1)「自分は不妊症? 不育症?」
一 般 に 自 然 流 産 は、 全 妊 娠 の 10 ~ 20% に 起 こ る と さ れ て お り、 特 に、 初 期 流 産 の 場 合 は、 ご 本 人 も、 月 経 が 遅 れ て 始 ま っ た と 勘 違 い さ れ、 気 付 か れ な い こ と が 多 く あ り ま す。 流 産 を 繰 り 返 し て い て も、 医 療 施 設 で 「 た ま た ま、 流 産 し ているだけ」「胎児の染色体異常の場合が多いので、次をがんばりましょう。」「流 産 を 繰 り 返 し て い る け れ ど、 最 初 に 1 人 子 供 が い る か ら 異 常 は な い は ず 」 な ど と 説 明 さ れ る 場 合 が あ り ま す。 生 殖 補 助 医 療 を 主 に 行 っ て い る 施 設 (ART 施 設)
な ど で は、「卵 子 の 質 が 悪 か っ た の で 流 産 し た だ け」 と 説 明 を 受 け て い る 場 合 も あります。
自分が不妊症なのか不育症なのか区別できていない事例があります。不妊症と 不育症は異なりますので、 まずは、 受診している医療機関などで、 不育症のリ ス ク因子の検査を受けた方が良いかどうかについて、たずねてみると良いでしょう。
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2)「誰もわかってくれない」
周 囲 は、 不 育 症 女 性 に 対 し て 腫 れ 物 に さ わ る よ う な 態 度 で 接 し が ち で す。 流 産 や 死 産 も な か っ た こ と の よ う に 振 る 舞 っ た り、 実 際 に 忘 れ て し ま っ た り す る 場合もあります。 周囲からの 「子どもは、まだ?」「流産ってよくあること」「早 くがんばらないと」 などという言葉が、無神経でつらいと感じている場合は、相 手と少し距離をおいてもらうことも 1 つの方法です。
し か し、 相 手 が 夫 や 一 緒 に 暮 ら し て い る 家 族 と な る と、 そ う す る わ け に も い き ま せ ん。 流 産 に な る の で は と い う 不 安 か ら、 妊 娠 す る こ と、 性 交 渉 を 持 つ こ と が で き な く な る 場 合 も あ り ま す。 ま た、「死 産 に な っ た り、 生 ま れ て す ぐ に 亡 く な っ た り し た 子 ど も の 命 日 を 夫 が 忘 れ て い た。」「1 人 子 ど も が い る の で、 も う 妊 娠 は あ き ら め る よ う に 言 わ れ た。」 な ど の 悩 み も 聞 か れ ま す。 夫 婦 関 係 が 悪 く な り、 離 婚 に な る 場 合 も 見 ら れ ま す。 夫 婦 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 不 足、 理 解 不 足 が あ る 場 合 に は、 夫 婦 で 話 を す る 機 会 を 作 っ て も ら っ た り、 不 育 症 カ ッ プ ル や 家 族、 そ れ ぞ れ の 話 を 別 々 に お 聞 き し た り す る 場 合 も あ り ま す。 不 育 症 の セ ミ ナ ー や 講 演 会 に 夫 婦 で 参 加 す る こ と を コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 契 機 に し て も ら うこともお勧めします。
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3)「自分のような人は他にいますか?」
不 育 症 専 門 外 来 な ど で は、 待 合 室 で 自 然 に 不 育 症 カ ッ プ ル 同 士 が 友 達 に な っ て い る こ と も よ く 見 ら れ ま す。 し か し、 通 常 の 場 合 は、 周 囲 の 友 人 関 係 に 流 産 を 繰 り 返 し て い る 方 は い ま せ ん し、 い た と し て も 隠 し て い る こ と も 多 く、 他 の 人 に は わ か り ま せ ん。 不 妊 症 専 門 の 医 療 施 設 を 受 診 し て い て も、 不 育 症 カ ッ プ ルは孤独感を持っている場合があります。
不育症が稀ではないことをデータに基づいて説明することも必要ですが、当事 者 同 士 の 触 れ 合 い は、「自 分 だ け で は な い」 と い う 実 感 と と も に、 精 神 的 苦 痛 の 緩和になります。このようなピアサポート体制は種々の疾患の患者間でも行われ て い ま す が、 不 育 症 に 関 し て は、 ま だ ま だ 不 足 し て い ま す。 自 然 発 生 的 に そ の ような会ができれば、理想的ですが、なかなか難しいのが現実です。相談センター な ど で 不 育 症 の 方 々 が 一 緒 に 集 ま っ て 気 軽 に お 茶 を 飲 み な が ら 話 が で き る よ う な場所の提供をするなどの取り組みを行うことが望ましいと考えられます。
こ の よ う な こ と が 困 難 な 場 合 も、 イ ン タ ー ネ ッ ト で 不 育 症 の 方 々 が お 互 い に コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を と る こ と が で き る よ う な サ イ ト が あ る こ と を 紹 介 す る こ と も 良 い か と 思 い ま す。 た だ し、 不 正 確 な 情 報 を 受 け 取 る 場 合 も あ る の で、 情 報 を う の み に せ ず、 疑 問 点 に つ い て は 相 談 セ ン タ ー や 医 療 施 設 で 尋 ね る よ う 促 すことが重要です。
8.反復・習慣流産(いわゆる「不育症」)についてのQ&A
Q1: 不育症とはどういう状態ですか?
A :・妊 娠 は す る け れ ど も、 流 産、 死 産 や 新 生 児 死 亡 な ど を 繰 り 返 し て 結 果的に子供を持てない場合、 不育症と呼んでいます。 習慣 (あるいは 反 復) 流 産 と ほ ぼ 同 意 語 で す が、 こ れ ら に は 妊 娠 22 週 以 降 の 死 産 や 生後1週間以内の新生児死亡は含まれません。 不育症はより広い意味 で用いられています。
Q2: 不育症について相談するにはどうしたらよいですか?
A :2 回 以 上 の 流 産、 死 産、 早 期 新 生 児 死 亡 を 繰 り 返 し た 場 合 は、 不 育 症 で す。 リ ス ク 因 子 の 検 査 が 勧 め ら れ ま す。(流 産 の 場 合 は、 そ の 多 く は 偶 発 性 流 産 で す が、2 回 以 上 繰 り 返 す 場 合、 リ ス ク 因 子 が あ る 場 合 があります。) 主治医の産婦人科医師にまずご相談下さい。
Q3: 不育症でも妊娠、 出産はできますか?
A :・不育症の方も、80%以上の方が出産することができます。
・・不 育 症 の 方 の 多 く (約 半 数) は、 偶 然、 胎 児 染 色 体 異 常 を 繰 り 返 し た 偶 発 的 流 産 で す。 そ の よ う な 方 の 場 合 は、 特 別 な 治 療 を 行 わ な く て も 次 回 妊 娠 予 後 は 良 好 な の で、 安 心 し て 妊 娠 で き る 環 境 が 何 よ り 大 切 で す。 子 宮 形 態 異 常 や 血 栓 症 の リ ス ク が 高 ま る 抗 リ ン 脂 質 抗 体 症 候 群、 一 部 の プ ロ テ イ ン S 欠 乏 症、 プ ロ テ イ ン C 欠 乏 症、 第 Ⅻ 因 子欠乏症などの場合は、 治療が必要になることがあります。
Q4: 不 妊 症 で 体 外 受 精 を 受 け て い ま す が、2 回 と も 赤 ち ゃ ん の 袋 が 見 え た 後 に流産しました。 私は不育症でしょうか?
A :・赤 ち ゃ ん の 袋 が 見 え た 後 の 2 回 の 流 産 で す の で、 不 育 症 に な り ま す。
不妊症と不育症を併せもっている方は、 少なくありません。 厚生労働 科学研究班 (齋藤班) の班員に問い合わせしたところ、 正確な値では ありませんが、 不育症例の約1~ 3 割程度の方が不妊症も併せ持って おられました。 担当の先生と相談して、 不育症のリスク因子の検査を 受けることをお勧めします。
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Q5: 一人目は特に問題なく妊娠し出産しました。その後流産が続いています。
どうしたら良いでしょうか?
A :一人目の妊娠の際、リスク因子があるのにもかかわらず、運よく出産
された可能性もありますので、 続発性不育症として、 同じように不育 症のリスク因子の検査をおすすめします。 ただし、 リスク因子が見つ か る 確 率 は 出 産 経 験 の な い 不 育 症 と 比 べ て 少 な い と 言 わ れ て い ま す。
リスク因子が見つからなければ、 たまたま偶発的胎児染色体異常によ る流産を繰り返したと、 ご理解下さい。
Q6: 不育症の診断で悩む女性はどれくらいいますか?
A :・正 確 な 数 字 は 明 ら か で は あ り ま せ ん。 厚 生 労 働 科 学 研 究 班 (齋 藤 班)
の名古屋市立大学の検討では妊娠を経験した女性の中で 3 回以上の流 産 の 経 験 の あ る 方 は 0.9%、2 回 以 上 の 流 産 の 経 験 の あ る 方 は 4.2% で した。 日本では正確な数は判りませんが、 毎年妊娠される方のうち数 万人が不育症の可能性があります。 いずれにしても不育症は決してめ ずらしいものではありません。
Q7: 流産はどれくらいの頻度でおきますか?
A :・女 性 の 年 齢 に も よ り ま す が、 妊 娠 が 確 認 さ れ た 例 の 10 ~ 20% 程 度 が 流 産 に な る と 言 わ れ て い ま す。 た だ し 年 齢 が 35 歳 以 上 に な る と 流 産 率は上昇してきます。 なお、 妊娠反応陽性となった後、 子宮の中に赤 ちゃんの袋が確認される前に流産してしまう生化学的妊娠 (流産) は も っ と 高 率 (30 ~ 40%) に 起 こ り ま す が、 通 常 生 化 学 的 妊 娠 は 流 産 回数には含めません。
Q8: 流産が起こるのはいつごろが多いのですか?
A :・妊娠 12 週未満の早期流産が大部分(全流産の約 90%)を占めます。妊娠 12 週以降 22 週未満の後期流産の頻度は少ないとされています。厚生省心 身障害研究班報告書(平成 3 ~ 5 年度)によると全妊娠に対する流産率は 早期流産が 13.3%、後期流産が 1.6%と報告されています(出典 1-5)。
Q9: 女性の年齢は流産と関係しますか?
A :・妊娠の年齢が高齢になると流産率が増加すると考えられています。海 外 の 報 告 で す が、 母 体 年 齢 35-39 歳 で 流 産 率 が 25%、40 歳 以 上 に な る と流産の頻度が 51%との報告があります (出典 1-4)。
Q 10: 不育症の原因は何ですか?
A :・妊 娠 初 期 の 流 産 の 大 部 分 は 胎 児 ( 受 精 卵 ) の 偶 発 的 な 染 色 体 異 常 が 原因で、 両親のリスク因子が原因になっている場合は少ないとされて います。 そのため、 1回の流産でリスク因子を調べる必要はありませ ん。2 回 ~ 3 回 以 上 流 産 を 繰 り 返 す 場 合 は、 両 親 の ど ち ら か に リ ス ク 因 子 が あ る 場 合 が あ る の で、 検 査 を お 勧 め し ま す。1 回 の 流 産 で も 妊 娠 10 週 以 降 の 場 合 で は、 母 体 の 要 因 が 大 き く な っ て く る と さ れ て い ますので、 検査をする意義はあると考えられます。 夫婦の染色体異常 に加えて、 妻側の要因としては、 子宮形態異常、 内分泌異常、 凝固異 常 な ど 種 々 の 要 因 が あ り ま す。 厚 生 労 働 科 学 研 究 班 (齋 藤 班) で は、
詳 し く 調 べ て も リ ス ク 因 子 が わ か ら な い 場 合 が 64% ほ ど あ り ま し た。
その多くは、 偶発的な胎児の染色体異常を繰り返しただけと考えられ ています。
Q 11: 不育症のリスク因子の検査にはどのようなものがありますか?
A :流 産 等 を 2 回 以 上 繰 り 返 す 場 合 に は、 不 育 症 の リ ス ク 因 子 の 検 査 が 勧められます。 血液検査により、 夫婦それぞれの染色体の検査、 糖尿 病や、 甲状腺機能などのホルモン検査、 凝固因子検査 (血を固める働 き を み る)、 抗 リ ン 脂 質 抗 体 測 定 な ど を 行 う こ と も あ り ま す。 子 宮 の 形 の 異 常 を 調 べ る た め に 子 宮 卵 管 造 影 検 査 や 超 音 波 検 査 を 行 い ま す。
必 要 に 応 じ て MRI 検 査 な ど を 追 加 し て 行 う 場 合 も あ り ま す。 リ ス ク 因子 の有無を調 べることにより、 次 回の妊 娠に役 立てることが できます。
Q 12: 不育症の治療にはどのようなものがありますか?
A :・検査で見つかったリスク因子について治療を行います。内科疾患やホルモ ン分泌異常が見つかった場合にはその治療を行います。凝固因子異常や抗 リン脂質抗体症候群では、抗血栓療法(アスピリン内服やヘパリン注射)
を行う場合もあります。原因不明不育症に対しては、積極的な治療をしな い経過観察で比較的良好な結果が得られています。治療した症例、経過観 察の症例をふくめて、不育症外来を受診した方は、最終的に約 80%以上が 出産に至ると報告されています。(出典・5-6、5-7)
Q 13: 流 産 を く り 返 し て か ら、 気 分 が 落 ち 込 ん で 外 出 も で き な く な り ま し た。
仕事もずっと休んでいます。 どうすれば良いでしょうか?