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(2019年9月2日受付)
(2019年10月2日受理)
大学生の共食に対する態度の測定と共食教材の効果の検討
Ⅰ. はじめに
1990 年代から食の簡便化,ライフスタイルの多様化,
核家族の増加など家族形態の変化により孤食化が進み,
食行動,健康,生活の各面の問題点とつながると食の 文化の混乱が危ぶまれてきた。2005 年には食育基本法,
食生活指針が制定され,食生活の改善において共食の重 要視がされてきた。ここで「孤食」は「一人で食事をす ること,一人食べ」を指している(足立 , 2014)。
「共食」とは「生活や社会行動を一緒に(共有)して いる誰かと食行動(食べる行動,つくる行動,情報を交 換し食生活を営む力を育て・伝承する)行為を共有する こと」である(足立 ,2010;2014)。孤食による影響として,
好きな物ばかり食べる傾向になり,栄養の偏り,食生活 リズムの崩れ(一日三食食べない)など,身体的な健康 面への影響が懸念される生活習慣の形成が挙げられる。
また,ともに食べる人がいないことによるコミュニケー ションの欠如,社会性・協調性の低下,精神的不安定な ど精神健康面での影響も考えられる。文化人類学者の石 毛は,家族の共食機会の減少が,子どもの社会化や大人 の精神的安定など,家族の機能を阻害することになるの ではないかと警告している(石毛 , 1982)。
さらに,一人で食べる孤食,食べる量が少ない小食,
自分の好きなものを個々に食べる個食,粉物を使ったも のを多く食べる粉食,固定した料理が多い固食,子ども だけで食べる固食など,孤食が続いてしまうことで生ま れてしまう様々な「こ食」といわれるものが現代の食事 の特徴に挙げられている ( 足立 , 2014)。食事の場に携帯 を持ち込んで携帯でのやり取りを優先してしまう「共食 の外骸化」や場所と時間を共有しているが食事の場で のお互いのコミュニケーションが少ない「見えない孤 食」と言った新しい孤食の形も指摘されている ( 足立 , 2014)。
足立(2014)の共食・孤食の調査結果によると,共食 頻度が高い群の人は,健康状態も良く,趣味や運動を自 発的に取り組み食情報の交換やコミュニケーションの場 が多く,家族との食事が多いことから栄養バランスも良 く,美味しい食事を楽しんでいる傾向があった。反対に,
共食頻度が少ない群では,同居家族はいるが共食頻度が 少ないため家族との食事が楽しくないと感じ,友人や仲 間との食情報の交換やコミュニケーションが少ない傾向 にあった。食事内容にもよくない点が多く,栄養面のバ ランスも悪くなっていた。また,平井・岡本(2003)は 小学生とその保護者に対して調査を行なった結果,親子 が話し合う場として最も利用されていたのは「食事場面」
であった。荒井ら(2007)は現代では食事を一緒にする
大学生の共食に対する態度の測定と共食教材の効果の検討
古川みらい
1小川 亮
2Measurement of University Students' Attitude Toward Having Meal with Family, and Effects of the Teaching Material for Improvement of Their
Attitudes.
Mirai FURUKAWA , Ryo OGAWA
摘要
現在の食生活では「孤食」化が進み,食事だけでなく世の中には「お一人様~」や「一人◯◯」が流行している。
しかし,食育の観点から見ると,家族での団欒が子どもの周辺から消える(減少する)ことは,望ましいことではない。
本研究では,次世代の親となる大学生を対象に,孤食(一人で食事),友食(友人と食事),共食(家族で食事)の3 つの食事形態について,どのようなイメージを持っているかを検討した(研究1)。また,共食の効果に関する教材(動 画を含むプレゼンテーション資料)を作成し,視聴させることによる効果を検討した(研究2)。その結果、共食教 材の視聴により,家族と一緒(共食),友達と一緒に食事(友食)をする志向が高まり,一人で食事(孤食)をする 志向が低下し,教材の効果が確認された。
キーワード:大学生,孤食,共食,教材開発
Keywords:Undergraduate Students, Individual Eating, Eating with Others, Development of Teaching Materials
1 なのはな農業協同組合 2 富山大学人間発達科学部
富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 教育実践研究 №14:41-49 論文
ことが,コミュニケーションの場として期待できると述 べている。川崎(2001)は食事の質,共食頻度,および 食卓の雰囲気が中学生の心の健康に及ぼす影響として,
食事の質より食事の雰囲気が心の健康に良い影響を与え ると示唆した。共食による安らぎを経験することが心の 健康に良い影響を与えることがわかる。 以上のように,
共食による機能として,個人にとっては共食をすること で食事回数や,栄養面の安定ができる身体的健康の安 定,また共食による安らぎの経験やコミュニケーション をすることによる心の健康面の向上がある。共食をする 集団,たとえば家族にとっては共食によるコミュニケー ションより情報交換や相手の精神的状態などを知ること ができ,相互の仲を深めることができる。子どもにとっ ては好き嫌いを直すなど健康的な食生活をする,食事の マナーや社会化の場を知るという機能がある。
食事形態についての世代間伝承(再生産)が食文化を 形成してきたことを考えると,現在の共食の減少によっ て,今までの世代から受け継いできた共食による恩恵を 受けられる人や家族が,将来的に減少してしまうことが 考えられる。本研究では,この問題の鍵を握る,世代間 伝承の新たな担い手となる青年達(ここでは大学生)の 共食に対する意識や態度を明らかにすることを目的と した。また,教職に対する知識と態度の変容の可能性を 検討するために,共食促進の教材を作り,プレゼンテー ションを実施することで,共食意識の上昇が図れるかを 確認した。
以下,一人での食事を「孤食」,家族での食事を「共食」, 友達の食事を「友食」と称することにする。