外来や頭痛センターでの薬物乱用頭痛の占める割合は ヨーロッパでは最高 30% 、米国では 50% 以上である。
推奨のグレード A
我が国における一般人口を対象としたMOHの有病率の調査はない。
ヨーロッパ、ブラジル、台湾(65歳以上)での疫学調査ではMOHの有病率は1-
2%
MOHの女性の占める割合はデンマーク73%、スペイン93%、米国76% で平均年齢はそれぞれ48歳、56歳、42.8歳と40-50歳代である。
頭痛外来・頭痛センターではMOHの占める割合は多く、頭痛診療の重要項目の一 つである。
片頭痛
薬物乱用頭痛の治療法と予後はどうか
推奨
薬物乱用頭痛の治療の原則は①原因薬物の中止、②薬物中止 後に起こる頭痛への対処③予防薬投与の3つであるが、確立された 治療法はない。離脱方法は外来、重症の場合は入院で原因薬物の 即時中止が奨められる。単純な薬物乱用頭痛では適切な助言のみ でも改善が見込まれるが、重症な場合には入院を要する場合もある。
予後は、約3割が再発する。離脱後も患者に適切な助言を与え、頭 痛ダイアリーを用いてトリプタン、エルゴタミン製剤、鎮痛薬の使用 頻度を確認することが重要である。
推奨のグレード B
Ⅶ.小児の頭痛 責任者:藤田 光江
Ⅶ- 1 .小児にはどのような頭痛が多いか。 桑原
Ⅶ- 2 .小児の片頭痛はどのように診断するか。
(小児周期性症候群も含める) 安藤
Ⅶ- 3 .小児の二次性頭痛にはどのようなものが多いか。 安藤
Ⅶ- 4 .小児の片頭痛治療薬について、急性期治療薬における第一選択薬、
予防治療薬にはどのような種類がある、どの程度の有効性か。
藤田
Ⅶ- 5 .小児に慢性連日性頭痛はどのくらいあるか。また、その診断と治療は
どのように進めるか。 藤田
小児 小児の片頭痛治療薬について、急性期治療薬における第一選択 薬、予防治療薬にはどのような種類があり、どの程度の有効性か
推奨
小児片頭痛の急性期治療の第一選択薬として、イブプロフェンとア セトアミノフェンが効果的で安全、かつ経済的な薬剤であり、イブプ ロフェンは最良の鎮痛作用を示す。トリプタンでは、小児片頭痛に、
スマトリプタン点鼻薬が、有効かつ安全な薬剤であり、錠剤では、リ ザトリプタンが、有効かつ安全である。いずれの薬剤も、頭痛が始 まったら出来るだけ早く、十分量使用することが勧められる。小児片 頭痛の予防薬では、抗てんかん薬のトピラマートが有効で、十分許 容される薬剤であるが、わが国では、保険適用はない。
推奨のグレード
A
Ⅷ.遺伝子 古和
1 .片頭痛は遺伝的素因があるか。 古和 2 .群発頭痛は遺伝的素因があるか。 古和 3 .緊張型頭痛は遺伝的素因があるか。 古和
4 .単一遺伝子異常による家族性(遺伝性)の片頭痛は存在するか。 高橋
5 .片頭痛の遺伝子診断はできるか。 高橋
遺伝子
単一遺伝子異常による家族性(遺伝性)の片頭痛は存 在するか
推奨
単一遺伝子異常による家族性片頭痛としては,家族性 片麻痺性片頭痛の 1 型, 2 型及び 3 型が報告されている.
また,片頭痛を合併しうる単一遺伝子性疾患としては,
CADASIL, RVCL, HHT1, MELAS, MERRF などが知ら れている.
推奨のグレード A
ポイント
単一遺伝子異常により片頭痛を来す遺伝性疾患が存在 し,近年その原因遺伝子が同定されつつある.
内訳
1 .単一遺伝子異常による家族性片頭痛 2 .片頭痛を合併する遺伝性疾患
3 .家族性片頭痛と関連した他の遺伝子
片頭痛の原因遺伝子
疾患名 遺伝子 遺伝子産物 備考
FHM1 19p13 CACNA1A Cav2.1
FHM2 1q21-23 ATP1A2 Na+-K+ATPase
FHM3 2q24 SCN1A Nav1.1
(FHM4) 14q32 MA, MO
(FHM5) 4q13 SLC4A4 Na+-HCO3-cotransporter NBCe1
MA, MO
(FHM6) 5p13 SLC1A3 EAAT1
CADASIL 19p13 NOTCH3 NOTCH受容体 C381T, G864T
RVCL 3p21 TREX1 3’-5’エキソヌクレアーゼ
HHT1 9q34 ENG エンドグリン
HHT2 12r11-14 ACVRL1 アクチビンA受容体 MELAS ミトコンドリア
遺伝子
MTTL1 ミトコンドリアtRNALeu MERRF ミトコンドリア
遺伝子
MTTK ミトコンドリアtRNALys
MGR13 10q25 KCNK18 TRESK K2P channel MA
Na/K ATPase
の異常( chromosome 1 )Na Channel
の異常( chromosome 2 )
Ca Channel
の異常( chromosome 19 )
Na+
家族性片麻痺性片頭痛の病態生理
Mutationにより
• グルタミン酸の作用過剰
• 神経細胞の興奮性亢進
スマトリプタン在宅自己注射
CQ1
.どのような頭痛患者にスマトリプタン在宅自己注射による治療を行うか(適応,副作用,使用禁忌) 渡邊由佳、五十嵐久佳
CQ2
.スマトリプタン在宅自己注射の導入と患者説明をどのように行うか。処方量はどれくらいが適切か。(患者への説明法、使用法、スターター・キット、
導入トレーニング、注射器の廃棄の仕方、処方量) 清水利彦、山根
CQ3
.スマトリプタン在宅自己注射の初回投与時はどのように指導するか。また、緊急時(重篤な有害事象出現時)の対処法はどのようにするか。
神吉理枝、竹島多賀夫