現地施工試験による打継目のせん断試験を行い、せん断強度に与える影響について検討 を行う。
5.2.1 打継目処理方法検討ケース
打継目処理方法の検討ケースは 6.1 同様下記の①~④の4ケースを基本として、試験施 工を実施した。ただし、試験施工における打継目処理の実施段階において、ケース4のレ ーキングについては、バックホウによるレーキング後に表面に掻いたソイルセメント材が 残るため、それを清掃したケースについて追加した(⑤ケース4有)。
さらに、捨てソイルと下層(1層目)との継ぎ目部についても、連続打設による無処理 のケースを⑥として追加した。①~⑤の打継目処理ケースでは、下層(1層目)の打設の 翌日に打継目処理および上層(2層目)の打設を行っており、下層の打設面が硬化してし まった状態である。それに対して、⑥は捨てソイルと下層は1日の内にすぐに連続打設を 行ったケースであり、捨てソイルの打設面がまだ硬化していないと考えられる状態である。
なお、比較検討のために、ソイルセメント+コンクリート(清掃散水)およびコンクリ ートの打継面(グリーンカット+敷きモルタル)についても実施した。
<検討ケース>
①ケース1:清掃・散水
②ケース2:セメント散布
③ケース3:モルタル敷き均し
④ケース4無:レーキング(清掃無し)
⑤ケース4有:レーキング(清掃有り)
⑥連続打設:無処理
<比較検討ケース>
⑦ケース5:清掃散水(ソイルセメント+コンクリート)
⑧ケース6:グリーンカット+敷きモルタル(コンクリート)
5.2.2 コア採取による打継目の付着状況
試験施工ヤードから各ケースについて、せん断強度試験用にコアの採取を行った。
コア採取における打継面の分断、接合状況について、表 5.2.1及び表 6.2.2 に示す。
各ケースとも No.1~No.3 の3本については、材齢 17 日でコア採取を行った。その際、
ケース1の清掃散水およびケース4のレーキングについて、ほとんど打継目でコアが分断 していたことから、全ケースについて残りの6本を材齢が経過した段階(材齢 35 日)で再 度コア採取することとした。
コア採取の結果より、セメント散布とモルタル敷き均しによる打継目処理は、良好に密 着していると言える。清掃・散水およびレーキングの清掃有りのケースは採取数の半分が 分断していたことから、付着状態としては良くはない。ただし、両ケースとも材齢が経過 した場合、付着している割合が増加していたので、さらに材齢が経過することにより付着 状態も良くなると考えられる。
レーキングの清掃無しのケースでは、全てのコアで分断しており、付着状態は悪いと言 える。レーキング後に清掃を行っていないため、ソイルセメント材の残土が影響している ものと思われる。また、他の現場の事例では、清掃無しのレーキングで採取コアは分断し なかった事例(単位セメント量 C=160kg/m3)もあり、単位セメント量が本ケースでは 80kg/m3 と少ない点や含水比などの影響もあると考えられる。
表 5.2.1 1層目と2層目の打継目の付着状況
表 5.2.2 捨てソイルと1層目(無処理)の打継目の付着状況
ケース 工法 打継面処理方法 No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6 No.7 No.8 No.9 接合 分断
ケース1 ソイルセメント 清掃・散水 ○ × × ○ ○ × × ○ × 4 5
ケース2 ソイルセメント セメント散布 × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 8 1
ケース3 ソイルセメント モルタル敷均し ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 9 0
ケース4無 ソイルセメント レーキング(清掃無し) × × × × × × × × × 0 9
ケース4有 ソイルセメント レーキング(清掃有り) × × × ○ × × ○ ○ ○ 4 5
ケース5 ソイルセメント
+コンクリート 清掃・散水 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 9 0
ケース6 コンクリート グリーンカット+敷モルタル ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 9 0
合計 43 20
ケース 工法 打継面処理方法 No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6 No.7 No.8 No.9 接合 分断
ケース1 ソイルセメント 無処理 × ○ ○ ○ × ○ ○ × ○ 6 3
ケース2 ソイルセメント 無処理 ○ ○ ○ × × × × × × 3 6
ケース3 ソイルセメント 無処理 ○ × × × × × ○ ○ ○ 4 5
ケース4無 ソイルセメント 無処理 ○ ○ ○ × × × ○ ○ ○ 6 3
ケース4有 ソイルセメント 無処理 ○ ○ ○ ○ × × × × × 4 5
ケース5 ソイルセメント
+コンクリート 無処理 × × × ○ × ○ ○ × × 3 6
合計 26 28
○:接合、 ×:分断
○:接合、 ×:分断
5.2.3 試験結果
(1) せん断応力と垂直応力の関係
図 5.2.1にせん断破壊した点のせん断応力と垂直応力の関係を示す。
せん断破壊点におけるせん断応力と垂直応力の大きさより、強度の大きさは、モルタル 敷均し>打継目無し>コンクリート+ソイル>セメント散布>連続打設>レーキング、清 掃・散水の順となった。
セメント散布のケース2および打継目を含まない打継無1のケース以外は、相関は比較 的高い値を示していると言える。ケース2のセメント散布における試験値のバラツキは、
セメント散布が試験施工面に均一に行われていないことによるもの、もしくは、施工不良 によるものと考えられる。また、打継無1のケースは、ソイルセメント内部のせん断破壊 のため、強制せん断面における礫の混入状態など個々に異なるため、その影響でバラツキ があるものと考えられる。
図 5.2.1 せん断応力と垂直応力の関係
図 5.2.1に示す結果は、全てのせん断試験結果のデータを用いてプロットしたものであ り、データのバラツキも見られる。従って、せん断強度を求めるにあたって、施工不良や 極端に小さいせん断応力で破綻が生じているなどの異常なデータは棄却することとした。
その結果、垂直応力とせん断応力の関係は、図 5.2.2のようになる。
y = 1.2587x + 132.76 R2 = 0.9997
y = 1.3496x + 110.12 R2 = 0.9524 y = 1.6771x + 152.49
R2 = 0.7463
y = 1.4611x + 274.59 R2 = 0.8776
y = 1.8958x + 210.59 R2 = 0.9693 y = 2.4565x - 104.22
R2 = 0.4679
y = 2.1464x - 71.983 R2 = 0.8946
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600
垂直応力 σ(kN/m2) せん断応力 τ(kN/m2)
ケース1 ケース2 ケース3 ケース4有 ケース5 連続打 打継無1
【ケース4有】
【ケース5】
【ケース2】
【ケース3】
【ケース1】
【打継無1】
【連続打】
図 5.2.2 データ棄却後のせん断応力と垂直応力の関係図
(2) せん断強度および内部摩擦角の推定 a)クーロンの破壊公式から求めたせん断強度
図 5.2.2に示すようにケースごとにプロットされたせん断応力と垂直応力の関係より求 めた各ケースの純せん断強度及び内部摩擦角をに示す。なお純せん断強度と内部摩擦角は 試験結果より以下のようにクーロンの破壊公式に従って求めた。
τ=τ0+σtanφ
ここに、τ:せん断強度 τ0:純せん断強度 σ:垂直応力 φ:内部摩擦角
y = 1.2587x + 132.76 R2 = 0.9997
y = 1.3496x + 110.12 R2 = 0.9524 y = 1.6072x + 203.26
R2 = 0.8686
y = 1.4611x + 274.59 R2 = 0.8776 y = 1.8958x + 210.59
R2 = 0.9693 y = 1.6079x + 346.82
R2 = 0.3516
y = 1.1611x + 138.34 R2 = 0.996
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600
垂直応力 σ(kN/m2)
せん断応力 τ(kN/m2)
ケース1 ケース2 ケース3 ケース4有 ケース5 連続打 打継無1
【ケース4有】
【ケース5】
【ケース2】
【ケース3】
【ケース1】
【打継無1】
【連続打】
表 5.2.3 一面せん断試験結果 ケース名 摩擦係数
(内部摩擦角)
純せん断強度 (KN/m2)
相関係数 試験数 ケース1 1.349(53) 110 0.95 4 ケース2 1.607(58) 203 0.87 6 ケース3 1.896(62) 211 0.96 9 ケース4 1.259(52) 133 0.99 4 ケース5 1.461(56) 275 0.88 9 連続打 1.161(49) 138 0.99 3 打継無 1 1.608(58) 347 0.35 4
表 5.2.3より、ケース打継無1を除くと試験値を回帰式で整理した相関係数は高い値を示 していると言える。また、内部摩擦角は、52°~62°となっており、ケース4のレーキン グがφ=52°と最も小さく、モルタル敷均がφ=62°と最も大きい結果となった。
本試験では、各ケースの直線式勾配(内部摩擦角)がばらつく結果となっており、特に、
モルタル敷均しのせん断強度がセメント散布のせん断強度と同程度の値となってしまって いる。なお、データの棄却によりクーロン破壊線による純せん断強度および摩擦係数は表 5.2.4のとおりとなり、傾向として表.5.2.5に示すように大きく3つに分類できる。
なお、連続打設、無処理(捨てソイルと1層目)であるが、分断が半分と結合状況であ ることと、強度にばらつぎがみられることから、連続打設時のせん断強度を正確に把握で きたとはいえないが、連続打設でも1層と2層の打設に時間があくようであれば、処理を 実施したほうがよいと考えられる。
表 5.2.4 一面せん断試験結果
データ棄却前 データ棄却後
ケース名 摩擦係数
(内部摩 擦角)
純せん断 強度 (KN/m2)
相関係 数
試験 数
摩擦係数
(内部摩擦 角)
純せん断 強度 (KN/m2)
相関 係数
試 験 数 ケース1 1.349(53) 110 0.95 4 1.349(53) 110 0.95 4 ケース2 1.677(59) 152 0.75 8 1.607(58) 203 0.87 6 ケース3 1.896(62) 211 0.96 9 1.896(62) 211 0.96 9 ケース4 1.259(52) 133 0.99 4 1.259(52) 133 0.99 4 ケース5 1.461(56) 275 0.88 9 1.461(56) 275 0.88 9 連続打 2.146(65) 0(-72) 0.89 6 1.161(49) 138 0.99 3 打継無 1 2.457(68) 0(-104) 0.47 6 1.608(58) 347 0.35 4
表.5.2.5 一面せん断試験結果 ケース 打継目処理 摩擦係数
(内部摩擦角)
純せん断強度 (KN/m2) ケース3 モルタル敷均 1.896(62) 211
打継無 1 打継目無し 1.608(58) 347 ケース2 セメント散布 1.607(58) 203 ケース5 ソイル+コンクリ 1.461(56) 275 ケース1 清掃・散水 1.349(53) 110 ケース4 レーキング+清掃有 1.259(52) 133 連続打 連続+無処理 1.161(49) 138
今回実験で得られたコンクリートの純せん断強度は5N/mm2、f=0.94 であり、圧縮強度 を 18N/mm2とすると、τ0/σu=1/3.6 となった。
コンクリートにおいて既往の実験結果とほぼ同等の値となっていることがわかる。
(3) 圧縮強度とせん断強度の関係
①打継目処理方法の違いによるせん断強度
打継目処理方法を変えた各ケースでの圧縮強度とせん断強度の関係を表.5.2.6に示す。
なお、圧縮強度は、ケース3より採取したコア(φ125mm×h250)の一軸圧縮強度試験を実 施した結果である。各ケースの試験ヤードは異なるものの、粒径および配合等の打継目部 以外の施工条件は同じである。
圧縮強度とせん断強度の関係では、せん断強度と圧縮強度の比がτ/σ=1/13~1/41 と圧 縮強度に対してせん断強度が非常に小さな値となっている。これは、摩擦係数(回帰線の 傾き)が大きいため全体として純せん断強度が小さな値を示す結果となっている。
特に、モルタル敷均しの摩擦係数は、f=1.9(φ=62°)と、コンクリートなどが一般に f=1.0~1.2 であるのに対して極端に大きな値を示した。
表.5.2.6 圧縮強度とせん断強度の関係(クーロン破壊線)
②打継目ありと打継目なしの比較
打継目が含まれるソイルセメントのせん断強度と打継目を含まないソイルセメント均一 部におけるせん断強度の比較を行った。
打継目処理を行ったケースのうち最も発現強度が大きかったモルタル敷均しでのせん断 強度は、打継目を含まないソイルセメント均一部のせん断強度とほぼ同じ値となった。
モルタル敷均しのせん断破壊面をみると、打継面のモルタル内で切断はしておらず、下 層のソイルセメント内部でのせん断破壊が生じている。これは、モルタルの付着が強く、
上層と下層のソイルセメントが一体化しており、さらにモルタルの強度がソイルセメント よりも強いことによるといえる。
摩擦係数
圧縮強度②
(KN/m2) (N/mm2) (内部摩擦角) (N/mm2)ケース1 清掃・散水 110 0.11 1.349(53) 1/ 41 ケース2 セメント散布 203 0.20 1.607(58) 1/ 23 ケース3 モルタル敷均し 211 0.21 1.896(62) 1/ 22 ケース4 レーキング・清掃有り 133 0.13 1.259(52) 1/ 35 ケース5 コンクリート+ソイル、
無処理 275 0.28 1.461(56) 1/ 16 連続打 連続打設、無処理 138 0.14 1.161(49) 1/ 32 打継無1 ソイルセメント均一部 347 0.35 1.608(58) 1/ 13
ケース 打継目処理方法 純せん断強度①
4.53
①/②