• 検索結果がありません。

第3章  製品・技術に関する紹介や試用、または各種試験を含む現地 適合性検証活動(実証・パイロット調査等)

3.3 採算性の検討

3.3.2 採算性に関わる課題

「イ」国政府では、中長期の電化率向上を掲げているが、首都圏を中心に電力開発が 進められている一方で、離島や山間部では未電化地域が依然として多くなっている。こ れは PLN の系統連携地域から離れていることや、需要が各地に点在することなどから 大規模な送電網などを整備しても採算性が見込めないことに起因している。さらに、

PLN の経営が厳しいことも地方・離島における電力開発事業推進の妨げとなっている が、その要因のひとつとして、「イ」国政府が政策的に貧困層に配慮した電気料金設定 にしていることが掲げられる。

現行の電気料金は、2010 年の大統領令(Peraturan Presiden No8 Tahun 2010)により改 定され、同年 7 月より施行された。料金は基本的に、全国一律であり、顧客の種類別 に設定されている。

2010 年度の平均発電単価は 796Rp/kWh で、平均販売単価 699Rp/kWh よりも高く、

逆ザヤの状況である。PLN の経営環境の厳しさは、電気料金に比して生産基本費用が かなり高いこと、事業利益から拠出する内部資金に乏しいことに起因する。

前述の通り、Mini-DTECによるバイナリー発電は、売電収入による収益から利益を捻 出することは現状の「イ」国電力料金体系では困難である。日本国内では、次頁、表3-2

「再生可能エネルギー買取り制度について(経済産業省)」に示すとおり、再生可能エ ネルギー利用促進のために、開発企業や導入企業の採算を考慮した買取り価格が設定さ れた経緯がある。

表3-2 再生可能エネルギー買取り制度について(経済産業省)

「イ」国においても同様な政策で再生可能エネルギー購入に関するエネルギー鉱物資 源大臣令が施行され、再生可能エネルギー促進のため、「PLN による中小規模再生可 能エネルギーからの電力購入価格に関するエネルギー鉱物資源大臣令(2009 年 31 号)」

が規定されている。ここでは、「PLN は国営企業、公営企業、民間事業体等による 10MW までの中小規模再生可能エネルギー電力に対して購入義務を負う」としている。

PLN の電力購入価格は以下の通りである。

 中圧連系の場合: Rp.656/kWh×F

 低圧連系の場合: Rp1,004/kWh×F

注)F:電力購入場所に応じた係数で、ジャワ・バリ地域では 1.0、スマトラ・スラ ウェシ地域では 1.2等)

PLN は協議により上記価格よりも高い価格で電力購入を行うことができる。しかし、

現在の買い取り価格の設定ではMini-DTECによる発電単価を大幅に下回るため、現段階 では営利事業を想定することは難しい(表3-3、図3-6参照)。

表3-3 実証フェーズ時のMini-DTECの発電単価

項 目 単 位 単 価 1 イニシャルコスト 円 135,200,000

2 耐用年数 年 20

3 発電出力 kWh 100

4 システム稼働率 % 85

5 年間発電量 kWh 744,600 6 年間装置費 円/年 6,760,000 7 年間修繕・保守費 円/年 1,352,000

8 発電コスト 円/kWh 11

(為替:2014/1/11時点) Rp/¥ 114

現地通貨換算発電コスト Rp/kWh 1,242

図3-6 MD電力単価とIRR、単純回収期間

また、「イ」国の平均電力単価(700Rp/kw)ではIRRは-8%、単純回収年数は33年を 要し、これらの指標からみると投資案件としては成り立たない。

2002-2012年の電気代推移から各業種の電気代の平均的な上昇率を算出し、実証フェ ーズから普及導入フェーズさらには普及拡大フェーズである2020年までの電気代推移 を図3-7に示す通り想定した。現状の計画では、実証フェーズの発電コストを

1,242Rp./kWh、普及導入フェーズでは主要機器の標準化、現地コンサル費削減、ODA 一般無償資金協力によるMini-DTECの複数台導入見込み等による経費圧縮で

997Rp./kWh、普及拡大フェーズでは売電主体による負荷装置の不要化、送電網建設の売 電事業者負担などで846Rp./kWhまでコストを下げることが可能と判断している(表3-3、

表3-4参照)。

従って、現段階ではMini-DTECによる小規模発電事業は投資案件として大きなリスク を伴うが、実証フェーズより特に経済性に関わる様々な課題に取り組み、普及導入フェ ーズ~普及拡大フェーズと各フェーズへ移行するにつれて、技術開発による機器のコス ト低減を図って行く計画であり、また量産化効果により普及拡大フェーズでは発電単価 が買電単価を下回ることも想定され、新規電源開発事業は民間投資家などの地熱資源開 発への参入が可能となるステージに移行してゆくものと考える。

0.0年 5.0年 10.0年 15.0年 20.0年 25.0年 30.0年 35.0年 40.0年

-15%

-10%

-5%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

0Rp/kw 500Rp/kw 1000Rp/kw 1500Rp/kw 2000Rp/kw 2500Rp/kw 3000Rp/kw 3500Rp/kw 4000Rp/kw 4500Rp/kw 5000Rp/kw

IRR

電力単価(Rpa/kw)

IRR 単純回収年数

現在の単価

採算ベースの単価

採 算 ベ ー ス の単価

現在の単価

図3-7 インドネシアの電力単価推移とMini-DTEC発電コスト予測

フェーズ毎のMini-DTEC発電コストに関して、表3-4にその推移予測を取りまとめた。

発電コストには厳密には対象となるサイト条件にもよるがその他、用地取得費やアクセ ス道路や建屋の建設費などが必要になるが、本表での検討では考慮していない。また、

各種申請手続き費用などについても考慮していない。

表3-4 フェーズ毎のMini-DTEC発電コスト推移 インドネシアの電力単価推移とMini-DTEC発電コスト予測

Mini-DTEC 発電コスト予測

実証フェーズ 普及導入フェーズ 普及拡大フェーズ

1 イニシャルコスト \ 135,200,000 108,520,000 92,100,000

2 運転年数 年 20 20 20

3 発電出力 kw 100 100 100

4 システム稼働率 85% 85% 85%

5 年間発電量 kwh 744,600 744,600 744,600

6 年間装置費 \/y 6,760,000 5,426,000 4,605,000

7 年間修繕・保守費 1,352,000 1,085,200 921,000

8 発電コスト \/kWh 11 9 7

(為替)2014/1/11 Rp/¥ 114 114 114

発電コスト Rp/kWh 1,242 997 846