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懲 戒

ドキュメント内 憲法h1out (ページ 37-48)

就業規則

第 章

1  懲戒権の根拠 ···

労働者は労働契約を締結することによって,労務提供義務に付随して企業秩序 を遵守する義務を負い,使用者は企業秩序違反を理由に 懲戒処分をなすことがで きます。

2  有効要件 ···

契第15条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において,当該懲戒が,

当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的 に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権 利を濫用したものとして,当該懲戒は,無効とする。 

⑴ 使用者が労働者を懲戒することができる場合

懲戒処分をなしうるためには,懲戒事由とこれに対する懲戒の種類・程度が就業 規則上明記されていなければなりません(罪刑法定主義に準ずる原則)。

⑵ 懲戒処分の妥当性

平等取扱いや処分の相当性,処分にあたっての適正な手続きなどが求められま す。

 関西電力事件(最判昭 58.9.8)

労働者は,労働契約を締結して雇用されることによって,使用者に対し労務 提供義務を負うとともに企業秩序遵守義務を負い,使用者は,企業秩序を維 持し企業の円滑な運営を図るために,労働者に対し,その企業秩序違反行為 を理由に,一種の制裁罰としての懲戒処分を,就業規則の定めに従って課す ことができる。

判例

 炭研精工事件(最判平 3.9.19)

最終学歴は単に労働力の評価に関わるだけでなく,会社の企業秩序の維持に も関係する事項であるから,労働者は採用にあたって真実を申告すべき義務 を有し,労働者が大学中退の学歴を秘匿して雇用されたことは,就業規則に 定める経歴を詐称して雇い入れられた場合にあたるため,就業規則所定の懲 戒解雇事由に該当し,解雇権の濫用にはあたらない。

判例

学歴を高く詐称することのみならず,低く申告することも 経歴詐称となり ます

  就業規則

3  減給の制限 ···

懲戒処分としての減給は,労働者が 15 分遅刻した場合に,不就労の時間に加え,

懲戒減給処分としてさらに賃金を減額する場合です。不就労分の賃金を支払わな いことは ノーワーク・ノーペイの原則(働かない時間は無給だという原則)として 当然であり,減給処分ではありません。

基第91条 就業規則で,労働者に対して 減給の制裁を定める場合においては,

その減給は,1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え,総額が一賃金支払期 における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

4  懲戒の限界 ···

 フジ興産事件(最判平 15.10.10)

使用者が労働者を懲戒するには,あらかじめ就業規則において懲戒の種別及 び事由を定めておくことを要する。そして,就業規則が法的規範としての性 質を有するものとして拘束力を生ずるためには,その内容を適用を受ける事 業場の労働者に周知させる手続きがとられていることを要する。

判例

 山口観光事件判決(最判平 8.9.26)

休日出勤命令を拒否して2労働日も欠勤した労働者に対し, 業務命令拒否,

無断欠勤を理由に懲戒解雇がなされた後,その者につき経歴詐称が判明した ので,解雇を争う訴訟において経歴詐称をも処分理由に追加した事例で,判 例は,「懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は,特段の事情の ない限り,当該懲戒の理由とされたものではないことが明らかであるから,

その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることはできない」とした。

判例

懲戒処分として出勤停止が行われた場合に,その間賃金を受けられないこ とは,91条に規定する減給の制限にはあたらない(行政解釈)。

日本鋼管川崎製鉄所事件(最判昭 49.3.15)

会社の名誉,信用その他社会的評価に重大な悪影響を与える従業員の行為に は,それが職務の遂行と直接関係のない私生活上で行われた行為であっても,

会社の規制を及ぼしうる。…その場合,具体的業務阻害の結果や取引上の不 利益の発生は,懲戒処分の要件ではない。…ただし,「会社の体面を著しく 汚したとき」とされるのは,…会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大 であると客観的に評価される場合であり,…当該労働者が従業員3万人の大 企業の1工員にすぎない場合は,「会社の体面を著しく汚したとき」には該 当せず,懲戒解雇を無効とした原判決を支持した。

判例

  

問題 

懲 戒

頻出度 地上★★★ 労基★   国家総合職★★ 

応用レベル

問 使用者が企業秩序維持の観点から労働者に対して行う懲戒処分に関する次の 記述のうち,妥当なのはどれか。  (国Ⅰ 2001)

1: 懲戒処分は企業秩序違反に対する制裁罰であるから,労働者の私生活上の非 行を事由として懲戒処分を行うためには,当該労働者の行為が企業の業務を 具体的に阻害し,又は取引上の不利益を発生させたことが必要である。

2: 刑事法上の一事不再理の原則及び刑罰不遡及の原則の考え方は,私的な制裁 罰である懲戒処分にも妥当し,同一の事犯に対して2回懲戒処分を行うことは できず,また,就業規則に懲戒処分の根拠規定が設けられる以前の行為に対 して遡及して処分を行うことはできない。

3: 懲戒処分のうちで最も重い処分である懲戒解雇処分は,労働者の企業秩序違 反の態様が著しく,それまでの勤続の功を抹消又は減殺してしまう程度の場合 に課されるものであるから,懲戒解雇処分を行う場合には,労働契約の内容と して特段の定めをすることなく,退職金の全部又は一部を支給しないことがで きる。

4: 懲戒解雇を若干軽減した懲戒処分として,退職を勧告し,退職願あるいは辞 表を提出させる諭旨退職処分の制度が労働契約上設けられている場合には,

この制度に基づく退職は形式的には労働者の自己都合による退職となることか ら,当該諭旨退職処分の法的効力を争うことはできない。

5: 懲戒減給処分は,企業秩序違反に対する制裁罰であり,減給相当分が便宜上 賃金から直接徴収されるとしても,実体は罰金であり,賃金の控除には該当し ないから,賃金の全額払について定めた労働基準法第 24 条の規定とは関係が ない。

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  就業規則 チェック欄

1回目 2回目 3回目 問題

〈懲 戒〉

1×  職場外の政治活動に関連した刑事特別法違反行為を理由とする懲戒解雇 処分の適法性が争われた事件において判例は,労働者の私生活上の言動 も,企業の社会的評価に相当重大な悪影響を与える場合は懲戒処分の対象 となり,その場合において具体的業務阻害の結果や取引上の不利益の発生 は懲戒処分の要件ではないとしている。(日本鋼管川崎製鉄所事件,最判昭 49.3.15)。

2〇  懲成処分が有効とされるためには,その処分の理由と懲戒の種類・程度が 就業規則上明記されていなければならない。加えて,懲戒処分の根拠規定 が設けられる以前の事犯については懲戒規定は遡及的に適用されず(懲戒 規定不遡及の原則),同一の事犯について2回懲戒処分を行うことは許され ない(一事不再理の原則)などの刑法の罪刑法定主義に準ずる原則(要件)

が,判例・学説上確立されている。

3×  懲戒解雇は「労働者の企業秩序違反の態様が著しく,それまでの勤続の功 を抹消又は減殺してしまう程度の場合」にのみ課されるわけではない。こ の基準は,懲戒解雇処分の有効性の基準ではなく,有効な懲戒解雇に伴っ て退職金を不支給または減額とする扱いが認められるか否かの基準である

(トヨタ工業事件,東京地判平 6.6.28 など)。また,退職金制度を導入してい る場合には,全部または一部支給しない場合について,労働契約または就 業規則などに懲戒処分の規定と併せて規定をしておくことは絶対に必要で ある。

4×   諭旨退職は,労働者に退職願または辞表の提出を勧告して合意解約または 退職を求め(退職勧奨),所定期間内に勧告に応じない者を懲戒解雇に処す ることをいう。すなわち,形式は合意解約または退職であっても,実質は 懲戒解雇であるから,諭旨退職には懲戒解雇規制が働き,その法的効力が 争われたときは,懲戒解雇に準ずる措置として処理することとなる(判例・

通説)。

5×  懲戒 減給処分とは,職務懈怠,職場規律違反などに対する制裁として,本 来なら労働者が現実になした労務提供に対して受ける賃金から一定の金額 を差し引くことである。したがって,減給も賃金の一部控除にほかならず,

賃金全額払の原則(基 24 条 1 項)と関係がないとはいえない。これに対し 労働基準法は減給の制限を設けており(基 91 条),その範囲内であれば減 給も適法であるとされている。

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ドキュメント内 憲法h1out (ページ 37-48)

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