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ドキュメント内 絶対音感にみる音楽認知の傾向と問題 (ページ 39-47)

護 票 畢 審

学習随害の状熊⑪ 規範模倣期

知覚確立期

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理論的認知形成の混乱

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年齢

 これらの事から「相対音感」と「絶対音感」は別ものではなくヒトの成長の過程に含ま れるものであり、「知覚」に依存した場合「絶対音感」となり、成長発達し「認知」とい

う心理活動を伴っているものが「相対音感」と呼ばれているのである。

 よって今後は「絶対」vs「相対」と言った対立的な認識ではなく、「絶対音による知覚傾向 にある者に調性感を持たせ、柔軟な認知的側面を助長するためにはどのような方法が必要か。」

「認識や感覚が混乱した生徒に、どのようなカリキュラムを実施すれば表情豊かな(ダイナミ ズムやアゴーギグに富んだ)演奏や感性豊な音楽聴取が出来るようになるのか。」といった、

個々の生徒が直面している課題(直面しているが本人が気付いていない場合が往々にしてあ る)を発見・解決し児童生徒に、より豊かに音楽を楽しむ力を与えることがMursellの説く 音楽による心の教育システムの構築であるといえる。

30 鈴木 寛 2000 『音感と音楽能力評価』 「実技教育研究 第15号」兵庫教育大学学校教育学都附属実技教育研究指導センター      掲載の表を元に鈴木氏に指導を受け作成

 更に、絶対音高の知覚と相対的な認知力を自由に制御できるようになった音感(図pp−1),、

を Perfect Pltoh 自    と命名する。

規範確立期

知覚聴同期

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回田奮感

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絶対音用量力

軍略234567891。11

【展 望】

 文部省が「移動ド」唱法を指導する理由の一つは、戦前の絶対音感教育の反省であり、強制 的な音感教育によって音楽に対する嫌悪感や苦手意識を植え付けたり「絶対音感=戦時教育」

といったイメージからの脱却があったと考えられる。

 また成長、発達という観点から6歳以降の学齢期は認知的スキーマの形成期であり、相対音 感を身につけることが発達上も望ましいためだと考えられる。

 しかし現段階で唱法指導を「固定ド」「移動ド」のどちらかに完全にシフトすることは「学 習評価」の問題も含めて大きな問題を含んでいる。次にその理由を述べてみたい。

 教育現場で見られる「和声理論」や「階名」「音名」といった学習の混乱の多くは、「ドレミ

・」という音の呼称を「役割唱(旋法)」と「位置唱(絶対音高名)」の両方で使うため起こっ ていると考えられ、その原因は生徒と教師の両面に見られる。

 まず生徒の側からみると教育現場や文部省が「移動ド」を声高に訴えたところで、音感教室 においては幼児期の「絶対音の記憶」に都合が良いために「絶対音高名」として「ドレミ」唱 が用いられ、「絶対音高=ドレミ」としてimprintされた子どもたちにとって「ド」は移動で きない「決まった音高のド」であり「移動ド」は耐えがたい苦痛と混乱を招く事になっている。

 また、音感が相対化している子どもたちにおいても、十分な読譜指導や階名唱が身に付いて いるとは言いがたく、「音名」と「階名」の意味を正しく理解し、調性記号の位置によって音 階関係がスライドする「移動ド」唱法を完全に遂行できる児童生徒は少ない。

 教員養成の視点からでみると、初等教育の教職コースを希望する学生の中には自分で専攻教 科を選んだわけではない学生が配属される事がある。それは入学時の希望調査の最後の方に書 いた「音楽」に、成績順などによって振り分けられてくる場合である。

 当然ピアノを演奏したことのない学生や、楽譜すら十分に読めない学生が音楽の先生になる べく教育されることになる。

 そこで最低限初等教育に必要な「ハ長調読み」は身に付けるよう努力するが、他調の読譜力 が十分養成されていない状態であったり移調の概念が混乱した状態となり、授業では調性や和 声を避けて通るため、児童生徒は「ハ長調読み」(白鍵読み)を学習し、十分な理論的知識を 得られないまま認知のスキーマが形成されることになる。

 また「ハ音=ド」という認知形成によって「主音ド」の感覚は「ハ長調」でのみ形成される

      一

こととなり、移調という「音階の役割が移動する」という概念と、「主音が移動した」という 感覚が結びつかず、和声理論や調性の概念が、実感を伴わない机上の空論となり混乱を大きく

していると言える。(混乱の再生産)

 専門大学においてはr幼い頃から音感教育で絶対音の知覚を形成し、記号把握のスキーマを 形成し、小脳の運動記憶である演奏技術を持った学生」が多数在籍しており、ほとんどの学生 が音楽教室において想定ド唱」またはギ白鍵唱」で知覚を身に付けているのが実態と言える。

 そのため児童生徒に「移動ド唱法」を伝えようにも教師自身が「出来ない」「混乱する」「固 定ドの方が教えよい」(資料p57:項目175)といった問題を訴えているのが実情である。

 このように一種の「悪循環」を形成していると考えられる。

 また「絶対音感」が「楽曲の中に配置される様々な音を、記憶した音高を基準に知覚する」

ことを『音楽的才能』であると誤解し、更には現代音楽等の難解な楽譜を「幼い頃から訓練さ れた高い技術によって正確に再現する」や「聴き取った音を楽譜や演奏に再現」できるという 理由から『絶対音感は音楽的能力が高い』と判断することも『絶対音感教育』を過熱させる一 因となっている。

 しかし調性音楽である「モーツァルト」や「バッハ」の音楽作品は「単なる音響としての 音」を並べて「音楽」としたのではなく、「音と音の連結によって生み出される意味」を紡ぐ

ことを意図した音楽であり、本論のこれまでの検証から「絶対音感」がこれらの意味を正しく 受け取っているとは断じて言えない。

 今後このような「悪循環」や音感に対する「間違った認識」を是正してゆく必要があるが、

まず必要なことは混乱の渦中にいる児童生徒の救済である。

 その方策として、混乱の元となっている「階名唱」を廃止することが考えられ、「階名唱」

の替わりにフランス等が行っている「旋律をlalalaで歌う」等を導入するによって、旋律線 の各音問の役割を「階名」や「音名」といった言語でヂ認知」するのではなく「感覚」として

「認知形成」することで「言語」による混乱を緩和できると考える。

【SMLの音楽科教育による音感補正プログラム】

鈴木2gはS(Sound:知覚認知レベルの教育).M(Musicality:音楽性レベルの教育).L

(Life:人間性レベルの教育)の中で音階や和声の機能感獲得(改善)の方法を次の3段階に 分けて提案している。 これを絶対音感という知覚優先の音感や、不明音感という認知機能の 混乱した音感のための治療薬として処方することで本論の結びとしたい。

第1段階r固定概念の破壊」

 ①視唱による階名唱の前に「聴唱による階名唱」を「移動ド」によって指導する。

  器楽の場合は音名唱を基本とし、C−dur以外では階名を用いない。

  すでにハ調読みのくせがついている子どもに対しては楽譜と実際の演奏の調が異なる   ように心がけ、極力二丁による階名唱を用いる。

②コンピュータや移調機能のある楽器を使って、移調しても旋律や和声が変わらない事を   感覚的に理解させる。例えば「ドレミの歌」を移調しても歌えることを納得させる。

 ③鍵盤上の任意の音から音階を探らせ、結果を五線譜上に記入させる。

第2段階「新しい概念の導入」

 ①初めて聴く新曲を「移動ド」による階名唱で歌わせる。この場合「ド」以外の間違いに   こだわらないほうが良い。全曲を通す必要はないが、あまり細切れでは効果が薄れる。

 ②頭に浮かんだ音程や旋律をハ長調(ハ短調)で楽器演奏させる。

 ③頭に浮かんだ音程や旋律をハ長調(ハ短調)の楽譜にドを主音として記譜させる。

第3段階r新しい概念の定着と適応」

 ①既知の曲をハ調に移調させて演奏させる。

 ②ハ調の曲を任意の調で演奏させる。

 ③転調を含む曲を転調したところがらドを読み替えて階名唱をさせる。

注意点

 これらの段階的指導は先を急がないこと。

 第1段階が徹底してから次の第2段に入るように指導すること。

 徹底しないとかえって混乱を生じる原因となる。

29鈴木 寛 199了S,団.しの音楽科教育(皿)『実技教育研究』第11号 p8

参考文献:及び資料

<単行本>

Mursell, L James

佐々木基之 梅本尭夫 坂本 昴 東川清一 東川清一

平島・谷村・松本 松田・田畑

音楽教育史文献・資料叢書

(笈田光吉

音楽教育史文献・資料叢書

(佐藤吉五郎 Swanwick, Keith

正高信男

甘利俊一・酒田英夫共著

Moore, C, J, Brian

榊原洋一 野村・中山

Pickles,0, James

村尾忠廣 多胡輝

日本音響学会編 山田浅蔵 竹井成美 Aiello,Rita 最相葉月 谷口高士 保科 洋 梅本尭夫 絶対音感研究会

1967 『音楽教育と人間形成』(美田節子訳)

1977『耳をひらく』

1978 『音楽心理学』

1980 『授業改造の研究』

1983『退け、暗き影「固定ド」よ!』

1985 『移動ドのすすめ』

   『翔んでる音楽教育

1986     とんでもない音楽教育』

  第19巻 1992河口道朗監修

1937『絶対音感川和音感教育法』

  第2◎巻  1992河口道朗監修 1943『和音感教育』(改訂版)

1992『音楽と心と教育』(野波・石井・吉冨       竹井・長島共訳)

1993『0歳児がことばを獲得するとき』

  1994『脳とニューラルネット』

1994『聴覚心理学概論』(大串健吾訳)

1995『ヒトの発達とは何か』

1995『音楽教音楽教育を読む』

1995『聴覚生理学』(堀川・矢島共訳)

1995『調子外れを治す』

1996『斎藤秀雄先生の才能開発課』

1996『音の何でも小事典』

1996『これでいいのか音楽教育』

1997『音楽を見る』

1998『音楽の認知心理学』(大串健吾訳)

1998『絶対音感』

1998『音楽と感情』

1998『生きた音楽表現へのアプローチ』

1999『子どもと音楽』

1999『絶対音感を身につける本』

音楽之醗酵 柏樹社 新曜社 明治図書 音楽之友社 音楽之友御

東子音楽章 大空社

シンキヤウ社)

大空社

三喜堂)

音楽之友社

中央公論社:

朝倉書店 誠信書房 筑摩書房 音楽の友社 二瓶社 中中之友社

ごま書房 講談社 音楽之友社 音楽之友社 誠書房信書房 小学館 北大路書房 音楽之友社 東京大学出版 双葉社

〈論文〉

ニヒ居由香

鈴木 寛

鈴木 寛

1988『指導評価のための教材分析の研究』  兵庫教育大学卒業論文

1995『S.M, しの音楽教育(D』      実技教育研究9号

  兵庫教育大学学校教育学部附属実技教育研究指導センター

1996『S、M. しの音楽教育(H)』   実技教育研究10号

  兵庫教育大学学校教育学部附属実技教育研究指導センター

ドキュメント内 絶対音感にみる音楽認知の傾向と問題 (ページ 39-47)

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