医療システムを改めてデザインするには、チーム医療が不可欠であり、ケアが継続的 であり信頼できることを保証するためにも、チームにかかわる全ての医療専門職の間 での協力、コミュニケーション、協働がより強調されるであろう。それゆえ、米国医 学研究所(
IOM)の専門委員会により、学際的チームを組んで働くことは、全ての医 療専門職にとって、主要な
5つの能力の中の一つであることが確認されている (
IOM, 2003年)。
専門職間での協働は、患者と集団の健康のアウトカムを改善するため、臨床における
予防と健康増進の目標達成に欠かせないものである(
APTR, 2008年
; 2009年)。専門
職間の実践は、患者ケアの成果の改善に重要であり、それゆえ、医療専門教育と生涯
資料1
Association of American Medical Colleges[
米国看護大学協会と米国医科大学協会
], 2010年
).IOM
は、医療専門職が「患者の価値観や指向、文化的価値」をより一層認識すること が必要性であることを表明した。また、それは専門職間アプローチを通して健康の公 正性を達成しようとする
Healthy People2010の目標に合致している(
USHHS, 2000年)。
この様な文脈の中で、修士課程修了生は、広範囲にわたる健康に関する決定要因を理 解することで、健康のアウトカムの改善やケアに対する障壁を縮小し利用しやすくす ることができるようになる。また全てのケア環境で、専門職間チームでリーダーシッ プを発揮し調整する努力を行い、患者の擁護者、そして、文化とシステムの仲介人と して役割を果たすことが可能になる。スキル開発や他の医療専門職と効果的なコミュ ニケーションを図り、ケアを計画・実施できることを示すことにより、このようなチ ームをうまくまとめることができる(
AACN, 2007年)。
患者や集団の健康のアウトカムを改善するには、患者を中心としたケア提供するため の研究と臨床的な専門知識を統合する垂直的でかつ水平的な医療提供システムが条 件となる。本質的に、そのシステムは、患者のケアの意思決定を共有し管理するため、
患者が表明した価値観、ニーズ、そして患者が選択するものが含まれていなければな らない。専門職チームの一員やリーダーとして、修士課程の教育を受けた看護師は、
積極的に他の医療専門職と意思疎通を図り、協働し、そして、助言を求め、システム を超えてケアを管理、調整することができる。
修士課程の修了生は、以下の事項が行えるようになる。
1.
各専門職からなる医療チームの一員、そして、リーダーとして、専門職である看護 師の役割と意義を提唱する。
2.
医療チーム内で最大限に貢献するため、他の医療専門職の実践領域を理解する。
3.
患者を中心とするケアの計画、調整、評価に協働的戦略を採用する。
4.
各専門職からなるチームと協力関係を育成し、これらに参加し、そして、主導する ため、効果的なコミュニケーション戦略を用いる。
5.
新人看護師、経験を積んだ看護師、そして、医療チームの他のメンバーの信頼のお ける相談相手となり、指導する。
6.
チーム・ダイナミクスと集団プロセスの徹底的な理解に基づき、能力のあるグルー プリーダー、あるいは、メンバーの役割を果たす。
内容例
•
看護学と他の専門分野の実践の範囲
•
医療チームメンバー間での異なる世界観
•
コミュニケーション、協働(
collaboration)、連携(
coordination)の概念
•
葛藤マネージメント戦略と交渉の原則
資料1
•
チームの形式とチームの役割
•
チームの育成段階
•
チームの多様性
•
文化的多様性
•
患者を中心としたケア
•
変化の理論
•
マルチプル
-インテリジェンス理論
•
グループ・ダイナミックス
•
権力構造
•
医療-労働環境
本質的要素 Ⅷ
:臨床的予防と集団の健康(
population health)に基づいた健康増進 理論的根拠
世界的にみて、疾患や伝染病、疾患が慢性的状態になっていることは、低所得~中間 所得層や貧しい人々に健康格差として生じており、このような現状はアメリカにおい ても、低所得地域や有色人種、その他の弱者に偏った傾向として生じている。
アメリカでは、国民の健康状態の改善を達成するという国家目標のもと、疾患への臨 床的予防と集団保健に関する活動に取り組んでいる。しかし、不健康な生活習慣行動 は、予防可能な死の
50%以上を占めているのにもかかわらず医療現場で予防的介入 を行うことは未だなされていない。そのような背景のもと、 「
Healthy people 2010」 は、臨床的予防を実施する能力の核となる基礎カリキュラムを備えた医学部、看護学 部、その他医療系学部を増やすことを目的に作成され、臨床教育の変容をねらってい る。しかし、 「
Healthy people 2010中間報告」では、健康格差は総体的に低下して いないこと、疾患予防および健康増進活動の有効性を実践・評価する必要があること を報告している。
このような背景から、看護職の持つべき集団の健康を向上させるリーダーシップ役割 と責任について見直すことが必要となり、
Healthy People Curriculum Task Forceでは、個人や集団を対象とした予防的介入を含む、
4種の焦点領域を明らかにした。
このカリキュラムは臨床的予防及び集団保健にかかわる医療職に期待される能力を 教育し評価する枠組みを提示した。このカリキュラムは臨床領域の専門職並びに
AAVNによって承認されている。
エビデンスに基づく実践、臨床的予防及び集団保健、医療システムと医療政策、集団
保健とコミュニティの観点
Clinical Preventive Services and Health Promotion③
Health Systems and Health Policy
資料1
防および集団保健に関するカリキュラムの枠組み」*が開発された。
アメリカでは集団の多様性が増加しており、患者及び集団独自の文化的、民族的ア イディンティティ、社会経済的条件、感情及び霊的ニーズや価値観において、公平な ケアやサービスを提供する医療システムが求められている。医療システム内での看護 職のリーダーシップとしては、臨床的予防への介入や集団を基にしたか健康増進のケ アを提供することが求められている。内容として、慢性疾患のリスク低減し、疾患の 予防があげられており、そのために必要なスキルと知識が、看護実践にとっての必須 要素である、とされている。
修士課程修了を修了した看護師は広く、組織的な、患者中心であり、文化的感受性を 含んだ概念を日常のケアに活用・統合することができる。さまざまな理論に裏付けさ れたこれらの概念を習得していることが国内外の個人や家族、コミュニティ、そして さまざまな集団エビデンスを基にした臨床予防と集団を対象としたケアをデザイン して行くために必須となる。
修士課程を修了生は、以下のような内容できるようになる。
1.健康に関する生態学的、世界的及び社会的決定要因の統合;遺伝学やゲノム学の法 則を理解すること、エビデンスに基づき、疫学的データや臨床的予防に関する介入 やストラテジーをデザインすること。
2.健康情報技術や基になるデータを用いて、個人および集団ベースの健康状態のアウ トカムに影響を及ぼす臨床的予防に関する介入の有効性を評価する。
3.患者が中心であり、個人や家族、地域への臨床的予防や健康増進への介入において、
文化的反応に敏感なストラテジーをデザインすること。
4.公平で効果的な予防サービスを発展させ、看護における科学や他の科学的概念の適 用を通じて、集団をベースとした有効な集団健康施策を促進する。
5.文化的発展における公衆衛生の概念や臨床的介入を統合し、言語的にも適した健康 教育、コミュニケーションに関するストラテジーや介入を実施する。
学習の具体例
・環境保健
・疫学
・生物統計学的手法・解析
・災害への備えとマネジメント
・補完療法・代替療法・治療法に関する新興の科学
・健康の社会的決定要因の生態系モデル
資料1
・プログラムの計画、設計および評価
・品質改善と変更管理
・健康増進と疾患予防
・健康行動変容の適用
・医療サービス資金調達、 ・健康情報管理、 ・倫理的枠組み、
・専門職間の協働
・ヘルス・リテラシーおよびヘルス・コミュニケーションの理論と応用
・弱者集団に対する遺伝学/ゲノム学的リスクアセスメント
・臨床、公衆衛生およびグローバルシステムの組織
・地域ならびに政治的な関与、主張および権限付与のための枠組み
・世界的な健康問題や新たな健康問題に取り組むための枠組み
・看護理論
本質的要素
IX:修士課程レベルの看護実践
ドキュメント内
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