ここでも表としてほかかげていないが,日常生活において女らしい言動をとるよう気を つけている母親はど,男らしさ・女らしさを大切に考えている母親ほど,両親が女らしい 言動をするよう気をつけていたという母親ほど「努力する+という割合が有意に高くなっ
ている。
以上見てきた全体を通していえることだが,子どもが男あるいほ女であることによって, つまり性のちがいによって親の対応の仕方が異なるという側面も確かに認められるが,そ れ以上に,子どもの性に基づく対応のあり方は,母親が子ども時代自分の親からどうしつ
けられてきたか,その結果として男らしさ・女らしさをどう評価しているか,それへの意 識・態度,つまり母親がいだく男性像・女性像に強く規定されていることが知られる。
6.望まLい子ども像・子どもの将来
親はわが子に対していろいろな期待をいだいているo教育・しつ桝も 親が望ましいと 考えている子ども像を実現し,期待する生活を保障するためのいとなみと見ることができ る。これまで母親が男らしさ・女らしさをどう受け止め,それを実現するためにどう働き
かけているか,性差に基づくしつ桝こついての母親の意識・態度,性別イヒの実態について 眺めてきたが,そうした‑ことは実現しようとする子ども像・子どもの将来とのかかわりに
おいて意味をもつといえる。そこで最後に,母親が考えている望ましい子ども像,子への 進学期待,期待する生活などについて問題にしたいo
1)望まLい子ども像
母親はわが子がどんな子どもであってほしいと期待しているのだろうか。第66表は,
一般に望ましいと考えられる子ども像を8つあげ,その中から母親が望ましいと思うもの
を2つ選択させた結果と「子どもの性+一をクロスさせたものである。
まず子どもの性にかかわりなく,母親が望ましいと考えている子ども像を上位からあげ
ると, 「ひ、とに迷惑をかけない子ども+ (紛38%), 「思いやりのある子ども+
(約36),「素直な子ども+
(約29%),
「明朗な子ども+(紛24%),
「勇気のある子ども+ (紛20%),「正直な子ども+ (約17%), 「創造力のある子ども+
(紛14%)I
「がまん強い子ども+(約 12%)となる。 「ひとに迷惑をかけない子ども+, 「思いやりのある子ども+というのは子
どもの性にかかわりなく望ましい子ども像として多くの母親が指摘しているところである が,性差に注目すると,前者は男の子に,後者ほ女の子にi.り期待されている.男女間に かなりの差が見られたのは「素直な子ども+, 「明朗な子ども+, 「勇気のある子ども+,そ れに割合ほ低くなるが「がまん強い子ども+で,これらを通して見ると,男の子には「ひ・
とに迷惑をかけず,思いやりがあり,勇気があり,がまん強い子ども+杏,女の子には
「思いやりがあり,人に迷惑をかけない,素直で,明朗な子ども+を母親ほ期待している ことが知られる。
2)子への進学期待
母親はわが子をどこまで進学させたいと思っているのだろうか。希望したからといって それが実現されるという保障はないし,調査対象となっている子どもが小学校1年生であ るため,進学といってもかなり瀧のことで,現在の希望がそのままもちこされるものでも
第66義 子どもの性×期待する子ども像
素 直 勇 気 がまん 明 朗 正 直 創造力 思いや
り迷惑をか
シナない
NA計
NA
計
147 28.8 194
33.8 3 844 28.6
169 27.4
71 12.4
4 244
20.3 88
14.3 56
9.8 1 145
12.1 123
19.9 169
29.4 1 293 24.4
105 17.0 98 17.1
4 207 17.2
88 14.3 73 12.7
1 162
13.5 191
31.0 236
41.1 1 428
35.6 254
41.2 202
85.2 4 460 38.3
10 1.6 5 0.9 0 15 1.2
617 100.0 574 100.0
10 1201
100.0
第67表 子どもの性×子‑の進学期待 高
NA
計
大学院 そ の他
NA計
10.2 1 0.2 0
52 8.4 158
27.5 4
37 6.0 170
29.6 1
43¢
69.7 186
32.4 3
31 5.0 10
1.7 1
54 8.8 42
7.3 0
12 1.9 7 1.2 1
617 100.0 574 100.0
10 2
0.2
214 17.8
208 17.3
619 51.5
42 3.5
96 8.0
20 1.7
1201 100.0
第68表 子どもの性×期待する生活
そ の他
NA計
NA
計
17 2.8 13
2.3 1 31 2.6
284 46.0 375
65.3 9 668
55.6
3 0.5 0 0 0
257 41.7 143
24.9 0
29 4.7 21
3.7 0
4 0.6 4 0.7 0
23 3.7 18
3.1 0
617 100.0 574 100.0
10 3
0.2
400 33.3
50 4.2
8 0.7
41 3.4
1201 100.0
ないが,現段階において母親がわが子にどんな学歴を期待しているかについて尋ねてみた。
「子どもの性+と「子への進学期待+をクロスしたのが第67表である。
まず注目されることは「大学+まで進学させたいという母親が約52%もいることであ
る。 「短大以上+ということにすると72%以上にもなる。
「中学+だけでよいという老は 1201名中わずか2名で皆無といってよいほどである。性差に注目すると,男の子でほ「大学+という老が約70%と圧倒的であるが,女の子 では「大学+
(約82%), 「短大+ (約30%),
「高校+(約28%)と接近して並んであり,
女の子への進学期待は男の子へのそれと比較すると一段低く,進学期待における性差ほ極めてはっきりしている。
3)期待する生活
最後に,母親はわが子が将来どんな生活をするようになってほしいと思っているかにつ いて眺めてみよう。まず選択肢について説明すると, 1は「経済的に豊かな生活+
2ほ
「平凡でも家族と一緒に楽しめる生活+, 3ほ「社会的な地位・名声の高い生活+ 4は「自 分の才能や能力を伸すことができる生活+, 5ほ「社会のためにつくすことりできる生活
というものである。
第68表によると,母親が最も期待している生活類型ほ「2+で約56%と過半数を占 め,次いで「4+が紛33%で,他はそれほど期待しているといえない.母親の期待は
「2+と「4+に集中しているのであるが,性差に注目すると,男の子に対してほ両者が 相半ばしているが,女の子に対しては「2+が約65%, 「4+が約25%とかなりの開き をみせている。このことほ,男子にあってほ職業と結びつく「4+が重視されるのに対し
て,女子にあっては結婿によって家庭に入るというのが一般的な撃と受け止め「2+に集 中したものと考えられる。近年における類似した調査においては,マイ・ホーム型,小市
民型とでもいいうる生活類型への志向が一般的で,上の結果も全く軌を一にしているが, 男女間にはかなりの差が.あることを読みとることができる。
なおこの調査は,横浜国立大学間宮武教授を代表とする,文部省科研一般研究A 「成熟 化現象と性差の縮少化傾向に関する研究+の一環として行なわれたものである。
注
1)
M. Mead., Male and Female,1949.田中寿美子・加藤秀皮訳『男性と女性』上・下 東京
2) 3) 4) 5) 6)
創元新社,
1966.K. Young, Handbook of Social Psychology, 1951・ p・ 61・
拙稿 幼児をもつ母親の教育意識と家庭教育の実態。しつ桝こおける世代間の連続性を中心に
‑横浜市における調査結果の報告一棟浜国立大学教育紀要 第12集1972,
pp・ 79‑80・拙稿 生活実態及び期待の把握に関する母と子のズレについて(1)‑横浜市における調査結 果の報告‑横浜国立大学教育紀要 第9集1970,
pp・ 29‑31・手出稿 前掲 幼児をもつ母親の教育意識と家庭教育の実態pp・
83‑84・し‑?桝こおける世代間の連続性を明らかにする目的でおこなった。昭和46年の調査(その結
果については前掲幼児をもつ母親の教育意識と家庭教育の実態)において,しつけについての
考え方,方法などにおいて,親から受けたしつ桝ま母親がわが子のしつけを行なうさいに最も
参考にされていることが明らかになったo
お母
さ
ん方に
お願いこの調査は, 「男らしさ+
・「女らしさ+ということをお母さん方がどうお考えになり,それが家庭 におけるお子さんのしつ桝こどう反映しているかを明らかにしようとするものです。
社会の急激な変化とともに,人の考え方や行動も変わりつつあります。こうした状況の中で「男ら しさ+・「女らしさ+ということがどう受け止められ,どうあつかわれているのか。しつけのねらいと して以前と同じように考えられているのか,あるいほどうかわってきているのか,といったことを明 らかにしたいと考えています。
この調査の結果は統計的に処理されますので,どなたがどんな答えをなさったかということほ,い っさいわからないしくみになっています。あなたのお考え,じっさいのご様子をありのままにお答え 下さい。
ご多忙中まことに恐縮ですが,この調査の趣旨をご理解くださって,調査にご協力下さいますよう
お願い申し上げます。 横浜国立大学教育社会学研究室
記入にあたっての注意 1.ご主人と相談なさらないで,あなた自身のお考えでお答え下さい。
2.質問の文中に「お子さん+とあるのほ,この調査票を持ち帰えったお子さんのことで,そのきょ うだいは含みません。
3.お答えは,各質問の答えの番号1,2,3‑‑‑のうちあてはまるものを, 外ほすべて一つだけに○をつけて下さい。あてはまるものがない場合は, つけ,それが何であるかを( )内に簡単に記入して下さい。
4.ごめんどうですが,ぬかさないように全部の質問にお答え下さい。
〔間1〕あなたとあなたのご主人のお年(満年令)はいくつでしょうか。
〔あなたの年令〕 〔ご主人の年令〕 〔年令区分〕
1
1‑‑‑・‑・・‑・29才以下
特別にことわったもの以
「その他+の番号に○を
2‑‑‑‑‑‑・‑2‑‑‑・‑・‑‑30才‑34才 3‑.・‑‑・‑・‑‑3‑‑‑‑・・・・.・‑35才‑39才 4・‑‑‑・‑‑‑‑4‑‑・‑‑‑‑・40才‑44才
5‑‑‑・・・・ノ・‑5・‑・‑‑‑‑45才以上〔間2]あなたとご主人が最後に行かれた学校(中退を含む)はどれでしょうかo
〔綜空謂^&] 〔諸士譜箆〕
1‑‑‑‑‑・‑‑1‑‑‑‑‑‑小学校・高等小学校・新制中学校
2
2‑‑‑‑‑‑‑旧制中学校・高等女学校・新制高等学校 3‑‑‑‑‑‑‑3‑‑‑‑‑‑‑旧制高等学校(旧制高等専門学校),新制短期大学
4・・‑/・・・‑‑‑辛‑‑‑‑‑‑‑旧制大学・新制大学・大学院5
( )
5)その他
〔間3]あなたのご主人の職業はなんでしょうかo 1‑・‑・農林・漁業
2‑‑‑商工サービス 3‑・・・・自由業 4‑‑‑管理職 5‑・‑・専門職 6‑‑‑事務職 8‑‑‑無 職
(開業医・弁護士など) ) 自営業主か家族従業者
(課長,あるいほそれに準じる者以上) (技師・教員など)
7‑‑‑労務職(工員・大工・運転手など)
9‑‑‑その他( )
〔間4〕あなたは職業をおもちですか。あるいは,パートタイムの仕事とか'内職をなさっています か。それとも主婦専業でしょうか。
1職業をもっている(ご主人と共稼)
2′く‑トタイムの仕事をしている
3
内職をしている
4主婦専業
〔間5〕あなたの家には,おじいさんやおばあさんがいっしょに住んでいらっしゃいますかo
1
・おじいさんもおばあさんもいない
2