補 版 ) 共 立 出版( 株 ), 昭 。58.8

) た と え ば , つ ぎ の文 献 もそ の 一 例 で あ る 。 涌 田 ・ 人 見 共 著「FA とOA 」 日 刊 工 業 新 聞 社 , 昭.58.9

) 新 し い 企 業 環 境 で の 仕 事 の変 化 に つ い ては ,c.Bezold,R.J.Carlson&J.C.Peck,TheFutureofWorkandHealth,AuburnHousePublishingCompany,1986

が あ り, 未 来 性 のあ る 職 業 の 分 析を 通 し て の 組 織 構 造 の 変 化 の 解 説pp.40‑45 等 は , 教 材 デ ー タ と な る 。

ま た ,「 人 間 化 」 と の 関 係 で は , 田 尾 雅 夫 著 「 仕 事 の 革 新 」 白 桃 書 房 , 昭.62.

が あ る。 仕 事 の 革 新 傾 向 の 一 つ の 問 題 点 の 指 摘 部 分 を 紹 介 し て お こ う。

「 ま た , 物 を 作 る , い わ ゆ る 第 二 次 産業 は 依 然 と し て 産 業 化 社 会 の イ ソ フ ラ ス ト ラ クチ ュ アを 構 成 す る 基 礎 要 件 で は あ る が , そ の 重 要 性 は い く ら か 低 下 し つ つ あ る。 逆 に , 医 療 や 教 育 , 福 祉 の よ うな 人 間 的 サ ービ ス を 提 供 し た り, そ れを 媒 介 す る 仕 事 や 職 業 が 急 速 に そ の比 重 を 高 め つ つ あ る。 ま た 増 大 の 一 途 に あ る 余 暇 乱 そ れ を 消化 す る た め の就 労 機 会 を 大 き くし , 余 暇 そ の も の が1 つ の 産 業 とし て 地 歩 を 固 め つ つ あ る 。

こ の よ う な サ ービ ス関 連 の 産 業 は す べ て 何 ら か の形 で 人 間 性 と 直 接 関 わ りを も た ざ るを 得 な く な る 。 さ らに い え ば , 自 ら の職 業 的 エ ート ス の な か に 人 間 性 を 評 価 し 位 置 づけ な け れば , 社 会 の な か で 存 続 す る こ と が 難 し く , 正 当 性 を 得 る こ と もで き な い 。 こ れ ら の 仕 事 は , い わ ば 人 間 性 を 再 生 産 し て い る の で あ る 。」(8 頁 )

また , こ うし た 技 術 革 新 の 影 響 を 経 営 学 教 材 の 概 説 書 に 積 極 的 に 採 り入 れ た も の とし て は , た と え ば 一 寸 木 編 集「 現 代 経 営 学 入 門 」 有 斐 閣 , 昭.56 を あ げ る こ と が で き る 。 し か し , こ れ はJ. ウ ッ ド ワ ード 等 の 数 々 の 所 説 を 引 用 し た 解 説 書 で, わ が 国 や 欧 米 の 企 業 に つ い て の 実 証 的 研 究 書 で は な い 。 こ れ らに つ い て は , 政 府 や 研 究 機 関 発 行 の資 料 を 参 照 し な け れ ば な らな い 。10

) 教 材 とし て は , 涌 田 宏 昭 編 「 経 営 情 報 論 」 有 斐 閣 , 昭.50 が 一 つ の 例 で あ り ,R.L.Sisson&R.G.Canning,AManager'sGuidetoComputerProcessing,GohnWiley&Sons,Inc

・,1967. 乱 か つ て は よ く 使 用 さ れ た 古 い 解 説 書 で あ る 。11

) 例 と し て , 涌 田 宏 昭 編 著 「 経 営 情 報 科 学 総 論 」 中 央 経 済 社 , 昭.61. を 参 照 。12

) 拡 張 分 野 の 外 国 文 献 を あ げ る と下 記 の 著 書 が あ る 。

①D.A.Buchanan&D.Boddy,OrganizationsintheComputerAge,GowerPublisingCompany,1983.

②p.A.Strassmann,InformationPayoff,TheFreePress,1985.

③D.Boddy,ed. ,TheNewManagementChallenge.GroomHelm,1988.

参考文献

ロンドン大学教育研究所大学教授法研究部著喜多村・馬越・東 編訳「大学教授法

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