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埼玉大学 池口 徹 教授

『必要な時』に『必要な人材』

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っしゃったとも思いますが…

もちろん、大学は義務教育ではありませんので、

あくまでも、大学において学ぶ内容を修得する能力 そのものは、学生に対して要求されるべきと私は考 えています。しかしながら、昔と異なり、いかにし て良い講義を提供するか、ということも必要となっ ています。

このための取り組みがファカルティ・ディベロッ プメントです。そして、ファカルティ・ディベロッ プメントの取り組みの中の一つが授業評価アンケー トです。

以前ご紹介したように、埼玉大学の授業評価アン ケートの取り組みは、平成12年度より始まりました。

ここでいうアンケートとは、授業を受講した学生の 皆さんから、授業の担当者であった教員に対して、

受講した授業が受講者にとって、どのようなもので あったかをアンケート形式で回答してもらうという ものです。実際にどのような質問が用意されている のかをご紹介しましょう。

1.授業の目標・全体構成が、シラバス(講義概要)

からよく理解できましたか。

2.教材(教科書、プリント、板書、プロジェクタ 画面など)の内容は、学習効果を上げるために 適切なものとなっていましたか。

3.授業中に出された課題(レポート、演習問題、

小テストなど)は、授業の主要な目標や目的と うまく合致していましたか。

4.授業は、あなたの思考力を養うため、あるいは 専門知識を高めるうえで役立ちましたか。

5.教員は、授業の内容に対するあなたの興味や関 心を引き出しましたか。

6.教員は、授業に対して十分な熱意を持って講義

していましたか。

7.教員の話し方、板書の書き方、PCプロジェク タ、ビデオなどの機器の利用の仕方は、適切で したか

8.教員は、授業を授業時間どおりに行いましたか。

9.教員は、授業への学生の参加(質問、発言)を 促し、あなたの質問に対して、あなたが分かる ように答えましたか。

10.授業は、上記の項目も含め総合的に判断して、

満足できるものでしたか。

11.授業にどれくらい出席しましたか。

12.授業を受けるに当たって、予習や復習(レポー ト作成を含む)をしましたか。

13.授業中、教員の話しを理解するよう努力しまし たか。

これらのアンケートは、各学期の終わり頃に実施 されます。授業時間のうち約15分程度の時間を用い て、受講学生にアンケート用紙を配布し記入しても らい回収するという手順で行われています。各設問 は、受講学生からの5段階評価で採点がなされます。

例えば、上記の1番の設問「授業の目標・全体構成 が、シラバス(講義概要)からよく理解できました か。」であれば、「(A)よく理解できた」、「(B)や や理解できた」、「(C)どちらとも」、「(D)あまり 理解できない」、「(E)そうは言えない」の5段階 となっています。

A、B、C、D、E

の順に5、4、

3、2、1点となり、学生の採点の平均値が、各設 問に対する評価値となります。これらのアンケート 結果による当該授業に対する評価結果の調査と解析 も行われています。アンケートの集計結果は、各担 当教員にその結果が通知され、各教員は、これらの 情報も用いて授業の改善を試みるということになり

て、池口はいったいどれくらいの評価を得ているの だろう、と思われた方もいらっしゃると思います。

大した結果じゃないんじゃないの?と思われるのも 悔しいので、以下に過去の結果も含めて紹介したい と思います。

図1は、池口が2002年度から情報システム工学科 の1年生に対して担当している「応用解析学」とい う講義の評価結果です。

図1 応用解析学の2003年からのアンケート結果

この応用解析学の内容は、大学1年生が学ぶ微分 積分学で多変数関数の微分積分が主たる内容です。

前半は偏微分、後半は多重積分について講義してい ます。講義そのものは2002年から担当しています。

この結果を見て頂くとわかるように、2003年は評価 が低いですね。2002年は自分で配布資料を作りまし た が、2003年 は 教 科 書 と し て、英 語 の 教 科 書

(Thomas’ Calculus : Addison−Wesley)を採用した最 初の年でした。内容も現在のメインである多変数の 微積分以外に、これに関連する内容もかなり取り入 れたせいか、消化不良となってしまったのかもしれ ません。2004年からは、徐々に内容を限定した効果 が出たのでしょう、評価も上昇しています。

ちょっと自慢になってしまいますが、最近の結果 は凄いですね。多変数の微積分、英語の教科書、毎 回の小テスト等、受講生の皆さんには非常にハード ルに高いと思いますが、高い数値になっています。

その原因を考えてはみましたが全く不明です。2008 年度は応用解析学が受講者は90名を超えており、そ の意味でもなかなかケアが行き届かない人数にはな っているので、この点からも逆の傾向になっており 不思議な現象です。この数値の理由は2009年度以降

あるのですが、実は、あまりこの結果を見て単純に 喜んで良いとも思いません。皆さんも上記の1番か ら13番の設問をご覧いただいて、どのように感じら れますか?教える側から見ると適切な回答を得られ るであろう質問とはなっていても、受講する側から みると適切な回答を提出することができるのか、と 感じられる設問もあると思います。

そのため、私自身は、毎学期後に戻ってくるこれ らの授業評価アンケートの結果自体には殆ど左右さ れません。しかし、ただ一つ例外の設問があります。

それがどれかお分かりでしょうか。それは、6番の

「教員は、授業に対して十分な熱意を持って講義し ていましたか。」

です。この設問に対する結果は非常に気にします。

この数値が下がると何か問題があったのか考えます。

他の講義についても、この「熱意」の評価に対する 感覚は同様です。というのも、この設問自体は、受 講生の評価がそのママ正しいと感じることができる ものだからです。

このような中で、この熱意に対する評価でとても 嬉しいものがありました。といっても、これは6番 の熱意に関する設問の数値的な評価ではありません。

このアンケートは上で説明した数値による評価だけ でなく、自由記述欄が設けられており、受講学生が コメントを書くことが出来ます。アンケートは無記 名であるため、まさに自由に思ったことを書くこと ができます。嬉しく感じたのはこの自由記述欄への コメントです。

2008年度の応用解析学の授業アンケートで自由記 述欄に書かれたコメントは以下のようなものがあり ました。好意的なコメントもあれば、講義の進め方 に対する否定的なコメントもあります。公平性を保 つためにこの時のコメントを全て紹介したいと思い ます。

・個人的に、今期の中で一番良い講義でした。特に プロジェクターの使い方がよくて、他の多くの講 義では、ただ大きく見せるためだけに使っていた プロジェクターを、動きなどをふくめて、わかり やすく、おもしろく使っていたのが良かったです なので

No.

2や

No.

7は

A+くらいの評価をつけた

いくらいです。

 

・パワーポインターがおもしろかったです。

・毎回の小テスト形式は、少し悪い言い方だが、い やでも復習できるシステムになっていて、良いと 思う。

・第一印象は恐そうでしたが、授業を受けてみて良 いおじさんということがわかりました。

・他の授業に比べて、真剣に授業をしてくれたと思 う。毎回の小テストでほぼ決まるのは良かった。

・毎回ある小テストの点数が単位の取得にあまりに もつながっているので体調が悪くても休めないの はキツイ。

・小テストの配点を少なくしてほしい。例として、

電車が遅れたなどで遅れた場合、教室に入ったら、

解答をしていた時があった。

・アセるとミスをしやすい方だったので、小テスト の時間がもう少し長く欲しかったです。

・グラフを上手く使った説明を分かるように説明し てくれているので、理解し易くなって良かったで す。

・授業への情熱を感じました。

・とても熱い授業で楽しかった。単位とるのは楽だ った。

・応用解析学演習と連動しての講義は良いことだと 思います。ただ、話は理解しやすいのですが、時 間をもう少し演習に渡してもいいと思います。

・余談が面白かった。すごく熱意が感じられた。

・教科書の後半部分のベクトル場なども講義でやっ てほしいです。

・山の模型はいらないと思う。何をやっているのか イマイチ分からなかった。

・前期の数学の授業に比べてはるかに良い授業だっ たと思う。教師らしい熱意に心打たれました。

・マイクから出る声が頭に響いて眠くなります

・とても熱い授業でした。

・このままで良いと思います。かなり面白かった。

教科書が英語だというのはやはりやりづらい。い くら覚えればいいとはいえ、日本語でない以上、

負担になるのは間違いないと思う。この教科書を 使う利点も多分にあるとは思うが、外国語の教科 書では内容の理解を妨げる要素も強いことを忘れ ないでほしい。

・他の講義と比べても取り組みやすく、楽しい講義 でした。

・毎回、小テストをして、ちょっとずつ勉強をする ようにしたのはいいやり方だと思った。

・テキストが重かったです。あと、先生方が、講義 をするにあたって、準備に大変時間をかけている のなあと強く感じました。授業が予備校のようで した。

これらの自由記述のコメントに対するの池口から の返答は、池口の講義サポートページ(URLは

http : //www.nls.ics.saitama−u.ac.jp/~tohru/Letures/)

を通じて 公開しています。もし良ければ、こちらもご覧いた だければと思います。

さて、このようにいろいろな意見をもらうことに なるのですが、2008年度の応用解析学の授業アンケ ート自由記述欄で最も嬉しく感じたコメントをご紹 介しておしまいにしたいと思います。

中間と期末で80をこえても小テストが悪ければ 優がとれないのは辛い。ただ先生は情熱的で情報 界の松岡修造だと思う。

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