• 検索結果がありません。

なく精索が腫脹している場合には精索炎も考慮すべき である.

JP6-1 鼠径ヘルニア嵌頓が疑われた精索水腫を伴う

精索炎の1幼児例

A case of funiculitis with funicular hydrocele suspected of irreducible inguinal hernia

公立松任石川中央病院小児外科1), 公立松任石川中央病院外科2)

大浜和憲1),石井 要2),金本斐子2)

Poster Session (May 24)

【 は じ め に】Abdominoscrotal hydrocele( 以 下ASH)

は陰嚢および鼠径部から内鼠径輪を経由して腹腔内へ 向かい水瘤を形成する比較的まれな疾患とされてい た.近年,鏡視下手術の普及に伴いその報告は増加し てきている.ASHの治療方法には外科的切除,内容 液の排出と腹膜鞘状突起の閉鎖などの報告がある.今 回我々は10例のASH根治術を経験したので,若干の 文献的考察を加え報告する.

【対象・方法】2010年〜2015年に当院でASHに対し 根治術を施行した10例について,診療録から後方視 的に検討を行った.

【結果】手術時年齢は1歳2ヵ月〜10歳4ヵ月(中央

値3歳3ヵ月),全例男児.患側は右側6例,左側4

例.診断は全例が超音波検査でなされており,すべて 術前診断可能であった.手術は全例腹腔鏡補助下に鼠 径部アプローチを併用して施行した.術中所見で腹膜 鞘状突起(以下PPV)の開存を認めたものは9例で,

1例のみPPVの開存が明らかではなかった.水瘤の 形状はPPVの側方を進展して腹腔へ突出するものが 6例,PPVを腹腔内へ翻転するように突出するもの が4例であった.また2つの水瘤を認める症例が1例 あった.PPV開存の有るものは,水瘤を切除にPPV 高位結紮後を追加,PPV開存の無かったものは水瘤 の切除のみ施行している.いずれも水瘤壁の全切除を 基本としているが,精巣,精管,精巣動静脈との剥離 が困難な部位は部分的に残している.すべての症例で 水瘤壁切除後に,鏡視下で腹腔内へ突出していた水瘤 が消失したことを確認して手術を終了している.経過 観察期間の短いものもあるが,全例術後再発無く経過 している.

【結語】ASH10例に対して腹腔鏡補助下に鼠径部アプ ローチを併用した根治術を行い,良好な経過が得られ た.鏡視下に観察することで確実に水瘤を切除し,再 発や腹腔内の水瘤遺残といった合併症を避けることが でき,本症に対する有用な術式と考えられた.

JP6-4 当院におけるAbdominoscrotal hydrocele ASH の検討

Analysis of Abdominoscrotal hydrocele (ASH) in our institution

日本大学医学部小児外科

浅井 陽,金田英秀,加藤礼保納,土方浩平,

日高綾乃,星 玲奈,植草省太,古屋武史,越永従道

【はじめに】リンパ管腫は比較的稀な良性腫瘍で,頭 頸部や腋窩に多く,陰嚢内の発生は極めてまれとされ ている.

また,従来リンパ管腫に対しては硬化療法や外科的切 除が選択されてきたが近年リンパ管腫に対する漢方療 法が有用とされる報告が増えている.

今回我々は漢方療法が奏功した陰嚢リンパ管腫の一例 を経験したので報告する.

【症例】3歳10ヶ月,男児.左陰嚢の腫瘤を主訴に近 医を受診し,陰嚢水腫を疑われ当科紹介となった.左 陰嚢腫大あり,触診上左陰嚢に約2cm大の表面平滑,

弾性軟で可動性のある腫瘤を触知した.透光試験陽性 であった.超音波検査を行うと腫瘤は約2×3cm大で 内部に隔壁を伴う多房性のlow echoic massであった ため,リンパ管腫と診断した.感染を疑う所見は認め なかった.両側精巣は陰嚢内に存在し異常所見を認め なかった.腹部造影CTにて後腹膜腔に明らかな病変 を認めなかった.

越脾加朮湯(TJ−28®)0.4g/kgの内服を開始し,2週 間後腫瘤は著明な縮小効果を認めた.内服開始後3ヶ 月半で腫瘤が消失したため投薬を中止したが現在まで 再発を認めていない.

【考察】陰嚢部の腫瘤性疾患は鼠径ヘルニアや陰嚢水 腫などが高頻度に認められるが本症例のようなリンパ 管腫も発症する.超音波検査での嚢胞内隔壁の描出は 鑑別に有用な所見と考えられ,本症の様な稀な疾患が あり得ることを念頭におき陰嚢腫大の際の超音波検査 は不可欠と考えられる.また,本症例においては越脾 加朮湯の内服が奏功し,リンパ管腫に対する漢方療法 の有用性の報告を支持するものであった.今後,さら に症例経験を増やしたいと考える.

JP6-3 漢方療法が奏功した陰嚢リンパ管腫の一例

A case of scrotum lymphatic malformation treated with herbal medicine

社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院小児外科1), 久留米大学医学部外科学講座小児外科部門2)

坂本早季1),朝川貴博1),田中宏明1),浅桐公男2), 深堀 優2),田中芳明2),八木 実2)

【はじめに】精索静脈瘤は精巣静脈血の逆流により引 き起こされ,精巣機能低下から男性不妊症の原因の一 つとして考えられている.陰嚢部不快感や痛みを伴 う,また精巣容積に左右差がみられる,陰嚢皮膚を通 して静脈瘤を確認できるGrade3の症例に対して治療 適応とし手術を行っている.腹腔鏡下精索静脈結紮術 の方法と結果について検討した.

【対象】2006年から2015年に精索静脈瘤に対して手 術を施行したのは21例.1例は開腹手術後であった ため鼠径部切開法を行った.年齢は9歳から18歳,

平均12歳であった.対側の鼠径へルニア,陰嚢水 腫を合併し同時に腹腔鏡手術を施行したものが2例 あった.

【方法】臍部切開,5mmポートを挿入.下腹部正中,

左腹部に5mmポートを挿入し腹腔内操作を行う.左 内精索静脈の拡張を認めるため,腹膜を切開し血管を 露出させる.動脈を同定し損傷しないよう注意し,拡 張した精索静脈を剥離し,クリップをかけ血管を切断 する.

【結果】19例は肉眼的に精索静脈瘤が消失,改善した.

そのうち5例は術後のエコー上,軽度の静脈拡張を認 めた.術後の陰嚢水腫は認めなかった.2例に再発を 認め,再手術を行い1例は静脈瘤が消失,1例は残存 があり経過観察中である.9例は術後診察が途中中断 となっていた.

【考察】腹腔鏡手術は創も小さく整容性に優れ入院期 間も短い.腹腔鏡下精索静脈結紮術の成績は良好で あったが,再発例も認めた.今後,再発に関しては顕 微鏡下精索静脈低位結紮術も検討の余地がある.ま た,術後フォローは年齢的に羞恥心などから受診しづ らくなることが考えられ,成人泌尿器科にうまく引き 継げるよう十分な説明,理解が必要と考えられた.現 在,術後の年齢は最高で25歳であり,不妊症の改善 につながるか評価困難であるが,今後も長期的な成績 は経過をみていく必要がある.

JP6-6 精索静脈瘤における腹腔鏡下精索静脈結紮術

の検討

The effect of laparoscopic varicocelectomy for varicocele

さいたま市立病院小児外科 吉田史子,富田紘史,中野美和子

精索静脈瘤に対する治療法としては,高位および低位 結紮術,腹腔鏡下手術,経皮的塞栓術などが行われて おり,それぞれの利点が報告されている.当科では同 疾患に対して経皮的塞栓術を選択しており,今回自験 例について血管造影所見を中心に検討を行ったので報 告する.

(対象)2012年4月以降に,当院で経皮的塞栓術を施 行した15歳未満の精索静脈瘤患児のうち,術後2年 以上を経過した症例を対象とした.経皮的塞栓術は,

局所麻酔下に右大腿静脈よりアプローチし,左腎静 脈,左精巣静脈の造影を行った後,更に左精巣静脈末 梢側にカテーテルを挿入しmetallic coilにて塞栓を施 行.塞栓後に左精巣静脈造影で精索静脈瘤が描出され ないことを確認し終了とした.

(結果)10〜12歳の男児5例に対して計6回の経皮的 塞栓術を施行した.患側は全例で左側.術前の精索 静脈瘤の程度はgrade 2が2例,grade 3が3例であっ た.静脈造影所見では,左腎静脈から左精巣静脈へ流 入する逆行性血流が5例中2例で認められ,側副血行 は全例で認められた.手技に要した時間は中央値105 分(81-141) で, 使 用 し たmetallic coilの 本 数 は17 本(6-40)であった.初回治療後,5例中4例に静脈 瘤サイズの縮小を認めたが,変化のなかった1例に対 しては,1年後に再度塞栓術を施行し静脈瘤が縮小し た.2回目の造影所見では初回治療の際には見られな かった側副血行を認め,これを含めて塞栓した.全例 で術後2年以上を経過した時点で再発は認めていない.

(結語)自験例の全例で側副血行が発達しており,静 脈造影でそれを確認することが可能であった.精索静 脈瘤の治療において左腎および左精巣静脈の血行動態 を把握することは重要と考えられ,治療時に血流の確 認が可能である経皮的塞栓術が,安全かつ有用と考え られた.

JP6-5 思春期の精索静脈瘤に対する経皮的塞栓術:

自験例の検討

Efficacy of percutaneous sclerotherapy in adolescent varicocele

富山県立中央病院小児外科 岡田安弘,山崎 徹

関連したドキュメント