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データ元:動物由来薬剤耐性菌モニタリング(JVARM)

AMR アクションプランのモニタリング強化の一環として、2017 年度から疾病にり患した犬及び猫 由来の薬剤耐性菌モニタリング調査を開始した。疾病にり患した犬猫からの菌株の収集にあたっては、

全国を北海道・東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄の 6 つのブロックに分け、動物診 療施設(小動物・その他)の開設届出数に基づいて菌株数を割り当て、小動物の臨床検査機関より収 集した。薬剤感受性試験には、CLSI に準拠した微量液体希釈法を用い、収集した各種菌株の抗菌剤 の MIC 値を測定した。なお、BP は、CLSI で規定されている薬剤についてはその値を採用し、CLSI で規定されていない薬剤については、EUCAST で規定されている値又は微生物学的 BP(二峰性を示 す MIC 分布の中間点)を採用した。

健康動物由来とは異なり、疾病にり患した動物由来細菌の薬剤耐性の調査では、抗菌剤による治療 の影響や疾病の発生状況の影響を受ける可能性があることに留意する必要がある。愛玩動物について も家畜と同様に健康動物の薬剤耐性の動向をベースラインの情報として把握することが重要と考えら

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れることから、疾病にり患した動物の調査を継続するとともに、健康な犬猫を対象とした調査を 2018 年より開始した。健康な犬猫を対象とした調査は実施中であり、本報告書には記載していない。

ⅰ. Escherichia coli

15 薬剤を対象として調査を行った。犬及び猫由来株では 2017、2018 年ともアンピシリン(ABPC)

及びナリジクス酸(NA)に対する耐性率が 60%前後と高かった。一方、ゲンタマイシン(GM)、カ ナマイシン(KM)、クロラムフェニコール(CP)、コリスチン(CL)及びホスホマイシン(FOM)

に対する耐性率は 20%未満であった。ヒトの医療で重要な抗菌剤については、犬及び猫由来株で、セ フォタキシム(CTX)に対しては 40%前後、CL に対しては 1.0%以下、シプロフロキサシン(CPFX)

に対しては 50%前後の耐性率であり、メロペネム(MEPM)に対する耐性は認められなかった。

表 64 疾病にり患した犬及び猫由来のEscherichia coliの耐性率(%)

薬剤 BP 動物種 2017 年 2018 年

ABPC 32 55.3 63.0

64.0 65.6

CEZ 32 31.2 47.4

37.5 49.5

CEX 32 31.7 42.9

41.9 47.3

CTX 4 26.1 41.6

33.8 40.9

MEPM 4 0.0 0.0

0.0 0.0

SM 32 29.6 29.9

32.4 34.4

GM 16 14.1 18.8

12.5 15.1

KM 64 6.5 7.8

8.1 12.9

TC 16 28.1 27.3

24.3 28.0

CP 32 12.6 16.9

13.2 15.1

CL 4 1.0 0.6

0.0 0.0

NA 32 61.8 72.7

58.8 68.8

CPFX 4 43.2 51.9

39.0 48.4

FOM 256 0.5 3.9

1.5 1.1

ST 76/4 24.6 27.9

22.1 34.4

検査株数(n) 199 154

136 93

BP の単位は μg/ml。 CLSI に規定された BP。 EUCAST に規定された BP。

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ⅱ. Klebsiella spp.

15 薬剤を対象として調査を行った。Klebsiella spp.では K. pneumoniae が最も多く、次いで K.

oxytoca であり、それ以外は収集されなかった。犬由来株ではセファゾリン(CEZ)及びナリジクス

酸(NA)で、猫由来株では CEZ、セファレキシン(CEX)、セフォタキシム(CTX)、ストレプト マイシン(SM)、ゲンタマイシン(GM)、テトラサイクリン(TC)、NA、シプロフロキサシン

(CPFX)及びスルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST)に対して 50%を超える耐性が認めら れた。一方、犬及び猫由来株のコリスチン(CL)、ホスホマイシン(FOM)及び犬由来株のカナマ イシン(KM)に対する耐性率は 20%未満であった。ヒトの医療で重要な抗菌剤については、CTX 及 び CPFX に対しては犬由来株では 50%未満であったが猫由来株では 80%以上の耐性率であり、犬及 び猫由来株の CL に対する耐性率は 5%未満、メロペネム(MEPM)に対する耐性は認められなかっ た。

表 65 疾病にり患した犬及び猫由来のKlebsiella spp.の耐性率(%)

薬剤 BP 動物種 2017 年 2018 年

ABPC 32 90.3 93.9

96.2 100.0

CEZ 32 47.2 51.0

84.6 90.0

CEX 32 44.4 46.9

84.6 80.0

CTX 4 41.7 38.8

80.8 80.0

MEPM 4 0.0 0.0

0.0 0.0

SM 32 26.4 34.7

57.7 55.0

GM 16 26.4 28.6

61.5 55.0

KM 64 8.3 12.2

23.1 20.0

TC 16 33.3 42.9

57.7 65.0

CP 32 25.0 32.7

26.9 45.0

CL 4 1.4 0.0

3.8 0.0

NA 32 51.4 61.2

84.6 95.0

CPFX 4 44.4 49.0

84.6 90.0

FOM 256 15.3 16.3

7.7 15.0

ST 76/4 41.7 46.9

76.9 70.0

検査株数(n) 72 49

26 20

BP の単位は μg/ml。 CLSI に規定された BP。

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FOM の BP は E. coli の値を、CEX 及び CL は EUCAST の値を用いた。SM は EUCAST でも設定されていないことから JVARM の値(平成 13 年度に得られた二峰性を示す MIC 分布の中間点)を用いた。

ⅲ. コアグラーゼ陽性Staphylococcus spp.

コアグラーゼ陽性Staphylococcus spp は、犬猫共にS. pseudintermediusが最も多く、その他にS.

aureus、S. schleiferi subsp. coagulans及びS. intermediusが収集された。

S. pseudintermedius については、犬及び猫由来ではテトラサイクリン(TC)、クロラムフェニコ ール(CP)、エリスロマイシン(EM)、アジスロマイシン(AZM)及びシプロフロキサシン

(CPFX)、猫由来株ではオキサシリン(MPIPC)に対して 2017、2018 年とも 40%を超える耐性が 認められた。ヒトの医療で重要な抗菌剤 AZM 及び CPFX については、犬由来株で 50%以上、猫由来 株で 60%以上の耐性が認められた。

猫由来 S. aureus については、MPIPC、セファゾリン(CEZ)、セファレキシン(CEX)、セフォ キシチン(CFX)、セフォタキシム(CTX)、EM、AZM 及び CPFX に対して 50%を超える耐性が認 められた。一方で、SM に対する耐性率は 10%未満で、CP に対する耐性は認められなかった。ヒト の医療で重要な抗菌剤 CTX、AZM 及び CPFX については 60%以上の耐性率が認められた。

表 66 疾病にり患した犬及び猫由来のStaphylococcuspseudintermediusの耐性率(%)

薬剤* BP 動物種 2017 年 2018 年

MPIPC 0.5 38.5 56.6

68.6 81.8

GM 16 6.6 54.2

13.7 63.6

TC 16 44.3 67.5

52.9 81.8

CP 32 41.8 49.4

64.7 72.7

EM 8 54.9 74.7

70.6 86.4

AZM 8 53.3 74.7

66.7 86.4

CPFX 4 58.2 75.9

88.2 100.0

検査株数(n) 122 83

51 22

BP の単位は μg/ml。 CLSI に規定された BP。ABPC、CEZ、CEX、CFX、CMZ、CTX、SM 及び NA についても調査対象 としているが、BP が設定できないため、耐性率は掲載していない。

表 67 疾病にり患した猫由来のStaphylococcusaureusの耐性率(%)

薬剤 BP 動物種 2017 年 2018 年

MPIPC 4 61.9 70.6

CEZ 4$ 61.9 64.7

CEX 16$ 61.9 70.6

CFX 8$ 61.9 64.7

CTX 8$ 61.9 64.7

SM 32$ 4.8 5.9

GM 16 47.6 58.8

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TC 16 14.3 41.2

CP 32 0.0 0.0

EM 8 66.7 76.5

AZM 8 66.7 76.5

CPFX 4 61.9 76.5

検査株数(n) 21 17

BP の単位は μg/ml。 CLSI に規定された BP、$ EUCAST の ECOFF 値を採用

ABPC、CMZ 及び NA についても調査対象としているが、BP が設定できないため、耐性率は掲載していない。

ⅳ. Enterococcus spp.

Enterococcus spp.では犬猫ともに E. faecalis が最も多く、次いで E. faecium、その他に E.

casseliflavus/gallinarum、 E.avium及び E.duransが数株収集された。2017、2018 年とも犬及び猫 由来株ではテトラサイクリン(TC)の耐性率が 60%以上であり、ゲンタマイシン(GM) 及びクロ ラムフェニコール(CP)に対する耐性率は 25%未満あった。ヒトの医療で重要な抗菌剤 CPFX につ いては、犬由来株及び猫由来株で 28.2~49.1%の耐性が認められた。

表 68 疾病にり患した犬及び猫由来のEnterococcus spp.の耐性率(%)

薬剤* BP 動物種 2017 年 2018 年

ABPC 16 26.7 20.5

17.3 31.6

GM 32§ 22.9 15.4

19.4 24.6

TC 16 65.6 67.9

70.4 73.7

CP 32 20.6 14.1

20.4 15.8

EM 8 61.8 39.7

41.8 54.4

CPFX 4 42.7 28.2

34.7 49.1

検査株数(n) 131 78

98 57

BP の単位は μg/ml。

CEZ、CEX、CMZ、CTX、SM、AZM 及び NA についても調査対象としているが、BP が設定できないため、耐性率は 掲載していない。CLSI に規定された BP。

§GM は EUCAST でも設定されていないことから JVARM の値(平成 14 年度に得られた二峰性を示す MIC 分布の中間点)

を用いた。

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