4 非常時優先業務を実施するための対応行動
4.4 情報システム
(1)現状・課題
本市の情報システムは、約9割のシステムがネットワーク環境にあり、保守管 理を含め、何らかの形で外部事業者と関係のあるものが大半である。
情報システムのハードウェア(機器・設備)への耐震対策については、重要情 報を保存するサーバiは民間のデータセンターを活用するなどの耐震対策を進め てきているが、クライアントiiの対策はやや遅れているのが現状である。一方、ネ ットワークへの耐震対策は、回線を利用している外部事業者の対策状況に依存し ているものの、ネットワークの冗長化iiiや無線回線の併用などによって地震への対 策を進めている。
ただし、十分な耐震対策を講じていたとしても、何らかの理由により情報シス テムが破損・停止することも想定しておく必要があるが、復旧には高度な技術を 要するため、職員だけで対応が困難なものが多い。また、保守管理等を委託して いる外部事業者との緊密な連携が必要であるが、災害時における外部事業者との 取り決めや連絡体制が十分に整っていない、ソフトウエア開発および保守事業者 が遠隔地であるために速やかな対応が現実的に難しい、などといった課題を抱え ているものもある。
(2)対応
情報システムの早期復旧を図るための取組として、連絡体制の確立や災害時の 取り決めの締結等によって外部事業者との関係を強化するほか、クライアントを はじめとするハードウェア(機器・設備)への耐震対策、重要データの分散化、
定期的なバックアップ等の対策を実施、または検討する。また、本市の情報シス テムにおいて最も重要性の高いシステム類を所管する総務局 IT 活用推進部情報 システム課については、非常時優先業務の実施・継続を行う基盤を確保するべく 独自の業務継続計画を作成し、大規模地震への対応力の強化を図る。
一方、情報システムが復旧するまでの間、情報システムを使用する非常時優先 業務の実施にあたっては、施設(区総合庁舎等)の被害状況や回線・機器類の稼
i サーバ:コンピュータネットワークにおいて、自身の持っている機能やデータを提供するコンピュータのこと。
ii クライアント:コンピュータネットワークにおいて、サーバの持つ機能やデータを利用する側(受け取る側)の コンピュータのこと。
iii 冗長化:最低限必要な量より多めに設備を用意しておき、一部の設備が故障してもサービスを継続して提供で きるようにシステムを構築すること。
動状況等に応じて手作業による処理や隣接区での業務代行などの方法によって対 応していくこととなる。このため、業務を担当する区局は互いに連携し、様々な 状況を想定した取扱いをあらかじめ検討・確認しておくこととする。
4.5 インフラ関係 4.5.1 電力
(1)現状・課題
本市では、市区庁舎、消防署、病院などの重要拠点は、地震による電力の途絶 に備え、電気が復旧されるまでの間の応急活動に支障が生じないよう、必要な機 能を維持するための非常用発電装置を整備することとしており、平成 21 年度時 点での設置率は約9割となっている。
(2)対応
非常用発電装置を設置している施設では、電力が供給されるコンセントを外観 から識別できるように区別し(赤色のコンセント等)、必要機器を確実に接続して おく。また、非常用発電装置の作動に必要となる燃料を確保するとともに、いつ でも協定先に対して協力要請ができる連絡体制を整備しておくこととする。
一方、非常用発電装置が設置されていない施設においては、商用電源の復旧ま で待たなければならないことから、該当する部署では、通常の照明や事務機器等 が使用できない状況において業務を実施することを想定し、懐中電灯等の照明器 具や発電機のリースなどによる代替手段で業務継続を図るものとする。
4.5.2 上水道
(1)現状・課題
上水道が停止すると、各施設においては飲料水及び生活用水の確保が困難な状 況になるため、備蓄の飲料水や応急給水等の代替手段のほか、あらかじめ非常用 水を貯水しておくことが有効な手段と考えられる。
しかし、貯水タンクの新規設置やタンク容量の増量などの施設整備、用途制限 などの取り扱いについては各施設に委ねているのが現状であり、重要拠点におけ る平成21年度時点での貯水設備設置率は6割強にとどまっている。
(2)対応
上水道が使用できない場合には、備蓄している飲料水や非常用水などによって 対応することとなるが、非常用水については施設管理者による用途制限等の措置 により、限られた容量の適正な利用に努めることとする。また、区局によって備 蓄量や貯水設備等の状況が異なることから、不足が見込まれる区局に対して備蓄 品を融通するなど臨機応変な対応・支援を行う。
一方、上水道設備が被災した場合には、応急給水を行うと同時に、飲料水と生 活用水を可能な限り、早期にかつ広範囲に管路給水することを目的とした応急復 旧を実施する。応急復旧は、給水基地である配水池への送水管路や医療機関・地
域医療救護拠点・地域防災拠点への管路等を優先して行うこととなるが、非常時 優先業務の実施場所となる公共施設等についても、順次応急復旧を進めていくこ ととする。
4.5.3 下水道(トイレ)
(1)現状・課題
上・下水道設備の被災により、日常使用している水洗トイレの使用は困難とな るため、仮設トイレやトイレパック等を使用する必要がある。トイレパックは、
食料や飲料水と同様、各区局で備蓄を進めてきているが、区局ごとに備蓄量が大 きく異なっているほか、全く備蓄していない区局もある。
(2)対応
下水道設備が破損した状態であっては、上水道が復旧したとしても水洗トイレ を使用することはできない。よって、施設管理者による復旧確認ができるまでの 間は、原則として水洗トイレの使用を禁止する。一方、水洗トイレの使用禁止に 伴う代替手段については、仮設トイレやレンタルトイレが地域防災拠点等へ優先 的に設置されることから、本市職員は、原則としてトイレパックを利用すること とする。ただし、トイレパックには部署によって備蓄量に偏りがあることから、
他の備蓄品と同様、不足が見込まれる区局と備蓄品を融通するなど臨機応変な対 応・支援が必要となる。
4.6 備蓄(食料・飲料水、生活用品、消耗品等)
(1)現状・課題
本市では、職場や被災現地において継続的に応急対策に従事することから、過 酷な業務を考慮し、体力の消耗を補うための食料等の備蓄を各区局において進め ている。
しかし、現状においては、食料・飲料水の備蓄は十分とは言えず、泊まり込み で業務に当たる職員や女性職員の有無等によって必要となる様々な生活用品につ いても、具体的な検討がされていない状況にある。また、非常時優先業務の実施 において必要となる紙やプリンタやコピー機のトナー等の消耗品は、日常的なス トックはされているものの、発災時用に特別な備蓄は行っていない。
(2)対応
発災時には、原則として備蓄品により対応することとなるが、実施すべき業務 が集中する災害初期においては、職員一人ひとりに十分な食料・飲料水や生活用 品等の備蓄品を配布することが現状では困難と考えられることから、現実的な措 置として、職員個人が職場のロッカー等に必要な物品をあらかじめ備蓄しておく ことを奨励する。ただし、これらの備蓄品でも対応が困難な場合は、応急給水や 協定先からの供給等により補うこととする。また、業務上使用する消耗品やその 他の物品等が必要となった場合には、協定先や一般競争入札有資格者名簿登載企 業等から調達を行う。