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(1) 成果:対象地域の県・市地方防災局の災害リスク管理の基礎となる災害に関するデータ・情報の収 集能力・蓄積精度が向上する。

(2) 活動スケジュール:

成果1の活動スケジュールは下図のとおりである。

図 2.3.1 成果 1 の項目別活動スケジュール (3) 技術移転実施方法

成果1の各活動項目にかかる技術移転実施方法は以下の通りである。

項 目【4】: 災害データ・情報フォーマットの実態把握と共通データ・情報フォーマットの確立 項 目【5】: 災害データの情報共有と報告及びフォーマット検討と蓄積方法の確立

開発調査(自然災害管理計画)において、県・市レベルにおける災害データは、災害発生後ある一定期 間内に州へ報告がされるが、報告の手法や災害情報の入力形式が統一されておらず、系統的に保管・管 理していないことが判明した。平常時から災害データ・情報を系統的に整理・管理することは、災害リ スクの評価をする上で非常に重要であり、これら科学的な情報に基づく各種計画策定に必要不可欠であ る。また危機管理時においては、円滑・確実な応急対応を行う上で、各人が的確な対応が取れるよう、

迅速、確実、組織的、直感的にわかりやすい情報を伝えることが肝要となる。

そこで、項目【4】および【5】においては、既存災害情報入力フォーマット、共有と報告に関わる一連 の流れの現状について、国家防災庁(BNPB)および州及び県・市の地方防災局(BPBD)担当者から 聞き取り及び協議をおこない、県・市BPBDから州BPBD、州BPBDからBNPBの各段階における 情報共有の方法、伝達の現状および問題点を確認した。項目【4】および【5】の活動にあたっては、日 本国内および「イ」国においてヒアリング調査を実施した。主な調査の訪問先及び協議内容を次表に示す。

2011 Dec

2012 Dec

2013 Aug

2013 Oct

2014 Mar

項目【4】

項目【5】

項目【6】

項目【18】

項目【19】

1-1

1-2

1-3

1-4

1-5

県市が収集・蓄積すべき災害デー タ・情報の内容を検討しフォーマット 等を確立する

県市防災局~州防災局~国家防 災庁への災害データの共有に必要 なデータ項目及びフォーマットを検 討して蓄積方法を確立する

災害データ・情報収集・蓄積マニュ アルを策定する

1開発されたデータ・フォーマットを 活用し災害データ・情報の収集・蓄 積を行う

1パイロット対象地地域において蓄 積された災害データを災害年鑑に 掲載する

表 2.3.1 成果1における主な聞き取り調査

日時 訪問先 協議内容

国内調査 2013/4/8 神戸市

/危機管理室

神戸市における危機管理時および非常時における災害情報収集と対応に関 するヒアリング

2013/4/18 兵庫県庁

/中播磨県民局

兵庫県庁における危機管理時および非常時における災害情報収集と対応に 関するヒアリング。4/13に発生した淡路地震における実対応の確認。

現地調査(国)

2012/4/2 BNPB(国家防災庁) 国家防災庁が実施する災害情報収集に関する現状の対応に関する確認。

2012/4/16 BNPB(国家防災庁) 国家防災庁が実施する災害情報収集に関する現状の対応に関する確認。パイ

ロット地域でのプロジェクト実施に関する説明。

2012/4/17 BNPB(国家防災庁) 国家防災庁が実施する災害情報収集に関する現状の対応に関する確認。パイ

ロット地域でのプロジェクト実施に関する説明。

2012/4/17 BNPB(国家防災庁) プロジェクト進捗報告および今後の活動方針の説明。

2013/8/23 BNPB(国家防災庁) プロジェクト進捗報告と災害年鑑への活動掲載依頼。

現地調査(州・県・市)

2012/4/9 BPBD(北スラウェシ州) 成果1の活動概要説明。事業協力依頼。

2012/4/10 BPBD(ミナハサ

Minahasa県) 災害情報収集の方法と報告および蓄積に関するヒアリング。

2012/4/10 BPBDTomohon県) 災害情報収集の方法と報告および蓄積に関するヒアリング。

2012/4/11 BPBDManado市) 災害情報収集の方法と報告および蓄積に関するヒアリング。

*専門家不在時にローカルコンサルタントが北スラウェシ州の15県市のBPBDを訪問し上記ヒアリングを行った

上記ヒアリングによって明らかになった現状および課題について次に示す。

①日本国内(兵庫県内)の災害情報収集対応

平常時および危機管理時の具体的対応は、各自治体が整備している地域防災計画に明記されていて、

同計画に従って対応が行われている。例えば、2013年4月13日に発生した淡路地震においては、

地域防災計画に従って淡路市が随時被害状況等をとりまとめ(一部報告はフォーマットに入力)兵 庫県に報告を行う。報告を受けた兵庫県は、被害状況を迅速に精査し、県内他市(神戸市や明石市 など)に被害対応のため職員の派遣要請を行った。一方、大規模災害時においては他県へ支援協力を 行えるよう、災害時における協定が締結されている。なお、平常時においては基本的に各県市がそれ ぞれの自治体における情報を適宜収集および整理しており、危機管理時に備えた対応をしている。

②国家防災庁(BNPB)による災害情報収集に関する指針

BNPBは2011年に災害情報収集に関する国家防災庁長官令「BNPB Regulation No.8(Standard

Data Information)」を公布している。本長官令は、BNPBおよび州、県・市のBPBD職員を対象

としており、危機管理時および平常時における災害情報の手法について明記している。あわせて、

災害情報収集フォーマットについても添付されている。しかしながら、同長官令は概要説明のみに 止まり、特に県・市BPBD職員が対応する具体的な災害情報の収集、伝達、蓄積方法については記 載が十分ではない。成果1の活動としては本課題に着目し、後述する項目【6】におけるマニュアル 策定にあたって、主に県・市および州BPBD職員を対象とした具体的且つ詳細な災害情報収集手順 や方法について明記することとした。なお、マニュアル策定にあたっては、「BNPB Regulation No.8

(Standard Data Information)」を基礎としてマニュアルを勘案し、BPBDの指針と大きな乖離

が生じないように配慮した。

③国家防災庁(BNPB)による災害情報ポータルサイト(DIBI)の現状

BNPBは国連開発計画(UNDP)の支援により災害情報を一元管理するシステム、インドネシア災害 情報ポータルサイト(DIBI: Indonesia Disaster Data and Information)を構築し公開している。

本システムは「イ」国国内で発生している災害情報を網羅し、統計データとしてデータを抽出でき るよう構成されているが、管理運営するBNPBの人手不足によりデータ更新が十分ではないという 課題がある。このため、現在BNPBは州単位のDIBIの整備を進めていて機能を移行しようとして いる。現段階では、アチェ州においてアチェ州版DIBIが運営されている。なお、DIBIへの災害情 報入力権限は州単位にのみ許され、県市BPBD職員に対しては入力の権限が許可されていない。

④北スラウェシ州における災害情報収集に関する現状と課題

北スラウェシ州の現状調査については、表2.3.1で示した通り、州内15県・市のBPBDへ訪問し災 害情報の収集に関する現状の取り組みについて確認を行った。調査の結果、多くの県・市BPBDは それぞれ独自の災害情報入力フォーマットを有し、伝達および蓄積の手法もそれぞれ異なっている ことが明らかになった。例えば、図2.3.2のようにManado市においては市内の各地域で災害情報 が集められた後、袖手された情報はManado市に直接送られる(伝達の手法は郵送であったり直接 届けられたり方法が確立されていない)。集約された情報はManado市のBPBDで整理され、まず

Mando市長に優先して報告される。BNPBや州BPBDへの報告は、補足として情報共有が行われ

る。この点については、被災地における災害直後の住民に対する避難判断、緊急救援活動の対応方 針、復興復旧に関する必要予算の決定権限が市長にあるため、集約された情報がまず市長に報告さ れるという実情があることがわかった。また、災害情報が首長及びBPBDに報告されるのは、この 情報を元に、発災時に避難行動を判断し、住民の安全確保を図るために必要な情報であることが理 由である。

図 2.3.2 マナド市における現状の災害情報伝達の経路

上記で明らかになった現状や課題を整理し、成果1としては、北スラウェシ州において 3回のワーク ショップを開催した。ワークショップの対象は州および県市BPBD の災害情報収集に関する担当職員 とした。ワークショップを通して得られた参加者からの災害情報収集に関するニーズや要望を整理し適 宜成果1の活動に反映させた。

上記の事前調査を参考にして、成果1は表2.3.2の通り複数回のワークショップを開催し参加者と様々 な意見交換を行った。例えば、第1回目のワークショップにおいて、災害情報を収集すべきフェーズに ついて質問をした。半数以上の参加者は、災害直後のみに情報を収集し整理すべきと回答した。次なる

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