第1章 総 則
第3節 幼保連携型認定こども園として特に配慮すべき事項
1 集団生活の経験年数が異なる園児に配慮した0歳から小学 校就学前までの一貫した教育及び保育
幼保連携型認定こども園における教育及び保育を行うに当たっては、次 の事項について特に配慮しなければならない。
1 当該幼保連携型認定こども園に入園した年齢により集団生活の経験年 数が異なる園児がいることに配慮する等、0歳から小学校就学前までの 一貫した教育及び保育を園児の発達や学びの連続性を考慮して展開して いくこと。特に満3歳以上については入園する園児が多いことや同一学 年の園児で編制される学級の中で生活することなどを踏まえ、家庭や他 の保育施設等との連携や引継ぎを円滑に行うとともに、環境の工夫をす ること。
認定こども園法第 11 条に規定されているとおり、「幼保連携型認定こ ども園に入園することのできる者は、満3歳以上の子ども及び満3歳未 満の保育を必要とする子ども」である。この規定に基づき、幼保連携型 認定こども園においては、満3歳以上で入園する園児と保育を必要とす る子どもに該当する満3歳未満で入園する園児が在籍し、入園した年齢 により集団生活の経験年数の異なる園児が共に生活をすることとなる。
こうした遊びや生活の中では園児同士影響を及ぼし合う状況が生まれ、
家庭や地域では体験できない育ち合いや学び合う関係が形成されるとと もに、乳幼児期にふさわしい発達に必要な体験を豊かに積み重ねること が期待できる。このことは幼保連携型認定こども園ならではの特性であ り、園児の健やかな成長のために特に配慮すべきことでもある。
一方で、園児一人一人の集団生活の経験年数の違いが、様々な園児の 姿として現れることが予想される。特に、3歳児の学級においては、4 月当初、生まれて初めて集団生活を経験する園児、満3歳から入園し入 園から数か月集団生活を経験した園児、満3歳未満から入園し集団生活 が長期にわたっている園児、集団生活を経験しているが他の保育所等か ら入園した園児などが共に生活することとなる。新しく4月に入園した
園児だけでなく、集団生活に慣れている満3歳未満で入園した園児でも、
4月当初の園生活に不安をもつ園児も少なからずいる。例えば、満3歳 未満で入園した園児であっても、新しい園児の存在などに不安感をもち、
保護者から急に離れられなくなったり、今まで自分でできていたことを 自ら行おうとせず保育教諭等へ甘えてきたりするなど、大人に強く依存 する園児も出てくることだろう。また、保育教諭等を気にしつつも遠巻 きにその様子を眺め、素直に自分の気持ちを出すことができない園児も 出てくることだろう。
そこで、新年度を迎える前に園で行えることとして、例えば、4月か ら入園する園児に対しては、入園前に一時預かりや親子登園の場等を活 用し、入園するまでの育ちの理解、受け止め等、家庭との連携の下、発 達の連続性を大事にし、円滑に園生活を開始できるように配慮していく ことが考えられる。また、満3歳未満で入園した園児に対しては、在園 する2歳児後半から3歳児以上の園児との交流の機会をつくったり、3 歳児の保育室で生活する経験をしたり等、一人一人が期待感や安心感を もって3歳児の学級に移行できるように、計画的に準備をしていくこと が考えられる。さらに、地域の他の保育所、小規模保育所・家庭的保育 所等から園児を受け入れる場合もあるため、近隣の諸施設等と日頃から 連携をすることで引継ぎを円滑に行えるようにしたり、園児同士が交流 をしたり園に招待をしたりする機会をつくり、その園児の発達や学びの 連続性や、4月からの安心感等につながるよう、継続して関わること等 が考えられる。
また、4月当初は、自分の気持ちを様々な様相で表す園児がいること を受け止め、保育教諭等間の共通理解や園全体での受け入れ体制の確保 など、園児の状況に応じて各園で工夫していくことが大切である。例え ば、2歳児から移行する園児と3歳児で入園する園児がそれぞれの段階 を踏んで合流し、学級全体が落ち着いて過ごすことができるよう工夫す るなど、柔軟で弾力的な対応を行う必要がある。
個々の園児が園生活に慣れ、安定してきた頃には徐々に、集団生活の 経験年数の違う園児同士のつながりも意識し、関わりや親しみをもてる ようにする援助をしていくことが重要になってくる。
在園年数や1日の保育時間等に違いはあっても、発達という観点から 見ると、園児の生活は0歳から連続してつながっているものであり、満
3歳未満で入園した園児も満3歳以上で入園した園児も、安心した園生 活の中で自分を出すことができるようになれば、同年齢のおおむね共通 した発達の過程をたどるものである。
保育教諭等は、入園した年齢により集団生活の経験が異なることに配 慮して、0歳から小学校就学前までの園児の発達や学びの連続性を見通 し、園児一人一人の発達の過程に応じ、一貫した教育及び保育を展開し ていくことが求められる。
そのためには、保育教諭等が園児一人一人の状況を把握し、その状況 に応じた柔軟で応答的な環境の構成や発達の課題に即した指導を行うこ とが重要である。
(第1章 第1節 幼保連携型認定こども園における教育及び保育の基 本及び目標等 23頁、第2節 「教育及び保育の内容並びに子育ての 支援等に関する全体的な計画」等 65頁、第3節 4(1)発達の過程に 応じた教育及び保育 133頁、(2)発達の連続性を考慮した教育及び保 育 134頁を参照)
2 一日の生活の連続性及びリズムの多様性に配慮した教育 及び保育の内容の工夫
2 園児の一日の生活の連続性及びリズムの多様性に配慮するととも に、保護者の生活形態を反映した園児の在園時間の長短、入園時期 や登園日数の違いを踏まえ、園児一人一人の状況に応じ、教育及び 保育の内容やその展開について工夫をすること。特に入園及び年度 当初においては、家庭との連携の下、園児一人一人の生活の仕方や リズムに十分に配慮して一日の自然な生活の流れをつくり出してい くようにすること。
園児の一日の生活は、家庭や地域での生活と幼保連携型認定こども園 での生活とが連続しているとともに、生活のリズムは多様である。さら に、保護者の生活形態により園児の在園時間に長短があるとともに、入 園時期や登園日数にも違いがある。このため、園児一人一人の状況に応 じて、心身の負担に無理がなく自然な生活の流れをつくり出していくこ
とができるように、教育及び保育の内容やその展開について工夫するこ とが求められる。具体的に園生活を組み立てる際には、園児一人一人の 一 日 の 生 活 の 流 れ を 意 識 し 配 慮 す る と い う 視 点 を も つ こ と が 大 切 で あ る。
特に、入園当初の園児は、心のよりどころとなる保護者から離れ、保 育教諭等や他の園児と慣れない場所で生活することになる。保育教諭等 は、入園時の教育及び保育に当たっては、こうした園児の不安な思いな どを理解して、その気持ちや要求に応えようと努めることが大切である。
また、家庭との連携を密にし、園児一人一人の家庭での生活の仕方やリ ズムを把握し、家庭との連続性を図りながら園児一人一人の実情に合っ た遊びや生活の場など居場所をつくることが重要である。園児が保育教 諭等との関係を基盤に徐々に園生活に慣れ親しみ、自分の居場所を見い だし、周囲の環境に落ち着いて関わることができるように援助していく ことが大切である。
また、既に入園している園児にとっても、新しい園児との出会いは、
不安と期待が入り混じり、自分と保育教諭等や新しい園児との関係をつ くることに敏感になることもある。保育教諭等は入園してきた園児と既 に在園している園児の双方に関わりながら、園児同士が安定した関係を 築くことができるよう援助していくことが必要である。
さらに、既に在園している園児も新しい保育室や遊具等の環境の変化、
保育教諭等や学級やグループ等の集団の雰囲気等の変化により、慣れて いた園生活に不安感や緊張感が大きくなることもある。園児一人一人の 心身の健康状態、季節などに配慮して、必要に応じていつでも園児が安 心して穏やかにくつろげる場を設けるなどの工夫をすることが大切であ る。
長時間在園する園児については、短時間の園児が降園した後は、落ち 着いた家庭的な雰囲気の中でゆったりと過ごすことも必要である。例え ば、家庭での生活と同じような和やかな雰囲気で過ごすことができるよ うにしたり、地域での生活と同様に異年齢の園児との交流ができるよう に保育形態を工夫したり、高齢者をはじめとした様々な人との触れ合い をもつことができるような活動を取り入れたりすることも必要である。
さらに、夕方以降、順に園児が降園していく時間帯においては、寂しさ を感じる園児もいる。この時間帯は特に、園児が安定して過ごすことが