第 5 章 オブジェクトツールバーの特長 28
7.4 推定条件の変更と推定結果の比較
経済データの実証分析では、理論面から推定式が一意に定まることはかなり稀です。推定に利用する 変数の組み合わせや、変数変換、異常値の除去等、様々な定式化が可能であることがほとんどです。
従って色々な定式化を試し、統計的な基準等に基づいて最終的に利用する式を決定することが良く行 われます。以下のような理由により、EViewsはこの検討が非常に楽に行えるソフトウェアです。
1. 複数の推定結果をマルチウィンドウで同時表示できます。ソフトウェアによっては、Excel等 に各推定結果をエクスポートし、複数のエクセルファイルを開いたり閉じたりしながら結果を 比較しなければならない場合があります。
2. 利用サンプルの変更を簡単に何度でも行えます。サンプルを変更する際に実際にデータを削除 してしまうソフトウェアの場合、サンプルの変更を行うには再度データファイルを開き直す所 から始める必要があります。
3. 推定式オブジェクトをコピーし、条件を変化させることで再推定が可能です。
ここではこの内3について解説します。eqtestに対し、新たな説明変数rsを追加したいケースを想 定します。11ページを参考に、eqtestをコピー&ペーストしてください。eqtest01という名前で新 しいオブジェクトが作成されますので、それを開きます。オブジェクトツールバーのEstimateボタ ンを押してください。次の画面が表示されます。
*4もちろん、EViewsのテーブルオブジェクト上でも様々な表の調整が可能です。例えば小数点何桁まで表示したいかを 変更したい場合、変更範囲を選択して右クリックし、Cell Formatを選択します。
説明変数の末尾で半角スペースを入力し、rsと入力してOKします。rsが追加された推定結果が表示 されます。元となった推定式オブジェクトeqtestと以下のように並べて比較が可能です。
このように、オブジェクト単位で複製が行えるので、「条件を少し変えて推定してみたいけれども、元
第 II 部
EViews の応用的な使い方
第 8 章
コマンド操作とプログラミング
EViewsで最もお勧めできる点の一つは、本書でこれまで解説してきた、気の利いたユーザインタ
フェースです。しかしながら他のソフトウェアと同様、もちろんコマンドでの操作も可能です。また、
コマンド群を一括で実行するためのプログラミング機能も用意されております。特定の処理を複数の 変数に一括で実行したいような場合に力を発揮します。
8.1 コマンド操作について
まずコマンドウィンドウの使い方から解説します。EViewsのコマンド操作には以下のようなルー ル・特徴があります。
• コマンドは1行毎に独立している必要があります。forループやwhileループ等の、複数行に またがる処理はプログラミング機能を利用する必要があります。
• コマンドはコマンドウィンドウに入力し、実行したい行にカーソルがある状態で、Enterキー を押すことで実行します。
• コマンド名、引数名等、意味のまとまり毎に半角スペースで区切ります。日本語等の全角文字 は入力できません。
簡単な例を使ってコマンド操作について学びます。以下のコマンドを最初から順番に入力し、一つず つ実行してください(それぞれ、次の行の入力に移る前にEnterキーを押して実行してください)。 smpl @all
series after1991 = 0 smpl 1992 @last series after1991 = 1 smpl @all
1992年以降に1を取る、ダミー変数“after1991”が作成されます。
コマンドの解説は以下の通りです。
smpl @all. . . smplはサンプル期間指定のためのコマンドです。@allはデータ期間全体を指定しま す。このsmpl @allという表現は実用上極めてよく利用します。
series after1991 = 0. . . seriesはシリーズオブジェクトを作るという意味のコマンドです。その後 に、作成するシリーズの名前を指定します。=0と書くことで、すべての期間に対して0の値を代入 します。
smpl 1992 @last. . . smplコマンドで利用期間の始点と終点をセットで指定しています。@lastは、
Rangeに指定されている最終時点で、この場合は1996Q4と同値です。
series after1991 = 1. . .先程作成したafter1991に=1を代入しています。サンプル期間を1992 年Q1から1996年Q4に限定しているので、その期間にだけ1が代入されます。
smpl @all. . .サンプルを元に戻します。
EViewsコマンドは、このように1行ずつ入力し、1行ずつ実行します。本例のようにsmplコマンド
を活用することで、シンプルなコマンドで条件分岐に近い処理を実行することも可能です。このよう な特性により、コマンドウィンドウだけでもかなりの処理が可能です。ただし、本格的なコマンド処 理を行う際は、やはりEViewsプログラミングを利用する必要があります。
コマンド処理を行うためには、事前にコマンド名やその文法を調べておく必要があります。コマンド についてはCommand Refという専用のPDFマニュアルが用意されている他、Helpメニューから キーワードで検索をかけることも可能です。また、EViews9以降の場合はコマンドキャプチャ機能 をお使いいただくことで、メニュー操作からコマンド操作のヒントを得ることが可能です。コマンド キャプチャの詳細については、「EViewsデータ分析の前に vol.12コマンドキャプチャ機能」をご覧
ください。
http://www.lightstone.co.jp/eviews/tips.html