1
)尿、糞、呼気及び胆汁中排泄レボブピバカインを硬膜外(臨床投与経路)、皮下(代替経路)、静脈内(比較経路)及び脊髄 くも膜下(比較経路)に単回投与したときの排泄経路について、ラット(SD)及びイヌ(ビーグル)
で検討した。
(
1
)ラットレボブピバカインを単回皮下及び静脈内投与したときの尿、糞、呼気及び胆汁(皮下のみ)中 排泄をラットで検討した。
①ラット単回皮下投与後の尿、糞及び呼気中排泄・・・・・・・・・・・・添付資料
4.2.2.2-1
雄性ラットに14C-レボブピバカインを 3mg/kg
の用量で単回皮下投与したときの放射能の尿、糞及び呼気中排泄率を表
2.6.4.6-1
に示した。投与後
72
時間までに、尿及び糞中にそれぞれ38.9%及び 56.0%が排泄され、総回収率は 95.4%
であった。投与後
168
時間には、尿及び糞中にそれぞれ39.2%及び 57.7%が排泄され、総回収
率は
97.4%であった。以上の結果から、放射能の排泄は投与後 72
時間までにほぼ終了し、尿よりも糞中に多く排泄された。また、呼気への排泄率は投与量の約
0.1%と低かった。放射能の排
泄が尿中よりも糞中に多いのは、胆汁中排泄が高いことが起因しているものと考えられる(添 付資料4.2.2.2-1
参照)。表
2.6.4.6-1 ラットに
14C-レボブピバカイン(3mg/kg)を単回皮下投与したときの放射能の
尿、糞及び呼気中排泄率
累積排泄率(投与量に対する%)
時間
(h) 尿 糞 呼気 ケージ洗浄液 総排泄率
6 9.7 ± 3.7 - - - N.C.
12 25.4 ± 0.9 - - - N.C.
24 34.8 ± 1.9 36.6 ± 3.3 0.07 ± 0.02 0.2 ± 0.3 71.8 ± 4.9 48 38.1 ± 2.1 52.6 ± 2.0 0.09 ± 0.04 0.4 ± 0.4 91.2 ± 2.5 72 38.9 ± 2.0 56.0 ± 1.7 0.09 ± 0.04 0.4 ± 0.4 95.4 ± 1.0 96 39.1 ± 2.0 57.0 ± 1.8 0.09 ± 0.04 0.4 ± 0.4 96.6 ± 0.8 120 39.2 ± 2.0 57.4 ± 1.8 0.09 ± 0.04 0.4 ± 0.4 97.1 ± 0.7 144 39.2 ± 2.0 57.6 ± 1.8 0.09 ± 0.04 0.4 ± 0.4 97.3 ± 0.7 168 39.2 ± 2.0 57.7 ± 1.8 0.09 ± 0.04 0.4 ± 0.4 97.4 ± 0.7
数値は平均値±標準偏差(n=3)で示す
-:測定せず、N.C.:算出せず
②ラット単回静脈内投与後の尿、糞及び呼気中排泄・・・・・・・・・・・・添付資料
4.2.2.2-2
雄性ラットに14C-レボブピバカインを 1mg/kg
の用量で単回静脈内投与したときの放射能の 尿、糞及び呼気中排泄率を表2.6.4.6-2
に示した。投与後
168
時間までに投与量の21.7%が尿中に、70.4%が糞中に排泄され、放射能の総回収
率は
95.8%で、体内残存性は認められなかった。また、呼気への排泄は認められなかった。以
上の結果から、皮下投与したときの結果と同様、尿中よりも糞中への排泄が高いことが確認さ れた。
35
表
2.6.4.6-2 ラットに
14C-レボブピバカイン(1mg/kg)を単回静脈内投与したときの放射能の
尿、糞及び呼気中排泄率
累積排泄率(投与量に対する%) 時間
(h) 尿 糞 ケージ洗浄液 呼気
組織残存 上:消化管
下:屍体
総排泄率
6 5.9 ± 1.3 - - - N.C.
24 17.6 ± 3.0 42.4 ± 11.4 2.4 ± 2.5 0.0 62.4 ± 6.8 48 20.2 ± 2.0 62.6 ± 7.2 2.8 ± 2.7 - 85.6 ± 3.5 72 21.0 ± 2.4 67.4 ± 5.8 2.9 ± 2.7 - 91.4 ± 1.9 96 21.4 ± 2.5 69.2 ± 6.4 3.1 ± 2.6 - 93.7 ± 1.8 120 21.5 ± 2.6 69.8 ± 6.4 3.1 ± 2.6 - 94.5 ± 1.8 144 21.6 ± 2.6 70.2 ± 6.3 3.2 ± 2.6 - 95.0 ± 1.7 168 21.7 ± 2.6 70.4 ± 6.3 3.2 ± 2.6 -
0.1 ± 0.0 0.5 ± 0.1*
95.8 ± 1.7 数値は平均値±標準偏差(n=4)で示す
-:測定せず、N.C.:算出せず
*:バックグランド以上30d.p m.未満のデータより算出
③ラット単回皮下投与後の胆汁中排泄・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料
4.2.2.2-1
胆汁採取用カニューレを挿管した雄性ラットに 14C-レボブピバカインを 3mg/kg
の用量で単 回皮下投与したときの胆汁中排泄率を表2.6.4.6-3
に示した。投与後
2
時間までの放射能の累積排泄率は投与量の37.8%であり、以降増加し続け投与後 48
時間までの累積排泄率は投与量の79.8%となった。以上の結果から、
14C-レボブピバカインの
主排泄経路が肝-胆道系であることが示された。また、胆汁中への排泄率が糞中排泄率よりも 高いことから、放射能の一部が腸管循環すると考えられた(添付資料4.2.2.2-1
参照)。表
2.6.4.6-3 ラットに
14C-レボブピバカイン(3mg/kg)を単回皮下投与
したときの胆汁中排泄率時間
(h)
累積排泄率
(投与量に対する%)
2 37.8 ± 9.5
4 60.2 ± 13.3
6 71.4 ± 9.6
8 76.3 ± 5.0
12 78.7 ± 3.1
24 79.5 ± 2.9
48 79.8 ± 2.8
数値は平均値±標準偏差(n=3)で示す
36
(
2
)イヌレボブピバカインを単回硬膜外、皮下及び脊髄くも膜下投与したときの尿及び糞中排泄をイヌ で検討した。
①イヌ単回硬膜外投与後の尿及び糞中排泄・・・・・・・・・・・・・・・添付資料
4.2.2.2-3
雄性イヌに 14C-レボブピバカインを 1mg/kg
の用量で単回硬膜外投与したときの放射能の尿 及び糞中排泄率を表2.6.4.6-4
に示した。投与後
72
時間までの尿及び糞中排泄率はそれぞれ57.7%及び 40.3%であり、総排泄率は 98.0%
であった。また、投与後
168
時間までの尿及び糞中排泄率はそれぞれ59.3%及び 41.7%であり、
総排泄率は
101.0%であった。投与した放射能の排泄は投与後 72
時間までにほぼ終了し、排泄 率は糞よりも尿中で高かった。表
2.6.4.6-4 イヌに
14C-レボブピバカイン(1mg/kg)を単回硬膜外投与したときの
放射能の尿及び糞中排泄率
累積排泄率(投与量に対する%)
時間
(h) 尿a) 糞 総排泄率
6 11.8 ± 2.6 - N.C.
12 28.9 ± 4.1 - N.C.
24 35.6 ± 1.6 24.9 ± 9.3 60.5 ± 9.6
48 55.5 ± 3.4 37.2 ± 6.3 92.8 ± 3.1
72 57.7 ± 3.3 40.3 ± 5.4 98.0 ± 2.2
96 58.5 ± 3.2 41.0 ± 5.2 99.5 ± 2.0
120 58.9 ± 3.3 41.3 ± 5.0 100.2 ± 1.8
144 59.1 ± 3.4 41.6 ± 5.0 100.7 ± 1.7
168 59.3 ± 3.4 41.7 ± 5.0 101.0 ± 1.7
数値は平均値±標準偏差(n=3)で示す
-:測定せず、N.C.:算出せず a)尿及びケージ洗浄の合計値
②イヌ単回皮下投与後の尿及び糞中排泄・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料
4.2.2.2-4
雄性イヌに14C-レボブピバカインを 1
及び3mg/kg
の用量で単回皮下投与したときの放射能 の尿及び糞中排泄率を表2.6.4.6-5
に示した。1mg/kg
の場合では、投与後72
時間までの尿及び糞中排泄率はそれぞれ59.4%及び 34.8%で
あり、総排泄率は94.2%であった。また、投与後 168
時間までの尿及び糞中排泄率はそれぞれ60.5%及び 36.2%であり、総排泄率は 96.7%であった。 3mg/kg
の場合では、投与後72
時間まで の尿及び糞中排泄率はそれぞれ54.7%及び 36.6%であり、総排泄率は 91.3%であった。また、
投与後
168
時間までの尿及び糞中排泄率はそれぞれ57.5%及び 38.3%であり、総排泄率は 95.8%
であった。投与した放射能の排泄は投与後
72
時間までにほぼ終了し、排泄率は糞よりも尿中 の方が高かった。また、1
及び3mg/kg
のいずれの用量においても、排泄パターンに差は認めら れなかった。37
表
2.6.4.6-5 イヌに
14C-レボブピバカイン(1
及び3mg/kg)を単回皮下投与
したときの放射能の尿及び糞中排泄率累積排泄率(投与量に対する%)
1mg/kg 3mg/kg 時間
(h)
尿a) 糞 総排泄率 尿a) 糞 総排泄率
6 6.1 ± 10.6 - N.C. 1.8 ± 3.2 - N.C.
12 19.5 ± 17.0 - N.C. 13.9 ± 6.8 - N.C.
24 45.2 ± 7.3 15.2 ± 14.3 60.4 ± 13.5 27.9 ± 7.0 11.1 ± 9.7 39.0 ± 4.6 48 57.9 ± 1.1 31.0 ± 6.3 88.9 ± 5.5 50.8 ± 3.0 33.3 ± 2.7 84.0 ± 4.3 72 59.4 ± 1.3 34.8 ± 2.7 94.2 ± 1.5 54.7 ± 1.3 36.6 ± 1.4 91.3 ± 0.4 96 59.9 ± 1.3 35.6 ± 2.1 95.5 ± 0.9 56.0.± 1.1 37.8 ± 1.5 93.8 ± 0.5 120 60.1 ± 1.4 35.9 ± 1.9 96.1 ± 0.7 56.4 ± 1.0 38.0 ± 1.6 94.4 ± 0.6 144 60.3 ± 1.5 36.1 ± 1.8 96.4 ± 0.6 56.7 ± 1.0 38.2 ± 1.5 94.9 ± 0.5 168 60.5 ± 1.6 36.2 ± 1.8 96.7 ± 0.6 57.5 ± 1.2 38.3 ± 1.5 95.8 ± 0.5
数値は平均値±標準偏差(n=3)で示す
-:測定せず、N.C.:算出せず a)尿及びケージ洗浄の合計値
③イヌ単回脊髄くも膜下投与後の尿及び糞中排泄・・・・・・・・・・・・添付資料
4.2.2.2-5
雄性イヌに 14C-レボブピバカインを 1mg/kg
の用量で単回脊髄くも膜下投与したときの放射 能の尿及び糞中排泄率を検討した。投与後
48
時間までの尿及び糞中排泄率はそれぞれ57.5%及び 31.7%であり、総排泄率は 89.2%
であった。また、投与後
168
時間までの尿及び糞中排泄率はそれぞれ61.5%及び 33.5%であり、
総排泄率は
95.0%であった。以上の結果から、放射能の排泄は投与後 168
時間までにほぼ終了 し、糞よりも尿中に多く排泄された。従って、イヌの硬膜外、皮下及び脊髄くも膜下に単回投与したときの放射能の尿及び糞中排泄 率が同程度であったことから、投与経路による排泄パターンに違いはないものと考えられた。ま た、イヌにおける放射能の排泄は、ラットとは異なり(添付資料
4.2.2.2-1
及び4.2.2.2-2
参照)、尿中が主たる経路であることが示された。
2
)ラット単回皮下投与後の乳汁中排泄・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料4.2.2.3-2
分娩後11
日目の授乳雌性ラット(SD)に14C-レボブピバカインを 3mg/kg
の用量で単回皮下投与 したときの乳汁中放射能濃度を表2.6.4.6-6
に示した。乳汁中放射能濃度は投与後
1
時間で最高値となり、血漿中放射能濃度の3.7
倍の値を示した。そ の後、投与後4
時間までは血漿中放射能濃度よりも高値で推移し、投与後6
時間以降は血漿中放射 能濃度に比べて速やかに低下した。以上の結果から、放射能は乳汁に移行するものの、血漿に比べ て速やかに消失することが示された。38
表
2.6.4.6-6 授乳ラットに
14C-レボブピバカイン(3mg/kg)を単回皮下投与
したときの乳汁及び血漿中放射能濃度放射能濃度(µg eq./mL)
時間
(時間) 血漿 乳汁
乳汁/血漿
(濃度比)
0.25 0.236 ± 0.020 0.585 ± 0.150 2.50 ± 0.75 0.5 0.268 ± 0.104 0.779 ± 0.194 3.07 ± 0.78 1 0.271 ± 0.057 0.983 ± 0.164 3.70 ± 0.71 2 0.281 ± 0.032 0.826 ± 0.061 2.95 ± 0.24 4 0.265 ± 0.025 0.402 ± 0.007 1.53 ± 0.12 6 0.356 ± 0.011 0.260 ± 0.039 0.73 ± 0.13 24 0.0576 ± 0.0088 0.0259 ± 0.0011 0.46 ± 0.06 48 0.0224 ± 0.0016 0.00488 ± 0.00424 0.23 ± 0.20
数値は平均値±標準偏差(n=3)で示す